ひたち海浜公園にコキアを見に行く際に、大宮から勝田まで、臨時の快速「花咲くひたち海浜公園号」に乗車しました。東北貨物線~武蔵野線~常磐線経由で運転される臨時列車です。国鉄特急色のE653系で運転され、常磐線に入ってからは往年の「フレッシュひたち」を思い起こさせる走りを見せてくれます。そんな「花咲くひたち海浜公園号」の乗車記をお送りします。
快速「花咲くひたち海浜公園号」とは?
快速「花咲くひたち海浜公園号」は、茨城県にある国営ひたち海浜公園の秋の目玉の一つ、コキアの紅葉を見に行く観光客のために運転される臨時列車です。
快速「花咲くひたち海浜公園号」 2021年の運転日とダイヤ
快速「花咲くひたち海浜公園号」 の2021年の運転日・ダイヤは以下のとおりです。
- 2021年の運転日
- 2021年10月9日(土),10日(日),17日(日)
- ダイヤ
- 下り: 大宮 08:24発 → 南浦和 08:35発 → 東川口 08:43発 → 南越谷 08:47発 → 吉川美南 08:54発 → 水戸 10:19着 → 勝田 10:25着
- 上り: 勝田 16:23発 → 水戸 16:31発 → 吉川美南 17:37着 → 南越谷 17:45着 → 東川口 17:50着 → 南浦和 17:58着 → 大宮 18:14着
大宮駅から、東北貨物線~武蔵野線~常磐線経由で水戸駅・勝田駅まで運転されます。途中停車駅は、武蔵野線の駅に限られ、吉川美南~水戸間はノンストップ(実際には運転停車が何回かあり)で運転されます。
大宮駅や武蔵野線沿線から勝田へ直通する珍しい臨時列車ですが、乗り換え不要なうえに、快速列車ですので、特急料金もかからず、お得に移動することができる列車です。
快速「花咲くひたち海浜公園号」の料金・指定席の予約方法
快速「花咲くひたち海浜公園号」は、全車指定席の快速列車として運転されますので、乗車に必要なきっぷ類は以下のとおりです。
- 乗車券: 乗車区間の乗車券(Suica等の交通系ICカードも利用可能)
- 指定席券: 乗車する「花咲くひたち海浜公園号」の指定席券(530円)
乗車券の値段(片道運賃)は、下の表のとおりです。
区間 | 運賃 |
---|---|
大宮~水戸 | 1,980円 |
大宮~勝田 | 2,310円 |
Suica等の交通系ICカードを利用すれば、下車時にチャージ残高から引き去られます。
また、指定席券の価格は、区間によらず、1席あたり530円です。
指定席の予約方法ですが、「えきねっと」で予約するのがよいでしょう。乗車日時、区間を間違いなく入力すれば、快速「花咲くひたち海浜公園号」が選択肢に出てきますので、指定席を購入することができます。交通系ICカードで乗車するのであれば、えきねっとでは乗車券を購入しないようにしましょう。
なお、「えきねっと」であれば、シートマップから好みの座席を選択することもできます。
快速「花咲くひたち海浜公園号」の運行ルート
快速「花咲くひたち海浜公園号」の大宮駅~勝田駅間のルートは、下の地図のとおりです。
快速「花咲くひたち海浜公園号」は、東北貨物線~武蔵野線と、武蔵野線~常磐線の2つの渡り線を走行します。下り列車のルートで説明します。
大宮駅を出ると、東北貨物線を走り、与野駅あたりでトンネルへ。東北貨物線と武蔵野線を結ぶ渡り線です。トンネルを出ると、中浦和駅付近で、東北新幹線と埼京線の高架の下を通ります。その後、武蔵浦和駅の手前で武蔵野線に合流します。
武蔵野線のいくつかの駅に停車したあと、南流山駅の少し先で、常磐線への渡り線に入ります。常磐線(快速線)に合流後は、そのまま水戸駅、勝田駅まで、常磐線を走行します。
2つの渡り線を経由する珍しい臨時列車ですが、特に、武蔵野線~常磐線の渡り線は、定期旅客列車が運転されていませんので、こういった臨時列車でないと乗ることができない区間です。
似たような区間を走る列車としては、お正月に運転される快速「成田山初詣ぐんま号」などがあります。北関東と成田を結ぶ臨時列車で、我孫子駅から成田線に入ります。詳しくは、以下の乗車記をご覧ください。

ということで、快速「花咲くひたち海浜公園号」の乗車記です。
【花咲くひたち海浜公園号 乗車記1】大宮駅7番線から発車!
