ひさの乗り鉄ブログ

青春18きっぷの話題をはじめ、観光列車や風光明媚な路線の乗車記などを思うままに綴っていく乗り鉄ブログです。

【男鹿線 ACCUM 乗車記】 非電化路線を電車で! 車窓の見どころは八郎潟と寒風山!


秋田県にある男鹿半島の南岸を走るのが男鹿線です。全長26kmと短い路線ですが、「ACCUM」(アキュム)の愛称が付けられた蓄電池電車が走っています。架線のない非電化路線を電車で旅することができるのです。

今回は、秋田~男鹿を走る男鹿線の乗車記をお届けします。

男鹿線とは?

男鹿線は、秋田県の追分駅と男鹿駅を結ぶ約26kmの非電化路線です。多くの列車は奥羽本線を経由して秋田駅発着となっています。


秋田県の中央よりやや北部から日本海に突き出た男鹿半島の南岸を、半島の付け根部分を少し回り込むように走ります。

途中、八郎潟の南側を通ります。車窓から八郎潟を見ることはほとんどできませんが、八郎潟調整池と日本海を結ぶ船越水道を渡ります。

男鹿線には「男鹿なまはげライン」の愛称が付けられています。「なまはげ」は、ユネスコの無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」の一つとして登録されている伝統的な民俗行事です。その「なまはげ」発祥の地が男鹿半島なのですね。

男鹿線を走る蓄電池電車「ACCUM」(EV-E801系)

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男鹿線を走る蓄電池電車「EV-E801系」(愛称「ACCUM」)

男鹿線には、EV-E801系(愛称「ACCUM」)という形式の電車が走っています。この電車は、車両に蓄電池、つまり、バッテリーを積んでいて、非電化区間に入ると、パンタグラフを下ろして蓄電池に蓄えた電気を利用して走行します。

この電車、もともとはJR九州が開発した「DENCHA」(BEC819系)がベースとなっています。BEC819系をベースに、東北地方の周波数に対応した50Hz化や、耐寒・耐雪仕様化などを施して、JR東日本が導入しました。

JR九州の蓄電池電車BEC819系は、筑豊本線、福北ゆたか線、香椎線などで運行されています。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

www.kzlifelog.com

なお、JR東日本には、自社で開発した「EV-E301系」という蓄電池電車があり、すでに宇都宮~烏山間の烏山線で運行されています。

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烏山駅で充電中のEV-E301系電車

男鹿線にJR九州のBEC819系をベースにしたEV-E801系を投入したのは、東北地方が交流電化、烏山線が走る宇都宮周辺が直流電化という電化方式の違いがあるためです。交流電化に対応した蓄電池電車を自社で一から開発するよりは、JR九州がすでに開発したBEC819系をベースにカスタマイズしたほうが良いという判断があったのでしょう。

2019年9月現在、男鹿線には、EV-E801系(ACCUM)以外に、キハ40系も運用されています。どの列車がEV-E801系で運転されるかは、時刻表を見るとわかります。EV-E801系は「電車」なので、列車番号の末尾が「M」になっています。(気動車のキハ40系で運転される列車は、列車番号末尾が「D」です)

2019年3月改正の時刻表では、EV-E801系で運転される列車は以下の通りです。今のところ、朝夕のラッシュ時間帯を避けて、日中時間帯に運転されているようです。

  • 下り(秋田→男鹿)
    • 秋田 08:52発 → 男鹿 09:49着(1127M)
    • 秋田 12:08発 → 男鹿 13:06着(1131M)
    • 秋田 15:28発 → 男鹿 16:28着(1135M)
  • 上り(男鹿→秋田)
    • 男鹿 10:20発 → 秋田 11:19着(1130M)
    • 男鹿 13:45発 → 秋田 14:44着(1134M)
    • 男鹿 16:58発 → 秋田 17:58着(1138M)

男鹿線 乗車記(秋田~追分)

