鳥取・米子~新山口間を結ぶJR西日本の特急「スーパーおき」は、走行距離378kmにも及ぶロングラン気動車特急です。山陰本線では日本海の車窓が素晴らしいうえに、エンジンを唸らせて爆走する爽快感のある列車です。そんな「スーパーおき」の乗車記をお届けします。
JR西日本の気動車特急「スーパーおき」とは?
JR西日本の特急「スーパーおき」は、鳥取・米子~新山口間を結ぶ特急列車です。鳥取~新山口間は378kmにもなり、在来線としてはかなりのロングラン特急です。鳥取~新山口の全区間に乗車すると、約5時間半もかかります。
2022年1月現在、「スーパーおき」は1日3往復が運転されています。下り2本、上り1本は鳥取~新山口間で、下り1本、上り2本は米子~新山口間で運転されています。「スーパーおき」は、キハ187系気動車で運転されていますが、2両編成という短い編成です。新山口側の1号車が普通車指定席、米子・鳥取側の2号車が普通車自由席で、グリーン車は連結されていません。
特急「スーパーおき」の特徴は、山陰本線の日本海の車窓と、山陰本線での高速運転でしょう。
山陰本線の西側、特に出雲市~益田間は、日本海の海岸線に近いところを走りますので、車窓いっぱいに日本海が広がります。夕方の列車に乗れば、日本海に沈む夕陽を眺めることもできます。
そして、特急「スーパーおき」は、山陰本線区間ではかなりの速度で飛ばします。全区間の表定速度(走行距離を時刻表上の所要時間で割った速度)は、約70km/hとそれほど速くはないのですが、山陰本線区間では、最高速度の120km/hに近い速度で飛ばします。気動車特急ですので、エンジンを唸らせながら爆走する様子を楽しむことができます。
今回は、出雲市から新山口まで、特急「スーパーおき5号」に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。乗車したのは12月中旬の平日です。
【スーパーおき 乗車記1】「スーパーおき5号」に出雲市駅から乗車!
この日は、前日の夜、東京を出発した「サンライズ出雲」で出雲市までやってきました。そのときの様子は、以下の記事をご覧ください。久々に夜行列車の雰囲気を存分に味わえた旅となりました。
出雲大社に参拝したあと、本当は一畑電車で松江しんじ湖温泉まで行き、松江駅から「スーパーおき5号」に乗る予定でした。ところが、「サンライズ出雲」が1時間ほど遅延してしまったため、出雲大社のあと、そのまま出雲市駅から「スーパーおき5号」に乗車することにしたわけです。
出雲大社から出雲市駅に戻り、駅の売店でビールとおつまみを購入して、特急「スーパーおき」の長旅に備えます。
今回は、「JR西日本 どこでもきっぷ」を利用しての旅。JR西日本全線の新幹線・特急列車に3日間乗り放題という素晴らしいきっぷです。2021年12月末まで発売していました。
普通車指定席に6回まで乗車できるのですが、「スーパーおき5号」の指定席券を確保しておきました。長旅ですし、途中駅からの乗車となるためです。
列車の時間が近づいてきたので、出雲市駅のホームへ上がります。出雲市駅は高架の2面2線となっています。電化区間のため、ちょっと見には、都市郊外の私鉄駅のような雰囲気です。
15時02分頃、「スーパーおき5号」が時刻どおりにやってきました。
前述のとおり、特急「スーパーおき」は、キハ187系で運転される気動車特急です。2両編成という短い編成で、グリーン車はありませんが、指定席はあります。
1号車の指定席は、進行方向前側の車両。「スーパーおき5号」は、鳥取始発で、出雲市駅まで、すでに2時間くらい走ってきているのですが、車内は空いていて、10名に満たない乗客でした。自由席のほうも似たような乗車率でした。
混んでいたら遠慮しておこうと思いましたが、空いていたので、早速、出雲市駅で購入したビールをいただきます。
出雲市駅を出発して10分もしないうちに、車窓には日本海が広がります。このあとも、日本海の海岸線沿いに進んでいきますので、車窓が楽しみです。
【スーパーおき 乗車記2】海岸沿いをかっ飛ばす「スーパーおき」
太田市駅を出てからも、日本海の車窓は続きます。
この特急「スーパーおき」は、山陰本線をかっ飛ばします。この区間の最高速度は110km/hだそうですが、スマホの速度計のアプリで見ていると、100km/h以上で走行している区間もありました。エンジンを唸らせて爆走する特急は、乗っていて楽しいですね。
動画でも撮影してみました。日本海が見える時間が少ないですが、エンジンを唸らせて爆走する様子はお分かりいただけるかと思います。
山陰本線は、1990年代~2000年代にかけて高速化事業が実施されました。米子~益田間の高速化事業が完成した2001年に、キハ187系気動車が投入され、これまでの「おき」から「スーパーおき」へと愛称が変更された経緯があります。
15時42分、温泉津(ゆのつ)駅に到着。駅名から想像できるように、温泉津温泉の最寄り駅です。近くに世界遺産の「石見銀山」があります。
海岸沿いに風力発電の風車が並ぶエリアがありました。海沿いなので風が強いのでしょうけれど、おそらく冬季の季節風が強いのだと思います。
江津、波子(はし)、浜田と、このあたりは7~8分毎にこまめに停車していきます。江津駅や浜田駅では多少の乗降もありました。2両編成と短い特急列車ですが、短区間の利用も多いようで、一つの座席が何回転かするようです。
【スーパーおき 乗車記3】日本海に沈む素晴らしい夕陽を眺めて山口線へ
三保三隅(みほみすみ)駅を16時35分に発車するころには、すっかり夕方に。次の益田駅から先は山口線に入り、日本海の車窓とはお別れですが、そこまでの間に夕陽を眺めることができそうです。
岡見駅を過ぎたあたりだったでしょうか。日本海に沈む素晴らしい夕陽を見ることができました。このあたりは、海岸線に沿って、線路が曲がりくねっているのですが、そのせいで、西に沈む夕陽を真横から眺められる場所がいくつもありました。
入江にある小さな漁港の向こうに沈んでいく夕陽です。乗車したのは12月中旬ですが、ちょうどよいところで日没の時間を迎えたようです。
16時55分に益田駅を発車。ここから山口線へと入るため、日本海の車窓とはお別れです。もっとも、日没を迎えて、私の安物カメラでは露出が厳しくなってきましたが。
山口線の北側(日本海側)は高津川に沿っています。「スーパーおき5号」は、高津川を上流側へと遡る形で山口線を南下していきます。
17時26分に津和野に到着。あたりはもうかなり暗くなっています。小京都として有名な城下町ですが、この季節のこの時間に観光客の利用はないようで、ほとんど乗降はありませんでした。
その後も、徳佐、三谷、山口、湯田温泉とこまめに停車していきます。山口線に入ると、「スーパーおき」は、ややスピードが控えめになりました。
18時35分、定刻どおり、終点の新山口駅に到着しました。
出雲市駅から約3時間半、この「スーパーおき5号」の全区間では5時間半もの長旅でした。今どき珍しいロングラン気動車特急の旅を満喫できました。
以上、「【スーパーおき 乗車記】山陰本線を走るロングラン気動車特急! 日本海の車窓に、エンジンを唸らせての爆走と楽しい列車です!」でした。日本海に沈む夕陽が素晴らしい「スーパーおき5号」の旅でした。
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