JR西日本の「花嫁のれん」は、金沢~和倉温泉を結ぶ観光列車です。華やかに装飾された車内では、事前予約の軽食が提供され、「食」を楽しめる列車になっています。能登観光や和倉温泉へのアクセス列車としての利用もおすすめです。
この記事では、「花嫁のれん」の乗車記に加えて、最新の運転日とダイヤ、おすすめの座席、指定席券の予約方法、車内でいただける事前予約制の軽食の予約方法も紹介します。
※「花嫁のれん」は令和6年能登半島地震のため、当面の間、運休となっています。最新情報についてはJR西日本の運行情報をご確認ください。
JR西日本の観光列車「花嫁のれん」とは?
観光列車「花嫁のれん」は、金曜日と土休日を中心に、金沢~和倉温泉間を、IRいしかわ鉄道線、JR七尾線を経由して走る観光列車です。(月曜日の運転がある月もあります)
婚礼の日に、花嫁の幸せを願ってのれんを贈る能登の伝統文化をコンセプトにした列車で、車内は本物の金箔を利用した塗装など、とても華やかに飾られています。
そして、この列車の特徴が、事前予約で提供されるお食事。列車によって、提供される内容が異なりますが、2023年現在、下り(金沢発和倉温泉行き)の1号・3号ではスイーツセット、上り(和倉温泉発金沢行き)の2号では和軽食セット、4号ではほろよいセットが提供されます。フルコースのお食事ではなく、「軽食」といった感じですが、2,000円~2,900円と、比較的手ごろなお値段で楽しめます。
運転時間は1時間20分前後と比較的短いため、運転日には金沢~和倉温泉間を2往復します。乗車券のほかに、指定席特急券で乗車できますので、七尾や和倉温泉へのアクセス列車としてもおすすめです。
「花嫁のれん」運転日とダイヤ(2024年3月改定)
「花嫁のれん」は、金曜日と土休日を中心に運転されています。夏休みや秋の観光シーズンなどの繁忙期には月曜日や火曜日にも運転されることがあります。
運転日については、JR西日本のWebサイトをご確認ください。
「花嫁のれん」のダイヤは、以下のようになっています。(2024年3月改正ダイヤ)
【下り 金沢→和倉温泉】
花嫁のれん1号 | 花嫁のれん3号 | |
---|---|---|
金沢 | 11:00発 | 15:28発 |
羽咋 | 11:56発 | 16:12発 |
七尾 | 12:25発 | 16:34発 |
和倉温泉 | 12:31着 | 16:40着 |
【上り 和倉温泉→金沢】
花嫁のれん2号 | 花嫁のれん4号 | |
---|---|---|
和倉温泉 | 12:57発 | 17:07発 |
七尾 | 13:08発 | 17:13発 |
羽咋 | 13:33発 | 17:38発 |
金沢 | 14:26着 | 18:27着 |
下りの「花嫁のれん1号」は、能登方面への観光へのアクセス列車として利用できます。金沢近辺からだけでなく、東京からの北陸新幹線「かがやき505号」に接続しますので、関東や長野からの旅行者にも便利です。
- 東京 08:11発 → 長野 09:40発 → 金沢 10:46着(北陸新幹線 かがやき505号)
- 金沢 11:00発 → 和倉温泉 12:31着(花嫁のれん1号)
同じく、下りの「花嫁のれん3号」は、金沢観光後、和倉温泉に宿泊するのにちょうどよい時間帯に運転されます。和倉温泉着が16時40分ですので、温泉宿にチェックインするには良い時間帯です。
一方、上り「花嫁のれん2号」は、和倉温泉での宿泊後の列車として、「花嫁のれん4号」は七尾や能登の観光後の帰路に利用する列車として使えるでしょう。
「花嫁のれん」は全車指定席、乗車には指定席特急券が必要!
