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JR東日本がQRコードを利用する乗車サービスを導入へ! 在来線特急列車とSuica未導入エリアのチケットレスを推進か?

ノウハウ
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JR東日本は、自動改札機にQRコードをかざして列車に乗車できる新たなサービスを、2024年度以降に開始すると発表しました。すでにチケットレスでの乗車手段としてはSuica等の交通系ICカードがありますが、QRコードも併用することで、Suica未導入エリアや在来線特急列車のチケットレスを推進するものと思われます。

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JR東日本がQRコードを利用した新たなチケットレスサービスを2024年度以降に開始へ!

JR東日本は、自動改札機にQRコードをかざすだけで乗車できる、新たなチケットレスの乗車サービスを、2024年度以降、順次開始すると発表しました。

ニュースリリースの内容をまとめると、以下のようなサービスとなるようです。

  • えきねっとで乗車券類を購入する際に「QR乗車」を選択できるようになる
  • えきねっとアプリに表示されるQRコードを自動改札機にかざすだけで乗車できる
  • 新幹線も在来線もシームレスに利用できる
  • 自動改札機を設置していない駅では、お客様ご自身でアプリ上で利用開始・終了をする方法を検討中
  • サービスエリアはJR東日本の新幹線・在来線全線(BRT運行区間を除く)
  • サービス提供開始時期は2024年度下期、東北エリアから導入を開始し、順次提供エリアを拡大

詳しくは、JR東日本のニュースリリースをご覧ください。

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Suica未導入エリアのチケットレス化は「QR乗車」で推進

北東北エリアでもSuicaの導入が予定されている

北東北エリアでもSuicaの導入が予定されている

JR東日本には、自らが開発・実用化した交通系ICカード「Suica」がありますが、2022年現在、導入エリアは首都圏(山梨・長野の一部を含む)、仙台エリア、新潟エリアに限られています。

北東北3県では、青森エリア(10駅)、盛岡エリア(17駅)、秋田エリア(17駅)でのSuica導入が2023年春以降に計画されています。

一方、上記エリアの以外では、今のところSuicaの導入予定はありません。大半のローカル線はもちろんのこと、地方では主要駅でもSuicaを利用できない駅があります。

Suicaエリアを拡大しようとすると、各駅にSuica対応の改札機を設置する必要がありますが、これがエリア拡大のネックとなっています。無人駅を中心に設置されている「簡易Suica改札機」もありますが、いずれにしてもセンターと接続するネットワーク回線が必要となるなど、あらゆる駅に設置するにはコストがかかりすぎるということでしょう。

今回発表されたQRコードによる乗車サービスでは、自動改札機が設置されていない駅でも、乗客が自らアプリを操作して利用開始・終了をすることで対応するようです。

QRコードは、あくまでえきねっとで「きっぷ」を購入したあとでしか利用できないため、チャージ残額でそのまま乗車できる(「きっぷ」を買うという行為なしに乗車できる)Suicaほどお手軽ではありません。とはいえ、そもそもきっぷを買うことすらできない、えきねっとできっぷを買っても受け取ることすらできないローカル線の駅でもチケットレスで乗車できるようになるという点では、革新的でしょう。

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センターサーバ方式採用でチケットレスサービスの拡充も期待!

前述の北東北エリアへのSuicaエリア拡大のニュースリリースでも触れられていますが、個人的に期待したいのは、「センターサーバ方式」の採用です。これによって、サービスエリアの拡大やサービスの拡充が期待できます。

SuicaもQR乗車もセンターサーバ方式を採用へ

今回のQR乗車サービスのニュースリリースでも、以下のようにシステム構成図が掲載されています。

システム構成図

システム構成図

(出典)QRコードを使用した新たな乗車サービスの導入について(JR東日本ニュースリリース 2022年11月8日 PDF)

Suica等の交通系ICカードは、ICカード内の情報が原本で、料金計算等は自動改札機で実施しています。それに対して、センターサーバ方式では、自動改札機にSuicaをタッチした(QRコードをかざした)瞬間に、センター側と通信をして、対応するチケットの購入情報を照会します。

