千葉県とJR東日本千葉支社は、千葉県内のJR線や私鉄各線と観光地のバス路線に、連続する2日間乗り放題となる「サンキュ・ちばフリーパス」を早春(2022年1月~2月)に発売します。JR線や私鉄各線の乗り鉄に加えて、路線バスが利用できる房総半島や銚子への1泊2日の観光にも有効です。
※新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、1月15日から当面の間、発売を停止するとのことです。購入済みの「サンキュー・ちばフリーパス」は、1月15日以降でも利用できるそうです。
「サンキュー・ちばフリーパス」とは?
「サンキュー・ちばフリーパス」の概要は以下のとおりです。
- 利用期間: 2022年1月4日(火)~2月28日(月)
- 発売期間: 2022年1月4日(火)~2月27日(月)
- 利用開始日の1ヶ月前から、利用日当日まで購入可能
- 有効期間: 連続する2日間
- フリーエリア(鉄道・フェリー)
- 千葉県内のJR線
- 小湊鉄道 全線(五井~上総中野)
- いすみ鉄道線 全線(大原~上総中野)
- 銚子電鉄線 全線(銚子~外川)
- 流鉄流山線 全線(馬橋~流山)
- 東京湾フェリー(久里浜港~金谷港)
- フリーエリア(路線バス)
- 小湊鉄道バス
- 養老渓谷~粟又ごりやくの湯
- 勝浦駅~ミレーニア勝浦
- 九十九里鉄道バス 東金駅~本須賀・白里 ほか(片貝線・豊海線)
- 千葉交通バス JR成田駅西口~竜角寺台車庫
- 京成タクシー成田 安食駅~竜角寺台車庫
- ジェイアールバス関東
- 館山駅~潮留橋~安房神戸~安房自然村~フラワーパーク~長尾橋~野島埼灯台口~安房白浜
- 館山駅~城山公園前~西岬~洲の崎~伊戸~南房パラダイス~相の浜
- 八日市場駅~多古台BT~成田空港~航空科学博物館~JR成田駅
- 多古台BT~佐原駅
- 日東交通
- 館山駅~安房白浜(豊房線)
- 館山駅~亀田病院(館山鴨川選)
- 館山駅~館山航空隊(市内線)
- 館山駅~千倉駅~安房白浜(館山千倉白浜線)
- 亀田病院~平塚本郷(長狭線)
- 亀田病院~東京湾フェリー(金谷線)
- 仁右衛門島入口~鴨川駅~鴨川シーワールド~天津駅~小湊駅~誕生寺入口(鴨川市内線)
- 小湊鉄道バス
- きっぷの効力:
- フリーエリア内の普通列車(快速列車含む)の普通車自由席に乗り放題
- 特急券、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」などを別途購入すればフリーエリア内の特急列車にも乗車可能
- 発売箇所: JR東日本の千葉県内の主な駅(指定席券売機のみでの発売)
- おねだん
- おとな 3,970 円 こども 1,980 円
フリーエリア(鉄道・船)は以下の図のとおりです。
(出典)~鉄道の安全・安心~「サンキュー♥ちばフリーパス」で早春の房総をお楽しみください!(JR東日本千葉支社ニュースリリース 2021年12月22日)
※きっぷの名称の「サンキュー」と「ちばフリーパス」「ちば乗車券」の間にある中黒は、本来はハートマークですが、環境依存文字のようなので中黒に置き換えています。
詳細は、JR東日本千葉支社のニュースリリースをご覧ください。
「サンキュー・ちばフリーパス」おすすめのルート
観光地の一部バス路線が乗り放題だったり、連続する2日間利用可能だったりするところから、ターゲット層は宿泊旅行の観光客だと思われますが、「乗り鉄+ちょい観光」の旅にも十分利用できます。いくつか、おすすめルートを紹介します。
房総半島ぐるっと一周ルート
JR線で房総半島をぐるっと一周するルートです。千葉あるいは蘇我から、時計回りに外房線→内房線と回るルートと、反時計回りに内房線→外房線と回るルートがあります。途中で観光をする場合は、観光地に到着したい時間を考慮して、どちらのルートにするかを決めるのがよいでしょう。
駅から近い観光スポットとしては、安房鴨川駅周辺の観光地、例えば、鴨川シーワールドはバスで10分ほどです。
また、最寄駅から徒歩でアクセスできる観光スポットとしては、内房線 浜金谷駅から徒歩8分の「鋸山ロープウェイ」がおすすめです。
鋸山は、浦賀水道に面した海岸線にあり、天気が良ければ対岸の三浦半島(神奈川県の久里浜あたり)がよく見えます。さらに、その向こうに富士山まで見えることもあります。
上の写真は、鋸山の山頂から房総半島の南側、館山湾の方を撮影したものですが、駅から徒歩でアクセスできる場所からの景色とは思えないほどの絶景です。
鋸山と鋸山ロープウェイについては、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

