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JR九州が2022年4月に在来線特急料金を値上げへ! 「九州ネットきっぷ」「2枚きっぷ」は据え置きでお得感が増しそうです!

汽車旅
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JR九州は、2022年4月から、在来線特急料金を値上げすると発表しました。長距離では5割以上となる大幅な値上げです。一方、特急列車に安く乗れる「九州ネットきっぷ」「2枚きっぷ」の価格は据え置かれるため、これらの割引きっぷのお得感がますます増してきそうです。

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JR九州、2022年4月に在来線特急料金を大幅値上げへ

JR九州は、2022年4月1日乗車分から、在来線特急料金を大幅に値上げすると発表しました。

見直し内容は以下のようになります。

自由席特急料金・特定特急料金

【自由席特急料金】

営業キロ 現行 見直し 値上げ率
~25km ¥310 ¥500 61.29%
~50km ¥630 ¥750 19.05%
~75km ¥840 ¥1,000 19.05%
~100km ¥950 ¥1,200 26.32%
~150km ¥1,250 ¥1,800 44.00%
~200km ¥1,410 ¥2,200 56.03%
~300km ¥1,520 ¥2,400 57.89%
301km~ ¥1,680 ¥2,600 54.76%

【特定特急料金】

区間 現行 見直し 値上げ率
門司港・下曽根・小倉~博多 ¥520 ¥600 15.38%
宮崎~南郷 ¥520 ¥600 15.38%
博多~直方 ¥420 ¥500 19.05%
国分~鹿児島中央
霧島神宮~重富
吉松~隼人
¥310 ¥500 61.29%
霧島神宮・吉松~鹿児島中央
(上記以外)
¥520 ¥600 15.38%

長距離ほど、値上げ幅が大きくなっていて、151km以上ではいずれも50%を超える値上げとなっています。

一方、25~150kmは20%程度の値上げにとどまっています。通勤等の短距離利用の客離れにつながらないように配慮したのかもしれません。

25km未満は310円から500円への値上げとなります。値上げ率ではこの距離帯が最も高くなっています。

指定席特急料金

JR九州の在来線特急料金には、これまで、シーズン別料金(通常期・繁忙期・閑散期)はありませんでしたが、今回の値上げでは、繁忙期料金が設定されました。

  • 指定席特急料金
    • 自由席特急料金に530円を加算した金額
    • ただし、特急「あそぼーい」の展望席・白いくろちゃんシート、特急「かわせみ やませみ」ベンチシートは740円を加算した金額
  • 指定席特急料金(繁忙期料金)
    • 以下の対象日は自由席特急料金に730円を加算した金額
    • 対象日: 4/1~5, 4/28~5/6, 7/21~8/31, 12/25~1/10, 3/21~31
    • ただし、特急「あそぼーい」の展望席・白いくろちゃんシート、特急「かわせみ やませみ」ベンチシートは940円を加算した金額
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「九州ネットきっぷ」「2枚きっぷ」は価格据え置きで割引率がアップ!

在来線特急料金は値上げされますが、在来線特急列車に乗車できる割引きっぷ「九州ネットきっぷ」「2枚きっぷ」の価格は据え置かれます。

「九州ネットきっぷ」は、当日までネットで購入でき、区間によってはかなり割引率が高いため、非常に使い勝手の良い割引きっぷです。

一方、「2枚きっぷ」は在来線特急列車に乗車できる2枚つづりの回数券で、1人で往復利用してもよいですし、2人で片道利用という使い方もできます。こちらは、ネットでは購入できませんが、当日、窓口で購入が可能です。

これらの使い勝手の良い2つの割引きっぷは、特急料金値上げ後も価格が据え置かれることになりますので、実質的に割引率がアップすることになります。

以下では、これらの割引きっぷと、改定後の運賃+特急料金を比べてみます。

改定後の料金と「九州ネットきっぷ」の比較

「九州ネットきっぷ」の主要な区間の価格と割引率は、以下のようになります。

区間 現行
運賃+特急料金
改定後
運賃+特急料金
九州ネット
きっぷ
割引率
現行
割引率
改定後
博多~佐賀 ¥2,500 ¥2,660 ¥1,150 54% 57%
博多~長崎 ¥4,800 ¥5,590 ¥3,150 34% 44%
博多~大分 ¥5,680 ¥6,470 ¥3,150 45% 51%
博多~宮崎 ¥9,580 ¥10,500 ¥5,760 40% 45%
小倉~大分 ¥4,310 ¥4,860 ¥3,040 29% 37%
大分~宮崎 ¥6,120 ¥7,000 ¥5,240 14% 25%
宮崎~鹿児島中央 ¥4,310 ¥4,860 ¥2,620 39% 46%

区間によって割引率にバラつきがありますが、在来線特急料金改定後は、「九州ネットきっぷ」の割引率がアップしているのがわかります。中には、博多~長崎間のように、割引率が10%もアップしている区間があります。

