JR各社は、2020年秋の臨時列車について発表しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、夏の旅行需要が低調だったこともあり、各社とも例年より少なめの設定です。本記事では、JR各社の2020年秋の臨時列車の発表状況のまとめと、注目の臨時列車について紹介します。
※2020.10.10更新
- JR各社の2020年秋の臨時列車の運転計画・指定席の発売状況まとめ
- 2020年秋の臨時列車、定番の観光列車以外は各社とも少なめの計画
- 2020年12月で運行終了! この秋に乗っておきたい「現美新幹線」
- 吉野川の車窓を楽しむ新しいトロッコ列車「藍よしのがわトロッコ」、10月10日運転開始!
- 瀬戸内の新しい観光列車「etSETOra」(エトセトラ)が10月3日にデビュー!
- 仙山線をED75牽引の12系客車が走る!「仙山線紅葉号」
- 観光列車「海里」初の秋田延長運転に弥彦発着の「紅葉海里」運転!
- 今年春は運転中止となった急行「10周年飯田線秘境駅号」、初の駒ヶ根発の列車も運転!
- JR西日本の「WEST EXPRESS 銀河」、JR九州の「36ぷらす3」デビュー!
JR各社の2020年秋の臨時列車の運転計画・指定席の発売状況まとめ
JR各社は、2020年秋の臨時列車について発表しました。10月10日時点での各社の発表状況は以下の通りです。
- JR北海道
- JR東日本
- JR東海
- JR西日本
- JR四国
- JR九州
なお、各社とも、定番の観光列車(JR東日本の「のってたのしい列車」、JR九州の「D&S列車」など)については、各社のWebサイトにて、おおむね2020年度内の運転計画が公表されています。
2020年秋の臨時列車、定番の観光列車以外は各社とも少なめの計画
新型コロナウイルスの影響で、2020年の夏休みやお盆休みの輸送量は、JR各社とも例年の4分の1以下に落ち込んでしまいました。今後もこの影響が続くと見込んでいるのか、JR各社とも、2020年秋の臨時列車は、全体的に例年よりも少なめの計画となっています。
全体の傾向でいえば、各社とも、定番の観光列車(JR東日本「のってたのしい列車」、JR九州「D&S列車」など)は運転されるものの、新幹線や特急の増発列車は少なめ、これら以外の観光客向けの臨時列車の設定も少なめです。
JR各社の新幹線の増発列車は少なめ、一部は指定席発売見合わせ
JR各社の新幹線の増発列車・臨時列車ですが、10月10日時点の発表状況は以下のようになっています。
- JR北海道・JR東日本
- 10月、11月分の臨時列車を発表、9月19日より指定席を発売(ただし、一部臨時列車は運休)
- JR東海・JR西日本(東海道・山陽新幹線)
- 10月分、11月分の臨時列車を発表、指定席は通常通り1か月前から発売開始
- JR西日本(北陸新幹線)
- 10月分の臨時列車を発表、9月19日より指定席の発売を開始(一部臨時列車は運休)
- JR九州
- 臨時列車はなし
秋の臨時列車が最初に発表された8月下旬の時点では、指定席の発売を見合わせていた路線が多いですが、10月10日時点では、指定席の発売が開始されています。ただし、一部の臨時列車は運休となっていますので、該当の臨時列車が運転されるのか、また、指定席が発売されているのか(いつ発売されるのか)を、JR各社のWebサイトで確認したほうがよいでしょう。
在来線特急列車の臨時列車も少なめ、JR北海道・JR西日本は臨時列車ゼロ
新幹線と同様、在来線特急列車についても、JR各社の臨時列車は少なめです。
- JR北海道
- 10月、11月分の在来線特急列車の臨時列車の計画なし
- JR東日本
- 10月、11月分の臨時列車を発表、9月19日より指定席の発売を開始
- JR東海
- 10月、11月分の臨時列車を発表
- 「ワイドビューしなの」「ワイドビューひだ」「ワイドビュー南紀」のみで、「ワイドビューふじかわ」「ふじさん」の計画はなし
- JR西日本
- 「WEST EXPRESS 銀河」、「南紀」のみ
- JR四国
- 10月、11月分の臨時列車を発表
- 在来線特急列車は「サンライズ瀬戸」琴平延長運転、「ゆうゆうアンパンマンカー増結」のみで、例年秋の連休に実施している「しおかぜ」全編成岡山発着の変更はなし
