JR西日本が発売する「北陸おでかけパス」は、北陸地方の第三セクター路線とJR西日本の路線に、土休日の1日乗り放題となるフリーきっぷです。北陸新幹線の開業で北陸本線が第三セクターに移管されてしまい、青春18きっぷでは旅行しづらくなってしまったエリアですが、「北陸おでかけパス」を組み合わせればお得に移動できます。2022年12月からはデジタル版「北陸おでかけtabiwaパス」も加わります。この記事では、「北陸おでかけパス」「北陸おでかけtabiwaパス」の賢い使い方をご紹介します。
「北陸おでかけパス」「北陸おでかけtabiwaパス」とは?
「北陸おでかけパス」「北陸おでかけtabiwaパス」は、北陸地方のJR西日本の路線に加えて、えちごトキめき鉄道(日本海ひすいライン)、あいの風とやま鉄道全線、IRいしかわ鉄道全線に1日乗り放題となるフリーきっぷです。
北陸新幹線の金沢延伸開業時に第三セクターに移管された3社の路線に通して乗車できるので、青春18きっぷと組み合わせると、北陸エリアの移動がお得&快適になります。
- 利用期間
- 「北陸おでかけパス」(紙のきっぷ): 通年(土日祝日)
- 「北陸おでかけtabiwaパス」(デジタル版): 2022年12月1日~2023年3月26日の土日祝日
- 有効期間: 1日
- 発売期間: 利用開始日の1ヶ月前から3日前まで発売
- e5489での購入は3日前まで、受け取りは利用開始日まで可能
- 発売箇所
- 北陸エリアのJR西日本の主要駅
- JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」(受け取りはJR西日本の北陸エリアの主要駅のみ)
- アプリまたはWebサイトtabiwa by WESTER(デジタル版「北陸おでかけtabiwaパス」)
- フリーエリア
- JR西日本
- 北陸本線(金沢~長浜 ※デジタル版は金沢~敦賀)
- 小浜線(敦賀~青郷)
- 越美北線(越前花堂~九頭竜湖)
- 七尾線(七尾~津幡)
- 城端線(高岡~城端)
- 氷見線(高岡~氷見)
- 高山本線(富山~猪谷)
- 大糸線(糸魚川~中土)
- IRいしかわ鉄道: 全線(金沢~倶利伽羅)
- あいの風とやま鉄道: 全線(倶利伽羅~市振)
- えちごトキめき鉄道: 日本海ひすいライン(市振~直江津)
- のと鉄道: 七尾~和倉温泉
- JR西日本
- きっぷの効力
- 上記フリーエリアの普通列車に1日乗り放題
- 特急券・ライナー券を購入すれば、フリーエリア内の在来線の特急列車・ライナー等に乗車可能
- 北陸新幹線には乗車できない
- のと鉄道「のと里山里海号」、あいの風とやま鉄道「一万三千尺物語」、えちごトキめき鉄道「えちごトキめきリゾート雪月花」には乗車できない
- おねだん
- 紙のきっぷ: おとな 2,580円, こども 1,030円
- デジタル版: おとな 2,450円, こども 980円
フリーエリアは以下の図のとおりです。

「北陸おでかけtabiwaパス」(デジタル版)のフリーエリア
(出典)北陸・せとうち観光ナビ「tabiwa by WESTER」北陸エリアでの「tabiwa周遊パス」・「tabiwaチケット」の発売について(JR西日本ニュースリリース 2022年11月14日 PDF)
「北陸おでかけパス」の詳細については、JR西日本の「トクトクきっぷ」のWebサイトをご確認ください。
「北陸おでかけtabiwaパス」を購入については、"tabiwa by WESTER"のWebサイトもご確認ください。

