ひさの乗り鉄ブログ

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【大船渡線 BRT乗車レポート】奇跡の一本松を訪問、堤防・造成工事が目立つ海岸線はいまだ復興途上

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気仙沼線BRT全線を乗りとおしたあとは、気仙沼駅で大船渡線BRTに乗り換えます。鉄道時代の大船渡線には乗車したことがありますが、BRTとして復旧してからは初乗車。途中下車して、「奇跡の一本松」にも訪問してきました。

この記事では、大船渡線BRT(気仙沼~盛)の乗車レポートをお届けします。

大船渡線BRTとは?

大船渡線は、JR東日本の路線です。岩手県の一ノ関駅から、宮城県の気仙沼駅を経由して、岩手県の盛(さかり)駅を結ぶ、全長105.7kmの非電化路線です。

2011年の東日本大震災では、三陸海岸に面する気仙沼~盛の43.7kmが被災。鉄道での復旧をあきらめ、BRTとして復旧しました。

現在は、BRTとして運行している気仙沼~盛間の約4割がBRT専用道となっています。計画では51%をBRT専用道として整備することになっています。

大船渡線BRT乗車レポート

気仙沼から盛まで、BRTで運転されている全区間に乗車してきましたので、乗車レポートをお届けします。途中、奇跡の一本松駅で途中下車し、奇跡の一本松を見てきました。

なお、気仙沼線BRTの乗車レポートは、以下の記事をご覧ください。

www.kzlifelog.com

気仙沼線BRTから大船渡線BRTに乗り換え

柳津から約2時間ほどBRTに乗りとおして、ようやく気仙沼までやってきました。次に乗車する大船渡線BRTへの乗り継ぎ時間は、わずか9分。

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大船渡線BRTの車両は普通の路線バスですが、JR東日本の運行です

トイレを済ませて、再びホームへやってくると、大船渡線BRTの盛行きがやってきました。普通の路線バスですが、気仙沼線BRTと同様に、JR東日本が運行しています。BRTの運転手の制服にも、「JR東日本」の社章が入っていました。

気仙沼線BRTは、気仙沼の市街地に近づくにつれて乗客が増えていきましたが、大船渡線BRTに乗り継ぐ人はわずか。たった5名ほどの乗客を乗せて、10時09分に出発です。

トンネルが続く専用道を走る

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鉄路が途切れてしまった大船渡線、そのあとをBRTが受け継ぎます

気仙沼駅から少しの間は線路が並行していますが、線路のほうはすぐに途切れてしまいます。もう、この先を鉄道が走ることはないのでしょう。

BRT専用道と線路を挟んで反対側には、気仙沼BRT営業所が見えています。

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単線のBRT専用道では、あちこちに行き違いができるスペースが設けられています

BRT専用道は、大船渡線の線路が通っていた路盤やトンネルなどをそのまま活用して整備されました。大船渡線は単線ですので、BRT専用道も単線なのです。そのため、途中でBRT同士の行き違いをするための場所が設けられています。

行き違いをする対向のBRTがなければ、BRT専用信号の前でいったん停車すると、信号はすぐに青になります。

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鉄道時代のトンネルをそのままBRT専用道として活用しています

気仙沼から一駅目の鹿折唐桑(しかおりからくわ)までは、短いトンネルが連続するBRT専用道になっていました。

ご覧のとおり、トンネルは鉄道時代のものをそのまま利用しています。単線のトンネルはこのように狭いため、BRT専用道だからといって、それほどスピードを出せるわけではありません。事実、大船渡線BRTの運転手は、ものすごく慎重にトンネルを抜けていきました。

鹿折唐桑駅を出ると、突然、BRT専用道が途切れています。が、その先では工事をしているようでしたので、専用道としては未開通の区間なのでしょう。ということで、ここからは一般道に入ります。

奇跡の一本松で途中下車

鹿折唐桑駅からは東浜街道を北上、海からは少し離れた、低山に囲まれた谷筋を進んでいきます。国道343号線にぶつかるところを右折、気仙川の支流に沿って下流方向に進んでいくと、急に視界が広がり、広田湾の入り江に出ます。岩手県の陸前高田市に入りました。

10時35分、道路以外に何もない「奇跡の一本松駅」で途中下車しました。

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奇跡の一本松近くのドライブイン 食堂・お土産店などが整備されています

道路沿いに、BRTが進んできた方向に少し戻ると、奇跡の一本松のドライブインがありました。ラーメン屋や食堂、お土産屋、トイレなどが揃った施設です。

ずっとバスに乗っていたので、少し休憩したいところですが、次のBRTまでは40分しかありません。奇跡の一本松へ急ぎましょう。

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気仙大橋からの風景 大規模な造成工事が進んでいます

奇跡の一本松へは、先ほどのドライブインから800メートル(約10分)ほど歩きます。途中、気仙川にかかる気仙大橋を歩くのですが、ここが風が強くて寒い! この旅で一番寒い思いをしたのがここでした。

