「きた北海道フリーパス」は、道央・道北の広範囲がフリーエリアとなるフリーきっぷです。フリーエリア内の特急列車の普通車自由席に3日間乗り放題となり、指定席にも4回まで乗車できます。宗谷本線の稚内駅までがフリーエリアに入りますので、道北エリアの観光・乗り鉄向きのきっぷです。この記事では、「きた北海道フリーパス」の概要と、使いこなしのコツをご紹介します。
「きた北海道フリーパス」とは?
「きた北海道フリーパス」は、道央~道北の広い地域がフリーエリアとなり、特急列車の自由席を含めて3日間乗り放題となるフリーきっぷです。普通車指定席にも4回まで乗車することができます。
「きた北海道フリーパス」(2024年度版)の概要は以下のとおりです。
きっぷ名 | きた北海道フリーパス(2024年度) |
---|---|
利用期間 | ~2025年4月3日(木) ※4月27日~5月6日、8月10日~19日、12月28日~1月6日は利用できない |
備考 | |
発売期間 | ~2025年3月31日(月) ・2025年4月1日利用開始分まで発売 ・有効期限の開始日は購入当日または翌日 |
有効期間 | 3日間 |
フリーエリア | ・函館本線(小樽~札幌~旭川) ・宗谷本線(旭川~稚内) ・留萌本線(深川~留萌) ・石勝線(南千歳~追分) ・根室本線(滝川~富良野) ・富良野線(旭川~富良野) ・千歳線(札幌~南千歳・新千歳空港) ・室蘭本線(岩見沢~追分) |
フリーエリア (図) | ![]() |
出典 | https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Otoku/007015/ |
効用 | ・フリーエリア内の特急列車・普通列車(快速含む)の普通車自由席に乗り降り自由 ・普通車指定席に4回まで乗車可能 ・帰りのAIRDO便、Peach便で利用できる機内ご利用券(1,000円分)付き ・ANA版はANA FESTAで利用できるお買物券(1,000円分)付き ・FDA版は新千歳空港4階「アミュージアムショップフライヤー」で利用できるお買物券(1,000円分)付き |
発売会社 | JR北海道 |
発売箇所 | ・新千歳空港駅の指定席券売機・話せる券売機 ・U25用は新千歳空港駅の話せる券売機のみで発売(年齢を確認できる公的証明書の提示が必要、13,600円で発売) |
価格(大人) | 16,200円 |
価格(小児) | 8,600円 |
「きた北海道フリーパス」を購入できるのは新千歳空港駅だけです。「きた北海道フリーパス」を利用したい場合には、新千歳空港に到着する航空便で渡道するようにしましょう。
詳しくは、JR北海道のニュースリリースをご覧ください。
- JR北海道・FDAタイアップ商品「FDAひがし北海道フリーパス」「FDAきた北海道フリーパス」を継続販売します!(JR北海道ニュースリリース 2024年3月22日 PDF)
- 「Peachひがし北海道フリーパス」、「Peachきた北海道フリーパス」を継続して発売します!(JR北海道ニュースリリース 2024年3月22日 PDF)
- ANA・JR北海道共同企画「ANAきた北海道フリーパス」を4月1日以降も発売決定!(JR北海道ニュースリリース 2024年3月22日 PDF)
2024年度版「きた北海道フリーパス」は繁忙期利用不可に!
「きた北海道フリーパス」は、2024年度も継続して発売されます。2023年度に大きくリニューアルされたばかりですので、2024年度は、価格・効力ともに変更はありません。
一方、これまで「きた北海道フリーパス」は、ゴールデンウィークや年末年始といった繁忙期にも利用できましたが、2024年度からは利用不可となります。
【きた北海道フリーパス 利用除外日】
- 4月27日~5月6日(ゴールデンウィーク)
- 8月10日~19日(お盆休み)
- 12月28日~1月6日(年末年始)
繁忙期に利用できる貴重なフリーきっぷだったので残念ですが、2024年度からは利用除外日があることを念頭に置いておきましょう。
「きた北海道フリーパス」はどれくらいお得なの?
新千歳空港からフリーエリア内の主要駅への特急列車での往復料金(通常料金)と比べてみましょう。
- 新千歳空港~稚内: 21,820円(新千歳空港~札幌は快速、札幌~稚内で特急自由席利用の往復)
- 新千歳空港~美瑛~富良野: 13,380円(新千歳空港~札幌は快速、札幌~旭川で特急自由席利用の往復)
これだけみると、「きた北海道フリーパス」(16,200円)の元を取るのは簡単そうに見えます。特に、新千歳空港から稚内への往復に利用すれば、通常料金よりも5,000円以上もお得になりそうです。
ところが、JR北海道では、札幌から各都市への特急列車での往復に利用できる「指定席往復割引きっぷ(Rきっぷ)」「自由席往復割引きっぷ(Sきっぷ)」を発売しています。これらのきっぷの割引率がかなり高いため、稚内など各都市への単純往復に利用する場合は、「きた北海道フリーパス」のほうが高くなってしまう場合があります。
区間 | きっぷ | 価格 | 有効期限 | 備考 |
---|---|---|---|---|
札幌~稚内 | Rきっぷ | 13,310円 (14,410円) |
6日間 | 指定席 |
札幌~ 音威子府 |
Rきっぷ | 12,920円 (13,360円) |
6日間 | 指定席 |
札幌~旭川 | Sきっぷ | 5,550円 | 6日間 | 自由席 |
札幌~富良野 | ふらの・びえい フリーきっぷ |
7,400円 | 4日間 | 自由席 |
※Rきっぷは夏料金(4月30日~11月30日利用開始分)、カッコ内は冬料金(12月1日~3月31日利用開始分)
※新千歳空港~札幌は片道1,150円(往復2,300円)
※「ふらの・びえいフリーきっぷ」は3月下旬~10月上旬に利用可能
札幌~稚内のRきっぷが13,310円で、新千歳空港~札幌の往復を加えると15,610円です。Rきっぷは指定席を利用できることや、有効期間が6日間と長いこともあり、単純に稚内を往復する場合にはRきっぷのほうがよいでしょう。
札幌~旭川は、Sきっぷを利用すると5,000円台で往復できてしまうので、新千歳空港~札幌の往復分を加えても、Sきっぷのほうがかなり安くなります。
JR北海道のフリーきっぷについては、以下の記事をご覧ください。

