2017年にデビューした東武鉄道の特急「リバティ会津」(500系)。豪華さや贅沢さはないですが、最近のJRの特急列車にも共通する実用性を重視した快適な特急車両です。浅草から南会津の会津田島駅まで乗り換えなしで直通するため、会津地方への旅行に便利な列車です。
この記事では「リバティ」の概要(停車駅)や車内設備、車内の様子などを紹介します。また、浅草から会津田島まで乗車したときの車内の様子をご紹介します。
東武の新型特急「リバティ」(500系)とは?
「リバティ」は、2017年にデビューした東武鉄道の特急車両です。500系という形式ですが、「リバティ(Revaty)」という愛称がついています。
東武のフラッグシップ特急といえば「スペーシア」ですが、この「リバティ」は、スペーシアよりは設備のグレード(豪華さ)は落ちるものの、電源コンセントやWiFiといった最新設備を備えていたり、3両編成単位で分割併合が可能で柔軟な運用が可能であったりと、ビジネスと観光の両方に対応できる車両として開発されました。
2023年3月現在、「リバティ」は、以下の特急列車に充当されています。
- リバティけごん(浅草~東武日光)
- リバティ会津(浅草~会津田島)
- リバティきぬ(浅草~鬼怒川温泉)
- リバティりょうもう(浅草~館林・太田・赤城)
- スカイツリーライナー(浅草~春日部、一部列車)
- アーバンパークライナー(浅草~大宮・柏、大宮~運河)
主に「リバティけごん」「リバティ会津」に充当されています。1編成3両という機動力を活かして、浅草~下今市間では、「リバティけごん」と「リバティ会津」が連結して運転されています。
この記事では、東武鉄道・野岩鉄道・会津鉄道の3社を直通して走る「リバティ会津」について詳しく紹介していきます。
「リバティ会津」の運転日・ダイヤ・停車駅(2023年3月改正)
2023年3月現在、「リバティ会津」は、平日・土休日ともに、浅草~会津田島間に1日4往復運転されています。浅草~下今市間は「リバティけごん」と併結されて運転され、下今市駅で分割・併合を実施します。(「リバティ会津156号」だけは併結なし)
「リバティ会津」のダイヤ・停車駅(2023年3月改正)
2023年3月18日改正後の「リバティ会津」の主要駅の運転時刻です。ダイヤ改正前とほぼ変更はなく数分の調整のみとなっています。ただし、上りの「リバティ会津」の一部列車は、列車名(〇〇号)が変更になっていますので、ご注意ください。
- 下り(浅草→会津田島)
- リバティ会津101号: 浅草 06:30発 → 下今市 08:13着 → 鬼怒川温泉 08:37着 → 会津田島 09:40着
- リバティ会津113号: 浅草 09:30発 → 下今市 11:10着 → 鬼怒川温泉 11:35着 → 会津田島 12:38着
- リバティ会津119号: 浅草 11:00発 → 下今市 12:40着 → 鬼怒川温泉 13:05着 → 会津田島 14:09着
- リバティ会津131号: 浅草 14:30発 → 下今市 16:09着 → 鬼怒川温泉 16:42着 → 会津田島 17:42着
- 上り(会津田島→浅草)
- リバティ会津126号: 会津田島 10:50発 → 鬼怒川温泉 11:59発 → 下今市 12:35発 → 浅草 14:15着
- リバティ会津134号: 会津田島 13:03発 → 鬼怒川温泉 14:07発 → 下今市 14:35発 → 浅草 16:16着
- リバティ会津140号: 会津田島 15:00発 → 鬼怒川温泉 16:07発 → 下今市 16:34発 → 浅草 18:15着
- リバティ会津156号: 会津田島 17:48発 → 鬼怒川温泉 18:55発 → 下今市 19:20発 → 浅草 21:05着
- 途中停車駅
- とうきょうスカイツリー、北千住、春日部、(板倉東洋大前)、栃木、新鹿沼、下今市、新高徳、東武ワールドスクウェア、鬼怒川温泉、鬼怒川公園、新藤原、龍王峡、川治温泉、川治湯元、湯西川温泉、中三依温泉、上三依塩原温泉口、会津高原尾瀬口
- ()は停車しない列車あり
