JR九州の定番フリーきっぷ「ぐるっと九州きっぷ」が2020-21年も継続して発売されます。JR九州の普通列車・快速列車に3日間乗り放題になるほか、特急券を別に購入すれば、九州新幹線や在来線特急にも乗車できる、使い勝手のよいきっぷです。JR九州の魅力的な観光列車の乗車にピッタリのフリーきっぷです。
※2020.03.29更新
「ぐるっと九州きっぷ」とは?
「ぐるっと九州きっぷ」は、JR九州の普通列車・快速列車に3日間乗り放題となるフリーきっぷです。特急券や指定席券を別途購入すれば、九州新幹線や特急列車、全車指定席の観光列車にも乗車できます。
- 利用期間:~2021年4月2日(金) ※利用制限日なし
- 発売期間:~2021年3月31日(水)
- 利用開始日の1ヶ月前から利用開始当日まで
- 有効期間:連続する3日間
- 発売箇所:JR九州インターネット列車予約、JR九州の主な駅、九州内の主な旅行会社等
- フリーエリア・効力
- JR九州全線の普通列車・快速列車の自由席に乗り放題
- 別途、特急券を購入すれば、九州新幹線、在来線特急列車に乗車可能
- 別途、指定席券を購入すれば、全車指定席の普通・快速列車(観光列車含む)に乗車可能
- おねだん
- インターネット予約で購入の場合: おとな 14,300円,こども 7,150円
- 窓口で購入の場合: おとな 14,800円,こども 7,400円
詳しくは、JR九州のWebサイトをご確認ください。
このきっぷの特徴は、JR九州の全線に乗車できるという汎用性の高さと、利用制限日がなく、いつでも利用できるという利便性の高さでしょう。
「ぐるっと九州きっぷ」のお得な使い方は?
「ぐるっと九州きっぷ」のお得な使い方、それは、ズバリ、新幹線・特急列車を活用した九州周遊の旅 でしょう。以下、詳しく解説します。
普通列車だけで元を取るのは難しい!
3日間で14,300円の「ぐるっと九州きっぷ」。このきっぷ単体で、JR九州の普通・快速列車に乗り放題ですが、それだけで元を取るのは難しいでしょう。おそらく、ずっと普通列車に乗りっぱなしになってしまいます。
1日あたり約4,770円。青春18きっぷは、1日あたり2,410円ですから、単純に比べると2倍近い価格になってしまいます。
JR九州の普通運賃表に照らし合わせてみると、運賃が4,700円を超えるのは241km以上から です。新幹線なら1時間半、特急列車でも3時間くらいの距離ですが、普通列車の場合には5時間以上かかってしまいます。
それに、普通列車だけで九州を旅するのであれば、「旅名人の九州満喫きっぷ」のほうがお得です。1日乗り放題が3回分で11,000円(1日あたり約3,700円)です。さらに、JR九州だけでなく、私鉄や第三セクターを含む九州の全鉄道が乗り放題というきっぷです。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
新幹線・特急列車だけに乗車するなら「九州ネットきっぷ」が安い
特定の都市間を往復する使い方で、主に新幹線や特急列車だけを利用する場合には、乗車券+特急券がセットになった「九州ネットきっぷ」が安いです。名前の通り、JR九州のインターネット予約限定のきっぷですが、きっぷ受取前であれば何度でも変更が効きます。
- 博多~鹿児島中央: 9,430円(九州新幹線普通車指定席,約12%引き)
- 博多~熊本: 3,670円(九州新幹線普通車指定席,約30%引き)
- 博多~長崎: 3,150円(特急列車普通車指定席,約35%引き)
- 博多~大分・別府: 3,150円(特急列車普通車指定席,約45%引き)
区間によって割引率が大きく異なりますが、博多から熊本、長崎、大分といった主要都市へは30%以上の割引率が設定されています。これが当日購入できるので、単純な都市間往復であれば、「九州ネットきっぷ」のほうがよいでしょう。
「ぐるっと九州きっぷ」はフリーきっぷならではの周遊の旅に活用しよう!
