新潟のお酒をコンセプトにした観光列車「越乃Shu*Kura」(こしのしゅくら)。車内の販売カウンターでさまざまな新潟の地酒が楽しめるのはもちろんのこと、ジャズやクラシックの生演奏など、イベントも盛りだくさん! この記事では、「越乃Shu*Kura」(越乃ShuKura)の乗車レポートに加えて、指定席券の予約・購入方法などもご紹介します。
※2019.07.23更新(2019年の情報に更新、一部リライト)
- 「越乃Shu*Kura」とは?
- 「越乃Shu*Kura」の乗車方法
- 「越乃Shu*Kura」乗車記
- 【まとめ】 「越乃Shu*Kura」は新しいコンセプトの観光列車! お酒の好きな方、呑み鉄の方には絶対オススメ!
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「越乃Shu*Kura」とは?
「越乃Shu*Kura」は、新潟県の上越妙高駅と十日町駅を結ぶJR東日本の観光列車です。2014年に運行を開始した比較的新しい観光列車です。
JR東日本新潟支社のサイトに、
地酒王国・新潟が誇る「酒」をコンセプトとした列車「越乃Shu*Kura」。越後の酒蔵と豊かな自然をイメージして命名しました。
(越乃=越後、Shu=酒、Kura=蔵、*=米・雪・花)
(出典)越乃Shu*Kura|のってたのしい列車|JR東日本旅客鉄道株式会社 新潟支社
とあるように、新潟の地酒をコンセプトとしています。お酒好きにはたまらない列車ですね。
車内で新潟の地酒を味わえるのはもちろんのこと、車内のイベントスペースではお酒に関するイベントや、ジャズ・クラッシックミュージシャンによる生演奏などもあり、乗車してから終点までの2時間半を存分に楽しめる列車です。
車両は、キハ40・キハ48形という古い気動車(ディーゼルカー)を改造したものですが、車内設備に関しては、完全に一新されています。
運転区間・運転時刻
「越乃Shu*Kura」は臨時快速列車として運転されています。おおむね、金曜・土曜・日曜・祝日に運転されています。
上越妙高発着はすべての列車で同じですが、行き先は、運転日によって、十日町行きの「越乃Shu*Kura」、越後湯沢行きの「ゆざわShu*Kura」、新潟行きの「柳都Shu*Kura」があります。
運転区間と運転時刻(主要駅のみ)は以下のとおりです。(2019年7月現在)
- 越乃Shu*Kura (上越妙高~十日町)
- 往路: 上越妙高 10:02発 → 直江津 10:18発 → 青海川 10:44着/10:50発 → 長岡 11:33着/11:38発 → 越後川口 12:01発 → 十日町 12:32着
- 復路: 十日町 14:50発 → 越後川口 15:41発 → 長岡 16:05着/16:13発 → 青海川 17:11着/17:33発 → 直江津 18:16発 → 上越妙高 18:38着
- 上記以外の停車駅: 高田、潟町、柏崎、来迎寺、宮内、小千谷
- ゆざわShu*kura (上越妙高~越後湯沢)
- 往路: 上越妙高 10:02発 → 直江津 10:18発 → 青海川 10:44着/10:50発 → 長岡 11:33着/11:38発 → 越後川口 12:02発 → 越後湯沢 13:11着
- 復路: 越後湯沢 14:45発 → 越後川口 15:41発 → 長岡 16:05着/16:13発 → 青海川 17:11着/17:33発 → 直江津 18:16発 → 上越妙高 18:38着
- 上記以外の停車駅: 高田、潟町、柏崎、来迎寺、宮内、小千谷、小出、浦佐、六日町、塩沢
- 柳都Shu*Kura (上越妙高~新潟)
- 往路: 上越妙高 10:02発 → 直江津 10:18発 → 青海川 10:44着/10:50発 → 長岡 11:33着/11:51発 → 新潟 13:06着
- 復路: 新潟 14:52発 → 長岡 16:00着/16:13発 → 青海川 17:11着/17:33発 → 直江津 18:16発 → 上越妙高 18:38着
- 上記以外の停車駅: 高田、潟町、柏崎、来迎寺、宮内、見附、東三条、加茂、新津
運転日、運転区間、その他の停車駅の停車時刻などについては、JR東日本「越乃Shu*Kura」のサイトをご覧ください。
