観光列車といえば、車窓から眺められる海や山の風景をウリにする列車が多いものですが、最近は夜景観賞や星空観賞を目的とした観光列車も増えてきています。夏の夜は、避暑も兼ねて、そんな観光列車に乗ってみるのも良いでしょう。この記事では、2019年夏の青春18きっぷで乗車できる「ナイトクルーズ列車」を紹介します。
※2019.08.08更新
夜景や星空を楽しむ「ナイトクルーズ列車」
各地で運転されている観光列車の一番の楽しみは、沿線の美しい車窓でしょう。大海原が広がる海沿いの路線や、美しい山並みが続く山岳路線など、観光列車が運転されている路線は景色がよいところが多いです。
ところが、最近は、景色が見えない夜間に運転される観光列車が増えてきました。このような「ナイトクルーズ列車」で楽しむのは、夜景や星空。途中駅で停車し、夜景鑑賞や星空観察のイベントがあるのです。
この記事では、夏の青春18きっぷで乗車したい「ナイトクルーズ列車」を3つ紹介します。いずれも快速列車として運転されますので、指定席を確保できれば、青春18きっぷでも乗車できます。
「HIGH RAIL 星空」(小海線)
2017年から運転を開始した小海線の観光列車「HIGH RAIL 1375」。運転日には、小海線全線(小淵沢~小諸)で1.5往復(3本)運転されますが、そのうちの1本が夜間に運転される「HIGH RAIL 星空」 です。
- 運転日
- 7月5日・7~12日・15日・19~23日・26~30日
- 8月2~6日・9~13日・16~20日・23~27日・30~31日
- 9月1日・6~8日・13~16日・20~23日・27~29日
- 運転時刻
- HIGH RAIL 1号: 小淵沢 10:42発 → 野辺山 11:20着/11:33発 → 小諸 12:56着
- HIGH RAIL 2号: 小諸 14:32発 → 野辺山 16:00着/16:16発 → 小淵沢 16:57着
- HIGH RAIL 星空: 小淵沢 18:17発 → 野辺山 19:06着/19:52発 → 小諸 21:39着
- 車両: HIGH RAIL 1375(全車指定席)
野辺山駅で星空観察会
「HIGH RAIL 星空」は、野辺山駅で1時間程度の停車時間があります。この間に、駅前の広場で星空観察会が行われます。
野辺山駅に到着するまでの間、車端部に設けられたミニプラネタリウムで「映像上映会」があり、その季節に見られる星座などの解説をしてくれます。
その後、野辺山駅に到着すると、いよいよ星空観察会です。「星空案内人」の方が、さまざまな星座や惑星を眺めながら解説をしてくれますので、天文に詳しくない方でも楽しめます。
星空を眺めるわけですから、もちろん天候に左右されます。曇りや雨の日には諦めるしかありません。
ただ、野辺山駅は標高1,300メートル以上の高原にある駅です。八ヶ岳の麓でもあり、天候が変わりやすいところでもあります。分厚い雲が覆っているような天気では厳しいですが、少し雲がかかっているくらいであれば、時間とともに晴れてくる可能性もあります。
「HIGH RAIL 星空」の乗車レポートを掲載しています。冬季(1月)に乗車したので、運転時刻が異なりますが、車内や野辺山駅でのイベントはほぼ同じと思われますので、雰囲気を掴んでいただければ。
「ナイトビュー姨捨」(篠ノ井線)
次に紹介するのは、篠ノ井線の長野~姨捨を往復する「ナイトビュー姨捨」 です。夏季の金曜・土曜を中心に運転されています。普段は、「リゾートビューふるさと」として、長野~松本~南小谷(篠ノ井線~大糸線)を走っています。
- 運転日
- 7月5~6日・12~13日・19~20日・26~27日
- 8月2~3日・23~24日・30~31日
- 9月6~7日・13~14日・20~21日・27~28日
- 運転時刻
- 上り: 長野 18:48発 → 姨捨 19:22着
- 下り: 姨捨 20:24発 → 長野 20:59着
- 車両: リゾートビューふるさと(全車指定席)
日本三大車窓の姨捨駅で善光寺平の夜景を鑑賞!
