2018年2月に運転を開始した京王電鉄の有料座席指定列車「京王ライナー」。今回、土休日運転の「京王ライナー1号」に乗車してきましたので、指定券の予約購入、車内設備、車内の様子などを交えて乗車レポートをお届けします。
- 「京王ライナー」とは?
- 座席指定券の購入方法
- 土休日の「京王ライナー1号」乗車レポート
- 【設備編】座り心地の良い座席にコンセント、WiFiと設備は充実!
- 【乗車編】乗り心地はとても良いが土休日の京王ライナー1号はがらがら
- 【結論】設備・乗り心地は上々も土休日は需要がなさそう
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「京王ライナー」とは?
「京王ライナー」は、京王電鉄が運行する有料座席指定列車です。2018年2月22日に運転を開始し、2018年3月現在は、平日・土休日ともに夕方~夜間の下り列車のみ運転されています。
新型車両5000系 ー京王ライナー、2月22日サービス開始ー|京王グループ
京王の5000系という新型車両が使われていて、S-TRAIN(西武他)やTJライナー(東武)のように、普段はロングシート、京王ライナーとして運転されるときはクロスシートに変わる座席になっています。
運転区間・運転時刻
ダイヤは以下のとおりで、京王八王子行き、橋本行きともに5本ずつ運転されています。
- 平日
- 京王八王子行き: 新宿発 20:00, 21:00, 22:00, 23:00, 00:00 の5本
- 橋本行き: 新宿発 20:30, 21:30, 22:30, 23:30, 00:20 の5本
- 土休日
- 京王八王子行き: 新宿発 17:00, 18:00, 19:00, 20:00, 21:00 の5本
- 橋本行き: 新宿発 17:20, 18:20, 19:20, 20:20, 21:20 の5本
途中停車駅は、京王八王子行きが、府中・分倍河原・聖蹟桜ヶ丘・高幡不動・北野、橋本行きが、京王永山・京王多摩センター・南大沢です。
新宿からの所要時間は、京王八王子までは35~40分、橋本までは32~38分です。
指定料金
座席指定料金は 一律400円 です。
座席指定券が必要な区間は以下のとおりです。
- 京王八王子行き: 新宿~府中間
- 橋本行き: 新宿~京王永山間
府中および京王永山から先は、乗車券のみで乗車できます。府中・京王永山は新宿から乗車すると最初の停車駅ですので、つまり、新宿から乗車する場合に限って座席指定券が必要 ということになります。
座席指定券の購入方法
座席指定券の購入方法は、以下の2つがあります。
購入方法 | 座席指定 | 支払い方法 | |
---|---|---|---|
京王チケットレス サービス |
Web上での購入 | ○ | クレジットカード |
京王ライナー専用券売機 | 駅の券売機 での購入 |
× (※1) | 現金・PASMO等 |
※1: 改札外の券売機のみ号車指定可能(座席の指定は不可)
いずれも、購入できるのは当日分のみ です。ただし、京王が発行するクレジットカード「京王パスポートカード(クレジット機能付き)」で登録すると、前日予約ができるようになります。
座席指定ができるのは「京王チケットレスサービス」だけ です。窓側に座りたいといった希望がある場合には、京王チケットレスサービスを利用しましょう。駅できっぷを受け取る必要もないので楽でいいですよ。
京王チケットレスサービス
今回は、こちらで購入してみました。手順は以下のとおりです。
- 京王チケットレスサービスに会員登録
- 座席指定券を購入、クレジットカードで決済
- 指定された列車の指定された座席に乗車(紙の指定券の受け取りは不要)
【会員登録】
京王の以下のページから、まずは会員登録します。
新型車両5000系 ー京王ライナー、2月22日サービス開始ー WEBでカエル|京王グループ
会員登録は、メールアドレス、ログインID、パスワードだけを入力するシンプルなものです。入力したメールアドレスに送られてくる確認メールのURLをクリックすれば会員登録完了です。
会員登録完了後、実際に購入する前に、クレジットカード情報を登録する必要がありました。
