北海道新幹線が開業して、青函トンネルを走る在来線がなくなってしまいました。そのため、青春18きっぷでの移動のネックとなっています。とはいえ、北海道の大自然とローカル線は鉄道ファンにとっては魅力的! ということで、青春18きっぷの旅で、北海道~本州を移動する方法を、行程と予算に応じてまとめてみました。青春18きっぷ旅の参考にしてみてください。
青春18きっぷ旅の「難所」、青函トンネル!
青森と函館を結ぶ青函トンネル。鉄道の旅では北海道への入口です。かつては、快速列車が走っていたり、特急列車のみとなったあとも、特例で特急列車に乗車できるようになっていたりと、青春18きっぷだけで青函トンネルを抜けることができました。
その状況が変わってしまったのは、北海道新幹線開業後。青函トンネルを通る在来線の定期旅客列車は全廃されてしまいました。
一応、青春18きっぷ利用者向けの救済措置として、「北海道新幹線オプション券」(2,490円)が設けられましたが、青春18きっぷだけでは、北海道と本州を行き来することができなくなってしまいました。
追加出費が発生するなら、いっそのこと、別の交通機関の利用も考えてみましょう、というのがこの記事の主旨です。
【まとめ】行程・予算別 青春18きっぷ旅での本州~北海道の移動手段
青春18きっぷ旅での本州~北海道の移動手段を下の表にまとめてみます。それぞれについては、このあとで一つずつ詳しく紹介していきます。
移動手段 | 区間 | 所要時間 | 本数 | 追加出費 |
---|---|---|---|---|
青春18きっぷ+北海道新幹線 オプション券 | 津軽線~奥津軽いまべつ~ 木古内~道南いさりび鉄道 | 3~7時間 | ※1 | 2,490円 北海道新幹線オプション券 |
青春18きっぷ+北海道新幹線 | 津軽線~奥津軽いまべつ ~新函館北斗~函館 | 3~4時間 | ※2 | 4,470円 えきねっとトクだ値20 |
北海道&東日本パス +北海道新幹線特急券 | 北海道新幹線 新青森~新函館北斗 | 約1時間 | 13往復/日 | 4,000円 北海道新幹線 特定特急券 |
北海道&東日本パス+ 北海道線特急オプション券 | 北海道新幹線 新青森~新函館北斗 | 約1時間 | 13往復/日 | 6,110円 北海道線特急 オプション券 |
青函フェリー 津軽海峡フェリー | 青森港~函館港 | 約4時間 | 16往復/日 (2社合計) | 1,800円~3,450円 (2等/スタンダード) |
シルバーフェリー 八戸~苫小牧航路 | 八戸港~苫小牧港 | 約8時間 夜行便あり | 4往復/日 | 5,600円 (2等) |
※1: 乗り継ぎは、青森→函館は3パターン、函館→青森は2パターンのみ
※2: 乗り継ぎは、青森→函館は4パターン、函館→青森は4パターン
青春18きっぷ+北海道新幹線オプション券(2,490円)
青春18きっぷの旅で青函トンネルを移動するときに、まず検討するのが「北海道新幹線オプション券」でしょう。
奥津軽いまべつ~木古内間の北海道新幹線に加えて、木古内~五稜郭間の道南いさりび鉄道にも乗車できるオプション券です。1枚で片道のみ有効です。
北海道新幹線は同区間のみ乗車可能で、範囲外からの乗車はできません。また、道南いさりび鉄道では途中下車はできません。
詳しくは、当ブログの青春18きっぷの紹介ページをご覧ください。

