11月上旬の3連休に、秩父鉄道を利用して長瀞へ日帰り旅に行ってきました。長瀞へのアクセスは、もちろん「SLパレオエクスプレス」。この日は、ちょうど「ちちてつマルシェ」を開催していて、SLの車内でのジャズ演奏などのイベントも楽しめました。
早めに熊谷駅へ
SLパレオエクスプレスの熊谷発車は10時10分ですが、その1時間前の9時過ぎには熊谷駅に到着。
その理由は、指定席が確保できず、座席が自由席だったためです。自由席に乗車する場合でも「SL整理券」(510円)が必要なのですが、座席は確保されません。そのため、早めに熊谷駅に到着したというわけです。
SLパレオエクスプレスの座席の予約方法は、下記の記事に詳しく書きましたので、乗車しようと考えている方は、ぜひご覧ください。
SL整理券を引き換え 缶バッジと乗車証のおまけも!
JR熊谷駅の改札を出て左手に歩いていくと、すぐに秩父鉄道の熊谷駅です。自動券売機で長瀞までの乗車券(片道760円)を購入し、改札を通ります。
改札からすぐのところに、SL整理券の引き換えカウンターがありました。カウンターの駅員さんに予約番号と名前を伝えて、お金を払って、SL整理券を受け取ります。
SL整理券は、SLの形をしたかわいい券でした。これは記念になりますね。
SL整理券のWeb予約特典として「缶バッジ」ももらえました。さらに、この日は「ちちてつマルシェ」というイベントが開催されていて、特別乗車記念証までいただきました。
出発1時間前でも10名程度の列が…
SL整理券を引き換えた後は、ホームへの階段を下りていきます。秩父鉄道の熊谷駅のホームは一つだけ。そのホームの5番線にSLパレオエクスプレスがやってきます。ホームには1~8の乗車位置がありました。SLパレオエクスプレスは4両編成で、下りの三峰口行きは、1号車(乗車位置1と2)が指定席、2~4号車(乗車位置3~8)が自由席です。
事前に指定席を入手できなかったので、自由席の列に並びます。まだ発車まで1時間近くもあるというのに、各乗車位置には数名~10名程度の列が。さすがに天気の良い3連休の中日。沿線の秩父や長瀞では紅葉も始まっていますので、秋の観光シーズンのピークですね。
列に並んでいると、羽生行きの普通列車がやってきて出発していきました。秩父鉄道の普通列車は、東急や都営地下鉄のお古が使われています。この普通列車は東急の古い電車ですが、子供のころに東急の沿線に住んでいた私にとっては、とても懐かしい車両です。
いよいよSLパレオエクスプレスが入線!
午前10時前、SLパレオエクスプレスが入線するアナウンスがありました。
電気機関車に牽かれて入線
SLパレオエクスプレスは、最後尾に連結された小さな電気機関車に牽引されて入線してきました。入線すると、この電気機関車はすぐに切り離されてしまいます。駅への入線のためだけに利用されている電気機関車なのですね。
早めに並んでいたかいもあって、最後尾の4号車の進行方向向きのボックスを確保できました。最後尾の4号車にしたのは、カーブ時に窓から最前列のSLが見えるだろうと思ったからです。(実際には、長瀞までは急カーブが少なく、窓からSLが見えたのは3回ほどでした。残念!)
SLパレオエクスプレスの客車です。元は国鉄の12系という急行型客車ですが、平成12年にJR東日本から秩父鉄道が買い取ったものだそうです。そのときに、ダークグリーンに塗装して走っていましたが、5年前に現在の色に変更されたようです。ダークグリーンも高級感があってよいですが、この紅褐色もレトロ感がいっぱいでいいですね!
ほぼ満席で熊谷駅を発車!
発車までに自由席はほぼ満席になったようです。いくつか空いている席があったようなので、おそらく座れなかった人はいないだろうと思います。
10時10分に熊谷駅をゆっくり発車します。ポイントを通過して、本線に入っても速度は上がらず。そう、このSLパレオエクスプレスは、かなり「ノロい」のですね。せいぜい時速40㎞くらいでしょうか。並行する道路を走るクルマにどんどん抜かれていきますが、乗ることに意味がある列車なので、そんなことは気にしません(笑)。
ただ、普通列車よりもかなり時間を要しますので、座席が確保できないとつらいと思います。そういう意味でも、自由席に乗車する場合は、早めに並んでおいたほうがよさそうですね。
車内イベントのジャズ演奏!