前述のように、九州ネットきっぷは当日購入可能ですので、特急料金改定後は、これまでにも増して「九州ネットきっぷ」を積極的に活用したいところです。

改定後の料金と「2枚きっぷ」の比較

「2枚きっぷ」の主要な区間の価格と割引率は、以下のようになります。

区間 現行
運賃+特急料金
改定後
運賃+特急料金
2枚きっぷ
(1枚当たり)
割引率
現行
割引率
改定後
備考
博多~長崎 ¥4,800 ¥5,590 ¥3,150 34% 44% 指定席特急料金
博多~大分 ¥5,680 ¥6,470 ¥3,300 42% 49% 指定席特急料金
小倉~大分 ¥4,310 ¥4,860 ¥3,300 23% 32% 指定席特急料金
博多~佐賀 ¥1,970 ¥2,130 ¥1,250 37% 41% 自由席特急料金
博多~小倉 ¥1,830 ¥1,910 ¥1,470 20% 23% 自由席特急料金

特急料金の値上げによって、「2枚きっぷ」の割引率も実質的にアップしています。博多(福岡市内)~長崎のように、特急料金の値上げ幅が大きい区間では、34%から44%へと10%も割引率がアップしているところがあります。

在来線特急列車の往復利用であれば、「2枚きっぷ」を積極的に利用したいですね。

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定番フリーきっぷ「ぐるっと九州きっぷ」の旅は実質的に値上げへ

乗り鉄、鉄道旅行派にとっては、フリーきっぷを利用する旅がどのようになるかが気になります。

JR九州の乗り放題きっぷとしては、連続した3日間、JR九州全線に乗り放題の「ぐるっと九州きっぷ」が定番です。

【ぐるっと九州きっぷ】JR九州の普通列車に3日間乗り放題! 特急券を組み合わせて新幹線・特急列車にも乗れる使い勝手のよいフリーきっぷ!
JR九州の定番フリーきっぷ「ぐるっと九州きっぷ」が2022-23年も継続して発売されます。JR九州の普通列車・快速列車に3日間乗り放題で、特急券を購入すれば、九州新幹線、西九州新幹線や在来線特急列車にも乗車できます。【ひさの乗り鉄ブログ】では、「ぐるっと九州きっぷ」のお得な使い方、他の割引きっぷとの使い分けについて紹介します。

「ぐるっと九州きっぷ」単体で乗車できるのは普通列車・快速列車のみですが、別途、特急券を購入すると、九州新幹線や在来線特急列車に乗車することができます。

それでは、今回の特急料金の値上げは、「ぐるっと九州きっぷ」の旅にどんな影響があるでしょうか? 簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 九州新幹線の利用
    • 変更なし(九州新幹線は特急料金値上げの対象外)
  • 在来線特急列車の利用
    • 値上げ

今回の特急料金の値上げの対象は在来線特急列車だけですので、九州新幹線の値上げはありません。そのため、九州新幹線に乗車するために必要な特急券は、これまでと同じ料金で購入できます。

一方、在来線特急列車に乗車する場合には、値上げの影響を受けます。「ぐるっと九州きっぷ」の元をとるためには、それなりの距離を乗らないといけませんが、今回の特急料金の値上げは、長距離の方が値上げ率が高くなっています。そのため、「ぐるっと九州きっぷ」で在来線特急列車にたくさん乗る場合には、実質的な旅費の負担は大きくなりそうです。

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特急料金の安さが自慢だったJR九州、値上げでA特急料金並みに!

JR九州は、JR他社に比べると、特急料金の安さが特徴でした。在来線の特急列車の本数も多く、100kmまでは25km単位で細かく料金が決められていたため、短距離でも安く利用できました。

今回の特急料金の値上げで、どうなるでしょうか? JR各社の特急料金(自由席特急料金)と比較してみましょう。

営業キロ JR九州
現行
JR九州
改定後
JR西日本
B特急料金
JR東日本
特定列車 ※1
JR全社
A特急料金
~25km ¥310 ¥500 ¥660 ¥760 ¥760
~50km ¥630 ¥750
~75km ¥840 ¥1,000 ¥1,000 ¥1,020 ¥1,200
~100km ¥950 ¥1,200
~150km ¥1,250 ¥1,800 ¥1,420 ¥1,580 ¥1,860
~200km ¥1,410 ¥2,200 ¥1,760 ¥2,240 ¥2,200
~300km ¥1,520 ¥2,400 ¥1,980 ¥2,550 ¥2,420
~400km ¥1,680 ¥2,600 ¥2,200 ¥2,900 ¥2,640

※1: 「ひたち」「あずさ」等の座席未指定券を採用している特急列車(座席指定券も未指定券も同額)

JR九州の現行の特急料金は、JR各社の特急料金と比べても、かなり割安に設定されているのがわかります。JR九州は特急料金が安いと言われているわけです。

ところが、改定後は、JR西日本のB特急料金をはるかに超えてしまい、A特急料金とほぼ同額になってしまいます。A特急料金が適用されるのは、JR北海道、JR四国の在来線特急列車と、JR東日本の「サフィール踊り子」「成田エクスプレス」、JR会社間をまたがる特急列車などです。JR各社の在来線の特急料金としては、最も高い部類に入ります。