- JR九州
- 一部臨時列車の運転取りやめを発表
JR東日本、JR東海は例年通り臨時列車の計画を発表していますが、本数は少なめです。今後、状況が好転すれば、追加で臨時列車の運転が発表されることもありそうですが、現時点ではその状況ではないということでしょう。
2020年12月で運行終了! この秋に乗っておきたい「現美新幹線」
土休日に上越新幹線の越後湯沢~新潟間で運転されている「現美新幹線」は、2020年12月での運行終了が発表されています。
引退を控えた「現美新幹線」ですが、10月~11月も、土休日に越後湯沢~新潟間で1日3往復運転されます。
- 特急「現美新幹線」
- 運転日
- 10月10日(土),11日(日),17日(土),18日(日),24日(土),25日(日),31日(土)
- 11月1日(日),3日(火),7日(土),8日(日),14日(土),15日(日),21日(土),22日(日),23日(月),28日(土),29日(日)
- 12月5日(土),6日(日),12日(土),13日(日),19日(土)
- 運転時刻
- 下り(越後湯沢 → 新潟)
- とき451号: 越後湯沢 08:24発 → 新潟 09:14着
- とき453号: 越後湯沢 12:44発 → 新潟 13:38着
- とき455号: 越後湯沢 15:20発 → 新潟 16:14着
- 上り(新潟 → 越後湯沢)
- とき452号: 新潟 11:26発 → 越後湯沢 12:20着
- とき454号: 新潟 14:02発 → 越後湯沢 14:56着
- とき456号: 新潟 16:42発 → 越後湯沢 17:32着
- 途中停車駅: 浦佐、長岡、燕三条
- 下り(越後湯沢 → 新潟)
- 運転日
「現美新幹線」は、その奇抜なデザインの外観もさることながら、車内を現代アートの美術館にしてしまうという大胆な発想の観光列車です。現代アートという難しいテーマではありますが、新幹線とは思えない車内の雰囲気は必見です。
車内にはカフェもあり、コーヒーやスイーツを購入して車内で食べることもできます。
2020年12月で運行終了となりますので、未乗の方、また、最後にもう一度乗っておきたいという方は、この秋が狙い目です。
「現美新幹線」の車内の様子については、当ブログに掲載している乗車記をご覧ください。
吉野川の車窓を楽しむ新しいトロッコ列車「藍よしのがわトロッコ」、10月10日運転開始!
(出典)観光列車<藍よしのがわトロッコ> - JR四国 | おすすめ列車/イベント情報 | JR四国
この秋の注目の一つは、JR四国の新しいトロッコ列車です。吉野川の流れに沿って、徳島線の徳島~阿波池田間を走ります。
- 快速「藍よしのがわトロッコ」
- 運転日
- 10月10日(土),11日(日),17日(土),18日(日),24日(土),25日(日),31日(土)
- 11月1日(日),3日(火),7日(土),8日(日),14日(土),15日(日),21日(土),22日(日),23日(月),28日(土),29日(日)
- 運転時刻・停車駅
- 下り(さとめぐみの風)
- 徳島 10:34発 → 石井 10:46着/10:51発 → 穴吹 11:45着/11:50発 → 阿波加茂 12:38着/12:38発 → 阿波池田 13:00着
- 上り(かちどきの風)
- 阿波池田 14:39発 → 阿波加茂 14:57着/15:00発 → 穴吹 15:57着/15:58発 → 石井 16:47着/16:52発 → 徳島 17:06着
- 下り(さとめぐみの風)
- 運転日
「藍よしのがわトロッコ」は、キハ185+キクハ32の2両編成。キクハ32はトロッコ車両に改造されたもので、これまでも四国各地を走っていたトロッコ車両です。昨年は「志国高知 幕末維新号」として土讃線を走っていましたが、今回の「藍よしのがわトロッコ」運転開始に向けて外観などがリニューアルされています。
徳島線は、徳島の市街地を抜けると、終点の阿波池田まで、ほとんどの区間を吉野川に沿って走ります。吉野川の雄大でゆったりとした流れを眺めながら、トロッコでのんびりと旅ができる列車ですね。秋の観光シーズンにピッタリです。
瀬戸内の新しい観光列車「etSETOra」(エトセトラ)が10月3日にデビュー!