2022年12月からデジタル版「北陸おでかけtabiwaパス」がアプリ・Webサイトで購入可能に!
2022年12月1日から、北陸・せとうち観光ナビ「tabiwa by WESTER」内で、「北陸おでかけtabiwaパス」を購入できるようになります。
「北陸おでかけtabiwaパス」は、紙のきっぷ「北陸おでかけパス」とほぼ同等の効力のきっぷですが、以下の点が異なります。
- 北陸本線のフリーエリアが金沢~敦賀間(紙のきっぷは金沢~長浜間)
- 価格がおとな2,450円、こども980円と若干安い
- デジタル版のため受け取り不要(チケットレス)
フリーエリアがわずかに狭くなった分、価格が少し安くなっています。
そして、何といっても「受け取り不要」というのは大きなニュースです。
「北陸おでかけパス」は青春18きっぷでは乗車できない北陸エリアの第三セクター路線に乗るために便利なきっぷでしたが、受け取れる場所がJR西日本の駅に限られていました。フリーエリア東端から入る場合には、糸魚川駅で受け取る必要があり、直江津~糸魚川間は別払いとなっていました。
これが、受け取り不要のデジタル版「北陸おでかけtabiwaパス」であれば、利用開始日の3日前までにアプリ内またはWebサイトで購入しておけば、フリーエリア内のどの駅からでも利用開始ができます。直江津駅から利用開始することもできますし、JR西日本エリアの駅であったとしても、きっぷを受け取るのに途中下車する必要もなくなります。
「北陸おでかけtabiwaパス」については、以下のニュースリリースをご覧ください。
「北陸おでかけパス」は青春18きっぷとの組み合わせがおすすめ!
「北陸おでかけパス」は、青春18きっぷと組み合わせるのがおすすめです。
「北陸おでかけパス」のフリーエリアには、北陸新幹線金沢延伸開業時に、JRから第三セクターに移管された直江津~金沢間がすべて含まれます。
第三セクター路線に移管されてしまいましたので、この区間では青春18きっぷが利用できません。別途、乗車券を購入する必要がありますが、直江津~金沢間の運賃は3,780円とかなり高くなっています。
土休日に限定されますが、「北陸おでかけパス」(2,580円)または「北陸おでかけtabiwaパス」(2,450円)を利用すれば、第三セクター路線の普通運賃に比べて1,200円(1,330円)もお得 になります。
第三セクター区間を片道乗りとおすだけでこれだけお得になるのですから、「北陸おでかけパス」がいかに格安のきっぷかがわかります。
「北陸おでかけパス」は北陸エリアの枝線の乗りつぶしや観光にもおすすめ!
「北陸おでかけパス」は、前述の旧北陸本線区間だけでなく、七尾線、城端線、氷見線、越美北線などの枝線もフリーエリアに含まれています。
これらは、JR西日本の路線ですので、青春18きっぷで乗車できます。ただ、前述の第三セクター路線と合わせて乗車するのであれば、「北陸おでかけパス」を利用したほうがよいでしょう。
青春18きっぷを利用する場合でも、北陸エリアを旅するときには、青春18きっぷを使わず、「北陸おでかけパス」「北陸おでかけtabiwaパス」だけを利用する日を設けるのもよいでしょう。
例えば、長浜や近江塩津から「北陸おでかけパス」を利用して北陸本線に乗車。前述の枝線に乗車したり、金沢や富山・高岡で観光したりしながら直江津まで移動。翌日からまた青春18きっぷの旅を再開する、というようにすれば、ほぼ青春18きっぷ1回分の値段(2,410円)で北陸エリアを移動できます。

高岡駅で発車を待つ「べるもんた51号」
北陸エリアのJR西日本の観光列車に乗車するのもおすすめです。
氷見線・城端線を走る観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」(べるもんた)には、北陸おでかけパスに加えて、指定席券(530円)を追加すれば乗車することができます。気動車1両のみの小さな観光列車で、乗車時間も長くはありませんが、車内で寿司職人が握ったお寿司や海鮮丼をいただくことができます。
「ベル・モンターニュ・エ・メール」(べるもんた)については、以下の記事をご覧ください。

能登方面へ観光に行くのであれば、金沢~和倉温泉を結ぶ観光列車「花嫁のれん」がおすすめです。車内が煌びやかに装飾された観光列車で、事前に予約をしておけば、車内でスイーツや軽食などをいただくこともできます。
「花嫁のれん」は全車指定席の特急列車として運転されていますので、北陸おでかけパスに指定席特急券を追加すれば乗車することができます。予約方法等については、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