それでは、秋田駅から男鹿線に乗車してみましょう。

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秋田駅に入線してきた男鹿線のEV-E801系電車

午前8時36分ごろ、秋田駅にEV-E801系電車が入線してきました。2両編成ですが、男鹿側(男鹿行きの時の先頭車)が赤、秋田側が青と、色違いになっています。

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EV-E801系電車は、鮮やかな赤と青の2両編成

車両の前面、側面とも赤、青で塗装されていて、とても色鮮やかな印象です。JR東日本の電車といえば、銀色のステンレスに路線や地域ごとのカラーの帯が巻いてある車両が多いので、新鮮ですね。

行先表示のLEDがとても大きいのも、JR九州仕様でしょうね。JR東日本の車両よりかなり大きく、とても見やすいです。

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EV-E801系の車内は3扉のロングシート

EV-E801系は、3扉のロングシート。最近の通勤型の電車と特に変わりはありません。(車内の写真は男鹿駅到着後に撮影)

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車内には電気の流れを示すモニターが設置されています

車両の端には、バッテリーを積んだ車両ではおなじみになったモニターが設置されています。秋田~追分間は電化区間ですので、パンタグラフをあげ、架線からの電気で走行します。

08時52分、座席が半分くらい埋まる乗車率で秋田駅を発車しました。

秋田から途中の追分までは、奥羽本線を北上します。前述のとおり、この区間は電化されているので、ふつうの「電車」として走行していきます。

男鹿線 乗車記(追分~船越) 車窓の見どころ「八郎潟防潮水門」

09時08分、男鹿線との分岐駅、追分駅に到着。秋田から追分までの間にかなりの乗客が下車し、車内は閑散としてしまいました。

さて、追分から先は非電化区間。ここからは、蓄電池に蓄えた電力で走行していきます。

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非電化区間に入ると蓄電池で走行します

車内のモニターも「蓄電池の電力で走行しています」に変わりました。架線からの電気だろうが、蓄電池からの電気だろうが、同じモーターを回して走行するので、乗り心地は先ほどまでと何も変わりません。

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二田駅でキハ40の上り列車と行き違い

9時24分、追分から三つ目の二田駅で上り列車と行き違い。あちらの列車はキハ40でした。こちらはガラガラですが、あちらは立ち客までいる模様。土曜日の午前中ですから、秋田へおでかけの人が多いのでしょうね。

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架線がないのに電車が走る不思議な男鹿線

停車中に最後尾から線路を眺めてみると、当たり前ですが、架線がありません。架線がないのにモーター音を響かせて電車が走るのですから、なかなか不思議な気分になります。

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八郎潟調整池の八郎潟防潮水門、水門がずらっと並ぶ様子は壮観です

男鹿半島の南岸を走る男鹿線ですが、海岸線よりはやや内陸側を走るので、車窓からはほとんど海が見えません。そんな男鹿線の車窓の見どころの一つが、天王駅~船越駅間にある船越水道からの眺めです。

八郎潟調整池のほうを見ると、長い水門が見えます。「八郎潟防潮水門」です。もともと海水が入り込んで汽水湖だった八郎潟の水を、農業用水として活用するため、防潮水門で閉め切ったのです。

かつては琵琶湖に次ぐ日本第二位の面積を誇った八郎潟ですが、干拓で埋められ、現在はこの八郎潟調整池だけになっています。

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放流ゲートと洪水吐ゲートの2種類の水門があります

八郎潟防潮水門は、水位を調整するために利用する「放流ゲート」と、降雨などで八郎潟の水位が大幅に上昇したときに利用する「洪水吐ゲート」の二つがあるそうです。

「放流ゲート」は両端の2門で、その間にある12門は「洪水吐ゲート」だそうです。

男鹿線 乗車記(船越~男鹿)車窓の見どころ「寒風山」

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船越~脇本間は田園風景が広がります

船越駅から次の脇本駅までの間は、車窓に一面の田園風景が広がります。青い空に浮かぶ夏らしい雲が印象的です。

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脇本駅付近からは寒風山を見ることができます

脇本駅を出ると、右前方に頂上が平らな形をした山が見えてきます。寒風山です。低い山ですが、周りに高い山がないので、頂上からは男鹿半島を360度眺めることができるそうです。

