千葉県とJR東日本千葉支社は、千葉県内のJR線や私鉄各線と観光地のバス路線に、連続する2日間乗り放題となる「サンキュ・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」を秋(2023年9月~10月)と冬(2024年1月~2月)に発売します。2023年度版から新たに北総鉄道もフリーエリアに加わりました。JR線や私鉄各線の乗り鉄に加えて、観光地の路線バスが利用できますので、房総半島や銚子などへの1泊2日の観光にも有効なフリーきっぷです。
この記事では、「サンキュ・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」の概要、2023年度版の変更点に加えて、おすすめの路線やルートを紹介します。
「サンキュー・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」とは?
「サンキュー・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」の概要は以下のとおりです。
きっぷ名 | サンキュー・ちばフリーパス |
---|---|
利用期間 | 秋季: 2023年9月1日(金)~10月31日(火) 冬季: 2024年1月4日(木)~2月29日(木) |
備考 | |
発売期間 | 秋季: 2023年9月1日(金)~10月30日(月) 冬季: 2024年1月4日(木)~2月28日(水) |
有効期間 | 2日間 |
フリーエリア | ・千葉県内のJR線 ・小湊鉄道 全線(五井~上総中野) ・いすみ鉄道線 全線(大原~上総中野) ・銚子電鉄線 全線(銚子~外川) ・流鉄流山線 全線(馬橋~流山) ・北総鉄道(矢切~印旛日本医大) ・小湊鐵道、九十九里鐵道、ジェイアールバス関東、日東交通、千葉交通、京成タクシー成田の指定路線バス ・東京湾フェリー(久里浜港~金谷港) |
フリーエリア (図) | |
出典 | https://maruchiba.jp/feature/39pass.html |
効用 | ・「サンキュー・ちばフリーパス」はフリーエリア内の鉄道、路線バス、フェリーに連続する2日間乗車可能 ・「サンキュー・ちばフリー乗車券」は、東京都区内からフリーエリアまでの往復と、フリーエリア内の鉄道、路線バス、フェリーに連続する2日間乗車可能 |
発売会社 | JR東日本 |
発売箇所 | ・サンキュー・ちばフリーパス: JR東日本の千葉県内の主な駅、久里浜駅の指定席券売機 ・サンキュー・ちばフリー乗車券: JR東日本の首都圏の主な駅の指定席券売機 |
価格(大人) | 3,970円 |
価格(小児) | 1,980円 |
なお、「サンキュー・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」の価格は以下のとおりです。
- サンキュー・ちばフリーパス: 大人 3,970円,小人 1,980円
- サンキュー・ちばフリー乗車券: 大人 4,790円,小人 2,390円
詳細は、JR東日本千葉支社のニュースリリースをご覧ください。
また、「サンキュー・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」では、各社の駅売店や飲食店などで割引を受けられる特典があります。以下の千葉県公式観光物産サイトで詳細を確認することができます。

