JR四国は非常に多くのフリーきっぷ、割引きっぷを発売しています。JR四国全線に3~5日間乗り放題のきっぷから、エリアごとに路線バスも含めて利用できるフリーきっぷ、1日乗り放題のフリーきっぷなどです。この記事では、四国を鉄道で旅行するときに利用しやすいフリーきっぷ、割引きっぷを中心に、その概要と使い分けについて、わかりやすくご紹介します。
【結論】JR四国のフリーきっぷ使い分け
JRの路線網としては最も小さいJR四国ですが、非常に多くのフリーきっぷ、割引きっぷを発売しています。
おおまなか使い分けとしては、以下のようになります。以下で紹介するフリーきっぷ、割引きっぷを中心に、旅程や利用期間にあった他のきっぷがないかを調べていくと良いでしょう。
- 四国全体の周遊旅行の場合
- 【期間限定】四国満喫きっぷが発売されているか、利用できる旅程かを確認しよう!
- 自分もしくは同行者が誕生月ならバースデイきっぷを利用しよう!
- 上記が利用できない期間なら四国フリーきっぷ・四国グリーン紀行を利用しよう!
- 特定エリアの周遊旅行の場合
- 四万十・宇和海エリアなら四万十・宇和海フリーきっぷ
- 高知・室戸・徳島エリアなら「四国みぎした55フリーきっぷ」
- 主要駅間の特急往復利用ならSきっぷ・指定席Sきっぷ
- 普通列車利用の近場の日帰り旅行なら四国再発見早トクきっぷ
【期間限定】JR四国全線の特急自由席に3日間乗り放題!「四国満喫きっぷ」
ここ数年、観光シーズンに発売されているのが「四国満喫きっぷ」です。JR四国全線の特急列車の普通車自由席に3日間乗り放題となるフリーきっぷです。
※以下は直近に発売された「四国満喫きっぷ」の情報です。
- 四国アフターDC満喫きっぷ
- フリーエリア: JR四国全線・土佐くろしお鉄道全線・JR四国の路線バス(大栃線、久万高原線)
- きっぷの効力: フリーエリア内の特急列車、快速・普通列車の普通車自由席に3日間乗り放題
- 利用期間: 2022年4月1日(金)~6月28日(火)
- 有効期間: 土休日を含む連続する3日間
- おねだん: 大人 11,000円, 小児 3,000円
JR四国全線、土佐くろしお鉄道全線に乗車できるフリーきっぷです。3日間有効で、特急列車(普通車自由席のみ)にも乗車できますので、四国を鉄道で巡るのにぴったりのきっぷです。
詳しくは、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

四国周遊旅行におすすめ!「四国フリーきっぷ」「四国グリーン紀行」「バースデイきっぷ」
四国を鉄道メインで周遊する旅におすすめなのが、フリーエリアがJR四国全線となる「四国フリーきっぷ」「四国グリーン紀行」「バースデイきっぷ」です。
これら3つのフリーきっぷは、いずれも、JR四国の普通列車、快速列車、特急列車に3~4日間乗車できるフリーきっぷです。フリーエリア、乗車できる座席種別、有効期間、利用可能期間などで違いがあります。
- | 四国フリー きっぷ | 四国グリーン 紀行 | バースデイ きっぷ 自由席用 | バースデイ きっぷ グリーン車用 |
---|---|---|---|---|
利用可能 期間 | 通年 | 通年 | 誕生月 | 誕生月 |
フリーエリア ※1 | A | B | B | B |
有効期間 | 3日間 | 4日間 | 3日間 | 3日間 |
乗車できる 座席種別 | 自由席 | 自由席 指定席 グリーン席 | 自由席 | 自由席 指定席 グリーン席 |
おねだん | 大人 16,440円 小児 8,220円 若者限定 9,980円 ※2 | 20,950円 | 大人 9,680円 小児 4,840円 | 13,240円 |
- ※1:フリーエリア
- A: JR四国全線・土佐くろしお鉄道(窪川~若井)・JR四国の路線バス(大栃線、久万高原線)
- B: JR四国全線・土佐くろしお鉄道全線・JR四国の路線バス(大栃線、久万高原線)
- ※2: 若者限定四国フリーきっぷ(25歳以下限定) 2022-23年度の利用期間