「越乃Shu*Kura」の乗車方法
「越乃Shu*Kura」に乗車するには、大きく分けて、
- 乗車券と座席指定券を購入する方法(3号車の座席が割り当てられる)
- 「越乃Shu*Kura」の乗車を含むツアー(びゅう旅行商品)を購入する方法(1号車の座席が割り当てられる)
の2通りがあります。
1. 乗車券と座席指定券を購入する方法
まずは、乗車券と座席指定券を購入する方法です。
以下で紹介するようなフリーきっぷが乗車券として利用できますので、新潟への旅行に合わせて「越乃Shu*Kura」に乗車する場合には、この方法がおすすめです。
「越乃Shu*Kura」の運転区間を含むフリーきっぷが多く発売されています。主なフリーきっぷは以下の通りです。(フリーきっぷ名をクリックすると、当ブログのフリーきっぷの紹介記事に飛びます。)
フリーきっぷ | おねだん | 利用可能日 | 備考 |
---|---|---|---|
週末パス | 8,730円 | 土休日の 連続する 2日間 |
※1 |
えちごツー デーパス |
2,690円 | 金土日祝 の連続する 2日間 |
※2 |
青春18きっぷ | 11,850円 | 春夏冬 5日分 |
※3 |
北海道& 東日本パス |
10,850円 | 春夏冬 連続する 7日間 |
※3 |
※1: 「越乃ShuKura」「ゆざわShuKura」「柳都ShuKura」の全区間すべてに乗車可能
※2: 「越乃ShuKura」「ゆざわShuKura」「柳都ShuKura」の全区間すべてに乗車可能、ゴールデンウィーク(4月27日~5月6日)、夏休み(7月13日~8月31日)、年末年始(12月28日~1月6日)は毎日利用可能
※3: 「越乃ShuKura」「ゆざわShuKura」「柳都Shu*Kura」いずれも、えちごトキめき鉄道線内(上越妙高~直江津間)は、別途乗車券(240円)を購入する必要あり、春季・夏季・冬季に利用可能
新潟県内を中心に旅行される場合には、「えちごツーデーパス」がおすすめです。2日間有効で2,690円と安いにもかかわらず、えちごトキめき鉄道線を含む「越乃Shu*Kura」の全区間に乗車できます。
関東や南東北などから、新幹線や特急列車を利用して新潟までやってくる場合には、週末限定となりますが、「週末パス」がおすすめです。
その他、青春18きっぷや北海道&東日本パスも利用できます。ただし、上越妙高~直江津間は、JR東日本の路線ではなく、第三セクターのえちごトキめき鉄道の路線ですので、別途乗車券(240円)が必要です。
座席指定券は、駅の窓口や指定席券売機、インターネット予約サービス「えきねっと」などで購入できます。
この方法で購入すると、3号車のリクライニングシート(新幹線や特急列車のような進行方向前向きのシート)が割り当てられます。
2. びゅう旅行商品を購入する方法
びゅう旅行商品として購入する方法もあります。現地発着のほか、東京・高崎など上越新幹線沿線からの日帰り、宿泊のツアーが設定されているようです。
びゅう旅行商品を購入すると、
- 1号車の座席(グループ客向けのボックスや窓側を向いたペアシート等)が割り当てられる
- びゅう旅行商品限定のお食事(お酒とおつまみのセット)が提供される
といった違いがあります。
詳しくは、新潟支社のサイトにあるパンフレット(下記ページの右上にあるPDFファイルのリンク)をご覧ください。
「越乃Shu*Kura」乗車記
2018年7月の日曜日、上越妙高から十日町まで「越乃Shu*Kura」に乗車してきましたので、そのときの様子を詳しくレポートします。車内設備についても詳しく紹介します。
渋い藍色の車体と大きな窓
上越妙高駅のえちごトキめき鉄道の改札を入ってホームに降りると、越乃Shu*Kuraは2番線ホームに入線していました。青色というか藍色の塗色の車体はなかなか渋いですね。前面はキハ40のままですが。
車両端の側面には「越乃Shu*Kura」のロゴが入っています。行き先表示は、「快速 越乃Shu*Kura 十日町」となっていました。
車両の側面には窓が大きくとられています。新潟の地酒を売りにした観光列車ですが、途中、日本海に面した区間を走るところもあり、車窓にも配慮した造りになっているようですね。
車内設備を見学!