(出典)新観光列車「etSETOra(エトセトラ)」の車内サービスが決定:JR西日本
この秋にデビューする新しい観光列車がもう一つあります。JR西日本の瀬戸内を走る「etSETOra」(エトセトラ)です。
- 快速「etSETOra」
- 平日(月曜日・金曜日運転)
- 運転日
- 10月5日(月),9日(金),12日(月),16日(金),19日(月),23日(金),26日(月),30日(金)
- 11月2日(月),6日(金),9日(月),13日(金),16日(月),20日(金),27日(金),30日(月)
- 運転時刻
- 上り: 広島 09:32発 → 尾道 12:32着(呉線経由)
- 下り: 尾道 14:24発 → 宮島口 16:40着(山陽線経由)
- 運転日
- 土休日(土曜日・日曜日・祝日運転)
- 運転日
- 10月3日(土),4日(日),10日(土),11日(日),17日(土),18日(日),24日(土),25日(日),31日(土)
- 11月1日(日),3日(火・祝),7日(土),8日,14日(土),15日,21日(土),22日(日),23日(月・祝),28日(土),29日(日)
- 運転時刻
- 上り: 広島 09:32発 → 尾道 12:32着(呉線経由)
- 下り: 尾道 13:45発 → 宮島口 16:07着(山陽線経由)
- 運転日
- 平日(月曜日・金曜日運転)
2019年まで、広島~三原間で運転されていた「瀬戸内マリンビュー」の車両を改造し、新しい観光列車として運転を開始します。2020年10月~12月に開催される「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」にあわせてのデビューとなります。
瀬戸内海の美しい車窓はもちろんのこと、往路(尾道行き)では車内でスイーツをいただくことができますし、復路(宮島口行き)ではトレインバーでお酒を飲みながらの旅ができます。
なお、往路のスイーツは3日前までの予約が必要です。復路のとトレインバーは予約不要で利用できます。
詳しくは、JR西日本のニュースリリースをご覧ください。
仙山線をED75牽引の12系客車が走る!「仙山線紅葉号」
- 快速「仙山線紅葉号」
- 運転日: 10月25日(日)
- 運転時刻: 山形 09:05発 → 仙台 11:33着
- 使用車両: 電気機関車(ED75)+12系客車3両(全車指定席)
ふだんは観光列車が運転されていない仙山線で、電気機関車(ED75)が12系客車を牽引する「仙山線紅葉号」が運転されます。
2年前の2018年には、仙山線交流電化50周年を記念して企画されたツアー「なつかしの12系客車に乗る山方仙台への旅」で、同じくED75+12系客車3両の編成で運転されました。
今回も同様の編成だと思われますが、2年前はツアー専用列車だったのに対して、今回は臨時列車としての運転。乗車券+指定席券で乗車できます。1日のみ、それも、山形→仙台の1本のみの設定ですので、指定席券はあっという間に売り切れそうですね。
観光列車「海里」初の秋田延長運転に弥彦発着の「紅葉海里」運転!
昨年10月にデビューして、この秋で1周年を迎える羽越本線の観光列車「海里」。この秋には、初めての秋田延長運転が実施されます。
- 快速「海里」(秋田延長運転)
- 運転日・運転時刻
- 10月16日(金): 新潟 10:12発 → 秋田 15:25着
- 10月17日(土): 秋田 13:04発 → 新潟 18:31着
- 運転日・運転時刻
先代の「きらきらうえつ」でも、たまに実施されていた秋田延長運転ですが、「海里」でも初めて実施されます。普段の運転日には、新潟~酒田を1往復する海里ですが、秋田延長運転の日は、それぞれ片道のみの運転となります。
新潟~秋田の所要時間は5時間前後と、かなり乗りごたえのある列車になりそうですね。
- 快速「紅葉海里」
- 運転日: 11月11日(水),18日(水)
- 運転時刻
- 新潟 10:12発 → 弥彦 13:06着
- 弥彦 16:49発 → 新潟 18:17着
「海里」を利用した弥彦への臨時列車が運転されます。弥彦公園は紅葉の名所ですが、例年、10月下旬~11月にはライトアップも実施されます。紅葉の時期に合わせた臨時列車ですね。
「海里」の羽越本線以外への運転は、2020年春に高田への「桜海里」が計画されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で「高田城址公園観桜会」が中止になってしまったため、「桜海里」も運休となりました。
そのため、今回の「紅葉海里」が、羽越本線以外での初の運転となります。
新潟~弥彦間は普通列車の乗り継ぎで1時間半弱ですが、「紅葉海里」の弥彦行きの所要時間は3時間弱。途中駅での長時間停車やイベントなどが企画されているのかもしれませんね。
観光列車「海里」については、以下の記事で詳しく紹介しています。指定席券の予約・購入方法や、オプションのお弁当の購入方法なども紹介していますので、ぜひご覧ください。
今年春は運転中止となった急行「10周年飯田線秘境駅号」、初の駒ヶ根発の列車も運転!
