全国を鉄道で旅していると訪れたくなるのが「岬」です。岬から眺める海の絶景はもちろんのこと、その地方の端っこにあるため、最果ての地までやってきたという感慨にふけることもできます。この記事では、海岸線や海に近いところを走る路線に乗車した時に訪れたい「岬」を紹介します。
途中下車して岬を訪問しよう!
なぜ岬訪問なのか? 一言で言えば、最果てまで旅してやってきたという満足感(?)に浸れるのが理由でしょうか。それに、旅好きな人ならそうだと思うのですが、「日本最北端」とか「本州最北端」とか、そういう響きに弱いのですよね(笑) 稚内まで鉄道でやってきたら、やはり宗谷岬まで足を延ばしたくなりますよね。
以下では、これまでの汽車旅で訪れたことのある岬を紹介します。少し選択が偏っていたり、「ちょい観光」とは言えないほどアクセスに時間がかかるところも含まれますが、ご容赦ください。
宗谷岬(宗谷本線 稚内駅からバスで約50分)
まず紹介したいのは、日本最北端の宗谷岬です。JR北海道の宗谷本線(旭川~稚内)の終点、稚内駅から路線バスでアクセスできます。天気が良ければ、彼方にサハリンの島影を見ることもできます。
鉄道で稚内まで行こうとすると、札幌駅から特急「宗谷」で5時間をかけて行くことになります。北の都からさらに特急で5時間もかかるということで、最果て感を味わうことができます。
宗谷本線の車窓も必見です。北海道らしい広大な畑や牧草地が広がる風景から、荒涼とした最果てを感じられる車窓まで、飛行機で一気に稚内まで行ってしまうと味わえない旅情があります。
路線バスの時間があわない場合は、稚内駅でレンタカーを借りるのもよいでしょう。2020年8月に訪問したときには、稚内駅前でレンタカーを借りて、宗谷岬やノシャップ岬、サロベツ湿原などを巡りました。
稚内駅から宗谷岬へは、宗谷バスの路線バスが運行しています。本数が少ないのでご注意ください。時刻表は、宗谷バスのWebサイトで確認することができます。
納沙布岬(根室本線 根室駅からバスで約45分)
納沙布岬は、根室本線の終点、根室駅からバスでアクセスできます。日本の(離島を除く)本土最東端です。北方領土を間近に望む岬で、わずか4キロ弱先には、歯舞群島の島々の一つ、貝殻島が見えます。本当に目と鼻の先という感じです。北方領土の問題を考えさせられると思います。
最果て感を味わうという意味では、花咲線(根室本線の釧路~根室)もおすすめです。荒涼とした車窓が続き、北海道の路線の中でも、最果て感を強く感じられる路線です。
根室駅から納沙布岬へは、根室交通の路線バスが出ています。時刻表は、以下の根室交通のWebサイトから見ることができます。
えりも岬(日高本線 帯広駅からバスで約3時間)
えりも岬は、北海道の南端にある岬です。北海道の中央を南北に貫く日高山脈が、そのまま太平洋に突き出ているような形に特徴があります。岬の先にも、岩礁が点々と続いていて、山脈が海底まで続いている様子がわかります。
えりも岬の一つの特徴は、とにかく風が強いこと! いつも強風で、風速10メートル以上の風が吹く日が、年間で300日近くもあるそうです。風が強いので雪はほとんど積もりません。夏も海からの風の影響で、気温は25度を超えることはないそうです。
えりも岬へは、かつては日高本線の様似駅から路線バスでアクセスできたのですが、残念ながら日高本線の鵡川~様似間は廃線になってしまいました。日高本線の代替バスを乗り継いでえりも岬に行くことはできますが、かなりアクセスが悪くなってしまいました。
公共交通機関でのえりも岬へのアクセスについては、以下のWebサイトをご確認ください。日高本線沿線からよりも、帯広からのほうがアクセスしやすいかもしれません。
竜飛崎(龍飛崎)(津軽線 三厩駅からバスで約30分)
津軽半島(青森県の西側の半島)の最北端で、津軽海峡に突き出た岬です。津軽線の三厩駅から路線バスでアクセスできます。バスを降りると、小さな灯台を中心に、遊歩道が整備されています。岬からは、天気が良ければ、北海道の松前半島を望むことができます。
