2~3月は北海道の流氷シーズン。例年は2月上旬に流氷が接岸し、3月中旬まで1か月半ほど流氷観光が楽しめます。この記事では、流氷観光×汽車旅をテーマに、流氷観光へのアクセス、流氷観光とあわせて訪れたい鉄道路線や乗りたい観光列車などを紹介します。
流氷はどこで、いつ見られるの?
日本で見られる流氷は、ロシアのアムール川の河口付近の塩分濃度の低い海水が凍ったものが、季節風に流されて南下してくるものです。そのため、流氷が見られるのは、稚内~知床半島にかけてのオホーツク海沿岸となります。中でも、網走周辺は、知床半島にひっかかって南下できなくなった流氷が接岸するため、海一面を覆う流氷を見ることができます。
流氷シーズンは、例年2月~3月上旬です。陸地から肉眼で水平線上に初めて流氷が見えた日を「流氷初日」、流氷が接岸し、船舶が航行できなくなった日を「流氷接岸初日」、流氷が少なくなり船舶が航行できるようになった日を「海明け」といいます。網走での平年値は以下の通りです。
- 流氷初日: 1月21日
- 流氷接岸初日: 2月2日
- 海明け: 3月20日
ただし、年によってかなり前後します。流氷観光を計画する際は、気象庁のサイトなどで流氷情報を確認しましょう。
流氷観光には「流氷観光砕氷船」の乗船がおすすめ!
流氷をもっとも間近で楽しむためには、流氷観光砕氷船に乗船すること をおすすめします。砕氷船は、船首を氷のうえに乗せ、船体の重さで海氷を粉砕して航路を開くための船舶です。網走では、観光に特化した流氷観光砕氷船「おーろら号」 が運航されています。
私も以前乗船したことがありますが、流氷が接岸していなくても、近くまで来ていれば、そこまで行ってくれます。バリバリとものすごい音を立てて氷を粉砕する大迫力の船旅が楽しめます。
料金は、おとなが4,000円、こどもが2,000円と少し高めですが、流氷観光に行くのであれば乗船は必須です!
流氷観光砕氷船の乗船地、網走までのアクセスと鉄道利用の観光ルート
網走の最寄りの空港は女満別空港です。東京から1日4~5便、名古屋から1便が飛んでいます。他の都市からは、札幌経由で航空機の乗り継ぎか、札幌や旭川からJR石北本線(特急オホーツク・特急大雪など)でのアクセスとなります。
- 道外から航空機でのアクセス
- 東京(羽田空港) → 女満別空港: JAL、AIRDO/ANAなど1日5~6便
- 女満別空港 → おーろらターミナル(直通バス 約35分)
- 札幌・旭川から鉄道でのアクセス
- 札幌 → 網走: 特急オホーツク 1日2便
- 旭川 → 網走: 特急オホーツク・大雪 1日4便(「大雪」は運休する日があります)
- 網走駅 → おーろらターミナル(路線バス 約10分)
道内を鉄道で移動する場合には、ピーチアビエーション(新千歳空港)、または、AIRDO(新千歳空港、旭川空港、女満別空港、釧路空港、帯広空港)で北海道へ到着すると、「ひがし北海道フリーパス」を購入することができます。

札幌から東側の道央・道東の広いエリアで、特急列車の自由席が5日間も乗り放題となるフリーきっぷです。釧網本線だけでは元を取ることは難しいですが、札幌や旭川なども含めた周遊の旅にするのなら検討に値するきっぷです。
流氷観光と合わせて楽しみたい鉄道路線・臨時列車
道東へ観光にやってきたのであれば、流氷だけでなく、冬の北海道を思う存分に楽しんでみましょう。流氷観光と合わせて楽しみたい路線や臨時列車を紹介します。
オホーツク海と釧路湿原の車窓を楽しめる釧網本線
釧路と網走を結ぶ鉄道がJR釧網本線です。「本線」とはいうものの、1両のみの気動車が往復するローカル線です。
そんな釧網本線は、釧路周辺に広がる日本一の湿原「釧路湿原」や、網走周辺のオホーツク海の車窓が見どころです。
また、釧網本線の沿線には「阿寒摩周国立公園」が広がっています。摩周湖、屈斜路湖などのカルデラ湖や、ダイヤモンドダストで有名な川湯温泉などがあります。
釧網本線については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

