東海道新幹線「こだま号」のグリーン車に格安で乗車できる方法をご存知でしょうか? エクスプレス予約の「EXこだまグリーン早特」を利用すれば、3日前までの予約で、普通車指定席よりも安くグリーン車に乗車できるのです。そして、「EXこだまグリーン早特」は、年会費無料の「スマートEX」でも利用できるのです。
この記事では、「EXこだまグリーン早特」の概要と、乗車したときの様子、乗車時の注意点などをお届けします。
※2020.06.27更新
- 「EXこだまグリーン早特」とは?
- 年会費無料の「スマートEX」会員でも「EXこだまグリーン早特」を利用できます!
- こだま号のグリーン車に乗ってみた!(「EXこだまグリーン早特」乗車記)
- 「EXこだまグリーン早特」 こだま号の長距離乗車での注意点
- 「EXこだまグリーン早特」おすすめの利用法! 夏休みもお盆休み以外は利用できます!
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「EXこだまグリーン早特」とは?
「EXこだまグリーン早特」は、東海道新幹線のネット予約サービス「エクスプレス予約」「スマートEX」専用のきっぷ です。私が利用したときは、「こだま☆楽旅IC早特」という名称でしたが、2017年9月2日より、エクスプレス予約サービスのリニューアルに伴い、「EXこだまグリーン早特」となりました。きっぷの内容はほぼ同じです。
3日前までの予約でこだま号のグリーン車におトクに乗車できるきっぷ
「EXこだまグリーン早特」は、乗車する三日前までにエクスプレス予約かスマートEXで購入することで、こだま号のグリーン車に破格の値段で乗車できるきっぷ です。
東京~新大阪間の多くの区間で設定されていますが、私が乗車した東京~名古屋の料金で比べてみると、いかにおトクかがわかります。
きっぷの種類 | 座席種別 |
東京~名古屋 の値段 |
東京~新大阪 の値段 |
備考 |
---|---|---|---|---|
EX予約サービス |
のぞみ・ひかり ・こだま 普通車指定席 |
10,310円 | 13,620円 | |
EXこだま グリーン早特 |
こだま グリーン車 |
9,170円 | 11,410円 |
3日前までの予約 席数限定 |
(参考) ぷらっとこだま |
こだま 普通車指定席 |
8,500円 (通常期) |
10,700円 (通常期) |
JR東海ツアーズの 旅行商品 |
(参考) ぷらっとこだま |
こだま グリーン車 |
9,500円 (通常期) |
12,200円 (通常期) |
JR東海ツアーズの 旅行商品 |
「EXこだまグリーン早特」は、こだま号限定、3日前までの予約が必要で、席数も限定ですが、EX予約の普通車指定席よりも安い値段でこだま号のグリーン車に乗車できてしまう のです。
ちなみに、東京~名古屋のグリーン車の通常料金は14,750円なので、5,580円もおトクなのですね。
詳しくは、JR東海のサイトをご覧ください。
「ぷらっとこだま」よりもおトクでお手軽?
格安でこだま号に乗車する方法としては、JR東海系列の旅行会社である「JR東海ツアーズ」が販売する「ぷらっとこだま」 という旅行商品があります。
上の表に記載したように、東京~名古屋を東海道新幹線で移動する最も安い方法が、「ぷらっとこだま」(前日17時まで予約可能)の普通車指定席のプラン(通常期 8,500円)を購入することです。
ただし、これは旅行商品(きっぷではない)ですので、以下の点で注意が必要です。
- 予約後の変更ができない(一旦払い戻しして、別途購入が必要)
- 払い戻し手数料が比較的高額(10日前から払い戻し手数料が発生)
一方、「EXこだまグリーン早特」は、エクスプレス予約のサービスですから、インターネットで予約・購入したあとは、EX-ICカードなどで改札機にタッチするだけで乗車できます。
また、3日前まで(空席があれば)何度でも予約変更が可能ですし、3日前を過ぎてしまっても、差額を支払うことで、別のきっぷに変更することが可能です。
さらに、グリーン車利用で比べれば、「EXこだまグリーン早特」のほうが330円安いですね。
年会費無料の「スマートEX」会員でも「EXこだまグリーン早特」を利用できます!