「北陸おでかけパス」は第三セクター区間(直江津・糸魚川~金沢)の片道でもお得!
「北陸おでかけパス」は、北陸本線~第三セクター路線(旧北陸本線区間)の東西に細長い区間がフリーエリアになっています。北陸の主要駅はこのエリアにあります。
それでは、このエリアでどのくらい乗車すれば、「北陸おでかけパス」を購入したほうがお得になるでしょうか? 主要駅間の普通運賃と比べてみましょう。
表中のオレンジは往復利用すると「北陸おでかけパス」がお得になる区間、赤は片道利用でも「北陸おでかけパス」がお得になる区間を示します。
前述のとおり、フリーエリアの端の直江津・糸魚川~金沢は片道で元が取れます。直江津~敦賀を乗りとおすと、約3,500円もお得になりますね。
一方、金沢~富山・高岡間などの短距離では往復でも元が取れませんが、城端線や氷見線などに乗車すればお得になる可能性が高くなります。
有効期間が1日しかないことに注意しないといけませんが、「北陸おでかけパス」で元を取るのは難しくありません。鉄道を利用していくつかの観光地を巡るだけでOKです。それに、フリーきっぷですので、いちいちきっぷを購入する必要がないのもうれしいですね。
受け取りが不要な「北陸おでかけtabiwaパス」がおすすめ!
2022年12月から、tabiwa by WESTER内で、「北陸おでかけパス」のデジタル版「北陸おでかけtabiwaパス」が発売されます。これまでの紙のきっぷ「北陸おでかけパス」も併売されますが、どちらを利用するのが良いでしょうか?
「北陸おでかけパス」と「北陸おでかけtabiwaパス」の違い
前述のとおり、「北陸おでかけtabiwaパス」は、これまでの紙のきっぷ「北陸おでかけパス」とほぼ同等のきっぷですが、若干の相違点があります。2つのきっぷの違いをまとめてみます。
北陸おでかけパス | 北陸おでかけ tabiwaパス | |
---|---|---|
北陸本線の フリーエリア | 金沢~長浜 | 金沢~敦賀 |
おねだん | 2,580円 | 2,450円 |
購入場所 | JR西日本の窓口 みどりの券売機 e5489 | tabiwa by WESTER |
購入期限 | 利用開始日の 3日前まで | 利用開始日の 3日前まで |
受け取り | 北陸エリア内の JR西日本主要駅 | 不要 |
「北陸おでかけtabiwaパス」は、北陸本線西側のフリーエリアが若干狭い点がデメリットですが、その分、価格も安くなっています。そして、何といっても、「受け取り不要」となる点は大きなメリットです。
「北陸おでかけtabiwaパス」の「受け取り不用」は大きなメリット!