この広田湾に面した陸前高田市も、津波の被害の大きかったところです。現在は、建物はほとんどなく更地になっています。その更地に、大規模な堤防や護岸を建設する工事が行われています。この気仙大橋からの景色を見ると、津波の被害がいかに恐ろしいものかがわかります。

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奇跡の一本松への通路 気仙大橋の途中から仮設階段を下っていきます

気仙川を渡る手前に設置された仮設階段を下り、橋の下をくぐっていきます。

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東日本大震災で橋げたが流された気仙大橋 現在は新しい右側の橋が利用されています

国道45号線の気仙大橋です。左側の低いほうの橋が旧気仙大橋です。この気仙大橋は、東日本大震災の津波により、橋桁が上流方向へ300メートルも流されたそうです。応急措置として、新たな橋桁を設置して仮復旧。その後、右側の新しい気仙大橋を建設したというわけです。

現在は、新しい気仙大橋が利用されていています。古い気仙大橋は、震災遺構として保存されるそうです。

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陸前高田の復興にシンボル「奇跡の一本松」

橋をくぐって歩道を歩いていくと、奇跡の一本松が見えてきました。

このあたり一帯は、白砂青松の名勝「高田松原」として知られていました。350年も前から植林が行われ、それ以来、陸前高田のシンボルとして大切に守られてきた7万本の松の木が、一瞬にしてすべて流されてしまいました。そんな中、奇跡的に1本だけ流されずに残ったのが、この「奇跡の一本松」です。

ところが、海水をかぶってしまったダメージは深刻で、震災後に枯死。人工的な処理を加えたうえで、震災を後世まで伝えるためのモニュメントとして保存することになったそうです。

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枯死してしまった「奇跡の一本松」 人工的な処理を加えモニュメントとして保存

あらゆるものが流されてしまったにもかかわらず、1本だけ残った「奇跡の一本松」。現在も周囲はほぼ更地の状態なので、とても目立ちます。

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被災したままの「陸前高田ユースホステル」

奇跡の一本松の後ろにある倒壊した建物は、「陸前高田ユースホステル」です。津波により水没、途中で建物が折れ曲がってしまうほどの大きな被害を受けてしまいました。奇跡の一本松は、この建物があったために、津波の勢いが削がれ、奇跡的に流されずに済んだとも言われているそうです。現在は、被災した時の姿のまま、震災遺構として残されています。

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陸前高田の景勝地「高田松原」の再生工事が進んでいます

高田松原の砂浜を再生する工事が行われています。350年も大事に守られてきた高田松原を再生するには、長い時間がかかるでしょう。それでも、復興のシンボルとして、陸前高田の人たちの希望になることを願わずにはいられません。

大船渡湾の絶景を眺めながら盛へ

奇跡の一本松を見学した後は、急いでバス停に戻ります。やや遅れてやってきた11時15分発の盛行きのBRTに乗車します。このBRTも、乗客は数名だけでした。

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陸前高田駅は新市街地の中心付近に移転

数分で陸前高田駅に到着しました。旧大船渡駅は、津波で流失してしまい、震災後に陸前高田市役所の仮庁舎前にBRTの駅が設けられました。その後、2018年に陸前高田の新市街地の中心付近に移設、上の写真のように、駅前広場も整備され、広々とした駅となりました。

陸前高田駅での乗降はゼロ。BRTの区間全般に言えることですが、鉄道時代に比べて、利用客はだいぶ減ってしまっているようです。

陸前高田市の市街地を抜け、広田湾の東側を南下。小友(おとも)駅付近から、久々にBRT専用道に入ります。

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漁港がある大船渡湾 のどかな風景が広がります

広田湾に代わって、車窓を彩るのは大船渡湾です。漁船が停泊しています。のどかな漁港の風景です。

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カキの養殖が盛んな大船渡湾 あちこちで見られます

大船渡湾は、湾がかなり陸地に切れ込んだ形になっています。そのために、湾内の栄養が豊富で、カキの養殖が盛んです。BRTの車内からも、いたるところでカキが養殖されていることがわかります。

大船渡の市街地に近くなり、乗客も少しずつ増えてきました。12時過ぎ、定刻より数分ほど遅れて終点の盛駅に到着しました。

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終点の盛駅に到着

盛駅は、JR東日本の大船渡線(BRT)と、三陸鉄道南リアス線が乗り入れる、大船渡市の中心駅です。この駅も、気仙沼駅同様、BRTと鉄道を同一ホームで乗り換えられるように整備されていました。写真のBRT(バス)の反対側のホームには、三陸鉄道の気動車がやってきます。


以上、『【大船渡線 BRT乗車レポート】奇跡の一本松を訪問、堤防・造成工事が目立つ海岸線はいまだ復興途上』でお送りしました。奇跡の一本松がある陸前高田市の周辺は、新市街地が形成されている高台を除いて、ほとんどが更地の状態でした。東日本大震災から8年。まだまだ復興の途上です。それでも、三陸海岸の複雑な地形がつくる入り江はとても風光明媚。この景色や三陸の海の幸を求めて旅行し、復興を後押ししたいと感じたのでした。