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花咲線(根室本線 釧路~根室)乗車レポート! 厚岸湾と別寒辺牛湿原の最果ての車窓が見どころ!

乗車レポート
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雄大な車窓を眺められるJR北海道の路線の中でも、最果て感の強い路線が、花咲線(はなさきせん)です。花咲線は、根室本線の釧路~根室間の愛称で、列車は6往復のみの超ローカル線です。厚岸(あっけし)湾や、その沿岸に広がる別寒辺牛(べかんべうし)湿原が車窓のハイライト。なぜここに線路を敷いたのか、と思いたくなるようなところを通っていきます。

今回、「ひがし北海道フリーパス」を利用して、花咲線を往復してきましたので、乗車レポートをお届けします。

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花咲線とは?

花咲線は、根室本線の末端部分、釧路~根室間の愛称です。根室本線自体は、滝川から富良野、新得、帯広、釧路を経由して根室まで、443.8kmにも及ぶ長大な路線です。花咲線は、そのうち135.4kmを占めます。

2016年にJR北海道が公表した「単独では維持困難な線区」の一つに挙げられており、2016年度の輸送密度は457人/日。この数値だけを見れば、いつ廃止になってもおかしくありません。

全線を走る列車は1日6往復のみで、そのうち快速「はなさき」が1往復、快速「ノサップ」が下りのみ走りますが、それ以外はすべて普通列車です。

釧路市街にある駅と根室駅、それに、厚岸駅を除けば、ほとんどが1日の乗車人員が10人程度の駅ばかり。中には0.2人/日という、丸一日誰も乗り降りしないような駅もあります。

そんな最果ての路線、それが花咲線なのです。

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花咲線 乗車レポート!

というわけで、早速、花咲線の乗車レポートをお送りします。乗車したのは8月下旬の平日。乗車した列車は、

  • 釧路 16:17発 → 根室 18:49着(5633D)
  • 根室 19:01発 → 釧路 21:38着(5634D)

です。根室駅での滞在時間はたった12分!

スーパーおおぞら5号で釧路へ

この日は、成田空港からバニラエアで新千歳空港へ飛び、「ひがし北海道フリーパス」を購入してから、スーパーおおぞら5号で釧路へ向かいました。

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釧路駅に到着した「スーパーおおぞら5号」、札幌から4時間弱の旅です

定刻通りの15時56分に釧路駅に到着。自由席はずっと空いていたので、ゆったりとした特急列車の旅を楽しむことができました。

この日は釧路の宿を予約していたので、このまま釧路駅で下車して、早々にチェックインするという選択肢もありました。そうすれば、おいしい海の幸を食べることもできるでしょう。

しかし、「単独では維持困難な線区」の花咲線。この機会を逃したら、関東在住の私には、もう乗る機会はないかもしれません。そう思うと、自然と花咲線のホームへ足が向かうのでした。

帰宅の学生さんで満員!

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釧路駅5番線ホームに停車中の根室行き普通列車 帰宅の学生さんで満席!

地下道を通って5番線ホームへ行くと、すぐに1両の気動車が入ってきました。キハ54形という国鉄時代に製造された古い気動車です。20年以上前に乗り鉄を始めたときに、何度も北海道へ行きましたが、そのたびにこのキハ54形に何時間も乗りました。個人的には、北海道のローカル線といえば、この車両なのです。

発車時刻間際になると、下校の学生さんでほぼ満席に。朝の通学の時間帯と並び、ローカル線がもっとも賑やかになる時間帯ですね。

座席は、転換クロスシートというもので、進行方向を向いた座席が並びます。リクライニングはしませんが、常に進行方向を向くようにセットされているので、車窓を眺めるのには適しています。

釧路市街地を抜けるとエゾシカの襲来が!

16時09分に釧路駅を出発、東釧路、武佐と停車。このあたりまでは釧路の市街地や住宅地といったところを通ります。

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市街地を抜けるとすぐに荒涼とした風景に!

道東の中心都市、釧路から3駅で、既にこんな車窓です。さすがに北海道。とばかり喜んではいられないのです。

というのも、花咲線の釧路~厚岸間は、エゾシカの過密地帯。車窓からもかなりの数のエゾシカを見かけました。線路の上でも平気で歩いているようで、運転士は何度も警笛を鳴らしたり、急ブレーキをかけたりしています。これは、運転に相当気を使いそうです。

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貨車を改造した尾幌駅の駅舎 北海道ではよく見られます

エゾシカを最も多く見かけた森を抜けたところで、尾幌(おぼろ)駅に到着。北海道のローカル線ではよく見かける、貨車を改造した駅舎です。これは車掌車でしょうか。貨車と言っても、貨物を載せるのではなく、貨物列車で車掌が乗務するための車両ですね。

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国道と並行して走りますが、国道とは結構離れています

尾幌駅からはやや開けたところを走ります。進行方向右側、方角で言えば南側(海側)に国道44号線が通っていますが、国道と花咲線の線路の間には何もなく、原っぱのようになっていました。