この竜飛崎の地下には、本州と北海道を結ぶ青函トンネルが通っています。その青函トンネルの工事の際に利用された青函トンネル竜飛斜坑線が残っています。「青函トンネル記念館」に行けば、その斜坑線に乗って、青函トンネルまで下りることができます。実際に乗ってみましたが、海底駅も廃止されてしまった今となっては、貴重な体験になることは間違いありません。
また、そのほか、国道なのに階段がある「階段国道」(国道399号線)などの観光スポットもあります。いずれも、三厩駅からのバスでアクセスできますので、岬訪問に加えて、これらの観光名所を巡るのもおすすめです。崎
三厩駅から竜飛崎までは、外ヶ浜町の町営バスが運行されています。三厩駅までの津軽線の列車も含めて、運転本数が多くありませんので、事前に計画を立ててから訪問されることをおすすめします。
潮岬(紀勢本線 串本駅からバスで約15分)
和歌山県にある本州最南端の岬です。最寄り駅の串本駅(紀勢本線)から、串本町のコミュニティバスで約15分と、比較的アクセスしやすいです。
夏に訪れたことがありますが、南国・紀伊半島らしく、濃紺色の海と碧い空が印象的でした。南紀は生マグロでも有名ですので、グルメも合わせて楽しみたいところです。
青春18きっぷでの旅となると、串本駅までたどり着くのがかなり大変です。名古屋や大阪からでも一日がかりです。ただ、周辺には、勝浦港、那智山・那智の滝、熊野古道、クジラで有名な太地など、観光地が多くあります。これらの観光と合わせて、潮岬を訪れるのがおすすめです。
紀勢本線の車窓については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、よろしければご覧ください。
串本駅から潮岬までは、串本町のコミュニティバスが運行されています。時刻表や料金は、以下の串本町のWebサイトで確認できます。
室戸岬(土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線 奈半利駅からバスで約1時間)
高知県の南東部にある岬です。断崖絶壁が多い他の岬とは異なり、浜辺に降りることができます。
室戸岬一帯は、日本で9つしかないユネスコ世界ジオパークの一つ「室戸世界ジオパーク」に認定されています。室戸岬から眺める太平洋の絶景だけでなく、珍しい地形を楽しんでみましょう。
室戸岬の海岸に出ると、このような縞々の模様が入った岩がたくさんあります。「タービダイト」と呼ばれる堆積物の一種で、かつては海底で堆積した地層が、地殻変動などで地上に現れたものです。他にも、きれいな海岸段丘が見られるなど、地形好き?にはたまりません。
室戸岬へのアクセスは、高知東部交通の路線バス「安芸・室戸線」が利用できます。時刻表は、以下の高知東部交通のWebサイトで確認できます。
また、徳島県側からは、同じく高知東部交通の「室戸・甲浦線」が利用できます。
徳島方面から、甲浦駅、または、道の駅東洋町までは、JR牟岐線~阿佐海岸鉄道(DMV)を乗り継いでアクセスすることができます。
阿佐海岸鉄道は、2021年12月から世界初のDMV(デュアル・モード・ビークル)の運行を始めています。乗車定員が少ないので、事前に予約をするのがおすすめです。
足摺岬(土佐くろしお鉄道中村線 中村駅からバスで約1時間半)
足摺岬は、高知県の南西部にある岬です。断崖絶壁に岬の先端部からは、広い太平洋を一望できます。
鉄道の最寄り駅は、土佐くろしお鉄道の中村駅です。かなり距離がある上に、道路状況もよくないため、路線バスで約1時間半かかります。ちょっと寄り道するという感じではなく、しっかり時間を確保してから訪れたいですね。
土佐くろしお鉄道の中村駅、宿毛駅からは、高知西南交通の路線バスが出ています。以下のWebサイトで、時刻表を確認することができます。「中村・清水・足摺・宿毛線(幹線)」の時刻表を参照してください。
以上、「途中下車して岬を訪問しよう! 最果て感を味わうには何といっても岬です! ~汽車旅+ちょい観光のススメ~」をお届けしました。列車に乗りっぱなしだと疲れますので、途中下車して「岬」への観光をおすすめします。
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