全国各地で根強い人気のあるSL列車。関東近郊でもかなり運転されています。乗ること自体を目的にしても楽しめますし、観光地への足としても便利なSL列車。この記事では、関東近郊で運転されているSL列車を5つ紹介します。全て、筆者が実際に乗車したことのあるSL列車です。
根強い人気のSL列車、関東近郊でも多く運転されています!
公共交通機関としての役目を終えてから50年近くが経ちますが、観光向けに運転されるSL列車は増える一方で、相変わらず根強い人気があります。力強く黒煙を噴き上げながら進む姿は、他の列車にはない特別なものなのでしょう。
そんなSL列車ですが、関東近郊でも多く運転されています。さすがに都心部では運転されていませんが、東京から日帰り圏内の距離でも5路線で運転されています。
沿線に観光地や温泉地がある路線が多いので、観光のついでにSLを楽しむこともできます。
たいていは、普通運賃に加えて、数百円の指定席券や整理券を購入するだけで乗車できます。SLの乗車体験が、プラス数百円で手に入ると考えると、とてもコスパのよいエンターテイメントでもありますね。
ということで、早速、関東近郊のSL列車5選です。指定席券や整理券の購入方法などは、リンク先の記事で詳しく紹介していますので、興味を持たれましたら、リンク先の旅行記などもぜひご覧ください。
関東地方のSL列車の運行状況(2023年1月~)
2023年1月5日現在の主な運行状況は以下の通りです。
「SLばんえつ物語」は、8月3日の豪雨の影響で喜多方~山都間の橋梁が倒壊したため、当面の間、運休となっています。「SLパレオエクスプレス」は2022年の運行を終了しました。
運転状況が変わる可能性があるため、実際に乗車される前に各社のWebサイトをご確認下さい。
- 「SLぐんまみなかみ」 「SLぐんまよこかわ」(JR東日本)
- 冬季はSLの運転なし
- 2月25日に「EL/DLぐんま よこかわ」を運転
- 運転日・運転時刻
- 「SL大樹」(東武鉄道)
- 通常通り運転中(ほぼ毎日運転、運転パターンは日によって異なる)
- 2023年2月15日(水),16日(木),21日(火)は運転なし
- 運転日・運転時刻
- 「SLパレオエクスプレス」(秩父鉄道)
- 2022年の定期運行は終了、冬季は運転なし
- 2023年春から運行再開の予定(運転日など詳細は別途発表予定)
- 運転日・運転時刻
- 「SLもおか」(真岡鉄道)
- 1月14日(土),15日(日)の運転以降、2023年1月下旬~2月は運転なし
- 「SLもおか券(整理券)」はインターネットによる事前予約制
- 運転日・運転時刻
- 「SLばんえつ物語」(JR東日本)
- 8月3日の豪雨による影響で当面の間、運休 → JR東日本のお知らせ
- 運転日・運転時刻
力強く勾配を登る「SLぐんまみなかみ」(JR東日本・上越線)
- 路線: JR上越線(JR東日本)
- 運転区間: 高崎~水上
- 蒸気機関車: C6120 または D51 498
- 運転期間: 通年
- 運転日: 土休日を中心に運転
- JR信越本線(高崎~横川)の「SLぐんまよこかわ」と交互に運転
まず紹介したいのは、関東地方では定番のSL列車、「SLぐんまみなかみ」です。上越線の高崎~水上間で運転されています。
高崎駅と水上駅の間には400メートルもの標高差があります。水上行きの「SLぐんまみなかみ」は、その勾配を力強く登っていくのです。そのため、黒煙をモクモクと吹き出し、車内からもその様子をしっかりと眺めることができます。
乗車時間は約2時間。途中駅で10~15分程度の停車時間もあり、ホームにおりてSLの撮影も楽しむことができます。
水上駅では、「SL転車台広場」にある転車台でSLが回転する様子や、その横にあるピット線でSLの整備作業の様子を間近に眺めることができます。
水上といえば有名な温泉地ですし、少し足を延ばせば、谷川岳ロープウェイや、もぐら駅として有名な土合駅など、観光スポットの多くあります。首都圏からの日帰り旅行で十分楽しめます。
乗車記については、以下の記事をご覧ください。