【座席指定券の購入】
座席指定券の購入方法も簡単です。
まず、乗車したい列車を選びます。空席状況が表示されていますので、○「空席あり」の列車を選び、「指定券を購入する」ボタンをクリックします。
すると、座席表が表示されますので、号車と座席を選びます。白い「空席」となっている座席をクリックすれば選べます。
座席を選んだら、あとは決済して完了です。
【乗車】
チケットレスサービスなので、紙の指定券を発行する必要はなく、駅ではそのまま指定された列車の指定された座席に座るだけでOK です。指定された座席に座っているぶんには、車内改札も省略されます。念のため、購入後に登録したメールアドレスに送られてくるメールを持っていくとよいでしょう。
なお、Webでの購入期限は、発車15分前までです。
京王ライナー専用券売機での購入
新宿駅の改札内、ホーム、改札外には、京王ライナー専用の券売機が設置されています。この券売機で座席指定券を購入することができます。支払いには、現金か、PASMOなどのICカードが利用できます。(一部券売機はICカードのみ対応)
改札外にある券売機では号車指定ができますが、座席の指定はできないようです。
また、ホーム上にある券売機では、京王ライナーの発車30分前からの発売です。
土休日の「京王ライナー1号」乗車レポート
今回乗車したのは、土休日の「京王ライナー1号」京王八王子行きです。
自宅で京王チケットレスサービスの会員登録と座席指定券の購入を済ませていましたので、新宿駅では特に何もせず、ホームに行くだけです。
ちなみに、京王ライナーが出発するのは「京王線」の新宿駅のほうです。地下にある「京王新線」の新宿駅ではありませんのでご注意を。
改札口には、京王ライナーの案内が掲示されています。どの列車もまだ空きがあるようですね。
乗車券にはPASMOが利用できるので、モバイルSuicaのアプリを入れたスマートフォンを改札にタッチして入場します。
京王ライナーは新宿駅の2番ホームから発車します。16時47分発の準特急橋本行きが2番線から出発したあと、すぐに京王ライナーが入線してきました。
デビューしてから2週間足らずということもあってか、まだ注目度は高く、あちこちで写真を撮っている人がいます。私もそのうちの一人ですが…(笑)
各車両に4つあるドアは、一つだけが開き、各ドアの横には駅員さんが立っています。特に座席指定券を見るわけでもないのですが、「この列車は座席指定券が必要です」と繰り返して誤乗防止に努めています。
【設備編】座り心地の良い座席にコンセント、WiFiと設備は充実!
一通りホームからの写真撮影を済ませたら、早速乗車して車内を見てまわります。
このように、クロスシートが並びます。ドア間には3列、合計で12席の座席があります。
両端のドアの脇(車端部)にある3席はロングシートで固定されています。この座席も同じ料金がかかりますので、避けたい場合には「京王チケットレスサービス」で座席を指定したほうがよいでしょう。ただ、クロスシートにはない肘掛けがありますし、コンセントも付いています。
通路の上にはこのようなディスプレイもあります。クロスシートで前向きに座っていると、ドア上のディスプレイが見づらいからでしょうね。
座席はリクライニングしませんが、座席のクッションは柔らかすぎず硬すぎず、座り心地はかなり良かったです。最長でも40分程度の乗車時間を考えると、十分すぎるほどです。座席の配色も高級感があり、車内の木目調の配色と合わさって、とても落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
テーブルやドリンクホルダーは付いていません。窓側の座席の窓の下に、ペットボトルや缶ジュース、スマホくらいなら置けますので、窓側の席のほうがおすすめです。
各座席にはコンセントがついています。前の座席の下に2個ありますので、全員が一つずつ使うことができます。
他にも、フリーのWiFiサービスがあり、簡単な操作でインターネットに接続することができます。
ということで、座席指定券400円で乗車できる列車としては、かなり設備のグレードは高いと思います。
トイレはありませんが、40分という乗車時間を考えれば、特に問題はなさそうです。