なお、会津田島駅では、会津鉄道が「リバティ会津」に接続する「リレー号」を運行しています。会津若松~会津田島の運転で、上り・下りのいずれの「リバティ会津」にも接続します。例えば、下り「リバティ会津」に乗車して、会津田島駅で「リレー号」に乗り継げば、浅草駅から会津若松駅まで1回の乗り換えで到着するわけです。
各駅の詳細な運転時刻等については、東武鉄道のWebサイトをご覧ください。
2023年3月ダイヤ改正から特急料金が値上げへ
2023年3月18日のダイヤ改正以降、東武鉄道の特急列車は特急料金が値上げとなります。「リバティ会津」も値上げとなります。主要区間の特急料金は以下のようになります。
区間 | ダイヤ改正前 | ダイヤ改正後 |
---|---|---|
浅草~下今市 | 1,470円 | 1,650円 |
浅草~鬼怒川温泉 | 1,470円 | 1,650円 |
浅草~会津高原尾瀬口 | 1,850円 | 2,030円 |
浅草~会津田島 | 2,160円 | 2,340円 |
また、特急券を車内で購入した場合には、「車内発売加算料金」として200円加算されることになります。
詳しくは、東武鉄道のWebサイトをご覧ください。
「リバティ」は豪華さよりも実用性重視の車内設備
リバティの車内設備ですが、簡潔に表現するなら、「豪華さを切り捨てて、実用性を重視」した設備と言えます。ビジネス・観光の両方に対応できる車両としていますが、どちらかというとビジネス客向けの車両という印象です。
「リバティ」の座席はシートピッチ1,000mmで足元は比較的広い
座席のシートピッチは1,000mmとなっています。スペーシア(1,100mm)と比べるとやや狭いですが、新幹線やJR在来線の特急列車とほぼ同等です。最近の特急列車では標準的かやや広いシートピッチです。少なくとも、他の特急列車の座席と比べて、狭いと感じることはありませんでした。
また、座席の両側は上部が左右に盛り上がっていて、頭部を囲うような形になっています。これによって、隣の乗客が気にならなくなります。これは最近のトレンドに沿ったものと言えそうです。
座席には、テーブル、ドリンクホルダー、小物入れが付いています。前の座席から倒すタイプのテーブルに加えて、ひじ掛けに内蔵されたテーブルもついていました。
足元の広さを決めるもう一つの要素として重要なのが、前の座席下にスペースがあるかですが、上の写真の通りスペースがありますので、足を少し伸ばすことができます。シートピッチは標準的ですが、足を伸ばすことができる分だけ広く感じます。
「リバティ」は電源コンセント・WiFiを装備
最新の特急車両らしく、電源コンセントとWiFiを装備しています。
電源コンセントは全席についています。座席の内側についていますので、隣の乗客に気を使うことなく使えるのがうれしいですね。
WiFiは、東武鉄道の各駅で利用できる「TOBU FREE WiFi」が車内で利用できるようになっています。メールアドレスの登録か、Twitter等のSNSアカウントでのログインが可能です。ただ、暗号化がされていないので利用には注意が必要です。また、トンネル内では利用できません。リバティ会津では、東武線内はトンネルは少ないですが、野岩鉄道はトンネルばかりですのでほとんど使い物になりませんでした。もっとも、これは携帯の電波にしても同様ですので、WiFiの設備が悪いわけではないのですが。
「リバティ」のトイレは2号車(5号車)に集中配備
リバティは3両編成の単位で増結できるようになっています。その3両のうち、トイレは2号車(6両編成の場合は2号車と5号車)に集中的に配備されています。
2号車の1号車寄り(5号車の4号車寄り)のデッキに、車いす対応多機能トイレ・洋式トイレ・男性用トイレがそれぞれ一つずつあります。上の写真が多機能トイレですが、その奥に洋式トイレ、左側に男性用トイレがあります。
トイレの数としては十分でしょうが、2号車に集中的に配備されていることにより、3号車の乗客からはトイレまでの距離がやや遠くなります。3両単位で運用できるようにしたため仕方がないのかもしれません。
「リバティ」には車内販売、飲料の自動販売機はなし! 事前に駅で購入しよう!