このセンターサーバ方式は、新幹線では実用化されています。JR東日本の「新幹線eチケットサービス」や、JR東海の「エクスプレス予約」は、センターサーバ方式を採用しています。

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例えば、新幹線eチケットサービスでは、えきねっとで新幹線のチケットを購入する際に指定した交通系ICカードに、センター側に保存されているチケットの情報が紐づいています。新幹線の改札機を交通系ICカードで通ると、その瞬間にセンター側にチケットの情報を照会し、チケットの情報があれば自動改札の扉が開くというわけです。

北東北へのSuicaエリア拡大もセンターサーバ方式で実現すると発表されていますので、今後は、QRコードだけでなく、Suicaでもセンターサーバ方式が利用できるようになるものと思われます。

センターサーバ方式でSuicaエリアまたぎ、会社またぎが実現可能?

センターサーバ方式を採用することで、自動改札機の性能や機能による制約を取り払うことができますので、サービスエリアの拡大やサービスの拡充などが期待できます。

まず期待したいのが、現状のSuicaのエリアまたぎ問題、会社またぎ問題です。

現在、Suicaチャージで乗車できるのは、それぞれのエリアで乗車駅~降車駅が完結する場合だけで、エリアをまたがる利用はできません。この「エリアまたぎ問題」の本質は、エリアを拡大しすぎると、Suicaを自動改札機にタッチした瞬間に料金計算ができないというところにあります。駅の組み合わせが多くなりすぎると、計算量(あるいはデータ量)が膨大になりすぎるためです。会社またぎでも同様です。

QRコードによる乗車は、事前にえきねっとできっぷを購入することが前提ですので、その時点で料金計算は終わっていて、自動改札にかざしたときに実施するのはセンター側にチケットの購入情報を照会することだけです。

一方、センターサーバ方式が普及すれば、Suicaチャージによる乗車であっても、自動改札機内で計算できない場合にはセンターに問い合わせることができます。これにより、Suicaのエリアまたぎ、会社またぎが実現できるのではないかと思います。会社またぎの場合は、JR各社でのシステムの共通化が必要ではありますが。

二次交通、ホテルと組み合わせてMaaSも便利に?

センターサーバ側できっぷの購入情報を管理できるのであれば、それを拡張して、駅で列車を降りてからのバス等の二次交通の利用や、ホテル・旅館等の宿泊予約などを連携させる、いわゆる「MaaS」が実現できます。

例えば、旅行会社で往復新幹線+旅館のツアーを予約したときに、旅行会社からJRのセンターサーバに列車の予約情報を入れることができれば、乗客はQRコードをかざすだけで、チケットレスでそのまま新幹線に乗車できます。

すでに、地域限定でMaaSを実現している例はありますが、JRがMaaSの軸となる新幹線や特急列車のチケットレスで、共通的なシステムを提供してくれれば、事実上の標準化がなされて、急速に普及が進む可能性があります。

人気列車の指定席券の転売防止にも効果的?

最近は、JR各社が運転する人気列車の指定席券を購入して、高額で転売する転売ヤーが問題になっています。

転売問題に対しても、QRコードによるチケットレスは有効でしょう。QRコードはえきねっとのアカウントに紐づいているわけですから、そのえきねっとアカウント所有者本人しか乗車できないというルールを定めれば、転売することはできなくなります。

人気列車は、えきねっとのみで発売、QRコードでの乗車のみOKなどとすれば、事実上、転売を阻止することができそうです。

未使用のきっぷは有価証券として扱われますので、「紙のきっぷを売らない」ことが、法的に問題ないのかはよくわかりません。とはいえ、鉄道のチケットレス化はどんどん進むでしょうから、もし問題があれば法律を修正することもあり得るでしょう。

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センターサーバ方式では通信障害・無人駅の対応が課題

センターサーバ方式を利用したQRコードによる乗車サービスですが、心配な面もあります。通信障害と無人駅の対応です。

通信障害時は列車に乗車できなくなる?