「北陸おでかけtabiwaパス」なら直江津駅から利用開始もできる!
「北陸おでかけパス」は、JR西日本のe5489で購入することができますが、利用開始前に紙のきっぷを受け取る必要があります。受け取れる場所が北陸エリアのJR西日本の主要駅に限られていたため、北陸エリア外から北陸エリアに旅行する場合には、フリーエリアに入って最初のJR西日本の主要駅で途中下車して受け取る必要がありました。
特に、東側の第三セクター路線(旧北陸本線)側からフリーエリアに入ろうとすると、受け取れる最初の駅は糸魚川駅になってしまい、直江津~糸魚川間のフリーエリアを有効に活用することができませんでした。
これに対して、「北陸おでかけtabiwaパス」は、tabiwa by WESTERのアプリまたはWebサイトで、利用開始日の3日前までに購入さえしておけば、フリーエリアのどこからでも利用できます。フリーエリアに入る駅までのきっぷを別途購入しておけば、途中下車する必要もありません。
注意が必要なのは、「北陸おでかけパス」と同様に、利用開始日の3日前までに購入する必要がある点です。具体的には、以下のようにしましょう。
- 利用開始日の3日前までに、tabiwa by WESTERのアプリまたはWebサイトで「北陸おでかけtabiwaパス」を購入
- 利用開始日にアプリまたはWebサイトの画面を表示できるスマートフォンを持参して旅行へ
北陸本線 長浜~敦賀間のフリーエリア短縮の影響がない場合には「北陸おでかけtabiwaパス」がおすすめ!
使い勝手の点では、明らかに「北陸おでかけtabiwaパス」が有利ですが、北陸本線のフリーエリアに長浜~敦賀間が入らないデメリットをどう考えればよいでしょうか?
長浜~敦賀間の普通運賃は680円なのに対して、「北陸おでかけtabiwaパス」は北陸おでかけパスに比べて130円しか安くありません。大阪駅からそれぞれのフリーエリアに入る場合を考えてみると、以下のようになります。
- 大阪~長浜間: 1,980円
- 大阪~敦賀間: 2,310円
差は330円に縮まります。
「北陸おでかけtabiwaパス」のフリーエリアから外されてしまった長浜~敦賀間を利用する予定がある場合には、上記の差額に対して、長浜駅などで途中下車して紙のきっぷを受け取る手間をどう考えるかで決めるとよいと思います。
一方、長浜~敦賀間を利用する予定がない場合や、青春18きっぷとあわせて利用する場合などには、使い勝手の良い「北陸おでかけtabiwaパス」をおすすめします。
「北陸おでかけパス」はどこで受け取るのがよいか?
何らかの事情で紙のきっぷ「北陸おでかけパス」を利用する場合、「北陸おでかけパス」をどこで受け取るのが良いでしょうか? これは、北陸エリアへの入り方によって異なりますので、いくつかのパターンに分けて説明します。
- 関西方面から普通列車で北陸へ入る場合
- 新快速列車の終点となる近江塩津駅・敦賀駅・長浜駅で受け取る
- 関西方面から特急列車で北陸へ入る場合
- 特急列車を下車した駅で受け取る
- 関東・東北方面から北陸へ入る場合
- 糸魚川駅で受け取る
「北陸おでかけパス」はフリーきっぷですから、フリーきっぷのエリアに入った最初のJR西日本の駅で受け取るのが望ましいです。
関西方面から普通列車で北陸へ入る場合には、新快速列車の終点となる駅(近江塩津駅、敦賀駅、長浜駅)で乗り換えの際に受け取るのが良いでしょう。「サンダーバード」などの特急列車で入る場合には、下車駅で受け取るのが良いでしょう。もっとも、その場合には「北陸おでかけtabiwaパス」のほうが有利です。
関東・東北方面(フリーエリアの東側)から入る場合、フリーエリアは直江津駅からですが、最初のJR西日本の駅は糸魚川駅です。ですので、糸魚川駅で受け取ることになります。
関東方面から北陸新幹線で移動する場合は「北陸周遊乗車券」を利用しよう!
関東地方から北陸新幹線で北陸地方へ移動する場合には、「北陸おでかけパス」と同じフリーエリア・価格でありながら、通年利用可能で2日間有効という「北陸周遊乗車券」 を利用することができます。「北陸周遊乗車券」の発売条件は以下の通りです。
- 北陸新幹線にJR東日本の「新幹線eチケット」(「えきねっとトクだ値」等を含む)を利用して乗車
- 東京~上越妙高間を発駅、糸魚川~金沢間を着駅とする場合のみ
- 対象区間の「新幹線eチケット」を購入したことがわかる画面プリント(印刷したもの)や、スマートフォンの画面を提示した場合に発売
「新幹線eチケット」は、JR東日本のチケットレスサービスです。「えきねっと」で予約するときに、新幹線に乗車する際に利用する交通系ICカードを指定しておけば、新幹線の改札口にそのICカードをかざすだけで乗車できます。
「北陸周遊乗車券」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

「新幹線eチケット」については、以下の記事でわかりやすく紹介しています。

【まとめ】乗り鉄にも鉄道での観光にも便利!「北陸おでかけパス」
「北陸おでかけパス」について紹介してきました。最後にポイントをまとめておきます。
- 「北陸おでかけパス」と青春18きっぷを組み合わせて北陸エリアの移動・乗りつぶしに!
- 北陸エリアの観光地を鉄道で巡るだけでも「北陸おでかけパス」はお得になることが多い
- 北陸本線 長浜~敦賀間を利用しないなら、受け取り不要のデジタル版「北陸おでかけtabiwaパス」がおすすめ!
- 「北陸おでかけパス」は、利用開始日の3日前までに「e5489」で購入、利用開始当日に北陸エリアのJR西日本の駅で受け取ろう!
- 関東方面から北陸新幹線で北陸へ入る場合には「北陸周遊乗車券」を購入しよう!
以上、「【北陸おでかけパス】 北陸の三セク+JR西日本が1日乗り放題のフリーきっぷ! 青春18きっぷとの組み合わせがおすすめ!」でした。青春18きっぷと組み合わせて乗り鉄に活用できるフリーきっぷとしては、最も利用価値の高いものだと思います。土休日しか使えませんが、上手に行程を作って、乗り鉄の旅に活用してみてはいかがでしょうか?
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JR東日本のミドル・シニア向け会員サービス「大人の休日倶楽部」会員限定ですが、首都圏から北陸への北陸新幹線往復+フリー区間に4日間乗り放題のフリーきっぷ「北陸フリーきっぷ」の紹介記事です。

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