青春18きっぷはどこまで乗っても1日あたり2,410円。そのため、長距離を移動すれば、それだけお得になるということです。ところが、普通列車・快速列車にしか乗車できないため、ロングシートの列車が続くことも……。そんなときに活用したい、青春18きっぷで「長距離を快適に移動できる列車」をまとめてみました。青春18きっぷ旅の行程を検討する際に、参考にしてみてください。
※2020.12.01更新
- 観光列車、グリーン車、ライナー…… 結構ある青春18きっぷで「長距離を快適に移動できる列車」
- ホリデー快速ビューやまなし(中央本線 新宿~小淵沢)
- 海里(羽越本線 新潟~酒田)
- ホームライナー浜松・ホームライナー静岡(東海道本線 沼津・静岡~浜松)
- ムーンライトながら(東海道本線 東京~大垣)
- リゾートビューふるさと(篠ノ井線・大糸線 長野~松本~南小谷)
- リゾートしらかみ(奥羽本線・五能線 秋田~青森・弘前)
- 快速「はまゆり」(東北本線・釜石線 盛岡~花巻~釜石)
- 首都圏の普通列車グリーン車(東海道本線・高崎線・宇都宮線等)
- 関連記事
観光列車、グリーン車、ライナー…… 結構ある青春18きっぷで「長距離を快適に移動できる列車」
普通列車と快速列車にしか乗車できない青春18きっぷで、長距離を快適に移動することができる列車、実は結構多くあります。
「快適に移動する」とはどういうことでしょうか?
この記事では、以下の4つのポイントにフォーカスして、これらのいくつかを満たす列車をピックアップして紹介してみます。
- 乗車チャンス: 乗車するチャンスが多いこと(列車の運転日・本数が多いこと)
- 座席グレード: ロングシートではなく、リクライニングシートのようなグレードの高い座席で移動できること
- 速達性: 普通列車よりも速く移動できること
- 長距離: 長距離を1本の列車で移動できること
ホリデー快速ビューやまなし(中央本線 新宿~小淵沢)
乗車チャンス: ★★★☆☆(3~11月の土休日運転)
座席グレード: ★★☆☆☆
速達性: ★★★☆☆
長距離: ★★★★☆
中央本線の新宿~小淵沢間を、3月~11月の週末を中心に運転されている快速列車です。都心と甲府、松本方面を移動するときに利用したい列車です。
中央本線では、新宿から高尾や大月までは通勤形の電車(E233系)の快速列車がありますが、大月より先へ直通するのは基本的に特急列車だけです。
唯一、この「ホリデー快速ビューやまなし」だけは、快速列車ながら、新宿~小淵沢の比較的長距離を直通して走るのです。
小淵沢では小海線との乗り継ぎができますし、松本方面からでも、小淵沢で「ホリデー快速ビューやまなし」に乗り継げば、都心まで快適に移動できます。
「ホリデー快速ビューやまなし」は快速列車として運転され、自由席もありますので、青春18きっぷだけで乗車できます。
さらに、指定席も2両ありますので、途中駅からの乗車でも確実に着席したい場合には、指定席券(530円)を購入しておけば間違いありません。
普通車の座席は、自由席、指定席ともに、このようなボックス席です。座席グレードとしては、リクライニングシートに比べると落ちますが、ロングシートよりも車窓を見やすいですし、快適です。
なお、「ホリデー快速ビューやまなし」には、リクライニングシートを使用したグリーン車指定席もありますが、青春18きっぷでは乗車できません。
「ホリデー快速ビューやまなし」については、以下の記事をご覧ください。おすすめの座席なども紹介しています。
海里(羽越本線 新潟~酒田)
乗車チャンス: ★★★☆☆(主に土休日に運転)
座席グレード: ★★★★★
速達性: ★★★☆☆(冬季 ★★★★★)
長距離: ★★★★☆
日本海側の大動脈、羽越本線を走る観光列車「海里」は、新潟~酒田を結ぶ快速列車です。