「花嫁のれん」は、全車指定席の特急列車として運転されますので、乗車するには乗車券のほかに、指定席特急券が必要になります。
「花嫁のれん」の運賃・特急料金
「花嫁のれん」の金沢~七尾・和倉温泉間の運賃と指定席特急料金(大人)は以下のとおりです。
区間 | 運賃 | 指定席特急料金 | 合計 |
---|---|---|---|
金沢~七尾 | 1,230円 | 1,490円 | 2,720円 |
金沢~和倉温泉 | 1,410円 | 1,490円 | 2,900円 |
※指定席特急料金は通常期。閑散期は200円引き、繁忙期は200円増し、最繁忙期は400円増し。
華やかで豪華そうにみえる「花嫁のれん」ですが、特急料金は1,490円と、通常の特急列車と変わりありません。全車指定席ですので、指定席が確保できないと乗車できませんが、この区間に乗車するなら、ぜひ「花嫁のれん」に乗ってみましょう。
「花嫁のれん」乗車に利用できるフリーきっぷ
「花嫁のれん」に乗車する際には、フリーきっぷを利用することもできます。代表的なものとしては、JR西日本の「北陸おでかけtabiwaパス」「金沢能登tabiwaパス」が利用できます。
「北陸おでかけtabiwaパス」は、第三セクター路線を含む北陸エリアの鉄道に1日乗り放題のフリーきっぷです。別途、特急券を購入すれば特急列車にも乗車できますので、「花嫁のれん」の乗車にも利用できます。利用日の3日前までに「e5489」で購入しておく必要がある点には注意です。
「北陸おでかけtabiwaパス」については、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
「花嫁のれん」指定席の予約には「e5489」のチケットレスがお得!
「花嫁のれん」はJR西日本が運行する列車ですので、JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」で指定席特急券を購入することができます。
JR西日本が発売する「チケットレス特急券」で購入すれば、金沢~七尾・和倉温泉間の特急料金が200円引きの1,290円になります。
- 通常の特急料金: 1,490円(通常期)
- チケットレス特急券: 1,290円
- eチケットレス特急券: 850円(J-WESTカード会員限定)
繁忙期には、通常の特急料金は200円増しになりますが、チケットレス特急券は年間を通じて上記の料金です。
JR西日本のクレジットカード「J-WESTカード」会員の場合には、さらにお得な「eチケットレス特急券」で購入することができます。eチケットレス特急券で金沢~七尾・和倉温泉間を購入すると850円になります。
一点だけ注意すべき点があります。「e5489」ではシートマップによる座席の指定ができません。そのため、どの座席になるかは、購入後に自動的に決められてしまいます。
希望の座席がある場合や、複数名で乗車するような場合には、駅の窓口などで希望を伝えて購入するほうがよいでしょう。
JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」は、こちらからアクセスできます。
「花嫁のれん」事前予約のお食事・軽食の予約方法
観光列車「花嫁のれん」の特徴のひとつが、車内で提供されるお食事・軽食です。
列車によってお食事の内容が異なり、2023年11月現在、提供される内容は以下のようになっています。(季節によって内容は変更されます)
列車 | 内容 | お値段 | |
---|---|---|---|
下り | 花嫁のれん1・3号 | スイーツセット | 2,000円 |
上り | 花嫁のれん2号 | 和軽食セット | 2,900円 |
花嫁のれん4号 | ほろよいセット | 2,300円 |
これらのお食事・軽食を予約するには、「花嫁のれん」の指定席券を購入したあとで、「花嫁のれん食事券」を購入する必要があります。
「花嫁のれん食事券」の申し込み期限と申込み先は、以下のとおりです。
- 申し込み期限: 乗車日の1か月前から4日前まで
- 申し込み先: 観光ナビ tabiwa by WESTER
乗車日の4日前までの申し込みが必要になりますので、車内でのお食事・軽食を希望される場合には、忘れずに申込んでおきましょう。2023年から、JR西日本の観光ナビ(Webサイトまたはアプリ)で「花嫁のれん食事券」を購入できるようになります。