2021年10月10日の大宮駅。午前8時7分頃、快速「花咲くひたち海浜公園号」が発車する7番線に降りると、すでに列車はホームに入っていました。
快速「花咲くひたち海浜公園号」は、E653系7両編成での運転。かつて、常磐線特急「フレッシュひたち」として活躍した車両です。常磐線特急の任務をE657系に譲ったあとは、羽越線特急「いなほ」として走っていましたが、2018年に、現在の国鉄特急色に塗り替えられて、再び常磐線に戻ってきました。現在は、臨時列車などの波動用の車両として利用されています。
E653系は、国鉄分割民営化後に製造された車両で、国鉄特急色をまとったことはありませんが、個人的にはなかなか似合っていると思います。側面だけみれば、国鉄時代の特急車両そのものですね。
側面の行先表示は「快速」のみ。「花咲くひたち海浜公園号」という列車名は表示されませんでした。
ホームの発車案内板には、きちんと列車名まで表示されています。
写真を撮っているうちにドアが開いたので、車内に入ってみましょう。
指定された座席のある4号車の車内です。青いモケットのリクライニングシートが並びます。リクライニングシートは、座面と背面が別々に動くタイプのものです。元特急用の車両ですから、快速列車とはいえ、乗り心地は抜群です。
この列車に、運賃(大宮~勝田で2,310円)に加えて、指定席券(530円)のみで乗車できるのですから、かなりお得です。
客室とデッキの間のドアにある「series E653」という文字が誇らしげです。
そうこうしているうちに、発車時刻が近づいてきましたので、席につきましょう。
【花咲くひたち海浜公園号 乗車記2】東北貨物線から武蔵野線へ!
08時24分、「花咲くひたち海浜公園号」は定刻通りに大宮駅を発車。ポイントを通過して、東北貨物線をゆっくりと南下していきます。
大宮発車時点では、座席の埋まり具合は3割ほど。「えきねっと」で指定席を予約したときには、6~7割は埋まっていそうでしたが、途中駅から乗ってくるのでしょうか。
与野駅あたりでトンネルに入ります。トンネルを出てすぐに、新幹線と埼京線の高架をくぐります。写真の左側に見える駅は、埼京線の中浦和駅ですね。ここからぐるっとまわって、武蔵浦和駅の近くで、武蔵野線に合流します。
武蔵野線のいくつかの駅に停車しますが、南浦和駅から多くの乗車がありました。それ以外の駅では、それほど乗車は多くなく、吉川美南駅を出発した時点で、座席は6~7割くらい埋まりました。窓側はほぼ埋まっていますが、相席になっているところはないくらい。私の隣もずっと空いていました。
乗客は、鉄道ファンが多いと思いきや、家族連れもかなり多く、車内は賑やかでした。
武蔵野線を走行中は、それほどスピードを上げることはありませんでした。普通列車しか運転されていない武蔵野線では、前を走る列車を追い越すことが難しいのですね。
09時05分頃、南流山駅を通過すると、武蔵野線から常磐線への渡り線へと入っていきます。写真は以前撮影したものですが、進行方向右側から常磐線の線路が見えてきて、常磐線の快速線に入っていきます。
【花咲くひたち海浜公園号 乗車記3】かつての「フレッシュひたち」を思わせる120km/h超での疾走!