新潟~酒田間には特急「いなほ」も運転されていますが、特急と同じ距離を快速列車として走りますので、日本海側を青春18きっぷで旅するときには、ぜひ利用したい列車です。
「海里」は、快速列車として運転されていて、普通車指定席がありますので、指定席券を購入すれば、青春18きっぷでも乗車できます。
青春18きっぷ+指定席券で乗車できる座席は、リクライニングシート(1号車)と4人用のコンパートメント(2号車)です。リクライニングシートは、特急列車のグリーン車並みの広さがあって、とてもゆったりとしています。
全車指定席ですので、指定席券を購入できれば座れますが、1列車の定員が少ないため、観光シーズンや連休には早々に売り切れになってしまうこともあります。早めに指定席券を購入しておきましょう。
気になる速達性ですが、春~秋のダイヤでは、途中駅での観光のための停車時間があり、所要時間はそれなりにかかります。一方、冬季ダイヤ(主に12月下旬~2月)では、特急「いなほ」と遜色のない所要時間で走ります。
「海里」には、事前予約でお弁当を注文できるサービスがありますし、車内の売店では軽食、アルコール類、おつまみなどを購入することができます。観光列車らしく、単なる移動手段としてだけではなく、「食」を楽しむこともできます。
「海里」については、以下の記事もご覧ください。おすすめの座席や、指定席券の予約方法、お弁当の事前予約の方法などについて紹介しています。
ホームライナー浜松・ホームライナー静岡(東海道本線 沼津・静岡~浜松)
乗車チャンス: ★★★★☆(毎日運転 ※土休日はダイヤが異なる)
座席グレード: ★★★★☆
速達性: ★★★★☆
長距離: ★★★★☆
東海道本線の静岡県内は、普通列車しかないうえに、3両編成の短い列車が多い、ロングシートばかりと、青春18きっぷで移動するのに骨が折れる区間です。
JR東海としては、都市間移動は東海道新幹線を使ってね、ということなんでしょうけれど、青春18きっぷでは新幹線には乗れません。
そんな東海道本線を快適に移動する方法が、朝の通勤時間帯と、夕夜間の帰宅時間帯に運転されている「ホームライナー浜松」「ホームライナー静岡」です。
通勤客向けの列車ですが、乗車整理券(330円)を購入すれば、青春18きっぷでも乗車できます。座席指定制ですので、乗車整理券を購入できれば、必ず着席することができます。
「ホームライナー浜松」「ホームライナー静岡」は、373系という特急用の車両で運転されます。身延線の特急「ワイドビューふじかわ」などに利用されている車両です。
特急形の車両ですので、座席はリクライニングシート。373系の座席はなかなか重厚で快適です。
おすすめは、平日夕方に運転される「ホームライナー3号」「ホームライナー5号」です。
- ホームライナー浜松3号: 沼津 18:31発 → 静岡 19:09着/19:11発 → 浜松 20:10着
- ホームライナー浜松5号: 沼津 19:25発 → 静岡 20:03着/20:05発 → 浜松 21:05着
※ダイヤは2020年3月改正(平日ダイヤ)
いずれも、沼津発、浜松行きで、130km以上もの長距離を走ります。
東海道本線の難関、静岡県の大部分を、リクライニングシートにゆったりと腰かけたまま走り抜けてくれますので、時間さえ合えばおすすめです。
「ホームライナー浜松」を含む、東海道本線のおすすめの乗り継ぎについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
ムーンライトながら(東海道本線 東京~大垣)
※2020-21年冬シーズンは「ムーンライトながら」の運転はありません。
乗車チャンス: ★☆☆☆☆(春夏冬の一時期に運転)
座席グレード: ★★★☆☆
速達性: ★★★★☆
長距離: ★★★★★
青春18きっぱーご用達の夜行快速列車「ムーンライトながら」です。今ではとても貴重な夜行列車で、寝ている間に東京~大垣間の410kmを走ってくれます。
