ひさの乗り鉄ブログ

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アフターコロナに向けて鉄道各社の事業縮小が加速! JR東・西は終電繰り上げ、JR北海道は特急減便で、今後の鉄道はどうなる?


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新型コロナウイルスが鉄道各社の収益を直撃しています。JR各社は鉄道需要は元に戻らないと見込んで、減便や時間帯別運賃など、アフターコロナに向けての検討を開始しています。人口減でゆるやかな減便傾向が続くと思われていた鉄道事業ですが、新型コロナがそれを一気に加速させてしまいました。今後、鉄道事業はどうなるのでしょか?

新型コロナウイルスがJR各社を直撃! JR東日本は5000億円の赤字、JR東海は売り上げ6割減!

JR東日本、JR東海、JR西日本は、2021年3月期通期業績予想を発表しました。

これによると、2021年3月期通期の営業利益は、JR東日本が5,000億円の赤字、JR東海が1,850億円の赤字、JR西日本が2,900億円の赤字と予想しています。2020年度実績は、JR東日本が3,808億円の黒字、JR東海が6,562億円の黒字、JR西日本が1,606億円の黒字でしたから、JR本州3社は一気に赤字に転落することになります。

JR東日本、JR東海は、民営化後、初の最終赤字を見込むことになります。

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JR東日本は売り上げ35%減、売上減がそのまま利益減に!

JR東日本の業績予想(連結)をもう少し詳しく見てみます。

売上高 営業利益 経常利益 純利益
2021年3月期
(予想)
1,930,000 △500,000 △549,000 △418,000
2020年3月期
(実績)
2,946,639 380,841 339,525 198,428

※単位: 百万円

まず驚くのが、売り上げが2.9兆円から1.9兆円へと、1兆円も減る予想になっていることです。そして、営業利益を見ると、3,800億円の黒字から5,000億円の赤字へ、8,800億円も減る予想になっています。売上高の減少分のほとんどが、営業利益の減少となって表れていますが、これは固定費が営業費に占める割合が極めて高い鉄道会社ならではの構造です。

JR東日本単体の業績予想を見てみると、この傾向はもっと明確になります。

2020年3月期
(実績)
2021年3月期
(予想)
営業収入 20,610 12,510
営業費 17,670 17,140
営業利益 2,940 △4,630

※単位: 億円

営業収入は2兆円から1.2兆円まで約4割も減る予想になっているのに対して、営業費はほとんど変わっていません。つまり、営業収入が減った分だけ、営業利益が減ることになります。

今回のコロナ禍に際して、特急列車の減便や臨時列車の減便など、コスト削減に努めてはいるはずですが、それでも営業費の減少幅はごくわずかです。

列車の本数を一時的に減らしたとしても、その分で削減できるコストは、動力費(電気代・燃料代)や乗務員の手当分くらいでしょう。列車の本数が減ったからといって、線路等の設備の維持管理をするための費用を減らすわけにはいかないでしょうし、今の段階で乗務員の人件費を大幅に削るわけにもいかないでしょう。

鉄道会社の収益構造はこのようになっているため、今回のコロナ禍で乗客が減った影響をもろに受けてしまうのです。

緊急事態宣言から半年、未だに長距離需要は前年比3~4割程度

4月上旬に緊急事態宣言が発出されてから半年近くたちますが、いまだに鉄道の需要は戻っていません。

JR西日本が公表している「ご利用状況」を見てみます。

期間 山陽新幹線 北陸新幹線 在来線特急 近畿圏
9月 39% 37% 36% 69%
10月
(~14日)
42% 51% 41% 79%

(出典)収入概況(10月14日時点)について

9月は新幹線や特急列車などの長距離輸送は4割弱しか戻っていません。10月に入り、長距離輸送も多少は戻りつつありますが、それでも前年比で半分以下という状況が続いています。

一方、「近畿圏」は7~8割程度まで戻っていますが、JR西日本が警戒しているのはこちらでしょう。「近畿圏」の大半は通勤通学需要ですが、緊急事態宣言が解除されてから4か月以上が経過しても、まだ4分の3までしか戻っていないのです。

この状況が、新型コロナウイルスの影響が落ち着くまで続くことを考慮すると、前述のような業績予想となるのだと思われます。

2021年ダイヤ改正でJR東・西は終電繰り上げ、JR北海道は減便へ

問題は、今回の新型コロナウイルスの影響が落ち着いたあとも、鉄道の需要は元に戻らないということでしょう。

前述のように、緊急事態宣言解除から4か月が過ぎても、通勤需要は4分の3しか回復していません。もちろん、感染拡大防止のために、一時的に在宅勤務やテレワークに切り替えている企業もあるとは思いますが、大企業を中心に、在宅勤務・テレワークを基本とする働き方にシフトしてきているという現状もあります。