芝生に覆われて、緩やかな斜面の寒風山は、パラグライダーのメッカでもあるそうです。

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脇本~羽立間は男鹿線で唯一山の中を走る区間

脇本駅を出ると、次の羽立駅までの間は、低い山に囲まれた地形の中を走っていきます。ほとんど平地を走る男鹿線の中で、この一駅間だけは山の中を走ります。少し高いところから、男鹿半島の内陸部の山々を眺めることができます。

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羽立駅まで来ると山の中から抜けて平地へ

9時44分、羽立駅に到着。山間部から抜けて、ここからは男鹿の市街地へと入っていきます。

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秋田から約1時間のミニトリップ、終点の男鹿駅に到着

9時49分、秋田から1時間弱で、終点の男鹿駅に到着しました。

男鹿駅前を散策

折り返しの列車まで30分ほど時間がありますので、男鹿駅の周辺を散策してみました。

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2017年に移転・新築された立派な男鹿駅の駅舎

狭いホームが一つだけの男鹿駅ですが、駅舎はなかなか立派です。

以前は、ホームの横に駅舎がありましたが、2017年に現在の位置に移転、新築されました。あとで紹介する観光施設に隣接するようにしたとのことです。

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駅前の広場には長い歩道が

駅前の広場を貫く歩道を歩いていきます。

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複合観光施設「なまはげの里オガーレ」

道路を渡ると、先ほど紹介した観光施設「道の駅 おが」「なまはげの里 オガーレ」があります。かなり大きな施設で、物産館、レストランなどが入っています。男鹿駅から徒歩でも2~3分ですので、次の列車までの間に訪れるのにぴったりです。

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「なまはげの里 オガーレ」の前で秋田名物ババヘラアイスをいただきます

「なまはげの里 オガーレ」の前には、秋田名物「ババヘラアイス」の露天がたくさんでていました。8月下旬の暑い日だったので、さっそく一ついただきます。

注文すると、へらを持ったおばあさんが、器用に盛り付けていきます。まるで花びらを一枚一枚付けていくように丁寧に、かつ、素早く盛り付けていく様子は、見ていて楽しいものです。

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「なまはげの里 オガーレ」に保存されている貨物支線の「船入踏切」

「なまはげの里 オガーレ」には、踏切が保存されています。かつて、男鹿駅と、海に近い船川港駅を結ぶ男鹿線の貨物専用支線がありましたが、2002年に廃止。支線にあった「船入踏切」が保存されているということです。

ちなみに、この「なまはげの里 オガーレ」の一部も、当時の支線の跡地を利用して建設されているそうです。

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男鹿駅2階からの眺望は必見! 寒風山も見えます!

折り返し列車の発車時刻が迫ってきたので、男鹿駅に戻ってきました。男鹿駅の2階からは男鹿駅構内を広く見渡すことができます。線路の向こうには、車窓からも見えた寒風山が正面に見えています。

男鹿駅には、EV-E801系(ACCUM)専用の充電設備があります。充電といっても、線路上に短い架線が引かれているだけですが、停車中の時間を利用して、蓄電池に充電をしているのです。

上の写真は、既にパンタグラフを下ろしているので、充電が完了したあとだったのでしょう。

急いでホームへ行き、10時20分発の秋田行きの列車に乗車。先ほど男鹿まで乗ってきた「ACCUM」が、30分の充電期間を経て、秋田へ戻っていくのでした。


以上、「【男鹿線 ACCUM 乗車記】 非電化路線を電車で! 車窓の見どころは八郎潟と寒風山!」でした。非電化路線に電車が走る男鹿線。秋田から男鹿まで1時間と、男鹿へのミニトリップにはちょうど良い時間でした。

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