詳しくは、JR西日本の「花嫁のれん」のWebサイトをご確認ください。
「花嫁のれん」車内の様子とおすすめの座席
「花嫁のれん」の車内の様子と、おすすめの座席を紹介します。「花嫁のれん」は2両編成なのですが、今回乗車したのが2号車でしたので、2号車の様子を中心にお伝えします。
「花嫁のれん」1号車は半個室、2号車はボックス
「花嫁のれん」は2両編成ですが、1号車と2号車で座席の構成が大きく異なります。
1号車は2~4名用の半個室が8つ並びます。半個室ですので、グループでの利用が向いています。
一方、2号車は、2名用と4名用のボックス席(向かい合わせの座席)と、窓側に向いたカウンター席があります。一人旅の場合には、カウンター席がよいでしょう。
「花嫁のれん」2号車の車内の様子
今回は2号車の座席を予約したので、2号車の車内の様子を中心にご紹介します。
2号車の車内の様子です。
金箔を模したインテリアが煌びやかで、座席の紅色がさらに華やかさを添えています。天井にある照明のほか、側面の座席上の照明もあり、車内はかなり明るい雰囲気になっています。座席は、通路を挟んで、2人掛けと4人掛けのボックス席が並びます。
4人掛けのボックス席です。2号車に4つあります。真ん中に大き目のテーブルが設置してあり、車内で提供されるお食事や軽食をいただくことができます。真ん中のアクリル板は、新型コロナ対策ですね。
今回乗車したときには、ほぼ満席で、相席になっているところも多かったですが、4人掛けの座席でも、隣席との間にスペースがとられているためか、あまり窮屈さは感じない印象でした。
座席は背もたれが高いですが、リクライニングはしません。乗車時間が短めなので、それほど問題はありませんでした。
2人掛けのボックス席です。2号車に3つだけあります。4人掛けの座席とほぼ同じつくりのようです。2名での利用であれば、相席の心配がない2人掛けのこちらの席のほうがいいですね。
窓側に向いたカウンター席です。2号車に6席あります。一人旅の場合には、このカウンター席が、他に乗客を気にしなくてもよいのでおすすめです。2名で隣同士の利用でもよいでしょう。座席は、ボックス席のものと同じようです。
このカウンター席の後ろ側のスペースは、イベントスペースになっていて、大きなディスプレイが設置されています。2021年7月に乗車した時には、新型コロナの感染防止のために、イベントは中止されていましたが、2023年2月現在、再開しているようです。いつでも実施しているわけではなく、日にち・列車限定となっているようです。詳しくは、JR西日本の「花嫁のれん」のWebサイトをご覧ください。
「花嫁のれん」1号車エントランス・車内販売スペース
「花嫁のれん」の1号車と2号車の間(正確には1号車の2号車寄りの車端部)はエントランスになっていて、車内販売スペースもあります。
車内販売スペースです。お酒やジュース等の飲み物、おつまみやお菓子などを購入することができます。
このスペースで、事前予約のお食事や軽食の準備をしているようで、車内販売が開始されるのは、お食事や軽食の提供がひととおり済んでからとなります。
このエントランスと1号車の客室の間にある自動ドアは、本物の金箔が使われているとのことです。他のところはレプリカだとか。
車内販売スペースの横には、伝統工芸品が展示されています。加賀水引や輪島塗などの伝統工芸品が展示されています。
「花嫁のれん」の共用スペースは、1号車のエントランス付近と、2号車のトイレがあるデッキ付近だけです。共用スペースは多くないですが、乗車時間は短めですし、座席が比較的ゆったりとしているので、各自の座席で過ごすことを前提としているようです。
「花嫁のれん」乗車記(2021年7月乗車)
2021年7月に、「花嫁のれん」に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。指定席の予約が直前だったため、事前予約制のスイーツセットをつけることができませんでしたが、それ以外の車内の様子、車内販売の状況などをお届けします。
※ダイヤ等は乗車した2021年7月当時のものです
金沢駅4番ホームで「花嫁のれん」に乗車!
