「きた北海道フリーパス」は、道央・道北の広範囲がフリーエリアとなるフリーきっぷです。フリーエリア内の特急列車の普通車自由席に3日間乗り放題となり、宗谷本線の稚内駅までがエリアに入りますので、道北エリアの観光・乗り鉄向きのきっぷです。この記事では、「きた北海道フリーパス」の概要と、使いこなしのコツをご紹介します。
「きた北海道フリーパス」とは?
「きた北海道フリーパス」は、道央~道北の広い地域がフリーエリアとなり、特急列車の自由席を含めて3日間乗り放題となるフリーきっぷです。
「きた北海道フリーパス」(2023年度版)の概要は以下のとおりです。
きっぷ名 | きた北海道フリーパス(2023年度) |
---|---|
利用期間 | 2023年4月8日(土)~2023年10月3日(火) |
備考 | |
発売期間 | 2023年4月8日(土)~2023年9月30日(土) ・10月1日利用開始分まで発売 ・有効期限の開始日は購入当日または翌日 |
有効期間 | 3日間 |
フリーエリア | ・函館本線(小樽~札幌~旭川) ・宗谷本線(旭川~稚内) ・留萌本線(深川~留萌) ・石勝線(南千歳~追分) ・根室本線(滝川~富良野) ・富良野線(旭川~富良野) ・千歳線(札幌~南千歳・新千歳空港) ・室蘭本線(岩見沢~追分) |
フリーエリア (図) | ![]() |
出典 | https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Otoku/006893/ |
効用 | ・フリーエリア内の特急列車・普通列車(快速含む)の普通車自由席に乗り降り自由 ・帰りのAIRDO便、Peach便で利用できる機内ご利用券(1,000円分)付き ・ANA版はANA FESTAで利用できるお買物券(1,000円分)付き |
発売会社 | JR北海道 |
発売箇所 | ・新千歳空港駅の指定席券売機・話せる券売機 ・U25用は新千歳空港駅の話せる券売機のみで発売(年齢を確認できる公的証明書の提示が必要、11,520円で発売) |
価格(大人) | 14,150円 |
価格(小児) | 7,570円 |
2022年度版(~2023年4月5日)の内容は以下のとおりです。
きた北海道フリーパス(2022年度版)
きっぷ名 | きた北海道フリーパス |
---|---|
利用期間 | 2022年4月1日(金)~2023年4月4日(火) |
備考 | |
発売期間 | 2022年4月1日(金)~2023年3月31日(金) ・搭乗当日かつ発売箇所の営業時間内の発売 ・有効期間の開始日は搭乗当日もしくは翌日 ・U25用(25歳以下)は10,520円で発売(年齢を確認できる公的証明書の提示が必要) |
有効期間 | 4日間 |
フリーエリア | ・函館本線(小樽~札幌~旭川) ・宗谷本線(旭川~稚内) ・留萌本線(深川~留萌) ・石勝線(南千歳~追分) ・根室本線(滝川~富良野) ・富良野線(旭川~富良野) ・千歳線(札幌~南千歳・新千歳空港) ・室蘭本線(岩見沢~追分) |
フリーエリア (図) | ![]() |
出典 | https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Otoku/006742/ |
効用 | フリーエリア内の特急列車・普通列車(快速含む)の普通車自由席に乗り降り自由 |
発売会社 | JR北海道 |
発売箇所 | 新千歳空港駅(新千歳空港到着便) 旭川駅(旭川空港到着便) 稚内駅・南稚内駅(稚内空港到着便) |
価格(大人) | 13,150円 |
価格(小児) | 6,570円 |
これまで「きた北海道フリーパス」は、AIRDO便、Peach便、ANA便で対象の空港に到着した場合にのみ購入できるきっぷでしたが、2023年度版からはその制約はなくなります。その代わり、「きた北海道フリーパス」を購入できる場所が新千歳空港駅のみとなります。
詳しくは、JR北海道のニュースリリースをご覧ください。
- 「AIRDO ひがし北海道フリーパス」、「AIRDO きた北海道フリーパス」をリニューアルします!(JR北海道ニュースリリース 2023年3月24日 PDF)
- 「Peach ひがし北海道フリーパス」、「Peach きた北海道フリーパス」をリニューアルします!(JR北海道ニュースリリース 2023年3月24日 PDF)
- ANA・JR北海道共同企画「ANAきた北海道フリーパス」をリニューアルします! ~新たに対象空港のANA FESTAでご利用いただけるお買物券(1,000円分)が追加!~(JR北海道ニュースリリース 2023年3月24日 PDF)
2023年度版「きた北海道フリーパス」は大幅にリニューアル!
