JR西日本が運行する大阪~姫路間の通勤特急「らくラクはりま」。割安なチケットレスサービスを拡充して「座って通勤」を推進します。この記事では、通勤特急「らくラクはりま」の概要、料金、運転時刻(ダイヤ)などをご紹介します。おトクに利用するための回数券や指定席特急料金定期券(らくラクはりまマイシート)についても紹介します。
※2020.10.09更新
- 【まとめ】通勤特急「らくラクはりま」(2020年版)
- JR神戸線の通勤特急「らくラクはりま」
- 「らくラクはりま」の運転日と停車駅・ダイヤ
- 「らくラクはりま」向けにチケットレスサービスで割安な指定席特急料金を導入
- 定期的に利用するなら「らくラクはりまマイシート」「自由席回数特急券」がおすすめ!
- 「らくラクはりま」は通勤ライナーと比べるとやや割高?
- 「スーパーはくと」「はまかぜ」も同料金!
- 「らくラクはりま」、新快速の有料座席サービス「Aシート」と合わせて着席通勤を推進!
【まとめ】通勤特急「らくラクはりま」(2020年版)
- 運転時刻・停車駅(平日のみ1日1往復運転)
- 姫路 06:21発 → 加古川 06:32発 → 西明石 06:42発 → 明石 06:46発 → 神戸 06:58発 → 三ノ宮 07:02発 → 大阪 07:21着
- 大阪 19:04発 → 三ノ宮 19:27発 → 神戸 19:31発 → 明石 19:44発 → 西明石 19:48発 → 加古川 19:58発 → 姫路 20:08着
- 特急券はJ-WESTカード会員/ネット会員専用の「J-WESTチケットレス」が断然おトク!
- 神戸・三ノ宮~大阪間 520円、姫路~大阪間 730円
- 「らくラクはりまマイシート」「らくラクはりまグリーンマイシート」の損益分岐点は20回/月以上の乗車。メリットは料金よりも1か月間座席が確実に確保されること!
JR神戸線の通勤特急「らくラクはりま」
JR西日本は、2019年3月18日から、JR神戸線で通勤特急「らくラクはりま」の運転を開始しました。概要は以下の通りです。
- 名称: 通勤特急「らくラクはりま」
- 運行区間: 大阪~姫路
- 停車駅: 姫路駅、加古川駅、西明石駅、明石駅、神戸駅、三ノ宮駅、大阪駅
- 運転本数:
- 朝通勤時間帯: 姫路 → 大阪 1本(平日のみ)
- 夕帰宅時間帯: 大阪 → 姫路 1本(平日のみ)
- 使用車両: 289系6両編成(全351席)
- 全車指定席
なお、当初は自由席が設定されていましたが、2020年7月より全車指定席の特急列車として運転されています。
「らくラクはりま」の運転日と停車駅・ダイヤ
「らくラクはりま」の運転日・運転本数は以下の通りです。
- 平日のみ運転(土休日は運休)
- 朝の上り列車(姫路→大阪)、夜の下り列車(大阪→姫路)の1往復
停車駅とダイヤは以下の通りです。
停車駅 | ↓上り | ↑下り |
---|---|---|
姫路 | 06:21発 | 20:08着 |
加古川 | 06:32発 | 19:58発 |
西明石 | 06:42発 | 19:48発 |
明石 | 06:46発 | 19:44発 |
神戸 | 06:58発 | 19:31発 |
三ノ宮 | 07:02発 | 19:27発 |
大阪 | 07:21着 | 19:04発 |
詳しくは、JR西日本のニュースリリースをご覧ください。
「らくラクはりま」向けにチケットレスサービスで割安な指定席特急料金を導入
「らくラクはりま」は特急列車として運転されますので、乗車券(定期券も可)以外に、特急券が必要になります。
通勤特急「らくラクはりま」の運転開始に伴って、割安な価格で指定席に乗車できるチケットレス特急券が新設されます。特に、「J-WESTチケットレス」(普通車指定席に乗車可能)はかなり安く、自由席回数特急券よりも安い設定になっています。「らくラクはりま」に乗車するのであれば、特急料金の観点では「J-WESTチケットレス」一択でしょう。