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JR東日本・JR西日本は終電を30分程度繰り上げ、実質的な減便へ

JR各社が、アフターコロナも鉄道需要は元には戻らないと判断している根拠の一つは、大都市圏の通勤需要の回復が鈍いということだと思われます。

そんな状況を反映して、JR東日本、JR西日本は、2021年のダイヤ改正で、終電を30分ほど繰り上げる計画を発表しています。

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JR東日本は、首都圏の17線区で最大37分の終電繰り上げ、5線区で始発繰り下げを実施します。対象路線には、山手線、中央線などを始め、都心部を走る路線のほとんどが含まれています。

一方、JR西日本は、近畿圏の12線区で最大30分程度の終電繰り上げを実施します。これにより48本の列車を削減します。

終電繰り上げの目的は、「~メンテナンス部門の働き方の改善に向けて」となっています。これは、もともと鉄道会社の課題になっていたことです。鉄道各社は、鉄道設備のメンテナンス要員の人手不足に直面しています。深夜時間帯にしか実施できない線路等の設備の点検、工事等の時間を拡大することで、作業をしやすくする環境を整えようということです。

この人手不足の問題は、新型コロナウイルスとは直接関係ありません。JR各社の熟練作業員の定年退職による人員減が直接的な原因です。ところが、ここまで性急に終電の繰り上げにまで踏み込んだのは、コロナ禍の影響が大きいと思われます。

終電に近い時間帯の列車の需要は、仕事のあとに飲みに行ったり遊びにいったりする人たちによって支えられていますが、新型コロナウイルスの影響でそのような活動を控える人が多くなったことに加えて、在宅勤務やテレワークの普及で通勤する人が減った影響もあるでしょう。

JR北海道は来春のダイヤ改正で主要特急の減便・臨時格下げを実施

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コロナ禍以前から経営危機に陥っているJR北海道ですが、2020年4月~6月の利用状況を発表しています。

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これによると、第1四半期の収支は219億円の損失となっていて、昨年同期の116億円の損失から大幅に拡大しています。

線区別では、札幌圏が54.1億円の悪化と損失拡大幅の約半分を、北海道新幹線や各都市間を結ぶ特急列車が走る主要路線(「単独で維持困難な線区」以外の路線、札幌圏含む)で93.7億円の悪化と約9割を占めています。

これを受けて、JR北海道は、来春のダイヤ改正で、主要特急列車の減便・臨時格下げ・減車、札幌圏での減便を実施します。

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特急列車の減便・臨時格下げは、「北斗」(札幌~函館)、「カムイ」「ライラック」(札幌~旭川)、「大雪」(旭川~網走)、「サロベツ」(旭川~稚内)など、JR北海道の都市間輸送の根幹をなす列車が多く含まれています。

また、札幌圏についても、10本程度の列車の見直し(減便または運転区間の短縮だと思われる)、10本程度の土休日運休を検討するとしています。

早々に特急列車の減便に着手したのは、インバウンドの観光客に支えられているJR北海道ならではでしょうか。日本国内はともかく、諸外国の新型コロナの感染状況を見る限り、当面は観光客は元に戻らないとの判断でしょう。

コロナ後の鉄道はどうなる?

JR各社が終電繰り上げや減便へと動き始めていますが、コロナ後、アフターコロナの時代には、日本の鉄道はどうなるのでしょうか? 列車の本数や路線の維持に着目すると、以下のようになるのではないかと予想します。

  • 通勤需要は元に戻らず、通勤・帰宅ラッシュ時間帯の通勤電車は大幅減便へ
  • 出張需要も減る可能性が高く、新幹線や特急列車も減便へ
  • 旅行需要は元に戻るが、インバウンドを含めた回復までは時間がかかる
  • 高校生の通学需要がメインのローカル線、コロナ関係なく少子化・人口減で徐々に廃止へ

通勤・帰宅ラッシュ時は大幅減便

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在宅勤務・テレワークの普及により、通勤・帰宅ラッシュ時の通勤電車は大幅減便。これは、かなりの確率でこのようになると考えます。

前述のように、コロナ禍から半年以上が経っても、通勤需要は4分の3程度までしか回復していません。筆者の実感としても、始発駅出発時点で満員だった帰宅ラッシュ時の下り列車が、今は出発直前まで空席がある状況です。「働き方」そのものが変わってしまったので、残りの通勤需要は戻らない可能性が高そうです。