「きた北海道フリーパス」は毎年発売されてきた恒例のフリーきっぷですが、2023年度版は大幅にリニューアルされます。2022年度版までの「きた北海道フリーパス」と比較してみます。
2023年度版 | ~2022年度版 | |
---|---|---|
購入条件 | なし | Peach便、AIRDO便 またはANA便 利用者限定 |
発売箇所 | 新千歳空港駅 | 新千歳空港駅 旭川駅 稚内駅 南稚内駅 |
有効期間 | 3日間 | 4日間 |
価格 | 14,150円 | 13,150円 |
2022年度版までは、Peach便、AIRDO便、ANA便で指定された北海道の空港へやってきた方に限定して発売されていましたが、2023年度版からはその制限がなくなります。代わりに、帰りのPeach便またはAIRDO便の機内で利用できる「機内ご利用券(1,000円分)」が付属します。ANA版には指定された空港で利用できる「ANA FESTAご利用券」(1,000円分)が付属します。
一方、発売箇所は、2022年度版までは、対象となる到着空港の最寄り駅で購入することができましたが、2023年度版からは新千歳空港駅のみでの発売となります。
また、有効期間が4日間から3日間に短くなり、価格は13,150円から14,150円へと値上げとなります。
Peach便、AIRDO便、ANA便利用者限定という制限がなくなり、別の航空会社で北海道にやってくる方や、北海道在住の方も利用しやすくなる一方、有効期間が短くなり、実質的に大幅な値上げとなっています。
「きた北海道フリーパス」はどれくらいお得なの?
新千歳空港からフリーエリア内の主要駅への特急列車での往復料金(通常料金)と比べてみましょう。
- 新千歳空港~稚内: 21,820円(新千歳空港~札幌は快速、札幌~稚内で特急自由席利用の往復)
- 新千歳空港~留萌: 11,840円(新千歳空港~札幌は快速、札幌~深川で特急自由席利用の往復)
- 新千歳空港~美瑛~富良野: 13,380円(新千歳空港~札幌は快速、札幌~旭川で特急自由席利用の往復)
これだけみると、「きた北海道フリーパス」の14,150円の元を取るのは簡単そうに見えます。特に、新千歳空港から稚内への往復に利用すれば7,000円以上もお得になりそうです。
ところが、JR北海道では、札幌から各都市への特急列車での往復に利用できる「指定席往復割引きっぷ(Rきっぷ)」「自由席往復割引きっぷ(Sきっぷ)」を発売しています。これらのきっぷの割引率がかなり高いため、稚内など各都市への単純往復に利用する場合は、「きた北海道フリーパス」のほうが高くなってしまう場合があります。
区間 | きっぷ | 価格 | 有効期限 | 備考 |
---|---|---|---|---|
札幌~稚内 | Rきっぷ | 13,310円 (14,410円) | 6日間 | 指定席 |
札幌~ 音威子府 | Rきっぷ | 12,920円 (13,360円) | 6日間 | 指定席 |
札幌~旭川 | Sきっぷ | 5,550円 | 6日間 | 自由席 |
札幌~留萌 | Sきっぷ | 5,750円 | 6日間 | 自由席 |
札幌~富良野 | ふらの・びえい フリーきっぷ | 7,400円 | 4日間 | 自由席 |
※上記は夏料金(4月30日~11月30日利用開始分)、カッコ内は冬料金(12月1日~3月31日利用開始分)
※新千歳空港~札幌は片道1,150円(往復2,300円)
※「ふらの・びえいフリーきっぷ」は3月下旬~10月上旬に利用可能