JR東海は、Suicaなどの交通系ICカードだけで東海道新幹線に乗車できる「スマートEX」というサービスを提供しています。
年会費無料の「スマートEX」会員でもエクスプレス予約のサービスを利用できる
これまで、「EXこだまグリーン早特」など、EX早特のきっぷを予約するためには、
- エクスプレスカード(年会費1,100円)を契約してエクスプレスカード会員になる
- 手持ちのクレジットカードを利用してプラスEX会員(年会費1,100円)になる
のどちらかが必要でした。
ところが、2017年9月30日からは、「スマートEX」では年会費無料でエクスプレス予約のサービスが利用できるようになりました。
「たまに旅行に行くときにしか東海道新幹線に乗車しない」というような方には、とてもうれしいサービスですですね。
「EX早特」を有料会員と同額で利用可能! 差別化は設定除外日のみ
年会費が必要なエクスプレスカード会員・プラスEX会員と、年会費無料のスマートEXでは、サービスが差別化されています。EX予約とスマートEXの違いを簡単にまとめると以下のようになります。
EXカード プラスEX |
スマートEX | |
---|---|---|
年会費 | 1,100円 | 無料 |
通常予約 の料金 |
EX予約向けの 割引料金 |
通常料金から 200円引き |
EX早特 | 利用可能 | 利用可能 EX予約と同額 |
EX早特 設定除外日 (2020年度) |
5/1~2 5/5~6 8/10,15~16 12/28~31 1/2~4 |
4/27~5/6 8/10~8/19 12/28~1/6 |
一番の違いは、普通の新幹線のきっぷを購入したときの割引額です。例えば、東京~名古屋では、EX予約なら990円引きですが、スマートEXでは200円引きにとどまります。
ところが、早期に予約することでおトクに新幹線に乗車できる「EX早特」のサービスは、スマートEX会員でも同額で利用できる のです。繁忙期の設定除外日に違いがあり、スマートEXのほうが設定除外日が多いですが、違いはこれくらいです。
頻繁に東海道新幹線・山陽新幹線に乗車するのであれば、エクスプレスカード会員かプラスEX会員になったほうがおトクですが、たまに旅行で乗るくらいであれば年会費無料のスマートEX会員になって、EX早特でおトクに乗車するのがおすすめです。
こだま号のグリーン車に乗ってみた!(「EXこだまグリーン早特」乗車記)
ということで、この「EXこだまグリーン早特」を予約して、こだま号のグリーン車に乗車してみたときの様子をお伝えします。
なお、実際に乗車したのは2017年8月でしたので、きっぷの名称は「こだま☆楽旅IC早特」でした。新たな「EXこだまグリーン早特」でも、きっぷの内容はほぼ同等のようですが、念のためご承知おきください。
早朝のこだま631号(東京06:33 → 名古屋09:15)
8月の平日早朝のこだま631号に東京から名古屋まで乗車してみました。
乗車したこだま631号は、N700系での運転でした。グリーン車は下の写真の通り、2+2列の座席配置です。普通車は2+3列の座席ですが、この違いはかなり大きいです。座席自体がゆったりとしているだけでなく、隣の席との間隔も広いので、隣の人がほとんど気になりません。それに、座席の前後の幅(シートピッチ)も広いため、足を伸ばすことができます。だいぶ疲れ具合が違いますね。
こだま631号のグリーン車ですが、早朝だったこともあってか、かなり空いていました。さすがにこの時間だと旅行客は少なく、ビジネス客がほとんどでした。
私が見ていた範囲では、名古屋まで乗りとおした人はそれほど多くなかったようで、三島や新富士など、ひかり号の停車が少ない(全くない)駅での乗降が目立ちました。
東京から名古屋までは2時間45分ほど。のぞみ号なら1時間40分くらいなので、1時間ほど余計にかかります。その余分にかかる1時間の大部分は、途中駅での通過待ちの時間です。熱海など、通過待ちができない構造の駅以外では、たいてい1~2本ののぞみやひかりに抜かれますので、3~7分くらいの停車時間があります。
停車駅の少ないのぞみやひかりと比べると、加速や減速を繰り返すので、ずっと乗っていると疲れるのかと思ったのですが、最近の車両は性能がよいのか、加減速の影響はほとんど体感ではわからないほどでした。
ちなみに、このときは、スマホでtwitterしたり、購読しているブログを読んでいたりしました。東海道新幹線にはWiFiがありますし、N700系のグリーン車には各席にコンセントがありますので、スマホで時間をつぶすにはもってこいの環境です。
金曜夜のこだま682号(名古屋19:59 → 東京22:47)
復路は、金曜夜のこだま682号に乗車です。金曜日の夜は、東海道新幹線の東京行きが一番混雑する時間帯です。名古屋駅のホームや待合室の売店には長蛇の列。駅弁やビールを買うのにも一苦労です。
