会津鉄道の会津若松~会津田島間を走る観光列車「お座トロ展望列車」。お座敷列車、トロッコ列車、展望列車がひとつになった珍しい観光列車です。車窓も素晴らしく、のどかな里山や渓谷美を味わえます。この記事では、「お座トロ展望列車」の概要、運転日、ダイヤ、座席指定券の予約方法と、「お座トロ展望列車」のトロッコ車両の乗車記をお届けします。
会津鉄道「お座トロ展望列車」とは?
会津鉄道は、1987年に、JR東日本の会津線を受け継ぐ形で開業した第三セクター鉄道です。西若松~会津高原尾瀬口(全長57.4km)を結ぶ非電化路線です。南会津の里山の中を走る、長閑なローカル線です。
そんな会津鉄道が誇る観光列車が「お座トロ展望列車」です。2両編成の気動車で、手前側の車両の先頭が展望席(12席)、展望席の後ろがお座敷席(32席)、後ろ側の車両がトロッコ席(56席)になっています。
展望席は、少し床が高くなったハイデッカー構造になっていて、大きな窓から前面展望を楽しむことができます。お座敷席は掘りごたつになっていて、足を延ばしながらくつろぐことができます。そして、トロッコ列車は、窓が大きく開けられます。(窓開放は6月~9月の運転のみ)
会津鉄道「お座トロ展望列車」の運転日・運転時刻(2024年)
「お座トロ展望列車」は、例年、観光シーズン(4月~11月)の土日を中心に運転されています。ゴールデンウィークやお盆休み、10月~11月の紅葉シーズンは平日の運転も予定されています。2024年の「お座トロ展望列車」の運転は4月6日(土)から11月30日(土)までの予定です。
「お座トロ展望列車」の運転日、運転時刻は、会津鉄道のWebサイトをご覧ください。
「お座トロ展望列車」の運転日には、会津若松発会津田島行きの「花号」「星号」、会津田島発会津若松行の「月号」「風号」の2往復、合計4本が運転されます。運転時刻は、以下のとおりです。
【会津若松 → 会津田島】
花号 | 星号 | |
---|---|---|
会津若松 | 09:50発 | 13:34発 |
七日町 | 09:53発 | 13:37発 |
西若松 | 10:00発 | 13:41発 |
芦ノ牧温泉 | 10:28発 | 14:01発 |
湯野上温泉 | 10:50発 | 14:23発 |
塔のへつり | 10:59発 | 14:32発 |
会津下郷 | 11:07発 | 14:40発 |
会津田島 | 11:23着 | 14:57着 |
【会津田島 → 会津若松】
月号 | 風号 | |
---|---|---|
会津田島 | 08:26発 | 11:58発 |
会津下郷 | 08:44発 | 12:18発 |
塔のへつり | 08:51発 | 12:27発 |
湯野上温泉 | 08:57発 | 12:36発 |
芦ノ牧温泉 | 09:11発 | 12:58発 |
西若松 | 09:26発 | 13:17発 |
七日町 | 09:29発 | 13:21発 |
会津若松 | 09:33着 | 13:24着 |
「お座トロ展望列車」の座席指定券の予約・購入方法
「お座トロ展望列車」に乗車するためには、乗車券のほかに、座席指定券が必要です。乗車区間にかかわらず、一乗車あたり以下の価格となっています。
- 「お座トロ展望列車」の座席指定券
- 大人 400円
- 小人 200円
会津鉄道のWebサイトでは「座席指定券」という名称になっていますが、座席が指定されるわけではありません。座席の種類(展望席、お座敷席、トロッコ席)を指定すると席は確保されますが、乗車時は自由席となります。定員以上の座席指定券を発売することはないので、必ず座ることはできます。
「お座トロ展望列車」の座席指定券は、会津鉄道のWebサイトで予約することができます。Web予約の場合には、座席の指定もできます。会津鉄道の「お座トロ展望列車」のページの「ご予約はこちらから。」から、Web予約することができます。会員登録が必要です。
また、座席指定券は、以下の場所で、乗車の1ヶ月前から購入することもできます。
- 会津鉄道線の有人駅(西若松駅・芦ノ牧温泉駅・湯野上温泉駅・会津下郷駅・会津田島駅・会津高原尾瀬口駅)