青春18きっぷ+北海道新幹線オプション券で、青森~函館間を移動する場合には、
- 青森~津軽二股: JR津軽線(青春18きっぷで乗車可能)
- 津軽二股~奥津軽いまべつ: 徒歩連絡(ほとんど同じ駅)
- 奥津軽いまべつ~木古内: 北海道新幹線
- 木古内~函館: 道南いさりび鉄道(五稜郭~函館間はJR函館本線)
という乗り継ぎになります。
2022年3月改正ダイヤでの乗り継ぎは、以下のようになります。
【下り(青森→函館)】
- | - | はやて93号 | はやぶさ19号 | はやぶさ25号 |
---|---|---|---|---|
津軽線 | 青森 | 06:16発 | 11:01発 | 15:31発 |
蟹田 | 06:58着 07:07発 | 11:38着 11:44発 | 16:08着 16:12発 | |
津軽二股 | 07:29着 | 12:06着 | 16:34着 | |
徒歩 | - | (徒歩) | (徒歩) | (徒歩) |
北海道新幹線 | 奥津軽いまべつ | 08:12発 | 14:15発 | 17:01発 |
木古内 | 08:46着 | 14:48着 | 17:34着 | |
道南いさりび鉄道 | 09:13発 | 15:19発 | 19:15発 | |
函館 | 10:13着 | 16:22着 | 20:16着 | |
所要時間 | - | 3時間57分 | 5時間21分 | 4時間45分 |
【上り(函館→青森)】
- | - | はやぶさ18号 | はやぶさ34号 |
---|---|---|---|
道南いさりび鉄道 | 函館 | 06:50発 | 13:36発 |
木古内 | 07:54着 | 14:36着 | |
北海道新幹線 | 09:48発 | 15:01発 | |
奥津軽いまべつ | 10:21着 | 15:34着 | |
徒歩 | - | (徒歩) | (徒歩) |
津軽線 | 津軽二股 | 12:56発 | 18:04発 |
蟹田 | ↓ | 18:27着 19:03発 | |
青森 | 13:57着 | 19:40着 | |
所要時間 | - | 7時間7分 | 6時間4分 |
ご覧のとおり、乗り継ぎは良くありません。このような乗り継ぎは、通常の利用では考えられないため、まったく考慮されていません。
奥津軽いまべつと木古内に停車する北海道新幹線の本数が少ないうえに、津軽線、道南いさりび鉄道線の本数も多くありません。
現実的に使える乗り継ぎは、以下の2パターンだけです。
- 【下り】青森 06:16発 → 函館 10:13着(所要時間 3時間57分)
- 【下り】青森 15:31発 → 函館 20:16着(所要時間 4時間45分)
上記以外の乗り継ぎは、5~7時間もかかってしまいますので、この区間を移動するだけで丸一日を費やしてしまいます。特に、青森→函館の上り方面の乗り継ぎは悲惨です。
北海道新幹線や、津軽線、道南いさりび鉄道にどうしても乗ってみたい! とにかく安く移動したい! という方にはおすすめですが、そうでないなら、別の手段を考えてみてもよいでしょう。
青春18きっぷ+北海道新幹線(奥津軽いまべつ~新函館北斗)
青春18きっぷを利用しつつ、青函トンネル区間の所要時間を短縮する方法として、奥津軽いまべつ~新函館北斗間で北海道新幹線を利用する方法を考えてみます。
北海道新幹線は特急料金が割高なので、どのくらいの出費になるのかが気になるところです。
乗車券+特急券 | 購入期限 | |
---|---|---|
通常料金 | 5,270円 | 当日購入可能 |
えきねっとトクだ値 トクだ値20 | 4,470円 | 前日まで 購入可能 |
お先にトクだ値 トクだ値40 | 3,350円 | 2週間前 までに購入 |
※通常料金は特定特急券利用、えきねっとトクだ値・お先にトクだ値は、はやぶさ号の指定席特急料金
ふつうに乗車券と特急券を購入すると5,270円とかなりの出費となりますが、前日まで購入できるえきねっとトクだ値なら4,470円。2週間前までに購入が必要ですが、お先にトクだ値なら40%引きの3,350円となります。
2週間前はともかく、前日なら予定が決まっていることが多いでしょうから、えきねっとトクだ値の4,470円をどう判断するかでしょうか。
奥津軽いまべつ~新函館北斗間で北海道新幹線を利用する場合の乗り継ぎは、以下の通りです。「青春18きっぷ+北海道新幹線オプション券」よりも効率的な乗り継ぎのみを掲載しています。
【下り(青森→函館)】
- | - | はやて93号 | はやぶさ19号 | はやぶさ25号 | はやぶさ39号 |
---|---|---|---|---|---|
津軽線 | 青森 | 06:16発 | 11:01発 | 15:31発 | 18:13発 |
蟹田 | 06:58着 07:07発 | 11:38着 11:44発 | 16:08着 16:12発 | 18:52着 19:12発 | |
津軽二股 | 07:29着 | 12:06着 | 16:34着 | 19:34着 | |
徒歩 | - | (徒歩) | (徒歩) | (徒歩) | (徒歩) |
北海道新幹線 | 奥津軽いまべつ | 08:12発 | 14:15発 | 17:01発 | 20:58発 |
新函館北斗 | 08:58着 | 15:01着 | 17:47着 | 21:44着 | |
函館本線 | 09:22発 | 15:11発 | 17:57発 | 21:53発 | |
函館 | 09:37着 | 15:28着 | 18:16着 | 22:12着 | |
所要時間 | - | 3時間21分 | 4時間27分 | 2時間45分 | 3時間59分 |
【上り(函館→青森)】
- | - | はやぶさ10号 | はやぶさ18号 | はやぶさ28号 | はやぶさ34号 |
---|---|---|---|---|---|
函館本線 | 函館 | 06:07発 | 08:48発 | 12:07発 | 14:16発 |
新函館北斗 | 06:29着 | 09:07着 | 12:29着 | 14:36着 | |
北海道新幹線 | 06:39発 | 09:35発 | 12:48発 | 14:48発 | |
奥津軽いまべつ | 07:25着 | 10:22着 | 13:35着 | 15:35着 | |
徒歩 | - | (徒歩) | (徒歩) | (徒歩) | (徒歩) |
津軽線 | 津軽二股 | 08:33発 | 12:56発 | 15:10発 | 18:04発 |
蟹田 | 08:56着 09:13発 | ↓ | 15:33着 16:25発 | 18:27着 19:03発 | |
青森 | 09:50着 | 13:57着 | 17:13着 | 19:40着 | |
所要時間 | - | 3時間43分 | 5時間9分 | 5時間6分 | 5時間24分 |
木古内での乗り継ぎを考えなくてよくなるため、3~4時間台で青森~函館を移動できる乗り継ぎパータンがそれなりにあります。ただ、上りの接続はあまり改善せず、はやぶさ10号利用の乗り継ぎパターンくらいしか使えなさそうです。
所要時間、追加出費ともに、次に紹介する「北海道&東日本パス+北海道新幹線特定特急券」にはかなわないのですが、どうしても青春18きっぷを利用しなくてはならないときには、検討してみてもよいでしょう。
北海道&東日本パス+北海道新幹線特定特急券(4,000円)
北海道へ鉄道で格安旅行をするときには、青春18きっぷ以外の選択肢として、「北海道&東日本パス」があります。