- 下り: 東京 23:10発 → 大垣 05:45着
- 上り: 大垣 22:48発 → 東京 05:05着
春・夏・冬の青春18きっぷシーズンにだけ運転される臨時列車です。全車指定席ですので、乗車するには青春18きっぷのほかに、指定席券(530円)が必要です。
車両は185系という国鉄時代の特急用の車両です。座席はリクライニングシートですが、古い車両でもあるため、足元はあまり広くはありません。
この座席で一晩を過ごすのは少々窮屈かもしれませんが、寝ている間に長距離を移動できる貴重な列車ですので、座席の快適性よりも、移動の効率を重視するのであればおすすめです。
「ムーンライトながら」は全車指定席での運転ですので、指定席券(530円)を持っていないと乗車できません。今では貴重な夜行快速列車ですので、指定席券はすぐに売り切れてしまいます。発売日(運転日の一か月前)に購入しましょう。
リゾートビューふるさと(篠ノ井線・大糸線 長野~松本~南小谷)
乗車チャンス: ★★★☆☆(主に土休日に運転)
座席グレード: ★★★★☆
速達性: ★★★☆☆
長距離: ★★★☆☆
長野・松本と南小谷を、篠ノ井線、大糸線経由で結ぶ観光列車「リゾートビューふるさと」です。
年間を通して、週末を中心にコンスタントに運転されているため、青春18きっぷ旅の旅程にも組み込みやすい列車です。春~夏の観光シーズンには、金曜日などにも運転されます。
「リゾートビューふるさと」は、長野県と北陸方面を移動する際に活用したい列車です。南小谷でJR西日本の気動車に乗り継げば、日本海側の糸魚川駅へ出ることができます。
大糸線には普通列車が運転されていますが、たいていが途中の信濃大町駅発着です。「リゾートビューふるさと」は、大糸線のJR東日本の区間である松本~南小谷間を直通するうえに、長野から乗車することもできるため、乗り換えの手間がありません。
下りの南小谷行きは、姨捨駅、松本駅、穂高駅で長めの停車時間があるため、速達性はあまりありませんが、普通列車に抜かれることはありませんので、青春18きっぷの旅では問題ないでしょう。
「リゾートビューふるさと」からは、日本三大車窓の一つである姨捨駅から眺める善光寺平の絶景、大糸線の西側に連なる北アルプス、白馬~南小谷間にある仁科三湖など、美しい車窓を眺めることができます。
座席も特急列車並みのリクライニングシートですので、快適に移動することができるでしょう。
「リゾートビューふるさと」にの運転日・運転時刻、座席表、乗車記については、以下の記事をご覧ください。
リゾートしらかみ(奥羽本線・五能線 秋田~青森・弘前)
乗車チャンス: ★★★★☆(ほぼ毎日運転)
座席グレード: ★★★★☆
速達性: ★★☆☆☆
長距離: ★★★★☆
五能線を走るおなじみの観光列車「リゾートしらかみ」。ほぼ毎日運転されているうえに、夏を中心とした観光シーズンには1日3往復(6本)も運転されていて、五能線を旅するときには利用しやすい観光列車です。
秋田~青森を青春18きっぷで移動する場合、奥羽本線の普通列車に乗るのが最も早いですが、ロングシートの電車が多いのがネックです。
多少、時間がかかっても良いのなら、日本海の車窓が抜群に素晴らしい五能線を走る「リゾートしらかみ」をおすすめします。
座席は、足元がとても広いリクライニングシート。秋田~青森を乗りとおすと5時間程度と、かなり長時間の乗車になりますが、リクライニングシートのおかげで疲れません。それに、この車窓! 車端部には展望スペースがありますので、気分転換も兼ねて、このスペースで車窓を眺めたり、写真を撮ったりしてもよいでしょう。
「リゾートしらかみ」については、以下の記事で詳しく紹介しています。車窓、おすすめの座席、沿線の観光スポットなども紹介していますので、ぜひご覧ください。
快速「はまゆり」(東北本線・釜石線 盛岡~花巻~釜石)