センターサーバ方式では、自動改札機にQRコードをかざしたときに、センターサーバ側との通信が行われます。そのため、通信障害が発生した場合には、自動改札機からセンターサーバに問い合わせができなくなってしまい、自動改札が機能しなくなってしまいます。

現行のSuicaでは、カード内のICチップに記録されている残高情報と、自動改札機の料金計算だけでシステムとして動作しますので、万が一、通信障害が発生しても、すぐに自動改札が止まってしまうわけではありません。

センターサーバ方式は、いわばクラウド化ですから、現行のSuicaのシステムよりも、通信障害には脆弱になってしまう点が問題になりそうです。

新幹線eチケットなどでセンターサーバ方式はすでに導入されていますので、回線を二重化するなどの対策は取られているものと思われます。ただ、今回は在来線にも導入するということですから、全ての駅で回線を二重化するほどのコストをかけられるのかが課題になりそうです。

無人駅の対応は乗客がアプリを操作?

QRコードを利用した乗車サービスは、JR東日本の全路線・全駅がサービスエリアとなります。当然、無人駅など、自動改札機がない駅も対象となります。

自動改札機がない駅での対応について、JR東日本のニュースリリースでは、以下のように記載されています。

自動改札機を設置していない駅ではお客さまご自身でアプリ上にて利用開始・終了していただく方法を検討しています。

(出典)QRコードを使用した新たな乗車サービスの導入について(JR東日本ニュースリリース 2022年11月8日 PDF)

乗客が自らアプリを操作するということですが、不正な乗車を防ぐ仕組みがあるのかが気になります。車内改札でアプリの画面を確認すれば問題なさそうですが、車内改札はコストがかかりますから、それほど頻繁にできるものではありません。

現実的には、以下のような対応になるのでしょうか。

  • 自動改札機のない有人駅での乗車・下車時には、駅係員にアプリ画面を見せる
  • 自動改札機のない無人駅からの乗車時には、アプリで利用開始して、整理券をとっておく
  • 自動改札機のない無人駅での下車時には、車掌または運転士に整理券を渡してアプリ画面を見せる

ワンマン列車などでは、なかなか面倒なことになりそうですが……。

利用開始・終了のアプリ操作時に、GPSの位置情報とあわせて、乗車券の乗車駅・下車駅にいるかを確認するような手段もありそうです。

あとは、数は少ないですが、携帯の電波が入らない駅ではアプリの操作ができない(センターサーバへの問い合わせができない)という問題もありますね。

せっかくの「チケットレス」ですから、乗客も乗務員も楽に利用でき、不正ができないシステムになることを期待したいですね。

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鉄道のチケットレスは交通系ICカードとQRコードの併用で推進か?

センターサーバ方式のQRコードによる乗車サービスは、Suica非対応エリアのチケットレス推進や、今後の新たなサービスの展開に期待が持てます。

ただ、Suica等の交通系ICカードが、全てQRコードによる乗車に置き換わるかといえば、それはありえないでしょう。

交通系ICカードは、首都圏などの都市部で大量の乗客が自動改札を通過することを前提に開発されています。そのため、都度、通信する方式ではなく、自動改札機内部で料金計算を完結させるシステムとなっています。現状では、センターサーバ方式のように、一人の乗客が自動改札を通過する際に、サーバへの問い合わせをしていたら、交通系ICカードのような速度での処理は不可能でしょう。

それに、交通系ICカードは「きっぷを買わずに乗車する」サービスですが、QRコードはあくまで「(ネットで)きっぷを購入してから乗車する」サービスという違いがあります。

ここまで見てきたように、それぞれ、メリット・デメリットがありますので、お互いにうまく補完しながらチケットレスを推進していくことになると思います。


以上、「JR東日本がQRコードを利用する乗車サービスを導入へ! 在来線特急列車とSuica未導入エリアのチケットレスを推進か?」でした。個人的には、きっぷを受け取る手間がなくなるチケットレス化は大歓迎です。フリーきっぷや割引きっぷなどを含めて、あらゆるきっぷがチケットレスで使えるようになることを期待したいですね。

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この記事を書いた人
乗り鉄歴25年!
ひさ

乗り鉄歴25年! 青春18きっぷやフリーきっぷを利用して、関東甲信越、北海道、東北によく乗り鉄に出かけます。このブログでは、これまでの乗り鉄経験を活かして、おすすめの列車や路線、青春18きっぷ活用のノウハウ、お得なきっぷの情報などを掲載しています。

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