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東武「SL大樹」も故障で運休! 各地でSLの不具合相次ぐ、観光の目玉もメンテナンスは大変!

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JR各社をはじめ、大手私鉄や中小私鉄では、観光客向けにSL(蒸気機関車)の復活運転がさかんに行われていますが、今年はSLの故障や不具合で運休が相次いでいます。いったん故障してしまうと、運休が長期間に及ぶ傾向もあり、SLのメンテナンスはなかなか大変なようです。

各地で相次ぐSLの長期運休

JR各社や中小私鉄などで、観光客向けにSLの運転が実施されています。実際に人気は高いようで、どこのSLに乗車しても、いつも満席に近いくらい混雑していますし、出発前や停車時間中などは、SLの前で記念撮影をする人たちで溢れかえっています。

そんなSLですが、今年は各地で長期運休が相次いでいます。

会社・路線 列車名 運休期間 運休理由
JR東日本
磐越西線
SLばんえつ物語 2018年7月~2019年初夏 テンダー車の
車輪不具合
東武鉄道
鬼怒川線
SL大樹 2018年11月~2019年1月頃 SL車両故障
秩父鉄道 SLパレオエクスプレス 2018年9月下旬~12月 SL車両故障
真岡鉄道 SLもおか 2018年11月~2019年1月頃 救援用ディーゼル
機関車故障


関東近辺に集中しています。この秋~冬、関東のSLはちょっと寂しい状況が続きそうです。

長期運休の理由は?

SLが故障すると長期運休が発生する理由はいくつか考えられます。

予備車の不在

電車や気動車(ディーゼルカー)も故障することはありますが、通常は故障が発生しても鉄道運行に影響を及ぼさないようにするために、予備の車両(予備車)を用意してあります。最も運転本数が多い時間帯でも、1~2編成を待機させることができるだけの車両を保有し、車両故障が発生した時に代替の車両として利用するというわけです。

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新潟駅に到着した「SLばんえつ物語号」(2002年11月)

ところが、SLの予備車を保有している会社はほとんどありません。JR東日本など、複数のSLを保有している会社もありますが、それぞれの地域で運用されているため、容易に代わりを務めるのが難しい状況です。

予備車がないため、故障が発生すると、すぐに運休になってしまうわけですね。また、各社とも、SLの補機や救援用車両としてディーゼル機関車を保有しているため、ディーゼル機関車牽引の列車として運転する場合もあります。

部品の調達に時間を要する

運休期間が長期になってしまう理由としては、部品の調達に時間がかかることがあげられます。

SLが現役として活躍していたのは40年以上前。1975年には、蒸気機関車牽引の定期旅客列車がなくなってしまったそうです。その後、各地で、静態保存されていたSLを復活させて、観光列車として運転をしているわけですが、当然のことながら部品の在庫などあるわけもありません。いったん故障が発生し、部品の交換が必要となると、一から製造する必要があるわけです。

例えば、JR東日本の「SLばんえつ物語」に関するプレスリリースでは、

・「仕業検査」と呼ばれる運行前点検において、ボイラーのあるSL本体ではなく、石炭と水を積むテンダー車(炭水車)の8つある車輪のうち、1つの車輪に不具合が生じていることを確認しました。 ・交換する部品を新たに製作しなければならないため、修繕に相当な日数を要する見込みです。

(出典)SL「C57-180」号機車両不具合の概要及び今後の計画について(JR東日本新潟支社プレスリリース 2018年7月25日)

という記述があります。電車や気動車の車輪であれば、予備くらいはあるでしょうし、メーカーにも在庫があるのかもしれませんが、SLのテンダー車の車輪の予備や在庫はないのでしょう。一から制作するとなると、その期間は数かけ月に及ぶことは想像に難くありません。ましてや、SLの部品となれば、下手すると設計から着手しなくてはならないかもしれません。

中小私鉄では自社での大規模修繕が困難

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秩父鉄道のSLパレオエクスプレス

秩父鉄道や真岡鉄道などの中小私鉄では、自社でSLの大規模な修繕が困難であるという事情もあります。日常的な点検な軽微なメンテンナンスは自社で実施していますが、SLを分解して部品を交換するような大規模な修繕になると、それなりの設備や技術が必要になります。

秩父鉄道や真岡鉄道は、このような大規模修繕をJR東日本に委託しています。他社に委託する以上、自社の都合だけでSLの修理を進めることができませんので、修理が完了するまでに時間を要することになります。

東武鉄道は2両目のSLを復元へ

東武鉄道は、現在の「SL大樹」(C11-207)に加えて、2両目のSLを復元すると発表しました。

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SL大樹は、前述の通り、2018年11月上旬の故障により現在運休中ですが、もともと2018年12月~2019年1月の2か月間は、SLの定期検査のために運休(ディーゼル機関車牽引の列車「DL大樹」として運転)の予定でした。

予期しない故障のリスクを回避するのと、定期検査の期間でもSLを運行できるようにということで、2両目のSLの復元に踏み切ったようです。

鉄道会社にとっては、週末には確実に満席になるSLの乗車券・座席指定券の売り上げは馬鹿にならないのでしょう。真岡鉄道や秩父鉄道のような中小私鉄ではなおさらです。JRや東武のような体力のある会社だとしても、SLが運行されている区間まで、新幹線や特急列車に乗って来てくれる乗客が少なからず見込めるでしょうから、非定期外収入(定期券以外の収入)にはかなり効いてくるのかもしれません。

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入れ替え中?のC10 8号機(大井川鉄道)

「SL急行」で有名な大井川鉄道は、中小私鉄であるにもかかわらず、SLを4両も保有しています。観光客によるSL急行の運転収入が同社の屋台骨となっているという事情もありますが、4両のSLをフルに活用して、年間を通して、最大で1日3往復という多頻度の運転を実現しています。

突然の運休もあり得ると心得て乗りに行こう!

今回紹介したような長期の運休以外にも、日々の検査で見つかる小さな不具合により、急遽SLが運休(ディーゼル機関車牽引に変更)ということがあります。せっかくのSLが急に運休になってしまったら残念ですが、SLとはそういうものです。定時運行があたりまえの日本の鉄道の中では異色な存在ですが、そんなアナログなところがSLの魅力でもあります。

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DL牽引の客車列車も珍しい!?(写真はSL大樹の最後尾に連結されているDL)

SLに乗車に行くときには、「そんなトラブルがもしかしたらあるかも?」と思っておいたほうがよいでしょう。もっとも、乗り鉄的には、ディーゼル機関車が牽引する客車列車も十分珍しいとは思うわけですが…。(SLはあちこちで運転されていますが、DL牽引は少ないですし…)


以上、『東武「SL大樹」も故障で運休! 各地でSLの不具合相次ぐ』でお届けしました。メンテナンスが大変なSLですが、中小私鉄を含む各地で運行が続けられているということは、それだけ経営的にもメリットがあるということでしょう。貴重な文化財の保存と観光客の誘致を同時に狙えるSLの運行(動態保存)ですが、実際に乗車して支えていきたいですね。