これまで、東武鉄道の一部の特急列車では車内販売の営業や、車内に設置された飲料の自動販売機によるサービスがありましたが、2021年8月31日をもって、いずれも営業終了となりました。
この記事で紹介している「リバティ会津」についても同様ですので、乗車前に、飲み物や食べ物を駅の売店などで購入してから乗車するようにしましょう。
車内販売の終了については、東武鉄道のお知らせをご覧ください。
乗降扉は各車両にあるも一部の駅では開かない扉も
リバティでは各車両に乗降扉(出入口)がありますが、一部の駅では、2号車・5号車の乗降扉しか開きませんので要注意です。おそらく、途中駅での誤乗防止のためだと思いますが、途中駅で下車される場合には、車内放送をよく確認しましょう。
2023年3月改正ダイヤで、「リバティ会津」のドアが2号車・5号車しか開かない駅は、以下のとおりです。
- 「リバティ会津」の2号車・5号車しかドアが開かない駅
- 春日部駅
「リバティ会津」 特急券の予約・購入方法、おすすめのフリーきっぷ
「リバティ会津」は特急列車ですので、乗車するには、乗車券(きっぷ)と特急券が必要になります。
「リバティ会津」の特急券の予約・購入方法
「リバティ会津」は全車指定席で自由席はありません。そのため、乗りたい列車が満席の場合には、その列車の特急券そのものを購入することができなくなり、乗車できません。旅行の日程が決まったら、あらかじめ特急券を予約・購入しておきましょう。
「リバティ会津」の特急券の予約・購入方法については、別記事で詳しく紹介しています。
「リバティ会津」鬼怒川温泉~会津田島間は乗車券のみで乗車可能
「リバティ会津」を鬼怒川温泉~会津田島間のみ乗車する場合には、特急券は不要で、乗車券のみで利用できます。乗車券のみで利用する場合には、空いている座席に座ることができますが、その座席の特急券を持っている乗客が乗ってきた場合には、座席を譲る必要があります。
また、浅草~鬼怒川温泉間の駅から、鬼怒川温泉~会津田島間の駅にまたがって乗車する場合には、全区間の特急券が必要となりますのでご注意ください。
東武沿線からの往復なら「ゆったり会津 東武フリーパス」がおすすめ!
「リバティ会津」に乗車する際に利用する乗車券(きっぷ)としては、通常のきっぷに加えて、フリーきっぷなどのお得なきっぷを利用することもできます。
浅草など東武線の沿線から会津方面への往復の旅行であれば、「ゆったり会津 東武フリーパス」がおすすめです。
発駅~下今市までの往復きっぷ+下今市からのフリー区間(範囲により3通りあり)がセットになったフリーきっぷです。4日間有効ですので、南会津や会津若松方面への旅行に最適です。フリーエリアまでの単純往復でもお得になることが多いです。
「ゆったり会津 東武フリーパス」については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
「リバティ会津」(浅草→会津田島)乗車記
2021年3月現在、「リバティ会津」は、浅草から、東武スカイツリーライン・日光線・鬼怒川線、野岩鉄道線、会津鉄道線を経由して、会津田島まで、1日4往復運転されています。浅草~下今市は、東武日光行きの「リバティけごん」と併結されて運転されます。
今回、浅草から会津田島までの全区間、「リバティ会津111号」に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。
※乗車したのは2017年5月です。
下り列車はリバティ会津が1~3号車、リバティけごんが4~6号車
リバティは3両編成ですが、それを2編成併結して運転しています。下り列車(浅草発)は、前がリバティ会津(会津田島行き)で1~3号車、後ろがリバティけごん(東武日光行き)で4~6号車となっていました。
ところが、上り列車は、会津田島で見たところ、リバティ会津が4~6号車となっていましたので、上り下りともに進行方向の前から1号車、2号車、・・・となっているようでした。新幹線やJRの特急列車とは号車番号のつけ方が異なるようです。
ちなみに、リバティ会津とリバティけごんの間(3号車と4号車の間)は通り抜けができるようになっています。ただ、通路の幅がとても狭いので、途中でほかの人とすれ違うのは大変かもしれません。もっとも、この間を行き来する理由はほとんどないのですが…。