- 会津鉄道線の普通列車の車掌
- 旅行会社の窓口(JTB、東武トップツアーズ、近畿日本ツーリスト、日本旅行)
筆者は、2019年のゴールデンウィーク(5月5日)に乗車しました。乗車前日に湯野上温泉駅で座席指定券(整理券)を購入しましたが、十分に空席がありました。また、乗車直前に駅で購入している方もいましたので、前日・当日の会津鉄道線内での購入でも、おそらく大丈夫でしょう。
ただ、座席数が少ない展望席を希望する場合や、座席を指定して乗車したい場合には、事前にWeb予約しておくと安心でしょう。展望席→お座敷席→トロッコ席の順で席が埋まる傾向にあるようです。
「お座トロ展望列車」トロッコ車両 乗車記
2019年のゴールデンウィークに、湯野上温泉から会津若松まで、お座トロ展望列車「風号」のトロッコ席に乗車してきましたので、乗車記をお届けします。(ダイヤは乗車した2019年当時のものです)
茅葺屋根の駅舎、湯野上温泉駅から乗車
前日は湯野上温泉に宿泊、午前中に大内宿を観光したあと、再び湯野上温泉駅に戻ってきました。
湯野上温泉駅から大内宿へは、「猿游号」というバスが便利です。以下の記事で、大内宿へのアクセスについて詳しく説明していますので、興味がありましたらご覧ください。
湯野上温泉駅の駅舎は、日本に二つしかないという茅葺屋根の駅舎。茅葺屋根の古民家が並ぶ大内宿の玄関口として、駅舎をリニューアルするときに、茅葺屋根の駅舎を建てたんだそうです。
この茅葺屋根は、茅葺風、ではなく、本物の茅葺屋根です。
駅舎の中には囲炉裏があります。この日は火が入れられていませんでしたが、2年前に訪問したときには火が焚かれていました。
ホームから見るとこんな感じです。カーブしたホームに、茅葺屋根の駅舎。とても良い雰囲気の駅ではないでしょうか。ホーム奥の、ソメイヨシノとは違う桜は、まだ咲いていました。
2017年のゴールデンウィークに湯野上温泉駅を訪問したときの記事です。この時は、ホームに植えられた桜が満開でした。
「お座トロ展望列車」が入線
12時29分、「お座トロ展望列車」が入線してきました。上の写真はトロッコ車両のほうです。発車まで5分ほど時間があったので、ホームからお座トロ展望列車を撮影していました。
トロッコ車両を横から。窓はあるのですが、大きく開くようになっています。ただ、閉まったまま開かない窓もありました。この時期は気温が低いこともあるためでしょうか。車掌やアテンダントさんに言えば開けてくれるのかもしれませんが。
お座敷&展望席のほうの車両には、大きくアニメのキャラクターが描かれています。テレビアニメ「ノラと皇女と野良猫ハート」と会津鉄道のコラボレーションだそうです。アニメに出てくるネコが、ネコ駅長「らぶ」で有名な芦ノ牧温泉駅の副駅長に就任したということでコラボしているようです。
トロッコ車両に乗り込みます。ゴールデンウィークだから混んでいるのかと思いきや、それほどではありませんでした。各ボックスがほどよく埋まり、相席の必要はないくらいです。観光列車は、このくらいの乗車率だと、賑わいもありますし、かといって、他のお客さんに気を使わなくてもよいので、快適に過ごせますね。
展望席までは見に行きませんでしたが、お座敷席のほうも、似たような乗車率でした。
阿賀川の絶景ポイントで一時停止!
湯野上温泉駅を出て少し行くと、阿賀川を渡る鉄橋があります。早速、ここで一時停止。
桜が散ったばかりで、新緑というにはまだちょっと早いですが、青い川の流れに緑がよく映えています。爽やかな風を浴びながら、この素晴らしい景色を直接眺めることができるのは、窓のないトロッコ車両ならではです。
会津若松行きの場合、トロッコ車両は後ろ側になるため、後面展望もバッチリ! 鉄橋の上からトンネルの出口もよく見えました。
芦ノ牧温泉南駅の手前でも一時停止。阿賀川にある大川ダムが造るダム湖「若郷湖」(わかさとこ)です。湖の上の県道が通っていて、なかなか絵になります。
「お座トロ展望列車」には、小さいながら売店もあります。お酒やジュースなどの飲み物や、お菓子、おつまみなどを購入することができます。
トンネルの壁がスクリーンに?