- 春季用: 2022年3月1日~2022年4月12日
- 夏季用: 2022年7月20日~2022年9月12日
- 冬季用: 2022年12月10日~2023年1月12日
「四国フリーきっぷ」「四国グリーン紀行」が通年利用できるのに対して、「バースデイきっぷ」は誕生月しか利用できませんが、かなりお得な値付けがされています。
フリーエリアの違いも要注意です。「四国フリーきっぷ」は、基本的にJR四国の路線のみに乗車できますが、「四国グリーン紀行」「バースデイきっぷ」は、JR四国全線に加えて、土佐くろしお鉄道の全線も利用できます。
土佐くろしお鉄道は、高知県の第三セクター路線で、
- 中村・宿毛線(窪川~中村~宿毛)
- ごめん・はなり線(御免~奈半利)
の2路線を運行しています。
窪川~中村間には、岡山・高知からの特急「南風」「あしずり」が直通しますので、この区間に乗車する予定であれば、「四国グリーン紀行」を利用したほうがよいでしょう。
また、「四国フリーきっぷ」には、期間限定、かつ、25歳以下限定ですが、効力は同じでお値段が9,980円という「若者限定四国フリーきっぷ」があります。主に、春・夏・冬に発売されます。
各フリーきっぷについては、概要に加えて、おすすめの利用方法や、四国外から四国へ旅行するときの購入方法などを、以下の記事で詳しく紹介しています。


JR四国の普通列車に1日乗り放題!「四国再発見早トクきっぷ」
JR四国全線の普通列車・快速列車に土休日の1日のみ乗り放題となるフリーきっぷが「四国再発見早トクきっぷ」です。
- 四国再発見早トクきっぷ
- フリーエリア: JR四国全線・土佐くろしお鉄道(窪川~若井)・JR四国の路線バス(大栃線、久万高原線)
- きっぷの効力: フリーエリア内の普通列車・快速列車の普通車自由席に乗り放題
- 利用期間: 土休日(発売は前日まで)
- 有効期間: 1日
- おねだん: 大人 2,100円 小児 1,050円
- Webサイト: 四国再発見早トクきっぷ
「四国再発見早トクきっぷ」は、普通列車・快速列車にしか乗車できませんし、有効期間は1日のみですので、四国を周遊するという使い方ではなく、週末の日帰りのおでかけに向いているきっぷです。
各都市を起点とすると、
- 徳島や高松、高知から大歩危峡・小歩危峡への日帰り旅
- 高知から予土線への日帰り旅
などに利用するとよいでしょう。
四国内の都市間利用にも利用できます。特急列車を利用できないので、かなり時間がかかりますが、時間よりもコストを優先したい場合には、選択肢の一つとして考慮しても良いでしょう。
「四国再発見早トクきっぷ」は、1日有効のフリーきっぷですが、購入は前日までとなっています。利用当日の発売はありませんので、注意しましょう。
四国西部の四万十・宇和海周辺が乗り放題!「四万十・宇和海フリーきっぷ」
四国の西部、四万十川周辺や宇和海周辺を中心に旅行をするなら、「四万十・宇和海フリーきっぷ」がおすすめです。フリーエリアのみ乗り放題となるフリータイプに加えて、松山~フリーエリア~高知の片道乗車券も付いた片道タイプもあります。
- 四万十・宇和海フリーきっぷ(フリータイプ)
- フリーエリア: JR四国 予土線(宇和島~若井)、土佐くろしお鉄道線(宿毛~中村~窪川)、宇和島自動車(宇和島~宿毛)の路線バス
- きっぷの効力: フリーエリア内の普通列車・快速列車・特急列車の普通車自由席に乗り放題(土佐くろしお鉄道区間の特急列車にも乗車可能)
- 利用期間: 通年
- 有効期間: 3日
- おねだん: 大人 3,760円 小児 1,880円
- Webサイト: 四万十・宇和海フリーきっぷ(フリータイプ)
- 四万十・宇和海フリーきっぷ(片道タイプ)
- フリーエリア: JR四国 予土線(宇和島~若井)、土佐くろしお鉄道線(宿毛~中村~窪川)、宇和島自動車(宇和島~宿毛)の路線バス
- きっぷの効力:
- 松山駅からフリーエリアを経由して高知駅まで、または、高知駅からフリーエリアを経由して松山駅まで、片道の特急列車の普通車自由席に乗車可能