常磐線に入ってから、そこそこのスピードで進んでいましたが、09時20分頃、取手駅に停車。客扱いはありませんが、車内放送によると、運転士交代のための停車とのことです。常磐線を担当する運転士に交代するのでしょうか。1~2分ほどの停車で、すぐに発車しました。
取手を出ると、どんどんスピードを上げて、時速120kmほどで疾走していきます。快速列車ですが、まさに「特急」の走りそのものです。かつて、「フレッシュひたち」としてこの区間を走っていた車両ですので、懐かしい想いに浸ることができました。
09時36分頃、徐々に速度を落とし、荒川沖駅に停車。停車といっても、上り線と下り線の間、ホームのない中線に停車しました。
車内放送では運転停車である旨を告げていますが、しばらく待っていると、左側の下り線を、E657系の特急列車が猛スピードで通過していきました。時刻表を見てみると、どうやら「ひたち5号」のようです。
特急並みの走りとはいえ、そこは臨時の快速列車。定期特急列車に先を譲らなくてはなりません。「ひたち5号」を先に行かせたあと、「花咲くひたち海浜公園号」はすぐに荒川沖駅を発車しました。
常磐線区間の後半の走りは、まさに特急そのもの! 上の動画は、神立駅と高浜駅の間を走行中に撮影したものですが、恋瀬川の橋を渡るジョイント音や、高浜駅に停車している普通列車の横を通過する際の速さがわかるでしょうか。
それもそのはず、荒川沖駅で先を譲った「ひたち5号」は、勝田駅に10時20分に到着するダイヤになっていますが、こちらの「花咲くひたち海浜公園号」は10時25分着。5分しか変わらないのです。「ひたち5号」の後を追うように、時速120km以上で爆走していくのです。
【花咲くひたち海浜公園号 乗車記4】水戸駅に停車後、時刻どおりに勝田駅に到着!
田園風景の中を北へ向かって疾走します。大宮発車時には曇っていた空模様も、常磐線を北上するにつれて晴れてきました。
10時19分、水戸駅に到着。吉川美南駅から1時間25分も停車せずにかっ飛ばしてきました。
特急「ひたち」「ときわ」の場合には、水戸駅で大勢の乗客が下車するわけですが、この「花咲くひたち海浜公園号」では、水戸駅で下車する人はわずか。列車名のとおり、ひたち海浜公園へ向かう乗客がほとんどのようです。
水戸駅を出ると、5分ほどで終点の勝田駅に到着しました。ホームに降りると、みなさん記念撮影タイム。その合間を縫って、私も最後尾から撮影してみました。
階段を上がると、コンコースでは、大勢の駅員さんと、何やらゆるキャラ的なマスコットがお出迎え。そして、改札を出ると、茨城交通の方が、ひたち海浜公園への路線バスを案内していました。
ひたちなか海浜鉄道~無料シャトルバスの乗り継ぎでひたち海浜公園へ
このあとは、いったん改札を出て「ときわ路パス」を購入しました。期間限定ですが、茨城県内のJR線や私鉄・三セク路線に1日乗車できるきっぷです。このあと乗車した「ひたちなか海浜鉄道」にも乗車できます。

そして、勝田駅の1番線から発車するひたちなか海浜鉄道で、終点の阿字ヶ浦駅へ。この日は、「花咲くひたち海浜公園号」にあわせて、国鉄時代のキハ20形という古い気動車「キハ205」が運行されていましたので、それに乗車しました。
ひたちなか海浜鉄道の乗車記については、以下の記事をご覧ください(別の時期に乗車したときの乗車記です)。

阿字ヶ浦駅からは、コキアの時期にだけ運転される無料の「コキアシャトルバス」で、ひたち海浜公園の海浜口へ行き、コキアを鑑賞してきました。コキアの様子については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。

以上、「【花咲くひたち海浜公園号 乗車記】コキア紅葉の時期に運転される臨時快速列車!常磐線をかっ飛ばすE653系は必見!」でした。珍しい渡り線を経由するだけでなく、常磐線を疾走する爽快感のある列車でした。
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