乗車時間は短めも前後のイベントが充実!「SL大樹」(東武鉄道・東武鬼怒川線)
- 路線: 東武鬼怒川線(東武鉄道)
- 運転区間: 下今市~鬼怒川温泉・東武日光
- 蒸気機関車: C11 207, C11 325
- 運転期間: 通年
- 運転日
- 一部の日を除く毎日運転
- 土休日はSL2編成による4往復運転、平日はSLまたはDLによる2往復運転が多い
最も新しいSL列車、東武鉄道の「SL大樹」です。2017年に運転を開始したばかりで、関東の大手私鉄初のSL運転として話題になりました。
「SL大樹」は、東武鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉・東武日光間で運転されています。乗車時間は短めですが、主に土休日に4往復(合計8本)、平日に2往復(合計4本)運転されるため、旅行の予定に合わせて利用しやすいのが特徴です。
「SL大樹」の楽しみは、SLへの乗車だけではありません。下今市駅、鬼怒川温泉駅の両方の駅で、転車台が用意されていて、終点に到着後、転車台でのSLの回転を見学することができます。
鬼怒川温泉駅の転車台は、駅前広場に設置されていて、SLの乗客だけでなく、鬼怒川温泉の宿泊客や観光客にも注目の的。
下今市駅では、転車台のSL回転だけでなく、次の鬼怒川温泉行きのSL運行のための入れ替え作業、つまり、客車の反対側にSLを付け替える作業も見学することができます。
下今市駅は東武日光駅からすぐですし、鬼怒川温泉駅はもちろん鬼怒川温泉の最寄り駅です。SL大樹の運転区間には東武ワールドスクエアもありますし、鬼怒川温泉から少し足を延ばせば、川治温泉や湯西川温泉といった魅力的な温泉地もあります。温泉や観光と合わせて利用できるところが、「SL大樹」の魅力の一つですね。
2022年7月18日から3機目のSL「C11形123号機」の営業運転を開始!

鬼怒川温泉駅で出発を待つ「C11形123号機」
(出典)いよいよ7月18日(月・祝)から C11形123号機が営業運転を開始します!(東武絵鉄道ニュースリリース 2022年6月16日 PDF)
東武鉄道が復元作業に取りかかっていた「C11形123号機」ですが、2022年7月18日から営業運転に入ることが発表されました。
運行初日の7月18日は、SL大樹1・2・5・6号が運転されますが、その牽引機として「C11形123号機」がデビューする予定です。
デビュー後は、週末を中心に、「C11形123号機」で運転されるSL大樹、SL大樹ふたらが運転されます。どの列車が「C11形123号機」で運転されるかは、東武鉄道が発表している「SL・DL編成予定表」で確認することができます。

「SL大樹」について、詳しくは以下の記事をご覧下さい。「SL大樹」の座席指定券の購入方法、おすすめの座席なども、わかりやすく紹介しています。

また、「SL大樹」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。

長瀞・秩父への観光に!「SLパレオエクスプレス」(秩父鉄道)
- 路線: 秩父本線(秩父鉄道)
- 運転区間: 熊谷~秩父・三峰口
- 蒸気機関車: C58 363
- 運転期間: 例年3月~12月上旬
- 運転日: 土休日を中心に、観光シーズンは一部の平日(月・金が多い)も運転
都心から最も近いSLが「SLパレオエクスプレス」です。起点の熊谷駅へは、在来線でも東京や新宿から乗り換えなしで行けますし、新幹線を使えばあっという間です。
「SLパレオエクスプレス」は秩父鉄道(秩父本線)の熊谷~三峰口間で運転されています。沿線には、長瀞や秩父といった有名な観光地がありますので、これらの観光地へのアクセスに利用するのがおすすめです。
「SLパレオエクスプレス」は、車内でのイベントが頻繁に開催されます。以前、乗車したときには、ジャズの演奏がありました。
秩父鉄道の車窓を彩るのは、荒川の流れです。荒川の中上流域にあたり、渓谷も随所に見られます。一番の見ごろは紅葉の時期ですね。
「SLパレオエクスプレス」は、運行開始から30年以上が経っていますが、今なお、観光シーズンには大人気のSL列車です。指定席(SL座席指定券が必要)と自由席(SL整理券が必要)がありますが、観光シーズンに乗車するなら、座席が確保されている「SL座席指定券」を事前に購入しておきましょう。
※2022年度は全車指定席での運転となります。
「SLパレオエクスプレス」の乗車記(旅行記)です。2017年11月上旬の紅葉の時期に乗車しました。

「SLパレオエクスプレス」に乗車するときに必要な「SL座席指定券」の予約方法、購入方法などをまとめた記事です。また、繁忙期の混雑状況、沿線の観光スポットなどについても紹介しています。「SLパレオエクスプレス」に乗車しようと思っている方は、ぜひご覧ください。