- フリーエリア内の普通列車・快速列車・特急列車の普通車自由席に乗り放題(土佐くろしお鉄道区間の特急列車にも乗車可能)
- 利用期間: 通年
- 有効期間: 4日
- おねだん: 大人 5,040円 小児 2,520円
- Webサイト: 四万十・宇和海フリーきっぷ(片道タイプ)
(出典)JR四国ツアー 四万十・宇和海フリーきっぷ(片道タイプ)
四万十川河口の町、中村や、宿毛湾に面する宿毛、宇和海沿岸の宇和島などの観光地を巡るのにはぴったりのフリーきっぷです。
鉄道の旅としては、清流、四万十川に沿って走る予土線(宇和島~窪川)がおすすめです。予土線の南半分、江川崎~土佐大正間では、車窓からずっと四万十川を眺めることができます。以下の乗車記もご覧ください。

宇和島~宿毛間は鉄道がないのですが、宇和島自動車の路線バスに乗車できますので、予土線で四万十川の観光を楽しんだあと、宇和島自動車の路線バスで宇和島~宿毛間の宇和海沿岸の観光も楽しむことができます。
宇和島~宿毛間の路線バスは、宇和島自動車の「城辺・宿毛線」です。時刻表などは宇和島自動車のWebサイトをご確認ください。
また、四万十・宇和海フリーきっぷ(片道タイプ)を利用すれば、松山や高知の観光も合わせて楽しむことができます。
松山~宇和島~高知の運賃(特急料金含まず)は4,870円。「四万十・宇和海フリーきっぷ(片道タイプ)」であれば、5,070円、つまり片道の運賃に200円をプラスするだけで、特急「宇和海」(松山~宇和島)、特急「南風」「あしずり」(高知~中村・宿毛)に乗車できるうえ、フリーエリア内は乗り降り自由となります。
有効期間も、フリータイプが3日間、片道タイプが4日間と十分です。
四国西部の四万十・宇和海周辺の観光をじっくり楽しみたい方におすすめのフリーきっぷです。
室戸岬観光に最適! DMVにも乗車できる「四国みぎした55フリーきっぷ」
高知から室戸岬を経由して徳島まで、鉄道と路線バス、DMVを乗り継ぐ旅におすすめのフリーきっぷです。
- 四国みぎした55フリーきっぷ
- フリーエリア:
- JR四国 土讃線(高知~後免)・牟岐線(徳島~阿波海南)
- 土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線(後免~安芸~奈半利)
- 阿佐海岸鉄道 阿波海南文化村~阿波海南~海の駅東洋町~道の駅宍喰温泉間のDMV
- 高知東部交通 路線バス(甲浦岸壁~海の駅東洋町~室戸岬~奈半利駅~安芸駅~安芸営業所)
- きっぷの効力:
- フリーエリア内の普通列車・快速列車の普通車自由席に乗り放題
- 特急券・指定席券等の料金券を追加すれば、特急列車や指定席にも乗車可能
- 利用期間: ~2023年3月29日まで(2023年3月29日利用開始分まで)
- 有効期間: 3日
- おねだん: 大人 5,500円 小児 2,750円
- Webサイト: 四国みぎした55フリーきっぷ
- フリーエリア:
「四国みぎした55フリーきっぷ」のフリーエリアは、以下の図のとおりです。
(出典)「四国みぎした55フリーきっぷ」の発売について(JR四国ニュースリリース 2022年2月25日 PDF)
高知側は奈半利まで、徳島側はJR牟岐線を経由して、阿佐海岸鉄道の甲浦まで鉄道が利用できます。室戸岬を挟む奈半利~甲浦間は鉄道がありませんが、高知東部交通の路線バスに乗車できます。
このフリーきっぷは、公共交通機関で室戸岬を観光しつつ、高知から徳島へ、または、徳島から高知へ移動するのにぴったりです。
室戸岬は、日本で九つしかない「ユネスコ世界ジオパーク」の一つに認定されています。室戸岬の海岸には「タービタイト」と呼ばれる地層や、室戸岬周辺の海岸段丘など、地球の歴史を感じることができる特徴的な地形が多くあります。
そして、高知東部交通の路線バスは、太平洋沿岸に沿って走る絶景路線です。車窓からは、雄大な太平洋をずっと眺めることができます。
高知東部交通バスの奈半利~室戸岬~甲浦間の乗車記を公開していますので、ぜひご覧ください。