2023年度は秋と冬の2回発売! 新たに北総鉄道もフリーエリアに!
これまで「サンキュー・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」は、秋のみの発売でしたが、2023年度は秋と冬の2回発売されます。あわせて4か月間の利用期間となります。
- 2022年度
- 秋季: 2022年9月1日(木)~11月30日(水)
- 2023年度
- 秋季: 2023年9月1日(金)~10月31日(火)
- 冬季: 2024年1月4日(木)~2月29日(木)
秋の利用期間から11月が除外されてしまいましたが、その代わりに、冬季の1月~2月にも利用できるようになります。
また、新たに北総鉄道の千葉県内の区間(矢切~印旛日本医大間)がフリーエリアに加わりました。フリーエリアが増えたにもかかわらず、お値段は据え置きとなっているのもうれしいですね。
東京都区内発の「サンキュー・ちばフリー乗車券」も発売
千葉県内のフリーエリアのみに有効な「サンキュー・ちばフリーパス」以外に、東京都区内からフリーエリアまでの往復の乗車券を含む「サンキュー・ちばフリー乗車券」も発売されます。
フリーエリアのみの「サンキュー・ちばフリーパス」と、東京都区内発着の「サンキュー・ちばフリー乗車券」の差額は800円。片道400円の違いですので、フリーエリアの駅まで片道400円以上かかるところから出発するのであれば、「サンキュー・ちばフリー乗車券」のほうがお得です。
また、「サンキュー・ちばフリーパス」は千葉県内の指定された駅でしか購入できませんので、千葉県外の方が利用する場合には、一旦下車して「サンキュー・ちばフリーパス」を購入する必要があります。一方、「サンキュー・ちばフリー乗車券」のほうは、首都圏の主な駅で販売していますので、途中で下車する必要がありません。途中下車して「サンキュー・ちばフリーパス」を購入するのが面倒な場合は、片道400円以内の駅からでも、「サンキュー・ちばフリー乗車券」を購入してしまってもよいでしょう。
「サンキュー・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」に特急券を加えて特急でアクセスしよう!
2日間有効のフリーきっぷということで、目的地は南房総や銚子など、東京や千葉からは少し距離があるところになると思いますが、そんなときは特急券を購入して、特急列車でアクセスしましょう。
前述の通り、「サンキュー・ちばフリーパス」「サンキュー・ちばフリー乗車券」は、別途特急券を購入すれば、特急列車にも乗車できます。
房総半島へのアクセスに利用できる特急列車は、以下のとおりです。
列車名 | 区間 | 路線 |
---|---|---|
しおさい | 東京~銚子 | 総武本線経由 |
わかしお | 東京~勝浦・安房鴨川 | 外房線経由 |
新宿わかしお | 新宿~安房鴨川 | 外房線経由 |
さざなみ | 東京~君津 | 内房線経由 |
新宿さざなみ | 新宿~館山 | 内房線経由 |
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」はチケットレスで便利!
房総方面、銚子方面への特急列車には、乗車券やフリーきっぷと組み合わせられる「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」が設定されています。いわば、割引特急券です。「チケットレス特急券」という名称のとおり、スマートフォンから購入して、そのままチケットレスで乗車できます。
「サンキュー・ちばフリーパス」と組み合わせて利用できる「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は、以下のとおりです。(主な区間のみ)
列車名 | 区間 | おねだん |
---|---|---|
わかしお さざなみ | 東京~勝浦 ・安房鴨川 | 1,220円 |
蘇我~勝浦 ・安房鴨川 | 960円 | |
新宿わかしお 新宿さざなみ | 新宿~勝浦 ・安房鴨川・館山 | 1,220円 |
千葉・蘇我~ 勝浦・安房鴨川・館山 | 960円 | |
しおさい | 東京~銚子 | 1,220円 |
千葉~銚子 | 960円 |
※上記以外の設定区間もあり
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は、列車の出発時刻直前まで購入することができ、特急料金が35%引きになります。席数限定ですので、空席があっても購入できない場合もありますので、注意しましょう。
「えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)」は1名から購入できますし、片道での購入もできます。
「えきねっとトクだ値」については、以下の記事もご覧ください。

「サンキュー・ちばフリーパス」おすすめのルート
観光地の一部バス路線が乗り放題だったり、連続する2日間利用可能だったりするところから、ターゲット層は宿泊旅行の観光客だと思われますが、「乗り鉄+ちょい観光」の旅にも十分利用できます。いくつか、おすすめルートを紹介します。
房総半島ぐるっと一周ルート
JR線で房総半島をぐるっと一周するルートです。千葉あるいは蘇我から、時計回りに外房線→内房線と回るルートと、反時計回りに内房線→外房線と回るルートがあります。途中で観光をする場合は、観光地に到着したい時間を考慮して、どちらのルートにするかを決めるのがよいでしょう。
駅から近い観光スポットとしては、安房鴨川駅周辺の観光地、例えば、鴨川シーワールドはバスで10分ほどです。
また、最寄駅から徒歩でアクセスできる観光スポットとしては、内房線 浜金谷駅から徒歩8分の「鋸山ロープウェイ」がおすすめです。
鋸山は、浦賀水道に面した海岸線にあり、天気が良ければ対岸の三浦半島(神奈川県の久里浜あたり)がよく見えます。さらに、その向こうに富士山まで見えることもあります。
上の写真は、鋸山の山頂から房総半島の南側、館山湾の方を撮影したものですが、駅から徒歩でアクセスできる場所からの景色とは思えないほどの絶景です。
鋸山と鋸山ロープウェイについては、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

単にぐるっと一周するだけでは元が取れませんが、途中下車したり、フリーエリア内のバスに乗車して観光スポットを訪ねたりすれば、十分元が取れると思います。せっかく2日間有効のフリーきっぷなのですから、どこかで一泊して観光を楽しみたいところですね。
房総半島を海沿いにぐるっと一周する外房線・内房線の乗車記については、以下の記事をご覧ください。途中、太平洋の大海原を車窓から眺められる区間もあります。