気軽に乗れる普段着のSL列車「SLもおか」(真岡鐡道)
- 路線: 真岡線(真岡鐡道)
- 運転区間: 下館~茂木
- 蒸気機関車: C12 66
- 運転期間: 通年
- 運転日: 土休日に運転
「SLもおか」は真岡鐡道の下館~茂木間で運転されているSL列車です。
「SLもおか」の特徴は、気軽に乗れること。毎週末、コンスタントに運転されています。事前に「SL整理券」をインターネットで予約しておく必要がありますが、それさえしておけば、あとは下館駅へ向かうだけです。
50系という古い客車で運転される「SLもおか」。4人掛けのボックスシートがずらっと並びます。車内には冷房はなく、天井に扇風機が設置されています。
「SLもおか」は、他社のSL列車に比べると、観光要素はあまり多くありません。ただ、筆者が乗車したときの経験からすると、それは悪いことではなく、逆に、一つの魅力になっているように感じました。
「SLが現役だったころは、こんな感じで運転されていたんだろうな」というような雰囲気なのです。もちろん、今では観光客向けの列車なのですが、全体的に日常の中に溶け込んでいるのですね。
終点の茂木駅では、SLではおなじみの転車台での回転や、SLのメンテナンス作業を間近で見ることができます。
途中、真岡駅には、D51形や9600形といった蒸気機関車が展示されている「SLキューロク館」があります。また、途中の益子駅は、言わずと知れた益子焼の町。「SLもおか」でも、益子駅で下車していく観光客が大勢いました。
ふらっと乗りに行くも良し、益子などの観光のついでに乗るもよし。敷居の低い、日常のSL列車です。
「SLもおか」の乗車記については、以下の記事をご覧ください。SL整理券の購入方法も紹介しています。

磐梯山と阿賀野川の眺めが美しい!「SLばんえつ物語」(JR東日本・磐越西線)
2022年8月の豪雨の影響で、当面の間、運転を見合わせています。
- 路線: 磐越西線(JR東日本)
- 運転区間: 新津~会津若松
- 蒸気機関車: C57 180
- 運転期間: 4月~11月
- 運転日: 主に土休日に運転
最後の紹介するのは、関東地方からは少し外れますが、比較的首都圏からアクセスしやすい「SLばんえつ物語」です。
新潟県の新津駅と、群馬県の会津若松駅の間を、冬季を除く土休日を中心に1往復運転されています。
「SLばんえつ物語」の魅力の一つは、沿線の車窓の美しさ。会津若松~喜多方間では磐梯山が、喜多方~馬下間では長い時間にわたって阿賀野川(福島県内は阿賀川)が車窓を彩ります。新津~五泉あたりでは、新潟平野に広大な田園風景が広がる様子も観ることができます。
もう一つの魅力は、客車内の設備の豪華さ。グリーン車が1両連結されていますし、編成の中ほどには売店や、1両丸ごと展望車という車両もあります。車内設備の豪華さ、多彩さでは、関東近郊のSL列車の中ではピカイチです。
新津~会津若松の全区間に乗車すると、乗車時間は3時間を超えます。SLの旅をたっぷりと楽しみたい方にはおすすめのSL列車です。
途中駅での長時間停車もあり、乗車時間が長いわりには、時間を持てあますことなく、楽しめる列車になっています。
新津駅は上越新幹線の終点、新潟駅から普通列車で20分ほど、会津若松駅は、東北新幹線の郡山駅から快速列車で1時間ちょっとでアクセスできます。
首都圏からであれば、
- 東京~(東北新幹線)~郡山~(磐越西線)~会津若松~(SLばんえつ物語)~新津~(信越本線)~新潟~(上越新幹線)~東京
という周遊ルートで旅をすることができます。
会津や新潟の観光に合わせて利用すれば、移動時間も楽しむことができますね。
以下の記事で乗車記を公開しています。このときは、「SL」ではなく、ディーゼル機関車牽引の「DLばんえつ物語」だったのですが、運行ダイヤや、客車の編成などは、「SLばんえつ物語」と同じですので、参考にしていただければと思います。

以上、「関東近郊のSL列車5選! 日帰り旅行、観光にも便利なSLを乗車記とともに紹介します!」でした。根強い人気を保つSL列車。乗ること自体を目的にした旅でも十分楽しめますし、観光地への移動手段として利用すれば、移動そのものも楽しめます。ぜひ、SLの旅を楽しんでみてください。
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