単にぐるっと一周するだけでは元が取れませんが、途中下車したり、フリーエリア内のバスに乗車して観光スポットを訪ねたりすれば、十分元が取れると思います。せっかく2日間有効のフリーきっぷなのですから、どこかで一泊して観光を楽しみたいところですね。
東京湾フェリー+房総半島一周ルート
2019年からは、東京湾フェリーがフリーエリアに入りましたので、前述の房総半島を一周するルートに、東京湾フェリーを組み込むのも面白いでしょう。
横須賀線で終点の久里浜駅へ、路線バスで久里浜港に出て、東京湾フェリーに乗船。金谷港から浜金谷駅(徒歩約8分)へ出てもよいですし、鋸山ロープウェイ(金谷港から徒歩約15分)に乗車し、鋸山からの絶景を楽しんでも良いでしょう。
東京湾フェリー+房総半島一周のおすすめルートを以下の記事で紹介しています。青春18きっぷを利用した日帰り旅のルートとして紹介していますが、「サンキュー・ちばフリーパス」なら、館山や鴨川で一泊して、観光を存分に楽しむこともできます。

「小湊鉄道」+「いすみ鉄道」房総半島横断ルート
2020年から小湊鉄道がフリーエリアに入りましたので、小湊鉄道といすみ鉄道を乗り継いで、房総半島を横断する旅もおすすめです。房総半島というと「海」の観光がメインだと思われがちですが、内陸部にも魅力的な観光スポットがたくさんあります。
小湊鉄道、いすみ鉄道とも非電化路線、つまり、ディーゼルカー(気動車)が走る路線です。沿線の田園風景や里山風景とあいまって、東京から特急列車で1時間とは思えないほど、のどかでのんびりとした旅を楽しむことができます。
房総半島中央部にある養老渓谷駅で下車し、路線バスで養老渓谷へ移動してハイキングや温泉を楽しむこともできます。養老渓谷は、関東地方で最も遅い紅葉を楽しむことができるスポットとしても有名です。
いすみ鉄道の中心駅、大多喜駅で下車しての観光もおすすめです。駅周辺には、昔ながらの蔵造りの建物が多く残っています。また、徒歩15分ほどのところには、本田忠勝が築城したことで知られる大多喜城(天守閣は復元)があります。現在、天守閣の内部は博物館になっています。
房総半島横断ルートについては、以下の記事で詳しく紹介しています。青春18きっぷの日帰りルートとしての記事ですが、「サンキュー・ちばフリーパス」なら、追加できっぷを買うことなく、小湊鉄道やいすみ鉄道にも乗車できます。

銚子電鉄の旅
最後は、銚子電鉄の旅です。銚子電鉄は経営が厳しく、名物「ぬれ煎餅」を売って会社の経営を支えたり、脱線事故が発生したときには、地元の高校生がクラウドファンディングで支援を募って復旧させたりといったことがありました。
そんな銚子電鉄ですが、銚子観光をするにはぜひ利用したい鉄道です。上の写真にあるような古い電車が走ります。
銚子電鉄沿線の観光スポットでおすすめの一つは、犬吠駅から徒歩15分ほどの「地球の丸く見える丘展望館」です。
太平洋を見渡せる場所にあり、水平線が丸く見えるそうです。
丸く見えるでしょうか? よくわかりませんね…。
海岸線近くに行きたい場合は、同じく犬吠駅から徒歩7分の「犬吠埼灯台」がおすすめです。
ごつごつとした岩が広がる海岸線に、白が鮮やかな灯台が建っています。1874年に建てられた古い灯台です。

