長瀞ライン下りを堪能して、長瀞駅前に戻ってきたあとは、遅い昼食を済ませ、再び荒川へ。荒川の河原に広がる名勝「岩畳」をじっくりと見学するためです。他ではなかなか見られない貴重な地形にテンションが上がります(笑)
夕暮れの長瀞渓谷を散策
長瀞駅から、再び長瀞岩畳商店街を抜けて、荒川の河原へやってきました。
荒川の河原には、長瀞独特の薄い層状に重なった岩が広がります。
先ほど、ライン下りに乗船した場所ですが、すでに今日の営業は終わりなのか、船がたくさん並べられていました。こう見ると、それなりに紅葉が進んでいますね。
地球が造った奇跡の地形「岩畳」
早速、岩畳が広がる長瀞渓谷を散策します。
夕暮れになり、かなり冷え込んできたにもかかわらず、まだ多くの観光客が散策を楽しんでいました。長瀞の岩畳は、国指定の名勝・天然記念物に指定されていて、古くから観光地として人気がありましたが、最近、「ブラタモリ」でも取り上げられたことや、地形的な珍しさが注目されてきたこともあって、多くの人を惹きつけるようですね。
長瀞の岩畳は、長瀞駅付近の荒川の左岸(西岸)に広がります。幅は広いところで50メートル程度、長さは600メートルにも及びます。地質学的にもとても貴重な地形だそうで、「日本地質学発祥の地」とも言われているそうです。
たしかに、この光景を見ると、どのようにこんな構造が造られたのか、不思議に思いますよね。
ミルフィーユのように薄く積み重なる階段状の岩
長瀞の岩畳に見られる特徴的な地形として「片理」(へんり)があります。
「片理」は、鉱物が薄く割れる(剥がれる)性質のことで、岩石を造る鉱物が一定の方向(圧力=上下の力に対して垂直の方向=つまり水平方向)に並んでいることに起因するそうです。片理の性質によって岩石が薄く剥がれ、階段状の地形が形成されたと言われています。
長瀞の岩畳には、この片理の性質によってつくられたミルフィーユのような層状の構造があちこちに見られます。岩畳の景観が美しいのは、この構造が広い範囲に渡って広がっているからでしょうね。
少しアップで見てみました。写真から脆く剥がれそうに見えますが、そうはいっても岩石ですので、そんなに簡単には崩れません。。。
長瀞岩畳商店街の方向を見てみると、きれいに階段状になっているのがわかりますね。
もう一つ、岩畳の特徴的な地形を形作っているのが「節理」です。節理は、地下深く(長瀞の岩畳では地下約20km)で形成された地殻が上昇する際に、水平方向に引っ張る力が働くことで形成される、碁盤の目のような割れ目です。お餅を焼いたときに、表面が膨らんでひび割れができるのと同じ原理だそうです。
岩畳の節理は、東西方向と南北方向に、きれいに碁盤の目のように並んでいます。これも、長瀞の岩畳をきれいに見せている特徴の一つでしょうね。
こちらは、岩畳の対岸にそびえる「秩父赤壁」です。中国にある名勝地「赤壁」に似ていることから、秩父赤壁と名付けられたそうです。
岩畳とは全く違う地形に思えますが、この秩父赤壁の形成にも節理が関係してるそうです。南北方向の節理によって割れた岩石を、荒川の流れが垂直に削った結果、このような垂直にそびえる絶壁が形成されたとか。岩石をいとも簡単に削ったり割ったりする地殻のパワーもすごいですが、水の流れによる浸食作用も、長い年月の間にはこんな地形を形作ってしまうのですね。
まだまだある不思議な地形
岩畳の中に、「ポットホール」(甌穴:おうけつ)という穴を見つけました。小さいものですが、きれいに円形になっています。これは、この地形が荒川の川底にあったときに、くぼみに小さな石がはまり、渦巻きの流れによって石が川底を削ってできた地形です。
これはとても小さいですが、少し上流の親鼻橋の近くには、直径1メートル以上もあるポットホールがあるそうです。この地形も、水の流れの力を感じさせますね。
ライン下りの乗り場の近く、岩の間から水が流れ出ていました。このあたりの岩畳は大きく4層くらいに高さが分かれているようで、このような水の流れも見られるようです。
日も暮れて寒くなってきたので、そろそろ帰ることにします。夕暮れの長瀞岩畳商店街もいい雰囲気でした。
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