青春18きっぷの旅で遠出を考えていらっしゃる方も多いでしょうが、JR各社の一部路線では、現在も、長期間にわたって運転見合わせ・不通となっている路線があります。青春18きっぷ旅の計画を立てる際には注意したいところです。
この記事では、現時点で、災害などにより長期間の運転見合わせ・不通となっている路線・区間を、JR各社ごとにまとめます。また、代行バスの有無、本数や、鉄道で迂回する経路についても紹介します。
※2021.01.15更新
JR北海道
JR北海道では、以下の路線で運転見合わせとなっています。
路線 | 区間 | 代替交通等 | リンク |
---|---|---|---|
日高本線 | 鵡川~様似 | 鵡川~静内 静内~様似 で代行バスあり |
JR北海道 |
根室本線 | 東鹿越~新得 | 代行バスあり | JR北海道 |
日高本線 鵡川~様似の代行輸送
苫小牧から鵡川まで日高本線の列車で行き、鵡川から静内行きの代行バスに乗車、静内で様似行きの代行バスに乗車すれば、様似駅に到着することは可能です。
区間 | 本数 | 備考 | |
---|---|---|---|
下り | 鵡川→静内 | 8本 | 早朝の1本は 富川始発 |
静内→様似 | 8本 | ※1 | |
上り | 様似→静内 | 6-7本 | 早朝の1本は 萩伏始発 ※2 |
静内→鵡川 | 8本 |
※1: 土休日、学校が休みの時期(春休み、夏休み、年末年始)は早朝の1本が運休
※2: 土休日、学校が休みの時期(春休み、夏休み、年末年始)は早朝の1本が運休、1本はダイヤを変更して運転
詳しくは、JR北海道のWebサイトをご覧ください。
日高本線 鵡川~様似の迂回経路
日高本線はもともと行き止まり路線(様似駅で行き止まり)のため、鉄道での迂回路線はありません。
様似から先、鉄道路線はありませんが、様似駅から襟裳岬への路線バスに乗り継ぐことができます。詳しくは、ジェイアールバス北海道のWebサイトをご覧ください。
なお、日高本線の鵡川~様似間は、JR北海道が国交省に廃止届を提出していて、2021年4月1日に廃止となる見込みです。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
根室本線 東鹿越~新得の代行輸送
根室本線は、滝川~釧路~根室を結ぶ長大な路線ですが、その一部の東鹿越~新得間が運休となっています。
根室本線に沿って旅をするのであれば、代行バスを利用するのがよいでしょう。
区間 | 本数 | 備考 | |
---|---|---|---|
下り | 東鹿越→新得 | 6本 | 1本は富良野 始発の快速便 |
上り | 新得→東鹿越 | 6本 | 早朝の1本は 落合始発 |
代行バスは、1日6往復運転されていて、滝川・富良野~東鹿越間の鉄道に接続しています。
東鹿越駅での列車の接続を含む代行バスの時刻表は、JR北海道のサイトをご確認ください。
根室本線 滝川・富良野~新得の迂回経路
根室本線の不通区間を含む滝川・富良野~新得間を経由せずに迂回する経路として、札幌・旭川から釧路方面へ向かうのであれば、
- 札幌経由(函館本線~石勝線~根室本線)
- 網走経由(石北本線~釧網本線)
を利用することができます。
ただし、いずれも普通列車の本数が極端に少ない区間があります。特に、石勝線の南千歳~新得間、石北本線の上川~遠軽間は、普通列車に限定すると1日に数本しかありません。
もし、この迂回経路を利用するのであれば、青春18きっぷの旅でも、一部区間で特急列車を利用するなどしたほうがよいでしょう。
なお、上記の運休区間を含む根室本線の富良野~新得間は、JR北海道の「単独では維持困難な線区」に含まれ、その中でも輸送密度が少なく、バス転換を模索している線区の一つになっています。
JR東日本
JR東日本では、以下の路線で運転見合わせとなっています。
路線 | 区間 | 代替交通等 | リンク |
---|---|---|---|
水郡線 | 袋田~常陸大子 | 代行バスあり | JR東日本 水戸支社 |
只見線 | 会津川口~只見 | 代行バスあり | JR東日本 仙台支社 |
水郡線 上小川~常陸大子の代行輸送