周遊ルートが組みにくい「きた北海道フリーパス」は使い方に工夫が必要
単純往復で元が取るのが難しくても、周遊ルートであちこち乗りまわればおトクになるのではないかと思われます。実際、このきっぷの姉妹版「ひがし北海道フリーパス」では、新千歳空港~釧路~網走~札幌という周遊ルートを作ると、かなりお得になります。

ところが、「きた北海道フリーパス」のフリーエリアでは、周遊ルートが作りにくい のです。旭川~稚内は長大な行き止まり路線のため、鉄道だけで旅をするのであれば引き返すしかありませんが、この区間に乗らないと元を取るのは難しいです。一方、旭川~富良野~滝川という周遊ルートは作れそうですが、このエリアの旅行であれば、上の表であげた「ふらの・びえいフリーきっぷ」が断然おトクです。
ということで、他の割引きっぷやフリーきっぷと比べると、「きた北海道フリーパス」を使いこなすには工夫が必要となります。
「きた北海道フリーパス」はU25対象者ならおトク度はかなりアップ!
25歳以下限定の「U25用」なら、おトク度はかなり上がります。
例えば、新千歳空港~稚内の往復だけでも、Rきっぷ+札幌~新千歳空港の乗車券で15,610円、一方の「きた北海道フリーパスU25」であれば13,600円です。
有効期間が3日間という制約はありますが、おとな用と比べて2,500円以上も安くなると、だいぶお得感が増してきます。
「きた北海道フリーパス」がお得になるのは稚内~美瑛・富良野の周遊ルート?
それでは、(U25用ではない)「きた北海道フリーパス」が適しているルートはないのでしょうか?
- 1日目:新千歳空港~札幌~(特急ライラック・カムイ)~旭川~(特急サロベツ)~稚内(稚内泊)
- 2日目:稚内観光、稚内~(特急サロベツ)~旭川~富良野(富良野泊)
- 3日目:富良野・美瑛観光、富良野~旭川~(特急ライラック・カムイ)~札幌~新千歳空港
こんなルートで稚内と富良野を観光すれば、通常料金や割引きっぷよりもお得になります。
ただし、1日目は移動だけで終わってしまいますし、2日目、3日目の観光も午前中が中心で、午後は移動となります。2泊3日の行程では、移動に時間を割き過ぎの感が否めません。
観光よりも乗り鉄メインの道北方面への旅には「きた北海道フリーパス」がおすすめですが、観光メインの場合は元が取れない可能性がありますので、「Sきっぷ」「Rきっぷ」や「えきねっとトクだ値」などの割引きっぷとよく比較検討することをおすすめします。
「きた北海道フリーパス」で訪れたいおすすめの路線、観光スポット
「きた北海道フリーパス」を利用するのであれば、長大な宗谷本線の乗車は欠かせないでしょう。広々とした丘陵地帯に広がる牧場、荒涼とした大地、蛇行する天塩川など、車窓も素晴らしい路線です。
宗谷本線の乗車記については、以下の記事をご覧ください。車窓を中心に、途中下車して立ち寄った観光スポットも紹介しています。

