山梨県の甲府駅と静岡県の富士駅を結ぶJR身延線。首都圏からは青春18きっぷでも日帰り圏内です。身延線の車窓のポイントは、富士川と富士山。特に、南端の富士宮周辺からは、すそ野まで広がるきれいな富士山を眺めることができます。この記事では、身延線の車窓の見どころと、青春18きっぷで乗車する際のポイントを紹介します。
身延線とは?
身延線は、山梨県の甲府駅と、静岡県の富士駅を結ぶJR東海の路線です。全線で88.4kmですが、39もの駅があり、JRの路線としては駅間距離が短い(平均駅間距離 約2.3km)のが特徴です。
上の地図のように、富士山の西側を、急流で名高い富士川に沿って走っています。のちほど紹介しますが、富士山のすぐ近くの路線ではありますが、車窓から富士山を見ることができるのは、甲府付近と、富士宮~富士間に限られます。
南側の富士~西富士宮間と、北側の甲府近辺は、通勤通学需要が多いようで、1時間に3~4本の列車が走っていますが、それ以外の区間はローカル線の様相を呈しています。
南端部の富士~富士宮間以外は単線のため、行き違いによる長時間停車もあります。駅間距離が短いこともあって、普通列車で乗りとおすと、かなり時間がかかります。
両端で、東海道本線、中央本線に接続していますので、首都圏からぐるっと一周するルートを作ることができ、青春18きっぷの日帰り旅にも適しています。
身延線 車窓の見どころ
身延線の車窓の見どころは、富士川と富士山です。詳しく紹介していきます。
日本三大急流の一つ「富士川」
身延線は、甲府の市街地を抜けるあたりから西富士宮の手前まで、日本三大急流の一つ、富士川に沿って走ります。身延線の線路は、富士川の左岸(東側)に敷かれていますので、富士川を眺めたければ、西側(富士行きの場合は進行方向右側)の座席を確保するのがおすすめ です。
富士川の下流側は、広い河原があり、その両岸は護岸工事がなされているところが多くなっています。急流ということだけあって、洪水等の被害が大きいのでしょうね。
日本最高峰「富士山」
身延線の車窓で忘れてはならないのが富士山です。身延線の車窓から富士山を眺められるのは、主に以下の二か所です。
- 甲府盆地から御坂山地越しに眺める(富士山の山頂のみが見える)
- 富士~西富士宮から眺める(すそ野から山頂まできれいに見える)
甲府付近からは、甲府盆地と富士五湖の間にある御坂山地(みさかさんち)の山々の後ろに、山頂部分だけ富士山を望むことができます。
身延線の中間区間からは、富士川の左岸にある天子山地(てんしさんち)に遮られて、富士山を眺めることはできません。
身延線から富士山を眺めたい場合、一番のおおすすめは南端の富士宮~富士間 です。ここからは、すそ野まできれいに富士山を眺めることができます。
車窓から富士山を眺めたい場合は、東側(富士行きの場合は進行方向左側)の座席がおすすめ です。西富士宮のあたりでは、身延線の線路が大きくカーブしているので、一部は右側の車窓からも富士山を眺めることができますが、左側のほうが圧倒的に見える時間が長いです。
駅のホームから富士山を眺められる竪堀駅
車窓からでも存分に富士山を眺めることができますが、もっとじっくりと眺めたい場合は、竪堀(たてぼり)駅がおすすめ です。竪堀は、富士から二つ目の駅です。
特に観光客が下車するような駅ではないのですが、ホームが高架になっていて、ホームの北端から富士山の全景を眺めることができます。
竪堀駅から富士山を眺めるなら、下りホーム(甲府方面行きのホーム)がおすすめです。上りホームでは、架線柱や架線が邪魔になります。
このあたりは、日中でも1時間に3~4本程度の列車が走っていますので、途中下車して、1本後の列車を待つ間に、富士山を眺めたり撮影したりするのがおすすめです。
身延線をはじめとして、JR各線から富士山をきれいに眺めることのできる路線・区間を紹介した記事を公開しています。車窓から富士山を眺める旅をしたい!という方は、ぜひご覧ください。