会津鉄道の湯野上温泉~芦ノ牧温泉のあたりは、比較的トンネルが多い区間でもあります。トンネルに入ると、窓が大きく開いているトロッコ車両内には、線路の継ぎ目を通過する音や、気動車のエンジン音が響き渡ります。ものすごい轟音です。
そんなトンネル内では、トロッコ車両の天井に設置されたプロジェクターから、トンネルの壁に向けて映像が流されていました。コラボしているアニメ「ノラと皇女と野良猫ハート」の映像はわかったのですが、上の写真は何の映像なのかよくわかりませんでした(笑)
天井に設置されているプロジェクターです。窓がないトロッコ車両の特徴を活かして、トンネルの壁をシアターにしてしまうというアイデアは面白いのですが、いかんせん、音声がない(というか、あったとしても、あまりの轟音で聞こえないはず)ので、アニメを放映するのはどうなのかと思いました。
ネコ駅長「らぶ」、施設長「ぴーち」で有名な芦ノ牧温泉駅に到着。駅の片隅には、初代のトロッコ車両が静態展示されていました。内部には、Nゲージやプラレール、それに、旧国鉄時代からの貴重な品々が展示されているとのこと。さらに、実物のハンドルや運転台を利用した運転シミュレータがあるそうです。
会津盆地の向こうに飯豊山地を眺める
芦ノ牧温泉を出ると、次第に平地が多くなってきます。会津盆地の南端に差し掛かったようです。
会津地方の季節は春。あちこちで菜の花が咲いていました。水田には微妙に水が張られていますが、田植えはもう少し後でしょう。
会津盆地の向こうには、まだ雪を多く湛えた飯豊山地が見えました。
会津盆地の南端をまっすぐ北上します。線路の周囲に住宅が増えてきました。
写真を撮ることはできませんでしたが、右側の車窓には磐梯山が見えていて、その手前には鶴ヶ城が。磐梯山と鶴ヶ城を同時に見ることができるのは会津鉄道だけ、というアナウンスがありました。
西若松駅、七日町(なぬかまち)と停車。七日町で数名が下車しました。そして、湯野上温泉駅から約50分で、終点の会津若松に到着しました。
以上、『会津鉄道「お座トロ展望列車」 トロッコ車両乗車記! 南会津の里山風景、鉄橋からの絶景、そして、トンネルの轟音は迫力満点!』でした。トロッコ列車はシンプルな観光列車ですが、爽やかな春の風を浴びながら、南会津の風景を眺めるだけで十分! 鉄道の旅の良さを思い出させてくれる列車でした。
関連記事
会津鉄道の乗車記です。車窓のほかに、沿線の観光スポットの情報も掲載していますので、ぜひご覧ください。
首都圏から会津鉄道へのアクセスに便利な東武鉄道の特急列車「リバティ会津」の記事です。浅草駅から会津田島駅に直通しますので、会津田島駅で会津鉄道の列車に乗り継ぐことができます。
当ブログの観光列車コンテンツのトップページです。車窓、グルメ、SL列車、トロッコ列車など、ジャンル別におすすめの列車と乗車記を紹介していますので、ぜひご覧ください。
コメント
ひさ(kz_hisa) (id:kzlife)さん
こんにちは!
景色もいいですし、とても魅力的な列車ですね!
乗りたいっ!!けど、日帰りだとちょっとキツい距離ですねぇ…。。。
ハヤトさん、コメントありがとうございます!
これからの時期は、天気が良ければトロッコ列車がよさそうですね。
日帰りだと、無理ではないでしょうけれど、ずっと乗りっぱなしになってしまうかもしれませんね。沿線の温泉か、会津若松あたりで一泊するのが良いかと。