また、海の町東洋町~甲浦駅~阿佐海南駅間は、阿佐海岸鉄道のDMV(デュアル・モード・ビークル)に乗車することができます。鉄道と道路の両方を走れる世界で初めての乗り物で、2021年12月に運行を開始しました。DMVの初乗りをかねて、旅に出てみるのもよいと思います。
阿佐海岸鉄道の乗車記は、以下の記事をご覧ください。(DMV営業開始前、鉄道時代の乗車記です)

特急列車の往復利用のみなら「Sきっぷ」「指定席Sきっぷ」
特急列車の主要駅間の往復利用のみであれば、往復割引きっぷ「Sきっぷ」「指定席Sきっぷ」がお得です。高知~中村・宿毛間には、「くろしおSきっぷ」「くろしお指定席Sきっぷ」が設定されています。
- Sきっぷ・指定席Sきっぷ・くろしおSきっぷ・くろしお指定席Sきっぷ
- きっぷの効力:
- 指定された区間の特急列車での往復利用が割引になるきっぷ
- 普通車自由席(Sきっぷ・くろしおSきっぷ)、普通車指定席(指定席Sきっぷ・くろしお指定席Sきっぷ)が利用可能
- 利用期間: 通年
- 有効期間: 4日
- Webサイト: Sきっぷ くろしおSきっぷ 指定席Sきっぷ くろしお指定席Sきっぷ
- きっぷの効力:
「Sきっぷ」「くろしおSきっぷ」「指定席Sきっぷ」「くろしお指定席Sきっぷ」が設定されている主な区間と料金、通常の(割引きっぷを利用しない)料金との比較は以下のとおりです。
※2022年4月1日以降発売分の料金です
区間 | Sきっぷ | 指定席 Sきっぷ |
---|---|---|
高松~徳島 | 5,160円 (5,340円) | 5,960円 (6,400円) |
松山~宇和島 | 5,880円 (6,060円) | - |
松山~新居浜 | 5,880円 (6,060円) | 5,660円 (7,120円) |
高知~須崎 | 2,720円 (2,800円) | - |
高知~中村 | 7,340円 (8,400円) | 8,160円 (9,880円) |
通常の料金(運賃+特急券)に比べて、激安になるほどではありませんが、自由席利用の「Sきっぷ」で数百円、指定席利用の「指定席Sきっぷ」なら数百円~2,000円程度安くなります。
なお、設定されている区間が「Sきっぷ」と「指定席Sきっぷ」では異なりますので、詳しくは、上記のJR四国のWebサイトをご確認ください。
以上、「【JR四国フリーきっぷまとめ】 格安の乗り放題フリーきっぷが多いJR四国、鉄道旅行・乗り鉄に便利なきっぷを紹介します!」でした。非常に多くのフリーきっぷ・割引きっぷが発売されていますが、この記事でおおまかな使い分けを知っていただき、お得に四国を旅行しましょう!
関連記事
当ブログで紹介している、鉄道旅行や乗り鉄に便利なフリーきっぷ・割引きっぷの紹介記事の目次ページです。

コメント
以前紹介したあじくるりんは復活しませんでしたが、別の旅行企画商品として「web限定 自由に四国鉄道の旅」というのが出ています。
https://www.jr-eki.com/tour/brand/1-J1B
一人から使えるところは限られますが、フリーきっぷと宿泊費セットで比べれば四国満喫きっぷより割安な場面ありそうです。
madoさん、コメントありがとうございます。
以前ご紹介いただいた「あじくるりん」、JR四国ツアーのサイトで見あたらなかったので、終わってしまったのかなぁと思っていたところですが、別の商品が出ていたのですね。
ちょっと見てみましたが、なかなかお得ですね。+2000円でフリーきっぷを3日間に延長できるのもよさそうですね。
[…] http://www.kzlifelog.com […]
四国みぎした55フリーきっぷという新商品が出ているようです。
徳島~高知間を室戸経由で移動するのに使えるようです。鉄道・DMV・バスが含まれ、単純に通しで移動するより安くなるようです。
かいきょさん、コメントありがとうございます。
こういったご指摘、とても助かります。
たしか以前も発売されていたのですが、発売終了してしまったのですよね。
また発売されたということかなと思います。
のちほど、JR四国のフリーきっぷまとめ記事に追加しておこうと思います。