早速、車内に入ってみます。まだ発車までに少し時間があるので乗客は少ないようです。その間に、車内を見学してみます。
今回は、えきねっとで指定席券を確保したので、この3号車のリクライニングシートになります。車内は暖色系統の塗装や灯りで統一されていて、木張りの床とともに、良い雰囲気を醸し出しています。とても、元キハ40形の車両とは思えませんね。
このリクライニングシート、とてもゆったりとしていて、前後の幅だけであれば、新幹線のグリーン車並みです。
1号車の乗客はまだ誰もいなかったので、少し見学させてもらいました。手前の左右に並んでいるのが二人がけのペアシートです。座席が片方の窓側を向いているのは、日本海が見えるほうだからです。
奥のほうにはゆったりとしたボックス席が4つ。こちらは、グループ客向けですね。
1号車の座席はリクライニングしないため、座席の座り心地だけで言えば、3号車のリクライニングシートのほうが上でしょうね。ただ、あとで紹介するように、この列車の場合、席に座っている時間はそう長くはないですが。
前述の通り、1号車はびゅう旅行商品専用です。入線した直後に乗客がほとんどいなかったのは、東京からの北陸新幹線はくたかが到着する前だったからだと思います。
「越乃Shu*Kura」の特色を最も表しているのが2号車です、2号車には、地酒やおつまみ、グッズなどを販売するサービスカウンター「蔵守(くらもり)」と、イベントスペースがあります。
この広いイベントスペースには、酒樽の形をしたスタンディングテーブルが並んでいて、バーのような雰囲気。ここにお酒やおつまみを置いて、グラスを傾けながら(実際はプラスチックのコップですが…)、音楽に耳を傾けるわけです。
上越妙高駅を出発!
接続の新幹線待ちとのことで、定刻の10時02分から3分ほど遅れて上越妙高駅を発車しました。おそらく、上越妙高に9時54分に到着するはくたか553号の到着を待っていたのでしょう。
すぐに新潟らしい田園風景が広がります。この日も天気が良く、夏空が広がっていました。遅れを取り戻そうとしていたのか、田園風景の中を爆走していきます。といっても、線形が良いので、さほど揺れません。今や、ごく一部のローカル線でしか走っていないキハ40の爆走なんて、今どきあまり体験できないので貴重です。
発車前から営業しているカウンターで、生ビールセット(新潟限定ビール+鮭の焼き漬)と日本酒を購入。午前10時前からこの状態でした(笑)。これも汽車旅ならではの楽しみですね。
小さなプラスチックのグラス(おちょこ)のお酒は、「大吟醸 松乃井 越淡麗」という銘柄で、試験醸造中のものを「越乃Shu*Kura」車内限定で販売しているのだそうです。5種類あったお酒の中では最も高かった(上のグラスのサイズで500円)のですが、スッキリとしな飲み口で美味しかったです。あと、鮭の焼き漬、これは絶品でした。
ちなみに、今回は連れがいるので、これを全部一人で呑んだわけではありません…
日本一海に近い駅、青海川で日本海の絶景を眺める
2号車では何やらイベントが始まっているようでしたが、イベントは2回ずつ開催されるとのことなので、まずはお酒に集中することに。それに、青海川での停車が迫っていたのでした。
青海川(おうみがわ)駅に10時44分に到着。ここでは6分間停車しますが、その間にホームに出て海を眺めることができます。乗客の多くはホームに出てきて、日本海の絶景を楽しんでいます。
青海川駅は、日本で最も海に近い駅として有名です。下りホーム(長岡方面)は海岸のすぐ横にあります。
海岸は砂浜ではなく砂利なので、海水浴には向いていないようです。その分、人の姿は多くなく、静かな青い海が広がります。
「越乃Shu*Kura」が走る区間では、この青海川駅周辺しか日本海を間近に見ることはできません。このあたりは、車窓に集中した方がよさそうですね。
お待ちかね! 蔵元イベント
青海川を出たあとは、2号車で開催される蔵元イベントを見に行きました。
前回(2015年)に乗車したときは、沿線の蔵元が樽でお酒を持ち込んで振る舞っていたのですが、今回は少し違いました。