この日は、北陸新幹線のかがやき503号で金沢駅へ。金沢駅の窓口で「北陸周遊乗車券」を購入したあと、「花嫁のれん」が発車する4番線ホームへ。
金沢駅は高架で、在来線も長いホームが並びますが、4番線だけは、富山方の隅っこのほうにちょこんとあります。切り欠きホームになっているので、階段から少し歩きます。
上の写真のように、「花嫁のれん」が発車するときには、ホームに乗客を迎えるための「のれん」が架けられています。
乗車口には、着物姿のアテンダントさんが立っていて、指定席券を見せると、席がどこかを案内してくれます。
「花嫁のれん」の車両は、キハ48形という古い気動車を改造したものですが、外観はこのように華やかな塗装が施されていて、昭和の時代から活躍する古い気動車であることを感じさせません。(写真は七尾駅下車時に撮影)
今回は、2号車の2人掛け席を予約していたので、車内をざっと見学したあと、自分の座席に座ります。
車内はほぼ満席で、2号車のボックス席は相席になっているところも多かったようです。
金沢駅を発車! 事前予約のスイーツセットの提供が始まる
10時15分に金沢駅を発車。発車するとすぐに、各座席にアテンダントさんがまわってきて、事前予約の有無を聞いていきます。
その後、すぐに、事前予約された方へのスイーツセットの提供が始まりました。生菓子、焼き菓子のセット(箱に入ったもの)、コーヒーのセットです。
前述のとおり、今回は予約が間に合いませんでしたので、残念ながらスイーツセットをいただくことはできませんでした。
気がつくと、金沢の市街地を抜け、車窓には夏の田園風景が広がっていました。スイーツセットの提供が行われている間に、「花嫁のれん」は、IRいしかわ鉄道から、JR七尾線に入っていました。
車内販売でビールとおつまみを購入!
スイーツセットの提供が終わると、1号車のエントランスにある売店の営業が始まるというアナウンスがありました。それを聞いて、早速、売店へ。
ビールがあったので、おつまみ、おやつとともに購入。ビールは「金沢百万石ビール」のペールエールです。乗車時間は長くないので、これだけで十分です。
おつまみの種類は多くないですが、お酒は金沢や能登の日本酒がありました。
ビールを飲みながら、車窓を眺める旅。大満足です。
羽咋駅に3分停車して、終点の七尾駅へ
「花嫁のれん」は、快調に進み、11時07分、羽咋(はくい)駅に到着。3分の停車時間があるので、ホームにおりてみました。
羽咋駅のホームには、2020年9月にお目見えした「おろち」の砂像があります。羽咋市にある邑知潟(おうちがた)という潟湖には、大国主命が大蛇(おろち)を退治したという「おろち伝説」があるそうで、その大蛇を象った砂像だということです。
11時10分に羽咋駅を発車。車窓には、相変わらず田園風景が続きます。夏雲が浮かぶ様子がいいですね。
七尾線は、絶景車窓が見られるような路線ではありませんが、このような田園風景が続く、のどかな車窓を眺めながら旅をすることができます。
もう少しのんびりと車窓を楽しんでいたいところですが、今回は次の七尾駅で下車しなくてはなりませんので、そろそろ支度をしましょう。
11時34分、七尾駅に到着。半分くらいの乗客が下車しました。
七尾駅のホームの駅名板は「花嫁のれん」仕様の鮮やかなものになっていました。その隣には、しっかり「のれん」も飾られていますね。
わずか1時間ちょっとの旅でしたが、華やかなに飾られた車内で、食事をしながら車窓を眺める時間は、非常にゆったりしたもので良かったです。
「花嫁のれん」と同じ金沢~和倉温泉間には、特急「能登かがり火」号も運転されていますが、時間があうのであれば、同じ料金で乗れる「花嫁のれん」をおすすめします。
のと鉄道「のと里山里海号」への観光列車乗り継ぎもできます!
今回、終点の和倉温泉駅まで乗車せず、七尾駅で下車したのは、このあと、のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」に乗り継ぐためです。
のと鉄道は、七尾駅~穴水駅の33.1kmを結ぶ第三セクター路線です。終点の穴水駅からは、輪島方面などへの路線バスも出ています。
輪島方面へは、金沢駅から特急バスでアクセスするのが早くて楽ですが、鉄道でのんびりとアクセスするもの良いと思います。「花嫁のれん」と「のと里山里海」を乗り継いでいけば、移動自体も観光になりますね。
のと鉄道「のと里山里海号」については、以下のページで乗車記や予約方法などを紹介しています。ぜひご覧ください。
『【花嫁のれん】華やかな車内でのお食事が楽しい観光列車! 和倉温泉・能登観光のアクセス列車としてもおすすめ!』でした。乗車時間は短めですが、能登観光へのアクセス列車としての使い勝手も良いため、時間が合えば、ぜひ乗車することをおすすめします。
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