フリーエリアはJR北海道・JR東日本エリアのみですが、IGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道など、主要な第三セクター路線にも乗車できます。
そして、本州と北海道を行き来するときに「北海道&東日本パス」が便利なのは、特定特急券を購入すれば、新青森~新函館北斗の相互駅間で北海道新幹線に乗車できる 点です。新青森~新函館北斗間の特定特急券は4,000円。やや値が張りますが、新青森~新函館北斗間の所要時間は1時間前後。新函館北斗から在来線に乗り継いで函館まで行ったとしても、1時間半以内です。
青春18きっぷ+北海道新幹線オプション券では、最も速くて3時間20分。たいていの乗り継ぎでは5~6時間程度を要してしまいますので、所要時間の点では圧倒的に有利です。
また、北海道新幹線は、定期列車だけで1日13往復。1時間に1本は運転されていますので、乗り継ぎの時間も最小限にできます。
ということで、多少の出費は覚悟しても、とにかく移動時間を短くしたいという方には、「北海道&東日本パス+北海道新幹線特定特急券」がおすすめです。
北海道&東日本パス+北海道線特急オプション券(6,110円)
北海道&東日本パスと組み合わせて北海道新幹線に乗車できるきっぷとして、北海道新幹線(立席=空いている席に座ることができる)と北海道内の在来線特急(自由席)に1日乗り放題となる「北海道線特急オプション券」があります。

有効な「北海道&東日本パス」と組み合わせて利用すれば、北海道新幹線に立席(座席は指定されないが、空いている席に座れる)で乗車することができます。
「北海道&東日本パス」が7日間有効で11,330円と格安なのに対して、「北海道線特急オプション券」は1日有効で6,110円と、かなり高めですので、北海道新幹線に乗車するためだけに利用するのはおすすめしません。
北海道新幹線から、特急「北斗」などへ乗り継いで、一気に札幌や、さらにその先、旭川や網走、釧路などへ特急列車で移動する場合に利用するとよいでしょう。
上の記事でも紹介していますが、「北海道&東日本パス」の有効期間7日間のうち、1日か2日ほど移動日を設けて、その移動日に「北海道線特急オプション券」を利用しましょう。
北海道新幹線の乗車だけでなく、その日のうちに北海道内の在来線特急へ乗り継ぐ場合には「北海道&東日本パス+北海道線特急オプション券」がおすすめです。
青函フェリー・津軽海峡フェリー(1,800円~3,450円)
青森~函館を鉄道以外の手段で移動するとなると、フェリーになります。
青森港~函館港の間には、青函フェリー、津軽海峡フェリーの2社が運航しています。両社合わせて1日に16往復、日中だけでなく、夜行便も運航されています。
料金は、最も安い2等(スタンダード)で1,800円~3,450円。青春18きっぷの北海道新幹線オプション券とほぼ同じ価格帯です。
所要時間は約4時間。青森駅、函館駅からフェリーターミナルまでの移動時間(路線バスまたはタクシー)、乗船手続きの時間も含めると5~6時間程度でしょう。
北海道新幹線と比べるとかなり時間がかかるのですが、実は、青春18きっぷ+北海道新幹線オプション券での移動時間と大差はありません。乗り継ぎのタイミングによっては、フェリーのほうが速いくらいです。
さらに、深夜・早朝の便もありますので、鉄道が動いていない夜間に青森~函館を移動することも可能です。睡眠をとる時間があまりないのと、夜間の駅~フェリーターミナルの移動がネックになりますが……。
とにかく安く北海道~青森を移動したい場合には、青函フェリー・津軽海峡フェリーの利用をおすすめします。
「青函フェリー」「津軽海峡フェリー」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