東京湾フェリー+房総半島一周ルート
「サンキュー・ちばフリーパス」のフリーエリアには、東京湾フェリーが入っていますので、前述の房総半島を一周するルートに、東京湾フェリーを組み込むのも面白いでしょう。
横須賀線で終点の久里浜駅へ、路線バスに乗り換えて久里浜港に出て、東京湾フェリーに乗船。金谷港から浜金谷駅(徒歩約8分)へ出てもよいですし、鋸山ロープウェイ(金谷港から徒歩約15分)に乗車し、鋸山からの絶景を楽しんでも良いでしょう。
東京湾フェリーについては、当ブログの乗船記をぜひご覧ください。

また、東京湾フェリー+房総半島一周のおすすめルートを以下の記事で紹介しています。青春18きっぷを利用した日帰り旅のルートとして紹介していますが、「サンキュー・ちばフリーパス」なら、館山や鴨川で一泊して、観光を存分に楽しむこともできます。

「小湊鉄道」+「いすみ鉄道」房総半島横断ルート(五井~上総中野~大原)
「サンキュー・ちばフリーパス」の特徴の一つが、JR東日本の路線以外にも、千葉県内の中小私鉄路線に乗車できることです。周遊の旅におすすめなのが、房総半島の中央を横断する小湊鉄道といすみ鉄道の乗り継ぎです。
房総半島というと「海」の観光がメインだと思われがちですが、内陸部にも魅力的な観光スポットがたくさんあります。
小湊鉄道、いすみ鉄道とも非電化路線、つまり、ディーゼルカー(気動車)が走る路線です。沿線の田園風景や里山風景とあいまって、東京から特急列車で1時間とは思えないほど、のどかでのんびりとした旅を楽しむことができます。
房総半島中央部にある養老渓谷駅で下車し、路線バスで養老渓谷へ移動してハイキングや温泉を楽しむこともできます。養老渓谷は、関東地方で最も遅い紅葉を楽しむことができるスポットとしても有名です。
いすみ鉄道の中心駅、大多喜駅で下車しての観光もおすすめです。駅周辺には、昔ながらの蔵造りの建物が多く残っています。また、徒歩15分ほどのところには、本田忠勝が築城したことで知られる大多喜城(天守閣は復元)があります。現在、天守閣の内部は博物館になっています。
房総半島横断ルートについては、以下の記事で詳しく紹介しています。青春18きっぷの日帰りルートとしての記事ですが、「サンキュー・ちばフリーパス」なら、追加できっぷを買うことなく、小湊鉄道やいすみ鉄道にも乗車できます。

銚子電鉄の旅(銚子~外川)
最後は、銚子電鉄の旅です。銚子電鉄は経営が厳しく、名物「ぬれ煎餅」を売って会社の経営を支えたり、脱線事故が発生したときには、地元の高校生がクラウドファンディングで支援を募って復旧させたりといったことがありました。
そんな銚子電鉄ですが、銚子観光をするにはぜひ利用したい鉄道です。上の写真にあるような古い電車が走ります。
銚子電鉄沿線の観光スポットでおすすめの一つは、犬吠駅から徒歩15分ほどの「地球の丸く見える丘展望館」です。
太平洋を見渡せる場所にあり、水平線が丸く見えるそうです。
丸く見えるでしょうか? よくわかりませんね…。
海岸線近くに行きたい場合は、同じく犬吠駅から徒歩7分の「犬吠埼灯台」がおすすめです。
ごつごつとした岩が広がる海岸線に、白が鮮やかな灯台が建っています。1874年に建てられた古い灯台です。

銚子電鉄については、当ブログで公開している乗車記もぜひご覧ください。

以上、『【サンキュー・ちばフリーパス】千葉県内のJR線、私鉄路線、観光地の路線バスに2日間乗り放題のフリーきっぷ! 2023年度は秋季と冬季の2回発売!』でした。この秋は、フリーきっぷを活用して、千葉の乗り鉄と観光を楽しんでみたいところですね。
関連記事
「サンキュー・ちばフリーパス」のフリーエリアに含まれる流鉄流山線の記事です。メジャーな観光地ではありませんが、流山駅から徒歩でもすぐの流山本町では、古い街並みを眺めながらの街歩きが楽しめます。


JR各社の格安フリーきっぷをまとめた記事です。随時更新していますので、現在~3か月後くらいの間で利用できるおすすめのきっぷを紹介しています。ぜひご覧ください。

JR東日本のフリーきっぷ・割引きっぷのまとめ記事です。乗り鉄や鉄道中心の旅行におすすめのきっぷを中心に取り上げています。

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