「J-WESTチケットレス」は以下の2種類があります。
- J-WESTチケットレス(ネット会員用)
- お手持ちのクレジットカードを利用可能
- 特急券購入後の変更は不可
- J-WESTチケットレス(カード会員用)
- JR西日本のクレジットカード「J-WESTカード」会員専用
- 特急券購入後も発車2分前まで何度でも変更可能
「らくラクはりま」に関しては、特急料金は同一です。特急券購入後の変更に制限がありますが、「らくラクはりま」に乗るためだけに「J-WESTカード」に加入する必要はありません。
【通勤特急「らくラクはりま」の料金】
区間 |
J-WEST チケットレス |
チケットレス 特急券 |
指定席 特急券 |
---|---|---|---|
神戸・三ノ宮 ~大阪 |
520円 | 990円 | 1,190円 |
西明石・明石・加古川 ~大阪 |
630円 | 1,320円 | 1,520円 |
姫路 ~大阪 |
730円 | 1,320円 | 1,520円 |
西明石・明石・加古川~ 神戸・三ノ宮 |
520円 | 990円 | 1,190円 |
姫路~ 神戸・三ノ宮 |
630円 | 1,320円 | 1,520円 |
定期的に利用するなら「らくラクはりまマイシート」「自由席回数特急券」がおすすめ!
前述の料金に加えて、定期的に利用する方にお得な回数券や定期券が発売されます。
1か月間、同じ座席を確保!「らくラクはりまマイシート」「らくラクはりまグリーンマイシート」
通勤、通学定期券と併用して、1か月間、「らくラクはりま」の同一の座席を利用できるサービスです。つまり、毎日、同じ座席で通勤・通学できるわけです。なかなかユニークな商品ですね。
- 「らくラクはりまマイシート」の設定区間に有効な通勤定期券・通学定期券を持っている場合に発売
- 回数券や普通乗車券など、通勤・通学定期券以外の乗車券では利用できない
- 毎月1日から月末までの月~金(祝祭日を除く)に利用可能
- 発売は有効開始日(有効な月の1日)の1か月前~2日前まで
- 設定は片道のみ(上り・下りともに料金は同じ)
設定区間、料金(片道)は以下の通りです。普通車用とグリーン車用があります。
区間 | 普通車用 | グリーン車用 |
---|---|---|
神戸・三ノ宮 ~大阪 |
10,480円 | 12,570円 |
西明石・明石・ 加古川・姫路 ~大阪 |
12,570円 | 14,670円 |
西明石・明石 加古川~ 神戸・三ノ宮 |
10,480円 | 12,570円 |
姫路~ 神戸・三ノ宮 |
12,570円 | 14,670円 |
「らくラクはりま」に乗るにはどのきっぷが一番おトク?
これまでご紹介したように、非常に多くの料金券(特急券)が発売されています。結局、どれが一番おトクなのでしょうか?ここでは、1か月に片道で何回乗車するかをもとに、どの料金券を購入するのがおトクかを考えてみます。
結論から言うと、以下のようになります。(普通車利用の場合)
- 「らくラクはりまマイシート」がおトクになるのは月20回以上利用する場合(大阪~姫路のみ18回以上)、これ以下であれば「J-WESTチケットレス」がおトク
- 通常は「J-WESTチケットレス」を利用するのがおトク
- 「J-WESTチケットレス」はネット会員(お手持ちのクレジットカードを登録可能)で十分
「らくラクはりまマイシート」の損益分岐点は月に20回乗車と、かなり厳しいです。「らくラクはりま」は平日のみの運転なので、土休日の通勤・通学には使えません。平日のみで20日以上ある月が限られるうえに、有給休暇などで通勤しない日があると、20回乗車するのはなかなか難しいでしょう。
「らくラクはりまマイシート」のメリットは、料金的な面ではなく、毎日同じ座席が保証されていること、毎日特急券を購入する手間が省けること にあります。
一方、それ以外の場合には、「J-WESTチケットレス」を購入するのがおトク です。
「らくラクはりま」は通勤ライナーと比べるとやや割高?
