中央線・青梅線での普通列車グリーン車サービスが2025年春に開始されることが発表されました。2024年10月13日以降にグリーン車の連結を開始し、正式サービス開始までは「グリーン車お試し期間」としてグリーン料金不要で利用することができます。一方、中央線・青梅線では、1枚のグリーン券で他路線との乗り継ぎができないことも発表されています。
この記事では、中央線・青梅線へのグリーン車導入について、現時点でわかっていることをまとめます。
中央線・青梅線のグリーン車は2025年春のサービス開始へ!
JR東日本は、中央線・青梅線でのグリーン車サービスを、2025年春に開始すると発表しました。
- 中央線・青梅線(東京~大月・青梅)でのグリーン車サービスを2025年春に開始
- 2024年10月13日以降、グリーン車を連結した12両編成の電車を運用開始、正式サービス開始までは「グリーン車お試し期間」としてグリーン料金不要で利用可能
(出典)中央線快速・青梅線でグリーン車サービスを開始します~快適な移動空間の提供を通じ、輸送サービスの質的変革を目指します~(JR東日本ニュースリリース 2024年9月10日 PDF)
中央線にグリーン車が導入することを最初に発表したのが2015年2月。何度も遅れましたが、ようやく正式にサービスが開始されることになります。
最初の導入発表から実に10年! ようやくサービス開始へ
中央線・青梅線でのグリーン車サービスは、当初は2020年に開始予定でした。
ところが、バリアフリー工事など他施策との調整や、世界的な半導体不足などの影響で何度も延期され、予定より5年遅れ、最初の導入発表から実に10年を経て、2025年春にようやくサービス開始にこぎつけた格好です。
これまでの経緯は以下のとおりです。
- 2015年2月: 2020年度に中央線快速等へのグリーン車サービスを導入すると発表
- 2017年3月: バリアフリー等の他施策との工程調整、関係箇所との協議調整のため数年程度延期と発表
- 2018年4月: 2023年度末にグリーン車サービス開始と発表
- 2022年5月: 世界的な半導体不足の影響で2023年度末の予定より少なくとも1年遅れると発表
中央線快速・青梅線へのグリーン車導入の詳細、中央快速線E233系全58編成に導入へ
現時点(2024年9月時点)でわかっている内容をまとめてみます。
- 中央快速線・青梅線のグリーン車のサービス開始時期は2025年春
- 2024年10月13日以降、順次グリーン車を組み込んだ編成で運用を開始
- 正式サービス開始までは料金不要でグリーン車を利用可能
- グリーン車のサービス区間は以下のとおり
- 中央快速線(東京~大月)
- 青梅線(立川~青梅 ※中央快速線との直通列車のみ)
- 2階建てグリーン車を116両新造(1編成2両、中央快速線全58編成へ導入)
- グリーン車の導入位置は他線と同様の4号車・5号車
- グリーン車の乗降ドアを、片引きドア(幅810mm)から両引きドア(幅1,310mm)に変更
- 普通車にトイレを設置(グリーン車導入前の4号車、導入後の6号車)
- グリーン料金は他路線と同じ(2024年3月に改定されたグリーン料金)
- 他路線のグリーン車との1枚のグリーン券での乗り継ぎは不可
以下、重要なポイントを見ていきます。
グリーン車のサービス区間は現在10両編成の列車が走る区間
中央線快速・青梅線のグリーン車のサービス区間は、現在、10両編成のE233系電車が走る区間となります。