身延線を途中下車して観光を楽しもう!
身延線沿線には、身延山(久遠寺)や富士山本宮浅間大社など、観光スポットが多くあります。途中下車して、これらの観光スポットを訪ねてみましょう。
身延山ロープウェイで山頂へ! 「身延山」(身延駅から路線バス)
身延駅から路線バスで15分ほどのところに、身延山があります。日蓮宗の総本山、身延山久遠寺(くおんじ)や、身延山ロープウェイなどがあります。身延山ロープウェイを利用すれば、身延山の山頂までわずか7分で到着。ここからの富士山や南アルプス、甲府盆地の眺めは最高です。

- アクセス: 身延駅から山梨交通バス「身延山」行きで約15分(運賃300円、PASMO利用可)、身延山バス停から徒歩で約10分(身延山久遠寺の三門まで)、徒歩約20分(身延山ロープウェイ乗り場まで)
- 身延山ロープウェイ: 山麓・久遠寺駅~山頂・奥之院駅 所要時間7分、大人往復1,500円(詳しくは身延山ロープウェイのWebサイトへ)
2017年12月、年末に身延山を訪問したのきの体験をもとに書いた、身延山久遠寺の記事です。身延山ロープウェイや山頂からの景色も紹介しています。

浅間神社の総本宮!「富士山本宮浅間大社」(富士宮駅から徒歩)
富士宮駅から徒歩約10分のところに、「富士山本宮浅間大社」があります。
「浅間神社」(せんげんじんじゃ)は、富士山に対する信仰の神社で、富士山を眺められる関東甲信地方や東海地方などに多く、全部で1,300社ほどもあるそうです。富士宮にある「富士山本宮浅間大社」は、この浅間神社の総本宮とされています。ちなみに、富士山本宮浅間大社の奥宮は、富士山山頂にあります。
富士宮駅から徒歩圏内のため、途中下車して気軽に訪れてみるのもよいと思います。
富士山本宮浅間大社からは、そのご神体となる富士山を眺めることができます。特に、入口にある赤い大鳥居と、冬季の雪をたたえた富士山のコントラストは印象的です。
また、富士山本宮浅間大社に参拝したあとは、富士宮名物の「富士宮やきそば」を味わってみるのもよいでしょう。
源泉かけ流しのぬる湯! 静かな温泉街の「下部温泉」(下部温泉駅から徒歩)
身延線の下部温泉駅の近く、富士川の支流の下部川に沿って静かな温泉郷「下部温泉」があります。
下部温泉の特徴は、温度が30℃そこそこのぬる湯です。源泉かけ流しのぬる湯は、お風呂としてはかなり温度が低く、入るときには勇気がいります。ただ、一度入ってしまうと、その成分のせいか、不思議と冷たさをあまり感じず、長い時間浸かっていると体がぽかぽかとしてきます。
温泉街はとても静かで、温泉宿でゆっくりとくつろぎたい方にはぴったりです。身延線沿線で一泊するなら、下部温泉がおすすめです。
下部温泉への旅行記は、以下の記事をご覧ください。

日本桜の名所100選!「大法師公園」(鰍沢口駅から徒歩またはタクシー)
鰍沢口駅から、富士川を挟んで反対側の丘の上にある「大法師公園」(おおぼしこうえん)は、日本桜の名所100選に選ばれている桜の名所です。毎年、春の桜の時期には「大法師さくら祭り」が開催されます。
鰍沢口駅から徒歩で約30~40分(約3km)かかりますが、散歩がてら、途中下車して立ち寄ってみるのもよいと思います。鰍沢口駅からタクシーを利用してもよいでしょう。
少し小高い丘の上にある公園ですので、桜とともに、富士山や富士川の流れ、甲府盆地などの景色を楽しむことができます。
春の青春18きっぷで旅をするなら、さくら祭りの時期にあわせて、「大法師公園」を訪れてみるとよいと思います。
「大法師公園」のさくら祭りについては、筆者が春の青春18きっぷで桜巡りをしたときの様子をまとめた以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