特急列車としてみると割安な料金の「らくラクはりま」ですが、JR東日本やJR東海が運転している特急車両を利用した通勤ライナーと比べると、やや割高な印象です。
JR東日本は、東海道本線でホームライナーを運転していますが、ライナー券は520円です。JR東海も名古屋圏を中心にホームライナーを運転していて、こちらは乗車整理券が330円と安く設定されています。これらの列車と比べると、通勤特急「らくラクはりま」の特急料金は、最安の「J-WESTチケットレス」でも520円~730円と、多少割高な印象です。
また、JR西日本は、新快速列車に有料座席サービス「Aシート」を導入しています。
こちらは座席料金が500円。通勤特急「らくラクはりま」と同じJR神戸線にも導入されています。新快速と特急という違いはありますが、新快速はJRの快速列車の中でも俊足で有名です。大阪~姫路間の特急列車とそん色のない時間で走ります。
新快速への「Aシート」の導入は、現在2編成のみ(1日あたり上下ともに4本ずつ)と少ないですが、いずれは増やしてくるだろうと思われます。新快速の全列車に「Aシート」が導入されると、乗車機会(運転本数)、料金ともに「Aシート」が有利になりそうです。
「スーパーはくと」「はまかぜ」も同料金!
今回、通勤特急「らくラクはりま」が導入される大阪~姫路間には、京都~鳥取・倉吉を結ぶ特急「スーパーはくと」と、大阪~鳥取などを結ぶ特急「はまかぜ」が運転されていますが、これらの特急列車も含めて、前述の特急料金が適用になります。
「スーパーはくと」は7往復、「はまかぜ」は3往復運転されていますが、これらの列車の近距離利用も狙った料金体系と言えそうです。
通勤時間帯に利用できそうな姫路~大阪間の特急列車は以下の通りです。(2020年3月改正ダイヤ)
- 朝通勤時間帯
- らくラクはりま: 姫路 06:21発 → 大阪 07:21着(加古川・西明石・明石・神戸・三ノ宮に停車)
- スーパーはくと2号: 姫路 08:14発 → 大阪 09:19着(明石・三ノ宮に停車)
- はまかぜ2号: 姫路 09:00発 → 大阪 10:01着(明石・神戸・三ノ宮に停車)
- 夕通勤時間帯
- スーパーはくと11号: 大阪 17:26発 → 姫路 18:21着(三ノ宮・明石に停車)
- はまかぜ5号: 大阪 18:04発 → 姫路 19:08着(三ノ宮・神戸・明石・西明石・加古川に停車)
- らくラクはりま: 大阪 19:04発 → 姫路 20:08着(三ノ宮・神戸・明石・西明石・加古川に停車)
- スーパーはくと13号: 大阪 20:06発 → 姫路 21:07着(三ノ宮・神戸・明石・西明石・加古川に停車)
これらの列車は、鳥取方面から大阪への出張にも便利な時間帯に運転されているので、指定席の競争率が高くなりそうですね。長距離客が指定席を確保できなくなるという懸念がありそうです。
「らくラクはりま」、新快速の有料座席サービス「Aシート」と合わせて着席通勤を推進!
前述のとおり、JR西日本は、新快速列車に有料座席サービス「Aシート」を導入することを発表しています。
今回の通勤特急「らくラクはりま」と合わせて、近畿圏の着席通勤の推進に大きく舵を切ってきた印象です。首都圏の大手私鉄で先行していた通勤客向けの有料座席サービスの導入ですが、JR西日本の「らくラクはりま」「Aシート」へと続き、全国的に着席通勤の流れが進んでいきそうな状況です。
以上、『JR西日本の神戸線通勤特急「らくラクはりま」でらくラク通勤! ダイヤ・停車駅、お得な特急券の買い方を紹介します!』でお届けしました。鉄道会社としては、人口減少時代の定期券収入の減少に備えた施策ですが、利用者にとっては快適に通勤できるのはありがたいことです。