水郡線は、袋田~常陸大子間で運転を見合わせていますが、代行バスが運転されているため、代行バスを利用すれば水郡線の旅は可能です。
代行バスは、以下の区間・本数が運転されています。
区間 | 本数 | 備考 |
---|---|---|
常陸大子→上小川 | 13本 | 深夜を除き 列車との接続あり |
上小川→常陸大子 | 12本 | 深夜を除き 列車との接続あり |
水郡線の運転見合わせ区間は袋田~常陸大子の1駅間ですが、代行バスは、袋田駅の一つ水戸寄りの上小川駅~常陸大子駅間での運転となります。
そのため、水戸方面から常陸大子より先へ行く場合には、列車の終点となる袋田まで行かずに、一つ手前の上小川駅で下車して、代行バスに乗り換える必要があります。
常陸大子では郡山方面へ/からの列車に、上小川では水戸方面へ/からの列車に接続します。深夜・早朝の1便を除くすべての列車に接続しています。
詳しくは、JR東日本水戸支社のおしらせをご覧ください。
水郡線 水戸~郡山の迂回経路
水郡線を利用せずに鉄道のみで水戸~郡山間を迂回する場合には、
- 常磐線・磐越東線経由(水戸~常磐線~いわき~磐越東線~郡山)
- 水戸線・東北本線経由(水戸~水戸線~小山~東北本線~郡山)
のルートを利用することができます。
磐越東線は列車の本数が少ないですが、時間があえば、こちらの方が所要時間は短いでしょう。乗り換えも少なくておすすめです。
なお、水郡線の運転再開見込みについては、2021年1月現在、以下のようになっています。
- 2021年3月27日: 袋田~常陸大子間(全線運転再開)
(出典)2021年3月ダイヤ改正について(JR東日本水戸支社ニュースリリース 2020年12月18日 PDF)
当初、全線運転再開は2021年夏ごろとアナウンスされていましたが、復旧工事が順調に進んでいるということで、2021年3月27日の全線運転再開を目指すとしています。新年度に間に合うことには大きな意味がありますね。
只見線 会津川口~只見の代行輸送
只見線は、2011年の豪雨の被害に寄り、会津川口~只見間で不通となっています。この区間では、列車に接続する代行バスが運転されています。
区間 | 本数 | 備考 | |
---|---|---|---|
下り | 会津川口→只見 | 6本 | |
上り | 只見→会津川口 | 7本 |
代行バスは1日に6~7本運転されていますが、只見線の新潟側、只見~小出間を直通する列車が1日に3往復しかないため、只見線全線を、代行バスも含めて乗りとおすことのできる乗り継ぎは限られます。
詳しくは、以下のJR東日本仙台支社に掲載されている代行バスの時刻表をご確認ください。
只見線 会津若松~小出の迂回経路
只見線に乗車することや、只見線沿線への旅行が目的であれば、上記の代行バスを利用するのが良いでしょう。
一方、只見線の起終点となる会津若松~小出間を、別のルートで移動するのであれば、以下が候補となります。
- 上越線・信越本線・磐越西線経由(小出~上越線~長岡~信越本線~新津~磐越西線~会津若松)
上越線・信越本線は列車の本数がそれなりにありますが、磐越西線の新津~会津若松間は本数が少ないので、この迂回経路を利用する場合には、あらかじめ計画を立てておきましょう。
只見線の運転再開時期は、2020年11月時点では、2022年度中となっています。
- 復旧工事完了見込み: 2022年度上半期
- 運転境時期: 2022年度中
当初は、2021年度中の運転再開を目指していましたが、復旧工事中の第6只見川橋りょうの工法再検討等により、復旧時期が変更になりました。詳しくは、JR東日本のニュースリリースをご覧ください。
JR九州
JR九州では、以下の路線で運転見合わせとなっています。
路線 | 区間 | 代替交通等 | リンク |
---|---|---|---|
日田彦山線 | 添田~日田 | 代行バスあり | JR九州 |
久大本線 | 豊後森~庄内 | 一部区間のみ 代行バスあり |
JR九州 |
肥薩線 | 八代~吉松 | 代行バスなし |
なお、2016年の熊本地震以来、不通となっていた豊肥本線の肥後大津~阿蘇間は、2020年8月8日に運転を再開しました。以下の記事をご覧ください。
日田彦山線 添田~日田の代行輸送