17時11分、主要駅の厚岸(あっけし)駅に到着です。これまでの駅で徐々に高校生たちは下車していき、厚岸までに車内は閑散としてしまいました。

花咲線随一の絶景ポイント! 厚岸湾と別寒辺牛湿原

厚岸といえば牡蠣が有名です。一年を通じて牡蠣が食べられるのは厚岸だけなんだそうです。ただ、今回は残念ながら途中下車している時間はありません。

その厚岸をすぐに発車。ここからが花咲線の車窓のハイライトです。

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車窓のハイライト、厚岸湾

進行方向右側には厚岸湾が広がります。正確には、厚岸駅の西側が厚岸湾、東側は厚岸湖というそうです。厚岸湖は砂嘴によって海と隔てられています。たしかに、写真奥には厚岸湖の対岸が見えますね。

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厚岸湖の内側に別寒辺牛湿原が広がる荒涼とした風景

厚岸湖から少し内陸へ入っていくと、あちこちに池や沼が点在する湿原が広がります。別寒辺牛(べかんべうし)湿原です。

このあたりでは、人工物は花咲線の線路だけ。荒涼とした湿原の風景が広がります。日本にもまだこんな場所があったのか、と思えるところです。この最果て感を味わいたい方は、ぜひ花咲線へどうぞ。

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人工物が全く見えない湿原の風景

こんな車窓が続きます。写真で切り取ってしまうと、本州でも見られる風景に見えるのですが、こんな景色がひたすら続いていくのが北海道のすごいところですね。

内陸部では平原と牧場が広がる

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厚床駅近くでは広大な平原が広がります

17時58分に厚床(あっとこ)駅に到着。かつて、標津線(しべつせん)が分岐していましたが、1989年に廃止されてしまいました。このあたりは、海からだいぶ内陸側へ入っていて、広大な平原の中にポツンと牧場があるような風景が広がります。

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広大な草原に牧場が点在 北海道らしい風景がひたすら続きます

夕暮れになり、シャッタースピードを短くしても、動いている列車から写真を撮ると手前の草が流れてしまいますね。このあとは写真をとるのをやめて、こんな車窓をひたすら眺めながら、終点の根室駅までローカル線の旅を楽しみました。

最果ての駅、根室駅に到着

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根室駅に到着 19時前ですが既に暗くなっていました

18時49分、わずかな乗客を乗せて、終点の根室駅に到着しました。まだ19時前ですが、既にあたりは暗くなっています。根室駅の駅舎には、「朝日に一番近い街」というキャッチフレーズが書かれていますが、それはつまり、「一番早く日が沈む街」ということでもあります。

折返し列車は19時01分発。根室の滞在時間はわずか12分しかありません。しかし、この列車が根室駅の最終列車。これを逃すと、もう釧路方面への列車はありません。

閑散とした最終列車で釧路へ

根室駅は列車毎の改札になっているため、一旦改札を出て待ちます。一つしかないホームに停車した列車では、清掃とクロスシートの転換作業が行われています。

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折返しの釧路行き 最終列車なのに閑散としています

当然のことながら、先ほどまで乗車してきた列車が折り返します。平日の19時過ぎの列車なので、それなりに通勤客が乗っているのかと思ったら、こんな閑散とした状態です。

乗客は私を含めて10名。殆どが乗り鉄か旅行者で、ビジネス客と思われるのはスーツを着た年配の方1名のみ。これが北海道のローカル線の現実です。

既に外は真っ暗で何も見えません。都市部では街明かりが見えるのが普通ですが、このあたりでは、駅の近く以外は本当に真っ暗。漆黒の闇が続きます。

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客室とデッキは扉で隔たれていて客室内の温度を保ちます

車窓を眺められなくなったので、キハ54形の内部を紹介しましょう。寒冷地の北海道の列車らしく、普通列車用の車両でもデッキがあり、客室とは扉で隔てられています。トイレ自体は客室側に出っ張っていますが、入口はデッキのほうにありました。

キハ54形には冷房がありません。天井には扇風機が数台並んでいて、窓の横にあるボタンが扇風機のスイッチになっています。

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北海道らしい二重窓

寒冷地向けの仕様としては、この二重窓も特徴的なものでしょう。冬以外は内側の窓は開いた状態で留められていますが、気温が下がってくるとこの窓も閉めるのでしょう。

車窓が見えなくなると何もすることがなく、音楽を聞いたり、スマホをいじったりして時間を過ごしました。

結局、途中駅での乗降はほとんどなく、21時38分に終点の釧路駅に到着しました。

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ようやく釧路に戻ってきました 5時間半の乗り鉄でした

5時間半ぶりに釧路駅に戻ってきました。既に人気のない釧路駅を後にし、近くのビジネスホテルへ向かったのでした。


以上、花咲線の乗車レポートでした。車窓のハイライトは厚岸駅周辺の厚岸湾と別寒辺牛湿原ですが、それ以外でも広大な北海道の風景を眺めることができる路線です。ぜひ明るい時間帯の列車に乗って、この北海道らしい車窓を堪能することをおすすめします!

乗車レポート汽車旅汽車旅-JR北海道
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この記事を書いた人
乗り鉄歴25年!
ひさ

乗り鉄歴25年! 青春18きっぷやフリーきっぷを利用して、関東甲信越、北海道、東北によく乗り鉄に出かけます。このブログでは、これまでの乗り鉄経験を活かして、おすすめの列車や路線、青春18きっぷ活用のノウハウ、お得なきっぷの情報などを掲載しています。

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