(出典)中央快速線等へのグリーン車サービス開始時期および車内トイレの設置について(JR東日本 プレスリリース 2018年4月3日 PDFファイル)
具体的には、中央線快速の東京~高尾~大月間、青梅線の立川~青梅間(中央線快速との直通列車のみ)となっています。
最も運転本数の多い東京~高尾間の快速列車の所要時間が1時間15分程度、東京~大月間は2時間程度となります。1時間を超える区間であれば、グリーン車の需要もかなりあるものと思われます。
他路線と同じく4号車・5号車にグリーン車を連結、中央線快速は12両編成へ
中央線快速・青梅線のグリーン車の連結位置は、他路線のグリーン車と同じく、4号車・4号車となります。中央線では東京側の車両が1号車ですから、東京寄りの先頭から4両目と5両目がグリーン車となります。
(出典)中央快速線等へのグリーン車サービス開始時期および車内トイレの設置について(JR東日本 プレスリリース 2018年4月3日 PDFファイル)
中央線には、10両の固定編成のほかに6両+4両の分割編成が運転されています。分割編成では東京寄りの6両編成のほうにグリーン車が2両組み込まれて、8両+4両の編成となります。
また、あわせて、普通車へのトイレの設置工事が実施されています。現在の10両編成の4号車(グリーン車導入後は6号車)に順次トイレが設置されており、2022年5月現在、すでにトイレが設置された車両も運転されています。
中央線快速・青梅線は、グリーン車の連結により、12両編成となります。他路線では、普通車をグリーン車に置き換える形での導入でしたが、中央線快速・青梅線では純粋に増結となります。そのため、各駅でホームの延伸工事も実施されています。
中央線快速・青梅線のグリーン車では両開きドアを採用
(出典)中央快速線等へのグリーン車サービス開始時期および車内トイレの設置について(JR東日本 プレスリリース 2018年4月3日 PDFファイル)
他路線のグリーン車の乗降ドアは片開きドアですが、中央線快速・青梅線では両開きドアが採用されます。
両開きドアに変更する理由として、ニュースリリースでは以下の2つがあげられています。
- 東京駅における短時間での折り返しを可能とするため
- 各駅でのスムーズな乗降を可能とするため
特に影響がありそうなのが、東京駅での折り返しでしょう。東京駅では、朝ラッシュの時間帯に、2分間隔で中央線快速列車が発車していきます。東京行きの上り列車として到着した列車が、2~3分後には下り列車として発車していきます。
グリーン車の乗降に時間がかかっていては、この短時間での折り返しが難しいと判断したのでしょう。
中央線・青梅線グリーン車の料金
中央線・青梅線に導入されるグリーン車の料金と、中央線を走る特急列車(あずさ、かいじ等)の特急料金との比較を紹介します。
中央線・青梅線グリーン車の料金
中央線・青梅線グリーン車の料金は、他路線の普通列車グリーン車と同様に、以下のとおりとなっています。
営業キロ | Suica グリーン料金 |
通常料金 |
---|---|---|
50kmまで | 750円 | 1,010円 |
100kmまで | 1,000円 | 1,260円 |
Suicaグリーン券は、交通系ICカードやモバイルSuicaでSuicaグリーン券を購入した場合の料金、通常料金は紙のグリーン券を購入した場合の料金となります。
なお、首都圏の普通列車グリーン車の料金は、2024年3月に値上げされています。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
中央線・青梅線のグリーン車は他路線との乗り継ぎ不可!