流氷物語号(網走~知床斜里)
流氷観光シーズンにあわせて、釧網本線の網走~知床斜里間で「流氷物語号」が1日2往復運転されます。この区間は、オホーツク海のすぐ近くを線路が通っているため、流氷が接岸していれば、車窓から流氷を眺めることができます。
- 運転日: 2023年1月28日(土)~2月26日(日)の毎日
- 運転区間: 網走~知床斜里(1日2往復)
- 運転時刻
- 1号: 網走 09:52発 → 北浜 10:04着/10:14発 → 浜小清水 10:24発 → 知床斜里 10:42着
- 3号: 網走 12:45発 → 北浜 12:58着/13:08発 → 浜小清水 13:17発 → 知床斜里 13:35着
- 2号: 知床斜里 11:30発 → 浜小清水 11:47着/12:07発 → 北浜 12:16発 → 網走 12:30着
- 4号: 知床斜里 13:48発 → 浜小清水 14:04着/14:24発 → 北浜 14:34発 → 網走 14:46着
- 使用車両: キハ40形「北海道の恵みシリーズ」(2両編成,一部指定席)
詳細は、JR北海道の「流氷物語号」のページをご覧ください。
2023年の運転では、キハ40形の内装・外装をリニューアルした「北海道の恵みシリーズ」の車両のうち「森の恵み号」と「流氷の恵み号」の2両が使われます。また、一部、指定席も設けられます。
自由席もありますので、乗車券さえ持っていれば乗車可能ですが、確実に流氷を眺めるためにはオホーツク海に面した側の座席を確保することをおすすめします。知床斜里行きは進行方向左側、網走行きは進行方向右側です。
また、知床斜里行きの列車は、途中の北浜駅で10分間停車し、展望台から流氷を眺めることができます。北浜駅は、オホーツク海に一番近い駅として有名です。また、網走行きの列車は、浜小清水駅で20分停車し、駅に隣接する道の駅でお買い物ができます。
SL冬の湿原号(釧路~標茶)
流氷観光に合わせて道東方面の観光を楽しむなら、釧網本線のSL冬の湿原号への乗車がおすすめです。その名の通り、冬の釧路湿原を満喫できる列車です。
- 運転日(2023年)
- 1月21日(土),22日(日),27日(金)~29日(日)
- 2月3日(金)~12日(日),17日(金)~19日(日),23日(木・祝)~26日(日)
- 3月3日(金)~5日(日),10日(金)~12日(日),17日(金)~19日(日),21日(火・祝)
- 運転区間・時刻
- 釧路 11:05発 → 標茶 12:35着
- 標茶 14:00発 → 釧路 15:42着
- 途中停車駅: 東釧路、釧路湿原、塘路、茅沼
- 使用車両
- SL+客車5両+客車5両(全車指定席)
- 全車指定席(乗車券1,290円に加えて、指定席券1,680円が必要)
釧路から標茶まで約1時間半のSLの旅です。夏の釧路湿原もよいですが、雪景色の釧路湿原もとても美しいです。全車指定席での運転ですので、あらかじめ指定席券を購入しておきましょう。
JR北海道は、「SL冬の湿原号」の客車のリニューアルを2年がかりで進めています。2022年には、1号車と5号車がリニューアルされた客車で運転されました。釧路湿原側は窓側を向いたカウンター席に、山側の座席は床を嵩上げしたボックスシートになりました。
(出典)【社長会見】「SL冬の湿原号」客車のリニューアル第1弾が登場します!(JR北海道ニュースリリース 2021年10月14日 PDF)
2023年は、2号車~4号車の内装がリニューアルされました。

「SL冬の湿原号」 2~4号車のリニューアルイメージ
(出典)冬のひがし北海道へ旅をしよう!(JR北海道ニュースリリース 2022年12月19日 PDF)
木目調の内装に一新され、テーブルやひじ掛けは北海道産の木製品を活用しているとのことです。
詳しくは、JR北海道の「SL冬の湿原号」のWebサイトをご覧ください。
「流氷観光」を含めた冬の道東観光おすすめルート
流氷観光と道東の観光スポットを合わせて楽しむ観光ルートをご紹介します。
- 女満別空港~網走~流氷観光(流氷観光砕氷船おーろら号)~網走~(JR釧網本線・流氷物語号)~知床斜里
- 知床斜里~(JR釧網本線)~摩周~(摩周湖・屈斜路湖など観光)~摩周~(JR釧網本線)~標茶~(SL冬の湿原号)~釧路~釧路空港
釧網本線沿いの観光スポットを巡る行程です。摩周湖を見たことがなければ、是非立ち寄りたいところです。真冬は凍結してしまいますので青い湖面は見られませんが、その代わり霧が出ることが少ないので、凍結した白い摩周湖を見ることができます。
釧網本線とあわせて利用したい期間限定バス「ひがし北海道エクスプレスバス」
摩周湖や阿寒湖、川湯温泉、ウトロなど、道東の観光地を巡るのに便利な「ひがし北海道エクスプレスバス」が、1月下旬~3月上旬の期間限定で運行されます。
- 運行日: 2023年1月28日(土)~3月5日(日)の間、毎日運行
- 一部便によって異なる
- 運行区間
- 1号: 紋別→網走→ウトロ
- 2号: ウトロ→網走・摩周→阿寒
- 3号: 阿寒→摩周・網走→紋別
- 4号: 釧路→阿寒→美幌→網走→ウトロ
- 5号: ウトロ→野付→阿寒→釧路
- 6号: 北見・網走→摩周→阿寒→北見・網走
- 7号: 阿寒→野付→中標津→ウトロ→網走
- 8号: ウトロ → 標茶(SL冬の湿原号接続便 ※1)
- 9号: 標茶 → ウトロ(SL冬の湿原号接続便 ※1)
※1: 「SL冬の湿原号」運転日に運行
単なる路線バスではなく、各観光地での観光時間が確保されています。
本記事で紹介している「流氷物語号」「SL冬の湿原号」や、釧網本線の普通列車とあわせて、これらのバスを活用することで、レンタカーを利用しなくても道東を観光できますので、積極的に活用したいところです。
詳しくは、「ひがし北海道エクスプレスバス」の専用Webサイトをご確認ください。このサイトから、予約もできるようです。

以上、『釧網本線に乗って流氷を見に行こう! 流氷物語号、SL冬の湿原号に乗る周遊ルートがおすすめです!』でした。冬の北海道を観光するなら、流氷は外せません。流氷観光と合わせて、冬の釧網本線を楽しむのがおすすめです。
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