【乗車編】乗り心地はとても良いが土休日の京王ライナー1号はがらがら
さて、一通り設備を見て回ったところで席に着くと、17時ちょうどに新宿駅を発車しました。
車内を見渡してみると、私が乗車した8号車はがらがら。ドア間の12席に3人くらいでしょうか。隣の9号車はそれなりに乗っているようですが、それでも満席には程遠い乗車率です。
土休日の夕方、17時発というのが少し早いのかもしれませんが、新宿駅のホームで見ていると、特急や準特急といった優等列車でも、ホームに並んでいればほとんどの乗客が座席を確保できているようなので、いくらクロスシートとはいえ400円を払うほどの価値を感じられないのではないかと思います。平日の帰宅ラッシュ時なら、また状況は違うのでしょうけれど…。
京王ライナー1号は、ところどころスピードを緩めながらも、快調に飛ばしていきます。明大前と調布で少し停車。運転停車なのでドアは開きません。調布では、新宿を6分前に出発していた準特急京王八王子行きを抜いたようです。
新宿から22分で、最初の停車駅、府中に到着です。試乗組だったのか、若い男性の二人連れが下車していきました。この府中から先は座席指定券が不要の区間になります。そのため、府中からそれなりの乗車があり、車内は新宿を出たときよりも乗客が多くなりました。
府中では各駅停車に接続します。この各駅停車から京王ライナー1号に乗り換えてきた人もいるのでしょう。
府中までは結構飛ばしてきましたが、この5000系の乗り心地は上々です。ほとんど揺れを感じませんでした。新宿に戻るときに乗車した9000系と比べても、格段に乗り心地はよくなっていると思います。
次の分倍河原にも停車。乗車、下車ともに少しずつありますが、それでも車内の雰囲気が慌ただしくなるようなことはありません。乗客の数が少ないからでしょうか。
分倍河原を出ると多摩川を渡り、すぐに聖蹟桜ヶ丘にも停車。ここでも少し下車がありました。高幡不動でも少しの乗車と下車があり、車内は空いたまま北野に停車。
北野では高尾山口行きの列車に接続しています。ここで少し乗車がありました。それでも、結局、二人がけクロスシートの通路側はずっと空いたまま。乗車率は2~3割程度といったところでしょうか。
新宿から39分、17時39分に終点の京王八王子駅に到着しました。
京王八王子駅で乗客を降ろした京王ライナー1号は、回送列車となって、そのまま新宿まで戻るようです。ロングシートに転換して、乗客を乗せて新宿まで走ればいいのに、と思いながら、ホームを後にしたのでした。
【結論】設備・乗り心地は上々も土休日は需要がなさそう
ということで、京王ライナーに初乗車してみました。
これまでお伝えしてきたように、400円の座席指定券で乗車できる列車としては、設備、乗り心地ともに上々です。
平日の帰宅ラッシュ時であれば、京王八王子までの40分を確実に座って帰宅できる京王ライナーの需要は高そうです。直接競合するJR中央線の中央ライナーや特急の自由席は510円ですので、400円という値付けも、新宿~八王子で見れば競争力はありそうです。
ただ、いかんせん、土休日の夕方~夜間の下り列車は、今回乗車した京王ライナー1号の状況を見る限りでは、あまり需要は多くなさそうです。前述の通り、新宿駅で並んでいれば、準特急や特急の座席を確保することは容易です。それに、所要時間も、特急・準特急と京王ライナーではそれほど変わりません。
土休日は、京王八王子行きではなく、午前中の下りと夕方の上りを高尾山口発着にして、高尾山への観光客を取り込んだほうが需要がありそう ですね。
西武のS-TRAINは、平日は通勤ライナー、土休日は観光客向けに、運行する区間を明確に分けています。京王ライナーもそのようにしたほうが良さそうです。
以上、京王電鉄の有料座席指定列車「京王ライナー」の乗車レポートをお届けしました。座席などの設備面は充実していて、乗り心地もとても良いので、土休日の乗車率の低さはもったいないですね。この良い車両を有効活用する方法を考えてもらいたいものです。
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京王ライナーと同じロング・クロスシート転換の車両で運転される「S-TRAIN」の乗車レポートです。