青春18きっぷでの身延線の旅のポイント
青春18きっぷで身延線を旅するときのポイントをご紹介します。
普通列車は2両編成がねらい目
身延線の普通列車(JR東海の313系)には、主に2両編成の列車と3両編成の列車があります。座席は、
- 2両編成の列車:ボックスシート主体
- 3両編成の列車:ロングシートのみ
となっています。
乗り鉄としては、当然、ボックスシート主体の2両編成の列車がおすすめ ということになります。
とはいえ、2両編成、3両編成のどちらの車両がやってくるかは、時刻表からはわかりません。2017年12月に乗車した感触でいえば、
- 2両編成の列車のほうが多い
- 3両編成の列車は富士~西富士宮間の運用が多い
- 3両編成の列車は朝・夕のラッシュ時間帯の運用が多い
という感じです。とはいえ、運用は変わることも多いでしょうから、運次第ということにはなりそうです。
特急「ワイドビューふじかわ」でのワープを活用しよう!
前述の通り、鰍沢口~西富士宮間は、普通列車の本数がかなり少なくなっています。一気に甲府~富士を乗りとおしてしまう場合にはよいのですが、途中下車して観光する場合には、ちょうどよい時間帯に普通列車があるとは限りません。
そんな場合には、身延線の特急「ワイドビューふじかわ」の利用 も考えましょう。
例えば、身延駅で途中下車して身延山などを観光するときには、前後の普通列車の少ない区間だけを特急「ワイドビューふじかわ」に乗車することを検討してみましょう。
- 甲府側: 身延~鰍沢口(乗車券510円+自由席特急券330円=合計 840円)
- 富士側: 身延~富士宮(乗車券680円+自由席特急券660円=合計1,340円)
青春18きっぷでは特急列車に乗車できないため、別途、乗車券と特急券を購入する必要がありますが、身延から鰍沢口や富士宮までであれば、それほど高くはありません。鰍沢口~甲府と富士宮~富士は、普通列車の本数が比較的多いため、鰍沢口や富士宮で下車して、普通列車に乗り継ぐこともできます。
特急「ワイドビューふじかわ」は1日7往復運転されています。青春18きっぷの旅であったとしても、普通列車の少ない区間では、時間短縮のために活用するのもありでしょう。
特急「ワイドビューふじかわ」については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

身延線は首都圏からの青春18きっぷ日帰り旅におすすめ!
身延線は、首都圏から比較的近いため、青春18きっぷでの日帰り旅がおすすめです。
- 東京・新宿 → 甲府(中央本線)
- 甲府 → 富士(身延線)
- 富士 → 熱海 → 東京(東海道本線)
こんなルートになります。逆向きのルートももちろん可能です。
新宿発東京着の場合、約358kmの行程になります。通常運賃なら6,380円。青春18きっぷ1日分(2,410円)で十分に元が取れます。
東海道本線の熱海~東京は普通列車のグリーン車(青春18きっぷ+普通列車グリーン券で利用可能)を利用してもよいでしょう。普通列車グリーン車については、以下の記事もご覧ください。

首都圏発の青春18きっぷ日帰り旅で、身延線に乗る「身延線周遊ルート」として、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

以上、『青春18きっぷで身延線に乗ろう! 車窓のポイントと青春18きっぷでの旅のコツをご紹介します!』でした。身延線の車窓のポイントや青春18きっぷでの旅のコツ、沿線観光地についてご紹介しました。富士山を眺めることを目的とするなら、空気が澄んでいて、午後も雲がかかりにくい冬場のほうがよいかもしれませんね。1回分余ってしまった青春18きっぷを利用しての日帰り旅におすすめです。
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SL列車、観光列車、風光明媚な路線の乗車記の目次ページです。

コメント
こんにちは。
身延線も魅力的ですね。
はっち555さん、コメントありがとうございます。
身延線は地味な印象がありますが、車窓も観光地も魅力的ですね。
身延線のボックスシート車の運用は時刻表からでもわかると思います。
時刻表で、例えば「1234M」という列車番号の列車があった場合。
この場合、車掌さんが乗務している列車ということになります。要するに、3両編成のロングシート車での運用になる事が多いということです。
次に、「2345G」という列車番号の列車があった場合。
この場合、車掌さんが乗務していないワンマン列車ということになります。JR東海の313系でワンマン運転に対応している車両は2両編成のボックスシート車のみですので、確実にボックスシート車に乗ることができます。
時刻表でも列車番号の末尾のアルファベットがMになっているのか、Gになっているのかでボックスシート車の運用を見分けることができます。これは同様にワンマン運転が行われている御殿場線でも同様ですので、ぜひこのテクニックを活用してみてください!
長文失礼しました。
かこたかゆきさん、コメントありがとうございます。
なるほど、こうやって見分けられるのですね。
2両はボックスシート、3両はロングシートが多いな、とは思っていたのですが、JR東海はワンマン対応と未対応の車両で分けているのですね。
詳しく教えていただきありがとうございます。この記事にも、追記しておきたいと思います。