そうなると、JRや大手私鉄各社は、通勤・帰宅ラッシュ時間帯の減便に着手するはずです。需要に応じて減便するという理由以外に、通勤・帰宅ラッシュ時間帯の減便は、鉄道会社にとって、大きなコスト削減になるという側面もあります。

鉄道会社は、通勤・帰宅ラッシュの需要に合わせて、車両や人員を確保しています。通勤途中に車両基地を眺めてみると、朝のラッシュ時間帯にはほとんど電車が止まっていませんが、日中時間帯にはたくさんの車両が休んでいます。

車両や人員を減らすことができれば、固定費を大きく減らすことができます。前述のように、鉄道会社のコストは固定費が大半を占めているため、抜本的なコスト削減を実現するには、固定費を削減するほかありません。

コロナの感染状況を見ながらになると思いますが、コロナ禍が落ち着けば、すぐにでもラッシュ時間帯の減便が始まると思います。

出張需要減で新幹線・特急列車も減便

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在宅勤務・テレワークの普及は、出張需要も減少させる可能性が高いと思います。

電話会議は数十年前から、テレビ会議も10年以上前から、いくらでも実施できる環境は整っていましたが、あまり普及していませんでした。だから、コロナ後も出張需要は元に戻るのかというと、そうは思いません。

在宅勤務・テレワークで、社内の会議だけでなく、社外との会議や打ち合わせも、Web会議で実施されるようになってきています。こういうものは「慣れ」が重要ですが、この半年のコロナ禍で、Web会議等の扱いに十分に慣れた人が多いと思います。

もちろん、対面での会議や打ち合わせの重要性は変わりませんが、企業にとってコスト削減にもなる点を考えると、出張のハードルは上がるのではないかと想像します。

その結果として、新幹線や特急列車などの長距離需要が減ることが想定されます。どのくらいの影響があるのかはわかりませんが、コロナ後も、平日を中心に、まずは新幹線や特急列車の臨時列車の削減、その後、ダイヤ改正で徐々に定期列車も減便、という流れになるのではないかと思います。

旅行需要は元に戻るが時間がかかる

旅行需要は、コロナの終息に伴って、元に戻る可能性が高いのではないでしょうか。

治療薬やワクチンの開発によって、新型コロナウイルスによる感染症を社会が受け入れられるようになれば、旅行に行こうという環境も整うはずです。

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大きな転換点は、2021年夏の東京五輪の開催になりそうです。これが開催できる状況であれば、比較的早く旅行需要は戻るでしょうし、それどころか、五輪効果で大幅増となる可能性もあります。

ただ、世界の感染状況を見ると、依然として感染拡大が続いている国が多くあり、直近では、欧州各国で、飲食店の営業規制などが再検討されている状況です。このような状況を考えると、現状では、2021年夏の開催は難しい可能性が高いと言わざるを得ません。

そうなると、インバウンドの需要が完全に元に戻るまでは、かなりの時間がかかりそうです。さらに、コロナ後は、世界経済の停滞も予想されるため、経済的にも旅行需要が一時的に減る可能性もあります。

その結果、JR各社の新幹線や特急列車は、一時的に臨時列車の運転中止や、一部定期列車の減便はあるものの、旅行需要回復に伴って、次第に元に戻る、というシナリオが想定できます。

ローカル線はコロナ禍関係なく徐々に廃止へ

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高校生の通学需要に支えられている各地のローカル線は、コロナ禍に関係なく、今後も厳しい状況が続くと思われます。

基本的にビジネス需要や観光需要が少ない路線ですので、コロナ禍の影響は受けにくいと思われます。一方で、少子化、人口減の影響は、今後も続くはずですから、徐々に乗客が減り、廃止・バス転換となる路線が増えそうです。

JR各社のローカル線は、少し事情が異なる可能性もあります。

JRのローカル線は、都市部や新幹線等での黒字を前提に存続していますが、通勤需要、出張需要の減少で、コロナ後の黒字額は減っていくはずです。その結果として、利益を確保するために、赤字ローカル線の廃止に踏み込む可能性があります。

JR東日本の東北地方のローカル線、JR西日本の中国地方のローカル線は、その候補になるかもしれません。


以上、「アフターコロナに向けて鉄道各社の事業縮小が加速! JR東・西は終電繰り上げ、JR北海道は特急減便で、今後の鉄道はどうなる?」でした。鉄道会社を直撃したコロナ禍。影響はコロナ後にも続きそうです。