首都圏の普通列車グリーン車では、路線が異なっていても、同一方向への乗り継ぎであれば、1枚のグリーン券で利用できるルールとなっています。例えば、宇都宮線~横須賀線や常磐線~東海道線は、同一方向であれば、1枚のグリーン券で複数の列車を乗り継ぐことができます。
ところが、中央線・青梅線のグリーン車は、他路線のグリーン車との乗り継ぎはできません。JR東日本のニュースリリースには、以下のように記載されています。
中央線快速・青梅線のグリーン車と、他線区(東海道線、上野東京ライン、湘南新宿ライン、総武線快速、横須賀線等)のグリーン車を、1枚のグリーン券でご利用いただくことはできません。それぞれのご乗車区間に必要なグリーン券をお買い求めください。
(出典)中央線快速・青梅線でグリーン車サービスを開始します~快適な移動空間の提供を通じ、輸送サービスの質的変革を目指します~(JR東日本ニュースリリース 2024年9月10日 PDF)
具体的には、新宿駅での湘南新宿ライン(高崎線・宇都宮線方面、東海道線・横須賀線方面)、東京駅での上野東京ライン(高崎線・宇都宮線・常磐線方面)・東海道線・総武線快速・横須賀線と乗り継ぐ場合には、別途、グリーン券が必要になります。
中央線・青梅線グリーン車と特急列車の料金比較
中央線や青梅線には特急列車も運転されています。主要駅間の料金を、特急列車と普通列車グリーン車で比較してみましょう。
区間 | 指定席特急料金 | 普通列車 グリーン車 |
---|---|---|
東京・新宿~ 立川・八王子 |
660円 | 750円 |
東京・新宿 ~大月 |
920円 | 1,000円 |
新宿~青梅 | 660円 | 750円 |
東京~青梅 | 920円 | 1,000円 |
※指定席特急料金は「在来線チケットレス特急券」料金(通常の指定席特急料金から100円引き)
※普通列車グリーン車はSuicaグリーン料金
特急料金(普通車指定席)、普通列車グリーン車のグリーン料金ともに50kmまでと100kmまでの料金が適用されますが、いずれの区間でも、「在来線チケットレス特急券」のほうが少し安くなっています。
通勤時間帯にしか特急列車が走っていない青梅線はともかく、中央線は日中時間帯も「あずさ」「かいじ」などが30分に1本程度運転されています。特急列車のほうが所要時間が短いうえに安いとなると、特急列車の停車駅間の移動であれば、特急列車を利用する方がよさそうです。
一方、普通列車グリーン車はすべての列車に連結されているという点が強みです。列車が走っている時間帯であればいつでも乗車できます。また、特急列車が停車しない駅での利用も便利です。
JRE POINT で乗るなら長距離は普通列車グリーン車のほうがお得!
JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」の特典として、普通列車グリーン車のグリーン券や特急列車の特急券を引き換えることができます。
- 特急列車: JRE POINT 特典チケット(在来線チケットレス特急券)
- 普通列車グリーン車: Suicaグリーン券
それでは、JRE POINTの特典で乗車する場合には、どちらがお得になるでしょうか?
区間 | JRE POINT 特典チケット |
Suica グリーン券 |
---|---|---|
東京・新宿~ 立川・八王子 |
460pt | 600pt |
東京・新宿 ~大月 |
720pt | 600pt |
新宿~青梅 | 460pt | 600pt |
東京~青梅 | 720pt | 600pt |
普通列車グリーン車に乗車できる「Suicaグリーン券」は距離にかかわらず一律600ポイントなのに対して、特急列車に乗車できる「JRE POINT 特典チケット」は50kmを境に必要なポイント数が変わります。
表を見てみると、50kmまでの近距離(表では東京・新宿~立川・八王子など)では「JRE POINT 特典チケット」のほうが、51km以上の遠距離(表では東京・新宿~大月など)では「Suicaグリーン券」のほうがお得になります。
とはいえ、その差は120~140ポイントほど。所要時間や乗車駅・降車駅などで選ぶのが良さそうです。
中央線・青梅線でも青春18きっぷ+グリーン券でグリーン車に乗れる!
乗り鉄にとって嬉しいのは 青春18きっぷで楽に移動できる列車が増える ことですね。
以下の記事で紹介しているように、普通列車グリーン車には、青春18きっぷ+グリーン券で乗車できます。
2024年現在、中央線・青梅線を走る列車で、青春18きっぷで乗車できるのは、E233系で運転されている快速・中央特快などの通勤列車や、高尾より先まで運転される211系の普通列車だけです。
また、中央線は基本的にロングシートですし、高尾から先の普通列車にもロングシートの車両が増えてきています。東京~大月は2時間弱かかります。河口湖発着も含めて、大月発着の列車は1日15往復程度と多くはないですが、この2時間をグリーン車でゆったりと移動できるのはありがたいですね。
以上、「中央線・青梅線のグリーン車サービスが2025年春に開始、2024年10月からお試し期間も!」でした。他路線と異なる環境へ導入されるグリーン車がどのように運用されるのかも気になりますが、乗り鉄にとっては快適に移動できる列車が増えることが嬉しいですね。
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