2010年から、毎年春と秋に数日間運転されている「飯田線秘境駅号」。飯田線の秘境駅を一気に訪問できる列車として人気です。
2020年は運転開始から10周年ということで、春の運転は急行「10周年飯田線秘境駅号」として予定されていました。ところが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となってしまいました。
2020年秋、改めて、急行「10周年飯田線秘境駅号」として、5日間の運転が予定されています。
- 急行「10周年飯田線秘境駅号」
- 運転日
- 2020年11月13日(金),14日(土),15日(日),21日(土),22日(日)
- 運転区間・運転時刻
- 下り: 豊橋 09:50発 → 飯田 15:30着
- 上り: 駒ヶ根 11:47発 → 飯田 13:13発 → 豊橋 17:54着
- 11/13~15は駒ヶ根→豊橋、11/21.22は飯田→豊橋で運転
- 使用車両:373系 3両編成
- 運転日
11月13日~15日の三日間は、上り列車が駒ヶ根始発となります。これは、「飯田線秘境駅号」の歴史の中で初めてのことだということです。駒ヶ根から豊橋まで、実に6時間以上の行程ですが、秘境駅訪問だけでなく、飯田線の車窓もじっくりと楽しむことができそうですね。
急行「10周年飯田線秘境駅号」の詳しい情報は、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
JR西日本の「WEST EXPRESS 銀河」、JR九州の「36ぷらす3」デビュー!
既報のとおり、JR西日本の新たな長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」が9月11日にデビューしました。また、JR九州の「36ぷらす3」も10月16日にデビューする予定です。これまでにないタイプの観光列車が、この秋、二つ続けてデビューすることで、新たな観光列車時代の幕開けの予感です。
- 特急「WEST EXPRESS 銀河」
- 下り(京都 → 出雲市)
- 運転日
- 10月 2日(金), 5日(月), 9日(金),12日(月),16日(金),19日(月),30日(金)
- 11月 2日(月), 6日(金),13日(金),16日(月),20日(金),23日(月),27日(金)
- 運転時刻: 京都 21:15発 → 出雲市 09:31着
- 運転日
- 上り(出雲市 → 大阪)
- 運転日
- 10月 3日(土), 7日(水),10日(土),14日(火),17日(土),21日(水),31日(土)
- 11月 4日(水), 7日(土),14日(土),18日(水),21日(土),25日(水),28日(土)
- 運転時刻: 出雲市 16:00発 → 大阪 06:12着
- 運転日
- 下り(京都 → 出雲市)
JR西日本の「WEST EXPRESS 銀河」は、この秋、夜行特急列車として、京阪神地区~出雲市を結びます。週2往復の運転です。
なお、当面は旅行商品の発売となります。「WEST EXPRESS 銀河」の車内設備や運行情報など、詳細については、以下の記事をご覧ください。
- 特急「36ぷらす3」
- 運転日・運転区間・時刻
- 木曜日: (当面の間 運休)
- 金曜日: 鹿児島中央 12:16発 → 宮崎 15:57着
- 土曜日: 宮崎空港 11:25発 → 宮崎 11:43発 → 大分 16:23着 → 別府 16:46着
- 日曜日: 大分 11:30発 → 別府 11:43発 → 小倉 15:01着 → 博多 16:32着
- 月曜日: 博多 10:51発 → 長崎 15:38着 / 長崎 17:30発 → 博多 21:03着
- 運転日・運転区間・時刻
JR九州の「36ぷらす3」は、10月16日(金)にデビューします。曜日によって運行区間が変わり、5日間で九州を一周するようになっています。1日単位でも乗車できます。
座席はすべてグリーン席以上で、通常のグリーン席に加えて、グリーン個室もあります。
「ランチプラン」「ディナープラン」はきっぷ類に加えてお食事が付くコースで、旅行商品原点となります。グリーン個室は、これらのプラン限定となります。一方、「グリーン席プラン」は、通常のきっぷ+特急券+グリーン券のセットで、JR九州の「インターネット列車予約」で予約・購入することができます。
「36ぷらす3」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
以上、『【2020年秋の臨時列車】JR各社が発表! 「藍よしのがわトロッコ」運転開始、「現美新幹線」乗り納めは早めに!』でした。例年よりも寂しい秋になりそうですが、その中でも「藍よしのがわトロッコ」の運転開始などうれしいニュースもあります。秋の観光シーズン、紅葉狩りにあわせて、臨時列車の旅を楽しみたいところですね。
コメント
現美新幹線も引退ですか・・・
指定席特急券で元「こまち」のグリーン車に乗車できる乗り得な車両だったんですけどね・・・
かこたかゆきさん、コメントありがとうございます。
現美新幹線、5年で引退ということなので、早かったですね。
もともと「こまち」のお古ですから、車両寿命の関係もあるのでしょうね。
一応、新幹線の速度で走り続けていますし。
ほぼ同時期に製造された車両で運転されている「とれいゆつばさ」も、そろそろかもしれませんね。
こちらは、在来線区間しか走らないので、多少は寿命が長いのかもしれませんが…