ということで、おすすめは、新幹線や特急列車で都市間を素早く移動しつつ、九州の魅力的なローカル線に乗車する「九州周遊の旅」に活用すること です。
JR九州では、多くの観光列車が運転されていますが、その多くは特急列車として運転されています。ですので、JR九州の魅力的な観光列車の旅を楽しむのであれば、特急券を別途購入すれば特急列車にも乗車できる「ぐるっと九州きっぷ」が最適です。
博多発2泊3日のモデルコース
博多発2泊3日で、九州の観光列車を楽しむ乗り鉄のモデルコースを考えてみました。
【1日目】
- 博多 → 熊本(九州新幹線)
- 熊本 → 人吉 → 吉松(肥薩線: かわせみ・やませみ,いさぶろう・しんぺい,SL人吉など)
- 吉松 → 鹿児島中央(肥薩線・日豊本線: 普通列車または特急はやとの風)
1日目は、熊本まで九州新幹線で出て、肥薩線の観光列車を楽しみます。肥薩線には、特急かわせみ・やませみや、特急いさぶろう・しんぺい、それに運転日限定ですが、SL人吉まで運転されています。これらの観光列車で、肥薩線の車窓を楽しむのがおすすめです。人吉~吉松間には、日本三大車窓の一つ、矢岳超えが楽しめます。ループ線やスイッチバックなど、乗り鉄にも楽しい路線ですね。
【2日目】
- 鹿児島中央 → 指宿 (→ 枕崎)(指宿枕崎線:特急指宿のたまて箱乗車・指宿観光など)
- 指宿 → 鹿児島中央(指宿枕崎線)
- 鹿児島中央 → 宮崎(日豊本線: 特急きりしま)
2日目は、指宿枕崎線の観光列車「特急指宿のたまて箱」に乗車するプランです。指宿での観光に時間を充てても良いですし、乗り鉄の方は、指宿枕崎線の終点、枕崎まで普通列車を乗り継いでもよいでしょう。途中の西大山駅は、JRの日本最南端駅です。
【3日目】
- 宮崎 → 大分 → 別府 or 由布院(日豊本線: 特急にちりん)
- 別府 or 由布院 → 博多(特急ゆふいんの森)
3日目は、宮崎から大分まで午前中に移動して、別府や由布院の温泉を楽しむ行程です。その後、特急ゆふいんの森で博多まで戻ります。
新幹線や特急列車を活用して、効率的に九州各地の観光列車を乗り歩くプランです。この行程で、ざっくり、普通運賃は17,000円くらい(別途、特急料金等が必要)になりますので、「ぐるっと九州きっぷ」を利用すれば、2,000円ほどお得になりますね。
「ぐるっと九州きっぷ」と組み合わせる特急券は「eきっぷ」を利用しよう!
「ぐるっと九州きっぷ」に組み合わせる特急券には、通常価格の特急券だけでなく、割引価格の企画きっぷや特急回数券などが利用できます。
「ぐるっと九州きっぷ」との組み合わせで活用したいのが「eきっぷ」です。JR九州のクレジットカード「JQ CARD」会員限定の特急券のみきっぷです。
この「eきっぷ」、九州から山陽新幹線経由で大阪や広島などへの格安きっぷとして知られていますが、JR九州内での新幹線や特急の特急券を購入することもできます。
主な区間の通常価格の特急料金(指定席)とeきっぷ(指定席)は以下の通りです。
路線 | 区間 | 指定席 特急料金 |
eきっぷ (指定席) |
---|---|---|---|
九州新幹線 | 博多~熊本 | 3,060円 | 2,530円 |
博多~鹿児島中央 | 5,030円 | 4,500円 | |
日豊本線 | 博多~大分 | 1,940円 | 1,410円 |
博多~宮崎 | 2,210円 | 1,680円 | |
豊肥本線 | 熊本~吉松 | 1,480円 | 950円 |
値引き率はそれほどではなく、ざっくり言えば、正規の自由席特急料金で指定席に乗車できる くらいです。それでも、1000円台~2000円台の特急料金が多い在来線特急では、数百円の割引はかなり大きいです。
この「eきっぷ」は、利用できる区間に制限がないのも特徴です。つまり、JR九州の新幹線・特急列車では、どの区間でも利用できるという点が優れています。
JR九州の特急の割引きっぷとしては、乗車券込みの「九州ネットきっぷ」が安いのですが、この「eきっぷ」は、「ぐるっと九州きっぷ」のようなフリーきっぷと組み合わせることができるので、使い勝手がよいと思います。
以上、JR九州の定番フリーきっぷ「ぐるっと九州きっぷ」をご紹介しました。きっぷの名前のとおり、九州をぐるっとまわるのにちょうどよいフリーきっぷです。魅力的なJR九州の観光列車を楽しむ旅に利用できそうですね。
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JR九州のフリーきっぷのまとめ記事です。主要なフリーきっぷについて、おおまかな使い分けについても紹介しています。
当ブログでご紹介している、旅行や乗り鉄に便利なフリーきっぷ、割引きっぷの目次ページです。