最安ランクから最も高いレベルへの値上げとなりますので、インパクトは大きそうです。

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常連優遇、高速バス対抗を考慮した値上げ

JR九州の特急料金の値上げでは、前述のように、「九州ネットきっぷ」「2枚きっぷ」などの割引きっぷの値上げは予定されていません。また、特急定期券「エクセルパス」の価格も据え置かれる予定です。

特急料金を値上げしつつも、割引きっぷの価格を据え置くという戦略は、JR九州の在来線特急を日常的に利用している乗客に負担をかけないようにしつつ、観光利用で一時的に利用する乗客からの収入増を目的としているように思われます。

いわゆる、「常連優遇、一見さんお断り」のように見えますが、競争対抗上、止むを得ない側面もあります。

「九州ネットきっぷ」は、多くの区間で設定されていますが、区間によって割引率がバラバラです。しいていえば、博多から近距離の区間(博多~佐賀・小倉など)は割引率が高く、長距離の区間は割引率が低めです。

これは、「九州ネットきっぷ」が高速バス対抗のための割引きっぷという側面を持っているためでしょう。高速バスとの競争が激しい区間は割引率を高く設定しているのだと思います。

高速バスに対抗しなくてはならない以上、単純に値上げできないという事情があります。

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「届出」で可能な在来線特急料金の値上げ、JR他社は追随するか?

JR各社はコロナ禍の影響をもろに受けていて、2020年度は大幅な赤字に転落、2021年度も不透明な状況です。それに、新型コロナの影響がおさまったとしても、コロナ前の需要には戻らないだろうという予測もあります。

在来線特急列車は、出張等のビジネス需要に大きく左右されます。テレワークが普及し、取引先とのWeb会議のハードルも低くなってしまいましたので、出張需要も完全に戻るとは考えにくい状況です。

このような事情から、JR九州は、手をつけやすい在来線の特急料金の値上げを実施したのではないかと思います。

鉄道会社の運賃や料金(特急料金やグリーン料金、指定席料金等)を値上げする際には、国土交通省に「認可」または「届出」をする必要があります。

現在の鉄道事業の運賃・料金の上限の値上げについては、以下のようなルールになっています。

  • 運賃: 事前の「認可」が必要
  • 料金: 事前の「届出」が必要
    • ただし、新幹線の料金は事前の「認可」が必要

在来線の特急料金の値上げについては、現状、事前の「届出」でよいとされています。「認可」の場合には、国土交通省が適切な運賃や料金であることを審査することになりますが、「届出」の場合には、事前に国土交通省に通知するだけということになりますので、「届出」のほうがハードルが低いわけです。

もちろん、必要であれば運賃の値上げも「認可」を取得して実施すればよいでしょう。実際、経営危機に陥っているJR北海道は、2019年10月に最大で約3割という大幅な運賃値上げを実施しました。

ただ、運賃については、JR東日本やJR西日本が、時間帯別運賃の導入を目指していて、国土交通省でも検討が始まっています。JR九州も、時間帯別運賃の検討の結論が出るまで、運賃の値上げには踏み切りにくいということかもしれません。

このような事情から、もともとJR他社に比べて割安だった在来線の特急料金の値上げから着手した、ということではないでしょうか。

今後は、JR九州以外のJR他社が特急料金の値上げに追随するかが焦点となりそうです。JR九州の場合は、もともと割安だったために値上げの余地がありましたが、他社の場合はそうもいかないでしょう。割引きっぷの廃止や値上げによる実質的な特急料金値上げや、時間帯別運賃の導入による実質的な運賃値上げのほうが先になるかもしれません。


以上、『JR九州が2022年4月に在来線特急料金を値上げへ! 「九州ネットきっぷ」「2枚きっぷ」は据え置きでお得感が増しそうです!』でした。幸いなことに割引きっぷの価格は据え置かれますので、これらを上手に利用して九州の鉄道を楽しみたいところです。

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【JR九州フリーきっぷまとめ】九州を鉄道で旅するときにおすすめのおトクなフリーきっぷ・割引きっぷを紹介します!(2024年版) 
JR九州は多くのフリーきっぷや割引きっぷを発売しています。定番のフリーきっぷや観光地への往復に便利なきっぷなどさまざまです。【ひさの乗り鉄ブログ】では、JR九州のフリーきっぷ・割引きっぷを紹介します。おおまかな使い分けについても解説していますので、九州旅行の際に参考にしてみてください。
汽車旅汽車旅-JR九州鉄道ニュース
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この記事を書いた人
乗り鉄歴25年!
ひさ

乗り鉄歴25年! 青春18きっぷやフリーきっぷを利用して、関東甲信越、北海道、東北によく乗り鉄に出かけます。このブログでは、これまでの乗り鉄経験を活かして、おすすめの列車や路線、青春18きっぷ活用のノウハウ、お得なきっぷの情報などを掲載しています。

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