乗車したこだま682号は、新大阪始発の列車でした。名古屋に到着した時点で、グリーン車はかなりの乗車率。窓側の席が取れなかったので、混んでいるのかなと思っていましたが、そのとおりでした。結局、名古屋出発時点でグリーン車はほぼ満席。
往路と大きく違うのはその客層です。ビジネス利用が多いのですが、観光客もかなり多かったのにはびっくりしました。金曜夜の東京行きののぞみは、ほとんどがビジネス利用なので、だいぶ違うものだなと思いました。
夏休みだからかもしれませんが、若者のグループが多く乗車しています。このような人たちは(私もそうですが)、東海道新幹線に乗車する最も安い方法を探して、「こだま☆楽旅IC早特」(EXこだまグリーン早特)にたどり着いたのではないかと思います。
案の定、愛知・静岡県内での下車は少なく、小田原、新横浜、品川での下車が多かったですね。
私はと言えば、名古屋駅で購入した駅弁と缶ビールの夕食をいただいたあとは、音楽を聴きながら半分うとうととしていました。
「EXこだまグリーン早特」 こだま号の長距離乗車での注意点
このように、急ぐ旅でなければ、「EXこだまグリーン早特」を利用して、こだま号のグリーン車に乗ってみるのもよいでしょう。普通車の2+3列の座席とは、快適度の差が想像以上です。
一方で、こだま号のグリーン車に長距離乗車する際の注意点もいくつかありますので、まとめておきます。
なお、2020年3月までは、電源コンセントやWiFiの設備のない700系車両で運転される「こだま」がありましたが、2020年6月時点では、「こだま」を含む東海道新幹線のすべての列車がN700系での運転となっていますので、どの「こだま」に乗車しても、電源コンセントやWiFiの設備があります。
こだまには車内販売・自動販売機がない
普段、のぞみやひかりしか利用しない方は盲点かもしれませんが、こだまには車内販売がありません。JR東海のWebサイトでも、
※「こだま」全列車については車内販売を実施しておりません。
となっています。
(出典)車内販売のご案内|JR東海
ですので、乗車前に、駅の売店などで、食べ物、飲み物を調達しておくことが重要です。
飲み物くらいであれば、通過待ちがある駅での停車時間中に、ホームにある自販機まで買いに行くことができます。実際に、こだまのグリーン車に乗車している間に、ホームに下りて自販機で飲み物を購入している方をよく見かけました。
ただ、駅弁やお菓子などの食べ物となると難しいかもしれません。こだましか停車しない駅のホームには売店がないことが多いです。
こだまは、短距離(短時間)での乗車が多いので、車内販売がないのは仕方がないかもしれませんが、自販機くらいは置いてもいいのでは、と思ってしまいました。
「EXこだまグリーン早特」の制限
「EXこだまグリーン早特」は、格安のきっぷであるがゆえに、通常のきっぷにはない制限がいくつかあります。
- 乗車日の3日前の23:30までにエクスプレス予約での購入が必要
- 乗車券と特急券が一体になったきっぷのため、新幹線の乗車駅までと、降車駅から目的地までのきっぷが別途必要
- 席数限定のため、対象列車のグリーン車に空きがあっても購入できない場合がある
- 予約した列車の指定された座席に限り有効で、他の列車や、予約した列車の指定された座席以外への乗車はできない(別途、特急券等が必要)
あらかじめ予定が決まっていれば、早めに予約・購入しておくのが安心でしょう。当日は、予約した列車に間に合うように、時間に余裕をもって出かけましょう。乗り遅れるときっぷ自体が無駄になってしまいますよ。
「EXこだまグリーン早特」おすすめの利用法! 夏休みもお盆休み以外は利用できます!
「EXこだまグリーン早特」のおすすめの利用法を紹介します。
3日前までの予約が必要であることや、「のぞみ」「ひかり」よりも所要時間がかかることなどを考えると、ビジネスでの利用よりは、旅行や帰省など、プライベートで利用することをおすすめします。
旅行であれば、ホテルや宿の手配が必要となるため、3日前までに予定が決まっていることが多いでしょう。そのため、3日前までに予約が必要という「EXこだまグリーン早特」のルールは、あまり気にすることがありません。
乗車駅・下車駅が「こだま」しか止まらない場合には、ぜひ「EXこだまグリーン早特」を活用してみましょう。
そして、夏休みの帰省にも使えます。お盆休み(スマートEX会員の場合は8/10-19)は利用できませんが、少し日にちをずらせば、「EXこだまグリーン早特」を利用できます。帰省の場合には、特に急ぐ旅ではないでしょうから、所要時間が多めにかかるのもデメリットにはならないでしょう。乗車前にお弁当や飲み物を買って、車内で食べていれば、あっという間ですよ。
以上、『東海道新幹線こだま号のグリーン車に乗ろう!年会費無料の スマートEXでも使える「EXこだまグリーン早特」でおトクにグリーン車に乗車できます!』でした。普通車に比べるとかなり快適ですので、時間に余裕がある方や、東海道新幹線にできるだけ安く乗車したい方におすすめですよ。
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