日田彦山線の運休区間の添田~日田間で代行バスが運転されています。
区間 | 本数 | 備考 | |
---|---|---|---|
下り | 添田→彦山 | 13本 | ※1 |
筑前岩屋→日田 | 6本 | ※1 | |
添田→日田 (直通) |
4本 | ||
上り | 日田→筑前岩屋 | 4本 | |
彦山→添田 | 14本 | ※2 | |
日田→添田 (直通) |
4本 |
※1: 添田→日田間を直通する代行バスも含む
※2: 日田→添田間を直通する代行バスも含む
添田駅を発着する代行バスは、日田彦山線を経由して田川後藤寺や小倉発着の列車に接続しています。
代行バスは本数が多そうですが、添田~彦山間の区間運転が多いだけで、添田~日田間を直通するバスは1日に4往復しかありませんので、この区間を移動する場合には、あらかじめ前後の列車を含めた行程を作っておきましょう。
添田~日田間の代行バスについては、JR九州のWebサイトをご確認ください。
久大本線 日田~向之原の代行輸送
2020年11月現在、久大本線の不通区間と代行バスの運転区間は以下の通りです。
区間 | 運転状況 | 代行バス |
---|---|---|
久留米~日田 | 通常通り運転 | |
日田~豊後森 | 臨時ダイヤで運転 | |
豊後森~庄内 | 運転見合わせ | 代行バスあり |
庄内~向之原 | 臨時ダイヤで運転 | |
向之原~大分 | 本数を減らして運転 |
久大本線を走る特急列車の運転状況は以下の通りです。(2020.09.23時点)
- ゆふいんの森(博多~由布院・別府)
- 博多~豊後森間で運転(「ゆふいんの森 1号、2号、5号、6号」のみ運転)
- 豊後森~由布院間で代行バスを運行
- ゆふ(博多~大分・別府)
- 博多~日田間で運転(「ゆふ3号、4号」のみ運転)
- 豊後森~由布院間で代行バスを運行
2020年11月現在の代行バスの運転状況は以下の通りです。
区間 | 本数 | 備考 | |
---|---|---|---|
大分方面 | 豊後森→由布院 | 10本 ※1 | |
由布院→庄内 | 16本 | ||
日田方面 | 庄内→由布院 | 14本 | |
由布院→豊後森 | 10本 ※1 |
※1: 10本のうち2本は「ゆふいんの森」接続の直行バス
代行バスの本数はそれなりにありますが、列車からの接続がないものもありますので、ご注意ください。
代行バスの乗降所は、駅から離れている場合もあります。代行バスの停留所の場所やダイヤ等の詳細については、JR九州のWebサイトをご確認ください。
久大本線の運転再開見込みが、JR九州から発表されています。
- 由布院~庄内(15.4km): 2021年2月13日(土)の始発列車から運転再開
- 豊後森~由布院(25.9km): 2021年3月1日(月)の始発列車から運転再開
2021年3月1日には、久大本線の全線(久留米~大分間)で運転が再開されることになります。
詳しくは、JR九州のニュースリリースをご確認ください。
肥薩線 八代~吉松間の代行輸送・迂回経路
2020年11月現在、「令和2年7月豪雨」の影響で、肥薩線の八代~吉松間が運休となっています。
代行バスはありませんが、以下の区間でタクシー輸送(平日のみ)が実施されています。
- 八代~坂本間
- 一勝地~人吉
乗降場所、ダイヤなどは、JR九州のWebサイトをご確認ください。
肥薩線を走る観光列車の運転状況は以下の通りです。(2020年11月時点)
- かわせみ やませみ(熊本~人吉): 運休
- いさぶろう・しんぺい(熊本~人吉・吉松): 運休
- SL人吉(熊本~人吉): 運休
肥薩線の八代~隼人間を迂回するルートとしては、
- 九州新幹線(八代~鹿児島中央) → 日豊本線(鹿児島中央~隼人)
のルートがあります。
以上、『JR各社の長期運休中・不通となっている路線・区間と代行バス・迂回経路まとめ』でした。2020年春の時点では、一時期よりもだいぶ不通区間が減っていましたが、「令和2年7月豪雨」の影響で、JR九州を中心に不通区間が増えています。旅行の計画を立てるときには注意しましょう。
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