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JR北海道の維持困難線区、北海道と沿線自治体の負担が年40億円規模に!

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JR北海道の「単独で維持困難な線区」を巡って、鉄道としての存続を目指す8線区を維持するために、北海道や沿線自治体に対して、合計で年間40億円規模の負担を求める方針であることがわかりました。人口減で財政の苦しい北海道にとっては、かなり大きな負担になりそうです。

JR北海道が北海道・沿線自治体に年40億円規模の負担を求める方針

報道によりますと、2019年3月末にJR北海道が策定する短期・中期・長期の経営計画において、「単独で維持困難な線区」のうち、鉄道での維持を目指す8線区の存続のために、北海道や沿線自治体に年間40億円規模の負担を求める方針であるとのことです。

headlines.yahoo.co.jp

財政の苦しい北海道や沿線自治体にとっては非常に大きな負担となりそうですが、果たして路線の維持は可能なのでしょうか?

鉄道での維持を目指す7路線8線区

JR北海道が2016年に発表した「単独で維持困難な線区」。その後の北海道の有識者会議などでまとめられたレポートなどを経て、現状では、輸送密度200人/日で二つのグループに分割されています。各路線・線区は以下の通りです。

  • バス転換などを目指す線区(4路線5線区)
    • 石勝線 夕張支線(新夕張~夕張) ※2019年3月末で廃止
    • 札沼線(北海道医療大学~新十津川) ※2020年5月6日で廃止
    • 日高線(鵡川~様似) ※廃止に向けての協議が進展中
    • 留萌線(深川~留萌)
    • 根室線(富良野~新得)
  • 鉄道の存続を目指す線区(7路線8線区)
    • 宗谷線(名寄~稚内)
    • 石北線(新旭川~網走)
    • 根室線(滝川~富良野)
    • 富良野線(富良野~旭川)
    • 釧網線(東釧路~網走)
    • 根室線(釧路~根室)
    • 日高線(苫小牧~鵡川)
    • 室蘭線(沼ノ端~岩見沢)

今回の報道で対象となっているのは、鉄道での存続を目指す7路線8線区のほうです。これらの路線については、JR北海道が単独で維持することは困難であることは変わりませんが、鉄道での存続を目指すために、国や北海道、沿線自治体に負担を求めるとしていました。

そのうち、北海道や沿線自治体の負担が、合計で年額40億円規模ということが報道されているわけです。

赤字額の3分の1を自治体が補填?

対象となる7線区8路線の収支から見たときの、40億円というのはどの程度なのでしょうか。

7線区8路線の収支状況は以下の通りです。(JR北海道発表、平成29年度)

線区 輸送密度(人/日) 営業損益(億円)
宗谷線(名寄~稚内) 352 ▲27.33
石北線(新旭川~網走) 847 ▲42.43
根室線(滝川~富良野) 428 ▲12.70
富良野線(富良野~旭川) 1,579 ▲9.98
釧網線(東釧路~網走) 364 ▲14.97
根室線(釧路~根室) 264 ▲11.10
日高線(苫小牧~鵡川) 446 ▲4.26
室蘭線(沼ノ端~岩見沢) 439 ▲12.33
合計 ▲135.1

(出典)JR北海道 平成29年度 線区別収支とご利用状況【PDF/112KB】

対象となる7線区8路線の平成29年度の営業損益は、合計で135.1億円の赤字となっています。

このうち、40億円程度を北海道と沿線自治体が負担するということは、おおむね赤字額の3分の1を補填するということになります。残りの3分の2を国の負担、それに、JR北海道の経営努力(運賃値上げやコスト削減等)で賄おうということでしょう。

赤字額の大きな幹線の維持が課題

対象となる線区を個別にみていくと、輸送密度と営業損益(赤字額)の規模は比例していないことがわかります。

鉄道の維持費、特に線路や設備のメンテナンス費用、それに、JR北海道の場合は冬季の除雪費用などは、路線長に比例して大きくなります。そのため、路線長の長い線区の赤字額が大きくなる傾向にあります。特に、宗谷線(名寄~稚内 183.2km)の27.3億円、石北線(新旭川~網走 240km)の42.4億円が目立ちます。

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対象路線の一つ、石北線を走る特急オホーツク

一方で、これらの路線は、札幌や旭川といった道内の中核都市と、稚内、北見、網走などの道東・道北の主要都市を結ぶ路線でもあり、都市間輸送を担う重要度の高い路線でもあります。

重要度の高い路線の赤字額が大きいという構造的な問題は、特に沿線自治体の負担割合を決める際に課題となりそうです。道東や道北は人口希薄地帯が多く、面積は大きくても人口が少ない自治体が少なくありません。つまり、負担を求められたときに相対的に厳しい状況になる可能性が高いわけです。

このあたりは、北海道と沿線自治体の話し合いで決めるのかもしれませんが、単純に沿線自治体を通る路線長で負担割合を決めるなどということがないよう、北海道の手腕が試されるところではないかと思います。

長期的には赤字補填ではなく構造的な変革が必要

JR北海道の赤字分を補填する、という考え方では、いつまでたっても国や自治体の負担はなくならず、人口減少を考えると、むしろどんどん負担が増える方向になってしまうでしょう。

短期的には仕方がないかもしれませんが、長期的には、JR北海道の収支を少しでも改善できるようにする方策を検討する必要がありそうです。

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外国からの観光客が大勢利用する富良野線

沿線人口はどんどん減っていくはずですから、地元の利用客を増やす効果は限定的です。観光客をいかに増やすか、いかに鉄道を利用してもらえるようにするかが重要でしょう。

一方で、国として、北海道の鉄道をどのように維持していくか、本質的な議論も必要でしょう。特に、青函トンネルや、札幌~函館間の鉄路は、北海道~本州の物流を支える重要なインフラです。これらの維持を経営危機に瀕しているJR北海道に押し付けるのは違うでしょう。


以上、『JR北海道の維持困難線区、北海道と沿線自治体の負担が年40億円規模に!』でお届けしました。JR北海道支援の具体的な姿が見えてきたのは良いことですが、沿線自治体が負担に耐えられるのかが心配です。