熊谷駅を発車してすぐに、車内イベントのジャズの演奏が始まりました。
サックスカルテット「JG」(ジェイジー)のによる演奏でした。関東を中心に2011年から活動しているグループだそうです。
ボックス席が並ぶ車内は通路が狭いのですが、そんなことはものともせず、楽しそうに演奏をする姿は、さすがにプロですね。演奏しながら、乗客の記念撮影にも納まったりしていました。
結局、次の停車駅の武川駅までの15分くらいの間、合わせて3曲ほどたっぷりと演奏してくれて、車内は大盛り上がりでした。武川駅を出発してからは3号車に移っていきましたので、各車両で3曲ずつ演奏するのでしょうね。
寄居駅の停車時間はSL撮影大会に!
10時51分に寄居駅に到着しました。後続の普通列車に抜かれるため、9分の停車時間があります。当然のことながら、ホームにおりて、先頭の蒸気機関車の撮影タイムとなります。
ご覧のとおり、蒸気機関車の前は人だかりができています。蒸気機関車には、運行開始30周年を記念したヘッドマークが掲げられていました。
蒸気機関車の後ろに連結されている炭水車(テンダー車)です。炭水車には、SLの燃料となる石炭と水が積まれています。
SLパレオエクスプレスの蒸気機関車「C58363」は、C58(シゴハチ)と呼ばれる形式の機関車で、昭和19年に製造されました。山田線、仙山線、磐越西線、陸羽西線など、東北各地で活躍したのち、昭和47年に廃車になり、吹上小学校に保存されていました。その保存されていた機関車を復活させて、現在のSLパレオエクスプレスの運転が始まったというわけです。
ヘッドマークにあるように、SLパレオエクスプレスとしても運行開始から30年も経つのですが、C58363が誕生してからは、すでに73年。ずいぶんと大事に使われてきたのですね。
そんな撮影大会も、あっという間に出発時刻です。東武東上線やJR八高線からの乗客も増え、通路に立ち客が出るほどの混雑となって出発しました。
荒川に沿って山間部へ
ここまでは、関東平野の西端にあたり、住宅や田畑が交互に現れる郊外を進んできましたが、寄居から先は、次第に秩父の山深い景色に変わってきます。
左側の車窓には荒川の流れが見えてきました。紅葉の最盛期にはまだ早いですが、だいぶ色づいてきていました。このあたりはカーブが多く、窓から先頭の蒸気機関車を見ることもできました。


難読駅「波久礼(はぐれ)」駅に停車して、上りの普通列車と行き違いです。普通列車は、沿線の観光名所がラッピングされた派手な電車でした。
長瀞駅で下車、11分の停車中に再び撮影タイム!
11時26分に長瀞駅に到着しました。ここで下車しますが、停車時間が11分ありますので、改札を出る前に再び撮影タイムです。
まずは最後尾からパチリ。レトロ感いっぱいの客車ですね。ここ長瀞で多くの下車がありましたが、乗車した人も多かったようです。
蒸気機関車のまわりは、寄居駅よりも多くの人だかりができていました。ホーム上は乗客でごった返していましたが、駅の外から眺める観光客も多く、ちょっとしたお祭り状態になっていました。
11時37分、SLパレオエクスプレスの出発の時間になると、徐々に煙が多く黒くなり、長い汽笛を鳴らしたかと思うと、ゆっくりと滑り出すように出発していきました。
SLが完全に見えなくなるまで見送ったあと、構内踏切を渡って改札口へ。小さな駅舎は、SLから下車した観光客でいっぱいになっていました。
運行開始から30周年、沿線から愛されているSLでした
熊谷から長瀞までは1時間16分。各駅に停車する普通列車でも50分程度、急行「秩父路」なら40分強の距離です。いかにSLパレオエクスプレスがノロいかがわかりますね…。
でも、そのノロさのおかげで、沿線で手を振ってくれる人が多くいるのに気がつきました。子供だけじゃなく、年配の方々まで、わざわざ家から出てきて手を振ってくれる方もいたようです。昔のSLよりはだいぶよくなったものの、線路のすぐ脇の住宅には煙が流れていました。沿線の人たちの理解がないと、ここまで運転を継続できなかったのではないかと思います。今では、秩父越道のシンボル的存在に。今後も運転し続けてほしいですね。(つづく)
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