乗車チャンス: ★★★★☆(毎日運転)
座席グレード: ★★☆☆☆
速達性: ★★★☆☆
長距離: ★★★☆☆
盛岡と釜石を東北本線~釜石線経由で結ぶのが快速「はまゆり」です。毎日、盛岡~釜石間で3往復運転されています。
JRの快速列車はあちこちの路線で運転されていますが、この快速「はまゆり」は、かつて急行「陸中」という急行列車から格下げされた列車です。そのような経緯から、この快速「はまゆり」には指定席があります。
車両は、JR東日本のローカル線でよく見られる「キハ110系」という形式ですが、指定席の車両はボックスシートではなく、リクライニングシートです。
盛岡~釜石間の所要時間は2時間強。ボックスシートではなく、リクライニングシートで移動できるのはありがたいですね。
快速「はまゆり」の車内の様子や車窓については、以下の乗車記をご覧ください。
首都圏の普通列車グリーン車(東海道本線・高崎線・宇都宮線等)
着席チャンス: ★★★★★(毎日運転、運転本数多数)
座席グレード: ★★★☆☆
速達性: ★★☆☆☆
長距離: ★★★★☆
首都圏を青春18きっぷで旅するときに活用したいのが、普通列車に連結されているグリーン車(普通列車グリーン車)です。
2020年12月時点で、普通列車グリーン車が連結されている主な路線・区間は以下の通りです。(下記以外の区間での運用もあります)
- 東海道本線(東京~小田原・熱海)
- 横須賀線(東京~逗子・久里浜)
- 総武快速線(東京~上総一ノ宮・君津・成田空港)
- 高崎線(東京~高崎・前橋)
- 宇都宮線(東京~宇都宮・黒磯)
- 常磐線(東京~水戸・勝田)
- 湘南新宿ライン(新宿経由)
- 上野東京ライン(東京・上野経由)
普通列車グリーン車の特徴は、とにかく本数が多く、乗車チャンスに恵まれていること。上記の路線を走る中距離電車には、一部区間を除いて必ずグリーン車が連結されています。
座席はリクライニングシートですので、首都圏に多いロングシートに比べれば、断然ゆったりと過ごすことができます。ただし、2階建て車両ということもあり、一部の平屋席を除いて、天井が低い、網棚がないなど、特急列車と比べると、居住性は多少劣る面もあります。
そして、注目すべきは、長距離を走る列車が多いこと。東海道本線~高崎線・宇都宮線を直通する湘南新宿ラインや上野東京ラインには、熱海~高崎や熱海~宇都宮といった200km以上を走る列車も多くあります。
都心から各方面への移動に加えて、都心を経由して西日本と北日本を行き来するときにも便利で快適な列車です。
普通列車グリーン車には、青春18きっぷに加えて、グリーン券(580円~1,000円 平日/土休日及び乗車距離によって異なる)を購入すれば乗車することができます。
普通列車グリーン車については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧下さい。
以上、『青春18きっぷの旅で活用したい「長距離を快適に移動できる列車」まとめ!』でした。観光列車やライナー、グリーン車などを活用すると、普通列車にしか乗車できない青春18きっぷの旅も、かなり快適になります。これらの列車をうまく旅程に組み込んで、快適な旅を楽しんでください!
関連記事
青春18きっぷで乗車できる観光列車のまとめ記事です。指定席券530円をプラスするだけで、新幹線並みのグレードのリクライニングシートで移動できる列車や、グルメを楽しめる列車もあります。ぜひ青春18きっぷの旅に取り入れてみてください。
青春18きっぷの旅で活用したい長距離列車(北日本・東日本)をまとめた記事です。一部、本記事と重複している列車もありますが、こちらは普通列車も含めて紹介しています。
当ブログの青春18きっぷ関連のトップページです。最新情報や基礎知識から、おすすめの路線・列車、使いこなしのコツなど、さまざまな記事を掲載していますので、ぜひご覧ください。