「サンキュー・ちばフリーパス」に特急券を加えて特急列車を活用しよう!
2日間有効のフリーきっぷということで、目的地は南房総や銚子など、東京や千葉からは少し距離があるところになると思いますが、そんなときは、別途、特急券を購入して、特急列車を活用しましょう。
前述の通り、「サンキュー・ちばフリーパス」は、別途特急券を購入すれば、特急列車にも乗車できます。
房総半島~都心の移動に利用できる特急列車は、以下のとおりです。
列車名 | 区間 | 路線 |
---|---|---|
しおさい | 東京・千葉~銚子 | 総武本線経由 |
わかしお | 東京・千葉~勝浦・安房鴨川 | 外房線経由 |
新宿わかしお | 新宿・千葉~安房鴨川 | 外房線経由 |
さざなみ | 東京・千葉~君津 | 内房線経由 |
新宿さざなみ | 新宿・千葉~館山 | 内房線経由 |
「サンキュー・ちばフリーパス」に組み合わせる特急券は、通常の特急券だけでなく、房総料金回数券や「えきねっとトクだ値(料金券)」などの割引きっぷを利用することもできます。
以下では、「サンキュー・ちばフリーパス」と組み合わせて使えるお得な割引きっぷ等について、紹介します。
「サンキュー・ちばフリーパス」は千葉県内のJR線の駅でのみ発売、往路の特急利用時は注意!
「サンキュー・ちばフリーパス」に特急券を追加して、特急列車を利用する場合には、ちょっと注意が必要です。というのも、「サンキュー・ちばフリーパス」は、千葉県内のJR線の駅でのみ発売となっているためです。
「サンキュー・ちばフリーパス」のフリーエリアで運転されている特急列車は、「しおさい」「わかしお」「さざなみ」など、いずれも東京駅(新宿駅)と千葉県内の各地を結ぶ列車です。
これらの特急列車で、東京都内から千葉へアクセスする場合、「サンキュー・ちばフリーパス」をどこで、いつ入手するかという問題があります。考えられる方法としては、以下の3つくらいでしょう。
- 「サンキュー・ちばフリーパス」の利用開始日の前日までに千葉県内のJR線の駅で購入しておく
- 「サンキュー・ちばフリーパス」の利用開始当日に千葉県内の駅で購入し、千葉県内の駅から特急列車に乗車する
- 往路は「サンキュー・ちばフリーパス」を利用せずに通常料金で特急列車に乗車し、特急列車を下車した駅で「サンキュー・ちばフリーパス」を購入する
「サンキュー・ちばフリーパス」は利用開始日の1ヶ月前から発売しますので、千葉県内のJR線の主要駅にアクセスできる方は、1. の方法が確実でしょう。
一方、利用開始日に入手しようとすると、2. または 3. の方法になります。
最大限、「サンキュー・ちばフリーパス」を活用しようとすると 2. の方法になりますが、出発地が東京都内の場合は面倒です。簡単なのは 3. の方法ですが、東京都内~特急列車の下車駅間の運賃が別途発生してしまいます。
いずれの方法も、メリット、デメリットがあるので、旅行の出発地や、特急列車の下車駅までの運賃などを比較検討して決めるとよいでしょう。
2名以上なら「房総料金回数券」がお得!
※「房総料金回数券」は、2022年2月12日で発売終了となります。2022年3月11日まで利用できます。
2名以上での旅行であれば、房総半島への特急列車に利用できる「房総料金回数券」が利用できます。「房総料金回数券」は4枚つづりの回数券で、2名で往復の特急列車に乗車するといった使い方ができます。
例えば、千葉~安房鴨川・館山の例では、
- 指定席特急券を普通に購入: 1,480円(通常期)×4枚で 5,920円
- 「房総料金回数券」(指定席, 4枚つづり): 3,800円
と、2,000円以上もお得です。
特急の回数券というとビジネス客が使うものと思われがちですが、4枚つづりであれば、2名以上でのレジャーにも有効に活用できます。
「房総料金回数券」については、JR東日本の「おトクなきっぷ」のページをご確認ください。
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」はチケットレスで便利!
房総方面、銚子方面への特急列車には、乗車券やフリーきっぷと組み合わせられる「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」が設定されています。いわば、割引特急券です。「チケットレス特急券」という名称のとおり、スマートフォンから購入して、そのままチケットレスで乗車できます。
「サンキュー・ちばフリーパス」と組み合わせて利用できる「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は、以下のとおりです。(主な区間のみ)
列車名 | 区間 | おねだん |
---|---|---|
わかしお さざなみ | 東京~勝浦 ・安房鴨川 | 1,220円 |
蘇我~勝浦 ・安房鴨川 | 960円 | |
新宿わかしお 新宿さざなみ | 新宿~勝浦 ・安房鴨川・館山 | 1,220円 |
千葉・蘇我~ 勝浦・安房鴨川・館山 | 960円 | |
しおさい | 東京~銚子 | 1,220円 |
千葉~銚子 | 960円 |
※上記以外の設定区間もあり
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は、列車の出発時刻直前まで購入することができ、特急料金が35%引きになります。席数限定ですので、空席があっても購入できない場合もありますので、注意しましょう。
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は1名から購入できますし、片道での購入もできます。千葉県外から千葉県へ旅行をする場合、前述のとおり、「サンキュー・ちばフリーパス」を購入するために、フリーエリアの駅でいったん下車する必要があります。そのため、例えば、往路は普通列車を利用、復路は特急列車を利用するといった場合には、「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」が便利です。
「えきねっとトクだ値」については、以下の記事もご覧ください。

以上、『【サンキュー・ちばフリーパス】千葉県内のJR線、私鉄路線、観光地の路線バスに2日間乗り放題のフリーきっぷ! 2022年は早春にも発売!』でした。この秋は、フリーきっぷを活用して、千葉の乗り鉄と観光を楽しんでみたいところですね。
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