「タッチでGo! 新幹線」は、JR東日本の新幹線の普通車自由席に、Suica等の交通系ICカードの残高で乗車できるサービスです。事前に乗車券や特急券を買わずに、気軽に新幹線に乗れるのが特徴です。2021年3月のダイヤ改正から、JR東日本の新幹線全線がサービスエリアになりました。
Suicaでそのまま新幹線に乗車可能! 「タッチでGo!新幹線」
JR東日本は、Suica等の交通系ICカードの残額のみで新幹線の普通車自由席に乗車できる「タッチでGo!新幹線」というサービスを実施しています。チケットレスで、気軽に新幹線に乗れるサービスです。
サービスの概要は以下のとおりです。
- JR東日本の新幹線の普通車自由席に、事前に乗車券や特急券を購入せずに乗車できるサービス
- 適用される運賃・料金は、乗車券と特急券がセットになった新幹線専用商品
- 通常の普通車自由席の運賃+特急料金と同額(割引なし)
- JRE POINTが貯まる(モバイルSuica 2.0%、ICカードのSuica 0.5%)
- 在来線との乗車券の通算はできない(在来線から新幹線に乗り継ぐ場合や、新幹線から在来線に乗り継ぐ場合は、在来線の乗車券が別途必要となる)
「タッチでGo!新幹線」の対象路線・区間は以下のとおりです。
- 東北新幹線 東京~盛岡,盛岡~新青森
- 盛岡駅をまたがる区間の乗車はできない
- 秋田新幹線 東京~盛岡,盛岡~秋田
- 盛岡駅をまたがる区間の乗車はできない
- 山形新幹線 東京~新庄
- 上越新幹線 東京~新潟,越後湯沢~ガーラ湯沢
- 北陸新幹線 東京~上越妙高
- 以下の場合は対象外
- 大宮駅で小山方面⇔熊谷方面を乗り継ぐ場合
- 福島駅で白石蔵王方面⇔米沢方面を乗り継ぐ場合
- 高崎駅で上毛高原方面⇔安中榛名方面を乗り継ぐ場合
- 越後湯沢駅で浦佐方面⇔ガーラ湯沢を乗り継ぐ場合
(出典)タッチでGo!新幹線 サービスエリア拡大について(JR東日本ニュースリリース 2020年11月12日 PDF)
対象エリアは2021年3月のダイヤ改正から、JR東日本の全新幹線に拡大されました。
ただし、盛岡駅をまたがる利用は対象外となるほか、大宮駅、福島駅、高崎駅、越後湯沢駅で戻る形になる乗り継ぎは対象外となります。例えば、長野駅から北陸新幹線に乗車し、高崎駅で上越新幹線に乗り換えて、新潟駅まで行くような場合は対象外です。
また、対象が普通車自由席のみとなりますので、全車指定席の「はやぶさ」「こまち」「かがやき」には乗車することができません。
ただし、以下の区間では、「はやぶさ」「こまち」の空席を利用することができます。
- 東北新幹線 盛岡~新青森間の駅相互間での利用
- 「はやぶさ」の空席に乗車可能
- 東北新幹線 仙台~盛岡間の駅相互間での利用
- 途中駅に停車する「はやぶさ」の空席に乗車可能
- 秋田新幹線 盛岡~秋田間の駅相互間での利用
- 「こまち」の空席に乗車可能
詳しくは、JR東日本の「タッチでGo!新幹線」のWebサイトをご確認ください。
「タッチでGo!新幹線」は乗車券と特急券がセットになった専用商品
「タッチでGo!新幹線」では、事前に乗車券や特急券を購入しておかなくても、Suica等の交通系ICカードに残高があれば新幹線の改札を通ることができます。
このとき適用される運賃・料金は、運賃+特急料金がセットになった「タッチでGo!新幹線」の専用料金です。
具体的には、以下のようになっています。
- 所定の通常運賃+自由席特急料金の合計(割引なし)
ふつうに新幹線に乗車する区間のきっぷと自由席特急券を購入した場合と同じです。特に割引はありません。
「タッチでGo!新幹線」は在来線⇔新幹線の乗り継ぎで若干高くなることも
前述のように、「タッチでGo!新幹線」は、前述のように乗車券と特急券がセットになった商品となっています。つまりは、新幹線区間(乗車駅→降車駅)で完結している乗車券と特急券ということです。
注意したいのは、在来線から新幹線へ乗り継ぐ場合や、新幹線から在来線へ乗り継ぐ場合は、在来線の乗車券を別途購入する必要がある ということになります。Suicaが利用できる在来線であれば、そのままSuicaをタッチするだけでシームレスに乗り継ぎができます。
ただし、乗車券の購入区間は、
- 在来線乗車駅~新幹線乗車駅(在来線の乗車券)
- 新幹線区間(「タッチでGo! 新幹線」専用商品)
- 新幹線下車駅~在来線下車駅(在来線の乗車券)
の3区間に分離されることになります。
「タッチでGo!新幹線」の専用商品の価格が、新幹線区間の乗車券+自由席特急券をふつうに購入した場合と同額ですので、在来線区間も含めた総額が、若干高くなる可能性もあります。
というのは、一般的に、
- 乗車券が長距離になるほどキロあたりの運賃が逓減する(遠距離逓減制)
- 乗車券を分離して購入した区間ごとに、初乗り料金がかかる
という仕組みになっているためです。(一部例外除く)
そのため、在来線乗車駅~在来線下車駅(上の1.~3.の区間の通しの乗車券)+新幹線の自由席特急券、という形で購入したほうが、乗車券が安くなることが多いわけです。
新幹線に乗車する前後の区間が短ければ、それほど大きな差にはならないとは思いますが、在来線と新幹線を乗り継ぐ場合には、覚えておいたほうがよいでしょう。事前にきっぷを買わなくても新幹線に乗れる利便性とのトレードオフということになります。
「タッチでGo!新幹線」は JRE POINT が貯まる!
「タッチでGo!新幹線」で利用する交通系ICカードを、JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」に登録しておけば、「タッチでGo!新幹線」で新幹線に乗車するたびに、JRE POINTが貯まります。
- モバイルSuica: ご利用金額の2%
- カードタイプのSuica: ご利用金額の0.5%
JR東日本は、Suicaでの列車の乗車でも JRE POINT が貯まるサービスを実施していますが、「タッチでGo!新幹線」でも同じように JRE POINT が貯まるということです。
「タッチでGo!新幹線」では、数千円の利用になることが多いですので、貯まるポイントもそれだけ多くなります。
- 東京~宇都宮・高崎(4,490円)
- モバイルSuica利用: 89ポイント
- カードタイプのSuica: 22ポイント
モバイルSuicaで「タッチでGo!新幹線」を利用すると、カードタイプのSuicaの4倍もポイントが貯まります。モバイルSuicaを利用できる環境にある方は、ぜひ利用しましょう。
鉄道の乗車に関連した JRE POINT の貯め方については、以下の記事で詳しくまとめています。ぜひご覧ください。