浅草~下今市は全席指定で落ち着いた雰囲気
リバティ会津111号は、9時ちょうどに浅草を出発します。隅田川にかかる橋を渡ると、すぐに最初の停車駅、とうきょうスカイツリー駅です。その後、10分ほどで北千住にも停車します。
北千住を出ると、複々線の急行線側を快走します。ようやく特急らしい走りになります。このあとは、春日部、新栃木、新鹿沼、下今市と停車していきます。
東武の特急列車は基本的に全席指定です。このリバティ会津111号も同様です。立ち客がいないため、車内は落ち着いた雰囲気です。春日部までの短距離の利用や、新栃木、新鹿沼までの利用客などもいたようで、少しずつ下車していきました。
下今市から先は雰囲気が一変! 普通列車の補完列車の役割も
ところが、この落ち着いた雰囲気は下今市までです。
リバティ会津は、下今市~会津田島間の相互駅間利用に限り、乗車券のみで利用できる特例が設けられています。乗車券のみで乗車可能だった快速・区間快速が廃止されてしまい、このリバティ会津が代替の列車として設定されたため、特急券なしで乗車できる列車が減ってしまうことへの救済策です。
下今市で雰囲気が一変したのは、その特例を活用する乗客がとても多かったためです。おそらく、日光方面から、鬼怒川温泉や南会津へ周遊するルートで旅行をしている観光客だと思いますが、下今市で大量の乗車があり、これまで5~6割程度の乗車率だった車内が、一気に満席に。しかも、デッキにはかなりの立ち客がでるほどになってしまいました。
下今市では、リバティ会津とリバティけごんの分割作業があります。この様子を見るためにホームに出ていたのですが、車内に戻ってきたらものすごい混雑になっていたので、びっくりしたのでした。
当然、落ち着いた雰囲気はなくなり、トイレに行くのも苦労するほどの混雑になってしまいました。
鬼怒川温泉で大量下車、車内は落ち着きを取り戻す
下今市から20分ほどで到着する鬼怒川温泉で大量の下車があって、また車内は空いてきました。
「リバティ会津111号」は下今市から先は各駅停車になるのですが、普通列車代わりに利用する客がちらほら見られるものの、絶対数としては多くなく、車内の混雑に影響するほどではありませんでした。
新藤原から野岩鉄道線に入ったあとも同様で、乗車・下車する客は少なく、車内は落ち着いた雰囲気。
そして、会津鉄道線内に入ると、長閑な里山の風景が広がります。各駅停車とはいえ、駅間距離はそれなりに長いため、停車してばかりという感覚はありません。
浅草から3時間以上かけて、終点の会津田島に到着しました。この駅で下車する人もいますが、観光客の多くは、接続する普通列車に乗り継いでいきました。
会津田島から北側も含めた会津鉄道の車窓や沿線の観光スポットについては、以下の記事をご覧ください。
「リバティ」は乗り心地上々!
このように、設備面では実用性重視で、豪華さはあまりないリバティですが、最新の車両だけあって、乗り心地は極めて良かったです。特に、複々線区間の急行線を走行しているときは、ほぼ一定の速度で走っていることもあり、ほとんど揺れを感じませんでした。
下今市から先は線形が悪くなり、単線のためにポイント通過も増えるので、揺れを感じることが増えてきます。それでも、変な揺れ方はしないので、さほど気になることはありませんでした。会津鉄道線内の一部区間で少し揺れが気になった程度です。
以上、『【リバティ会津 乗車記】 南会津へ乗り換えなしの実用的で快適な東武の特急列車! 車内設備・停車駅、予約方法も紹介します!』でした。スペーシアとはコンセプトが全く異なる車両ですが、最新の設備もあってビジネス客には使いやすい車両になっています。豪華さや車内での供食設備の充実度を取るなら「スペーシア」、実用性重視なら「リバティ」という使い分けができそうです。
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コメント
汎用特急としてこれでいいですよね~
プラス豪華さや非日常感のある特別車が3編成くらいあれば
kentaro-takanoさん、コメントありがとうございます。
そうですね。汎用特急としては、必要な設備も整っていますし、乗り心地もよいので、よくできていると思います。
豪華さは、この間の設備投資計画で発表された「フラッグシップ特急」の投入に期待でしょうか。