今回は、酒粕を利用して作ったディップとクラッカーが振る舞われました。
2種類の味のディップがありました(イチゴと味噌だったかな?)。ワインには合いそうだけど日本酒とはどうなの? と思いながらいただくと、これがなかなかお酒に合ったのでした。
小さいおちょこは、その場で振る舞われていたお酒です。JR東日本新潟支社が地元の農業者と設立した農業法人「(株)JR新潟ファーム」と、新潟県の4つの酒蔵が連携して製造した「新潟しゅぽっぽ」というお酒です。4つの酒蔵が、同じ酒米、同じ精米歩合で仕込むという面白いプロジェクトです。
4種類のお酒ができるわけですが、そのうちの2種類は、車内のサービスカウンター「蔵守」で購入できますが、残りの2種類の方を乗客に振る舞っているようです。
ちなみに、「越乃Shu*Kura」の車内イベントは日替わりになっています。JR東日本新潟支社のWebサイトでスケジュールが公開されています。
生演奏を聴きながらお酒を味わう
長岡で進行方向が変わります。3号車の乗客は、男性の一人客(乗り鉄?)か夫婦と思われるカップルが多かったのですが、勝手知ったるといった感じで、座席の回転を始めます。
長岡から先は上越線を南下します。このあと、2号車で生演奏のイベントがあるので、その前にお酒を追加しておきます(笑)
2種類以上のお酒を買うと、このようなお盆に置いてくれます。お盆には、サービスカウンターで販売されている5種類の地酒の説明が書かれていて、その説明書きの上におちょこを置いてくれるというわけです。
出発前に買ったお酒が500円でしたが、他は200~300円です。量は少ないですが、いろいろな銘柄の日本酒を楽しめます。
さて、越後川口からは飯山線に入ります。それとほぼ同時に、2号車で生演奏のイベントが始まりました。
キーボードと管楽器の3人組のミュージシャンが、いろいろな曲を演奏してくれます。どうやら乗客のリクエストにも応えているようです。
先ほど買ってきたお酒をスタンドテーブルに置いて、ちびちびやりながら生演奏に耳を傾けます。
ふと大きな窓を見ると、飯山線ののどかな田園風景が流れていきます。これがローカル線を走る列車の中とは、とても思えません。これぞ、まさに珠玉のひととき!
あっという間の2時間半!
気がつくと、もう終点の十日町に到着しようとしているところでした。到着2分前まで生演奏のイベントが続き、席に戻ったら荷物をまとめてすぐ下車する、といった感じでした。
上越妙高から十日町までの所要時間はちょうど2時間半。お酒を楽しんだり、イベントを見に行ったり、そんなことをしているうちにあっという間に過ぎていったのでした。
【まとめ】 「越乃Shu*Kura」は新しいコンセプトの観光列車! お酒の好きな方、呑み鉄の方には絶対オススメ!
JR東日本の観光列車は、「リゾートしらかみ」や「リゾートビューふるさと」のように、車窓をウリにしたものが多かったのですが、「越乃Shu*Kura」は明らかにコンセプトが異なります。
青海川駅で停車時間を確保するなど、車窓も楽しむことはできるのですが、やはり主役は新潟の地酒。雰囲気のいいつくりの車内インテリアや、ジャズの生演奏イベントもあって、「走る居酒屋」というよりは、「走る日本酒バー」といった趣です。
3号車には男性客が多かったですが、1号車には女性のグループ客や家族連れもいたようです。お酒好きの方なら、一人で乗車しても楽しめますし、カップルやグループならさらに楽しめると思います。
青春18きっぷ+座席指定券(520円)で乗車できる列車としては、車内設備、車内サービスともに、かなりハイレベルです。もっとも、お酒を買うのにお金がかかりますけどね(笑)
「越乃Shu*Kura」の乗車レポートをお届けしました。新しいコンセプトの観光列車、お酒好きの方には絶対オススメです。春~秋の週末にコンスタントに運転されていますので、新潟方面への旅行や乗り鉄に組み込むとよいですね。
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