札幌~稚内のRきっぷが13,310円で、新千歳空港~札幌の往復を加えると15,610円です。「きた北海道フリーパス」のほうが1,500円ほど安いですが、Rきっぷは指定席を利用できることや、有効期間が6日間と長いこともあり、単純に稚内を往復する場合には、どちらがよいか悩むところです。
札幌~留萌や札幌~旭川は、Sきっぷを利用すると5,000円台で往復できてしまうので、新千歳空港~札幌の往復分を加えても、Sきっぷのほうがかなり安くなります。
JR北海道のフリーきっぷについては、以下の記事をご覧ください。

周遊ルートが組みにくい「きた北海道フリーパス」は使い方に工夫が必要
単純往復で元が取るのが難しくても、周遊ルートであちこち乗りまわればおトクになるのではないかと思われます。実際、このきっぷの姉妹版「ひがし北海道フリーパス」では、新千歳空港~釧路~網走~札幌という周遊ルートを作ると、かなりお得になります。

ところが、「きた北海道フリーパス」のフリーエリアでは、周遊ルートが作りにくい のです。旭川~稚内は長大な盲腸線ですし、深川~留萌も同様です。旭川~富良野~滝川というルートは作れそうですが、このエリアの旅行であれば、上の表であげた「ふらの・びえいフリーきっぷ」が断然おトクです。
ということで、他の割引きっぷやフリーきっぷと比べると、「きた北海道フリーパス」を使いこなすのは難しいのではないかと思います。
「きた北海道フリーパス」はU25対象者ならおトク度はかなりアップ!
25歳以下限定の「U25用」なら、おトク度はかなり上がります。
例えば、新千歳空港~稚内の往復だけでも、Rきっぷ+札幌~新千歳空港の乗車券で15,610円、一方の「きた北海道フリーパスU25」であれば11,520円です。
有効期間が3日間、自由席にしか乗車できないといった制約はありますが、おとな用と比べて2,500円以上も安くなると、だいぶお得感が増してきます。
「きた北海道フリーパス」がお得になるのは稚内~美瑛・富良野の周遊ルート?
それでは、(U25用ではない)「きた北海道フリーパス」が適しているルートはないのでしょうか?
- 1日目:新千歳空港~札幌~(特急ライラック・カムイ)~旭川~(特急サロベツ)~稚内(稚内泊)
- 2日目:稚内観光、稚内~(特急サロベツ)~旭川~富良野(富良野泊)
- 3日目:富良野・美瑛観光、富良野~旭川~(特急ライラック・カムイ)~札幌~新千歳空港
こんなルートで稚内と富良野を観光すれば、通常料金や割引きっぷよりもお得になります。
ただし、1日目は移動だけで終わってしまいますし、2日目、3日目の観光も午前中が中心で、午後は移動となります。2泊3日の行程では、移動に時間を割き過ぎの感が否めません。
観光よりも乗り鉄メインの道北方面への旅には「きた北海道フリーパス」がおすすめですが、観光メインの場合は元が取れない可能性がありますので、「Sきっぷ」「Rきっぷ」や「えきねっとトクだ値」などの割引きっぷとよく比較検討することをおすすめします。
以上、「きた北海道フリーパス」についてご紹介しました。通常料金に比べるとかなりおトクに見える「きた北海道フリーパス」ですが、割引率が高い特急の往復割引きっぷと比べると、必ずしもおトクにならない場合もあります。「きた北海道フリーパス」が本当におトクになるのか、旅行の行程と照らし合わせて、よく検討したほうがよさそうです。
関連記事
道東がフリーエリアになる「ひがし北海道フリーパス」の情報はこちらをご覧ください。「きた北海道フリーパス」よりも周遊ルートが作りやすく、使い勝手のよいフリーきっぷです。

当ブログで紹介しているフリーきっぷ・割引きっぷの目次ページです。

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