「ナイトビュー姨捨」は、その列車名のとおり、篠ノ井線にある「姨捨(おばすて)駅」に行くことが目的の列車です。
この姨捨駅、知る人ぞ知る「日本三大車窓」の一つです。(他の2つは、旧根室本線の狩勝峠、肥薩線の矢岳越え)
昼間はこのような景色を眺められる場所です。低い山々に囲まれた善光寺平を、千曲川がゆったりと流れる雄大な景色ですね。
「ナイトビュー姨捨」は、同じ場所から夜景を眺めるための列車です。姨捨駅では1時間ほどの時間がありますので、ホームから夜景を眺めることができます。また、駅舎内では、民話の語りや楽器演奏などのイベントも用意されています。
こんなに素晴らしい夜景を眺めることができます。都会の夜景と比べるときらびやかではありませんが、夕暮れ時、街に明かりが灯り始める頃の眺めは素晴らしいです。善光寺平を流れる千曲川の眺めも必見です。
姨捨駅はスイッチバック駅です。特急列車など姨捨駅に停車しない列車は、ホームより低いところにある本線を通過していってしまいます。
もちろん、「ナイトビュー姨捨」ではなく、普通列車で訪れてもよいのですが、「ナイトビュー姨捨」に利用される「リゾートビューふるさと」の車両は、ゆったりとしたリクライニングシートに大きな窓があり、車窓を眺めるのにはもってこいの列車です。
2018年7月に乗車した「ナイトビュー姨捨」の乗車記です。日没後、西の空がまだ少し明るいうちに姨捨駅に到着し、徐々に暗くなっていく時間帯に姨捨駅に滞在できます。
「弥彦山ナイトクルーズ号」(信越本線~弥彦線)
最後にご紹介するのは、新潟~弥彦を往復する「弥彦山ナイトクルーズ号」です。
- 運転日: 8月11日
- 運転時刻
- 上り: 新潟 15:58発 → 弥彦 17:37着
- 下り: 弥彦 21:45発 → 新潟 23:04着
- 途中停車駅: 亀田・新津・加茂・東三条・燕三条・燕・吉田
- 車両: 115系3両編成(全車指定席)
お盆休みの1日のみの運転ですが、新潟から信越本線経由、東三条から弥彦線に直通する臨時列車です。115系という、いまやだいぶ減ってしまった国鉄型の古い車両に乗車できるのもうれしいですね。
弥彦山 夜景&星空クルーズ
「弥彦山ナイトクルーズ号」は、列車から夜景を眺めるのではなく、弥彦山ロープウェイに乗って、弥彦山山頂から越後平野の夜景や、星空を眺めるのです。
この時期、弥彦山ロープウェイでは、「弥彦山 夜景&星空クルーズ」と称して、上り20時30分、下り21時までロープウェイを運行しています。
弥彦駅から弥彦山ロープウェイの山麓駅までは少し離れていて、徒歩で20分ほどかかります。それでも、「弥彦山ナイトクルーズ号」は、弥彦駅で4時間以上も停車していますので、ロープウェイで山頂を往復して、夜景と星空を眺める時間は十分にあるでしょう。
なお、弥彦線の通常の最終列車は20時25分発の東三条行きです。「弥彦山ナイトクルーズ号」は、通常の最終列車よりも1時間以上も遅く運転されます。帰路で「弥彦山ナイトクルーズ号」を利用しない場合には、20時25分の最終列車を逃さないようにしましょう。
以上、夜景鑑賞や星空観察に焦点を当てた観光列車を紹介してみました。車窓が見えない夜間に運転される、ちょっと変わり種の列車ではありますが、夜景や星空を眺められる場所まで連れて行ってもらえるのはありがたいですよね。この夏は、ナイトクルーズ列車で一味違った旅をしてみてはいかがでしょうか。
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