シルバーフェリー 八戸~苫小牧航路(5,600円)
青森~函館間の移動にこだわらないのであれば、シルバーフェリーの八戸~苫小牧航路が便利です。
このシルバーフェリーの八戸~苫小牧航路は、以下の理由で、かなりおすすめです。
- 八戸→苫小牧便、苫小牧→八戸便ともに使いやすい時間帯の夜行便があり、翌朝は早朝から活動できる
- 5,600円(2等、インターネット予約なら1割引)で北海道~本州を移動でき、夜行便なら宿代も浮く
- 北海道側の発着が札幌に近い苫小牧港であるため、道央・道北・道東へのアクセスが函館経由よりも断然優れている
夜行便のダイヤは以下の通りです。(2022年2月現在)
- 八戸港 22:00発 → 苫小牧港 翌06:00着
- 苫小牧港 21:15発 → 八戸港 翌04:45着
- 苫小牧港 23:59発 → 八戸港 翌07:30着
所要時間は7時間半~8時間程度ですので、しっかり睡眠をとることもできます。
それに、苫小牧港は札幌から近いのです。苫小牧~札幌は普通列車でも1時間程度の距離です。札幌まで出られれば、旭川方面へも行けますし、途中の南千歳から石勝線経由で帯広・釧路方面へも行けます。
目的地が道南であれば函館港のほうが良いですが、道央・道北・道東であれば苫小牧港が便利です。
シルバーフェリーの八戸~苫小牧航路については、以下の記事で詳しく解説しています。フェリーの夜行便を利用した東京~札幌の乗り継ぎ例も紹介しています。

【結論】青春18きっぷ 本州~北海道 移動手段の使い分け
鉄道、フェリーを利用した、本州~北海道の移動手段を紹介しました。最後に、主な使い分けをまとめておきます。
- 鉄道での移動にこだわりつつ、とにかく安く! → 青春18きっぷ+北海道新幹線オプション券
- どうしても青春18きっぷを使いたいが、できるだけ早く! → 青春18きっぷ+北海道新幹線(奥津軽いまべつ~新函館北斗)
- 多少の出費は覚悟! 時間重視で! → 北海道&東日本パス+北海道新幹線 特定特急券
- 交通手段は何でもよいが、とにかく安く! → 青函フェリー・津軽海峡フェリー
- 北海道の目的地/出発地が道央・道北・道東の場合 → 北海道&東日本パス+北海道線特急オプション券 または シルバーフェリー 八戸~苫小牧航路
- 寝ている間に移動! 宿代も浮く! → シルバーフェリー 八戸~苫小牧航路
青春18きっぷの旅をおすすめしている当ブログですが、北海道~本州の移動に関しては、青春18きっぷ北海道新幹線オプション券の使い勝手はよくありません。
目的地や行程にもよりますが、本州~北海道を移動する旅行では宿泊が前提となることを考えると、シルバーフェリーの夜行便が、時間・費用ともにメリットが大きいです。夜間も移動時間に充てることができるうえに、宿代も節約できます。
以上、「【青春18きっぷ 渡道ガイド】 本州~北海道の移動手段を紹介! 北海道新幹線からフェリーまで行程と予算に応じて使い分けよう!」でした。鉄道でも青春18きっぷ以外の選択肢がありますし、さらに、フェリーを利用することもできます。いろいろな手段で本州~北海道を行き来できますので、行程と予算に合わせて使い分け、お得で楽しい旅行にしましょう。
関連記事
本州~北海道間のフェリー夜行便に焦点を当てて紹介する記事です。本記事で紹介した青函フェリー、津軽海峡フェリー、シルバーフェリー以外のフェリーも紹介しています。

青春18きっぷ関連のトップページです。最新情報から、ちょっとした使いこなしのコツまで、さまざまな記事を掲載しています。

コメント
フェリーに6千円も出すのなら
もっと遠距離のフェリー(仙台~名古屋、大洗、敦賀、舞鶴)とか
仙台、成田、中部、関空、福岡などからLCCで飛ぶとかも
案に入ってくると思います。
まあ、福岡は本州ではありませんけども。
コメントありがとうございます。
ご指摘のとおり、鉄道での移動にこだわらなければ、LCCやフェリーのほうが安上がりかもしれません。
ですが、青春18きっぷメイン(鉄道メイン)の旅での渡道の方法をまとめた記事ですので、北東北~北海道の移動手段に限定しました。仙台~苫小牧のフェリーくらいは入れてもよいかもしれませんが…