事前予約なら指定席に乗れる「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」がお得!
「タッチでGo!新幹線」は、きっぷを事前に予約・購入しないサービスであることから、乗車できるのは普通車自由席に限られます。短距離での自由席利用ということからも、当日、急に新幹線に乗車することになったときに、気軽に乗車できるサービスを目指していると思われます。
一方で、事前に旅行することが分かっている場合には、「えきねっと」の事前購入割引サービスを利用するのがおすすめ です。指定席を確保できますし、前日までの購入で割引料金が適用される「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」といったサービスもあるからです。
一例として、東京~宇都宮の料金を比較してみます。
きっぷの種類 | 座席種別 | 料金 | 備考 |
---|---|---|---|
乗車券+自由席特急券 | 普通車自由席 | 4,490円 | |
タッチでGo!新幹線 | 普通車自由席 | 4,490円 | |
新幹線eチケット | 普通車自由席 | 4,490円 | |
新幹線eチケット | 普通車指定席 | 4,820円 | 通常期 |
えきねっとトクだ値 | 普通車指定席 | 4,090円 | 前日までに購入 なすの利用 |
お先にトクだ値 | 普通車指定席 | 3,120円 | 2週間前までに購入 なすの利用 |
「タッチでGo!新幹線」は、ふつうに乗車券+自由席特急券を購入するのと同じ価格です。「えきねっと」で予約した新幹線にチケットレスで乗車できる「新幹線eチケット」(普通車自由席)でも同じ価格です。
一方、前日までに予約すると割引を受けられる「えきねっとトクだ値」は4,090円、2週間前までに予約すると割引になる「お先にトクだ値」では3,120円と、指定席に乗車できるにもかかわらず、「タッチでGo!新幹線」よりも安くなります。
「タッチでGo!新幹線」は、当日、急に新幹線に乗る必要があるときには便利なサービスですが、事前に予定が決まっているときには、「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」の利用をおすすめします。
「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

短距離の自由席利用なら「タッチでGo!新幹線」、長距離の指定席利用は「新幹線eチケット」
前述のように、「タッチでGo!新幹線」は、東京~宇都宮・高崎くらいの短距離を移動するのに向いているサービスです。各駅停車の新幹線「なすの」「たにがわ」「あさま」は自由席の割合が高いため、自由席利用でも座れる確率が高いです。
一方、東京~仙台や東京~新青森のように、長距離を乗車する場合には、指定席を利用できる「新幹線eチケット」がおすすめです。全車指定席の「はやぶさ」や「こまち」には「タッチでGo!新幹線」では乗車できませんし、自由席のある「やまびこ」などでも、長距離を走る列車は自由席の割合が少なめです。
また、事前予約で指定席にお得に乗車できる「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」は、2020年3月から「新幹線eチケット」限定のサービスとなっています。
このようなことから、
- 短距離の自由席利用: 「タッチでGo!新幹線」
- 長距離の指定席利用: 「新幹線eチケット」
のように、2つのチケットレスサービスをうまく使い分けるとよいでしょう。
「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」を含むJR東日本の新幹線のチケットレスサービス「新幹線eチケット」については、以下の記事をご覧ください。

以上、『【タッチでGo!新幹線】新幹線もきっぷを買わずに乗車可能に! 2021年3月からJR東日本の全新幹線にサービスエリアが拡大!』でした。料金的な魅力はありませんが、Suica等の交通系ICカードだけで、予約なしに新幹線に気軽に乗車できるサービスですね。
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