「きた北海道フリーパス」で訪れたいもう一つの路線は富良野線です。丘の町「美瑛」や、初夏のラベンダーが有名な「ファーム富田」など、観光スポットが多くある路線です。特に、初夏~夏の美瑛駅や美馬牛駅周辺でのサイクリングはおすすめです。
富良野線沿線の観光スポットと、富良野エリアへのアクセスに利用できる臨時列車の情報については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。

「きた北海道フリーパス」に関するよくある質問と回答
「きた北海道フリーパス」とはどのようなきっぷですか?
「きた北海道フリーパス」は、道央~道北の広い地域がフリーエリアとなるフリーきっぷです。有効期間は3日間、特急列車の自由席に乗り放題、普通車指定席に4回まで乗車できます。
「きた北海道フリーパス」はいつ利用できますか?
「きた北海道フリーパス」は通年利用できますが、繁忙期(4月27日~5月6日、8月10日~19日、12月28日~1月6日)は利用できません。有効期間は3日間です。
「きた北海道フリーパス」の価格はいくらですか?
「きた北海道フリーパス」の価格は大人が16,200円、小児が8,600円です。25歳以下の方は「U25用」が13,600円で購入できます(年齢を証明する公的証明書が必要)。
「きた北海道フリーパス」はどのルートでお得になりますか?
新千歳空港~稚内~美瑛・富良野の周遊ルートなどを組めば、通常運賃や他の割引きっぷなどよりも「きた北海道フリーパス」がお得になります。ただし、有効期間が3日間ですので、移動に割く割合が多くなります。
「きた北海道フリーパス」を利用する上での注意点を教えてください。
「きた北海道フリーパス」のフリーエリアでは周遊ルートが組みにくくなっています。札幌~稚内の単純往復であれば、Rきっぷなど別の割引きっぷのほうがお得です。旅行の行程にあわせて、本当に「きた北海道フリーパス」がお得になるかを検討したほうがよいでしょう。
「きた北海道フリーパス」を利用する場合、おすすめの観光スポットはありますか?
「きた北海道フリーパス」を利用する場合、宗谷本線の雄大な車窓や富良野線の丘の町「美瑛」や初夏のラベンダーが有名な「ファーム富田」などがおすすめの観光スポットです。
以上、「きた北海道フリーパス」についてご紹介しました。通常料金に比べるとかなりおトクに見える「きた北海道フリーパス」ですが、割引率が高い特急の往復割引きっぷと比べると、必ずしもおトクにならない場合もあります。「きた北海道フリーパス」が本当におトクになるのか、旅行の行程と照らし合わせて、よく検討したほうがよさそうです。
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道東がフリーエリアになる「ひがし北海道フリーパス」の情報はこちらをご覧ください。「きた北海道フリーパス」よりも周遊ルートが作りやすく、使い勝手のよいフリーきっぷです。

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