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JR北海道が2020年第1四半期の収支を発表! 新型コロナによる利用減で営業損失は昨年比倍の200億円超へ!


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JR北海道は、2020年第1四半期の線区ごとの収支状況を発表しました。新型コロナウイルス感染症の影響をもろに受け、第1四半期の損失は倍増して200億円越え。損失拡大の5割が札幌圏、9割以上を「単独で維持困難な線区」以外の主要路線が占める結果となり、今後の影響が心配されます。

JR北海道の2020年第1四半期の収支は損失200億円越え!

JR北海道は、2020年第1四半期の線区ごとの収支状況を発表しました。

概要は以下のとおりです。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響で営業収益が全道で大幅に減少、営業損失は2019年の△116億円から△219億円へと大幅に拡大
  • 観光や出張の利用が多く規模が大きい線区(「単独で維持困難な線区」以外の線区)の損失拡大幅が93.7億円(損失拡大の約9割)、札幌圏が54.1億円(同約5割)を占める
  • 「単独で維持困難な線区」のうち、バス転換を目指している3線区は前年並み、残りの9線区は3.8億円の営業損失拡大にとどまる
  • 北海道新幹線は、輸送密度が 5,725人/日(2019年)→524人/日(2020年)と10分の1以下に減少し、営業損失が大幅に拡大

詳しい資料やデータは、JR北海道のニュースリリースをご確認ください。

JR北海道 線区ごとの営業損益・輸送密度

今回公表されたJR北海道の2020年第1四半期の線区ごとの営業損益、輸送密度、それに、2019年との比較を以下に示します。

- - - 営業損益
(百万円)
輸送密度
(人/日)
線名 区間 2019年 2020年 増減 2019年 2020年 増減 対前年比
1 根 室 線 富 良 野 ~ 新得 △156 △147 9 84 64 △20 76.19%
2 留 萌 線 深川 ~ 留萌 △136 △134 2 146 78 △68 53.42%
3 日 高 線 鵡川 ~ 様似 △169 △174 △5 115 96 △19 83.48%
1 ~ 3 計 - - △461 △455 6 - - - -
4 宗 谷 線 名寄 ~ 稚内 △536 △642 △106 312 92 △220 29.49%
5 根 室 線 釧路 ~ 根室 △269 △282 △13 261 126 △135 48.28%
6 根 室 線 滝川 ~ 富 良 野 △234 △239 △5 383 171 △212 44.65%
7 室 蘭 線 沼 ノ 端 ~ 岩 見 沢 △256 △280 △25 432 310 △122 71.76%
8 釧 網 線 東 釧 路 ~ 網走 △303 △414 △111 342 176 △166 51.46%
9 日 高 線 苫 小 牧 ~ 鵡川 △84 △88 △5 577 521 △56 90.29%
10 石 北 線 新 旭 川 ~ 上川 △216 △229 △13 1,014 505 △509 49.80%
11 石 北 線 上川 ~ 網走 △791 △885 △94 668 321 △347 48.05%
12 富良野線 富 良 野 ~ 旭川 △229 △245 △16 1,415 1,044 △371 73.78%
4 ~ 12 計 - - △2,917 △3,305 △388 - - - -
1 ~ 12 計 - - △3,378 △3,760 △382 - - - -
13 石勝・根室線 南 千 歳 ~ 帯広 △926 △1,677 △751 3,203 769 △ 2,434 24.01%
14 室 蘭 線 長 万 部 ~ 東 室 蘭 △443 △726 △283 4,817 1,103 △ 3,714 22.90%
15 室 蘭 線 室蘭 ~ 苫 小 牧 △668 △1,003 △335 6,705 2,220 △ 4,485 33.11%
16 函 館 線 岩 見 沢 ~ 旭川 △678 △1,475 △797 7,714 2,563 △ 5,151 33.23%
17 札 沼 線 桑園 ~ 医療大学 △82 △5,492 △ 5,410 18,887 10,617 △ 8,270 56.21%
函 館 線 札幌 ~ 岩 見 沢 43,253 23,104 △ 20,149 53.42%
千歳・室蘭線 白石 ~ 苫 小 牧 47,161 19,008 △ 28,153 40.30%
函 館 線 小樽 ~ 札幌 47,006 25,154 △ 21,852 53.51%
18 宗 谷 線 旭川 ~ 名寄 △577 △598 △22 1,351 686 △665 50.78%
19 根 室 線 帯広 ~ 釧路 △904 △1,189 △285 1,444 443 △ 1,001 30.68%
20 新 幹 線 新 青 森 ~
新函館北斗
△1,976 △3,466 △ 1,490 5,725 524 △ 5,201 9.15%
13 ~ 20 計 - - △6,254 △ 15,627 △ 9,373 - - - -
21 函 館 線 長 万 部 ~ 小樽 △383 △538 △154 590 309 △281 52.37%
22 函 館 線 函館 ~ 長 万 部 △1,530 △1,976 △446 3,641 761 △ 2,880 20.90%
21 ~ 22 計 - - △1,913 △2,513 △600 - - - -
合 計 - - △ 11,608 △ 21,919 △ 10,310 5,163 2,103 △ 3,060 40.73%
- 札 沼 線 医療大学 ~ 新十津川 △63 △18 45 64 112 48 175.00%


JR北海道では線区ごとに番号を付与しています。

  • 1~3: 「単独で維持困難な線区」で廃止・バス転換を提案している線区
  • 4~12: 「単独で維持困難な線区」で鉄道維持のために支援を求めている線区
  • 13~20: 上記以外の、JR北海道が自ら維持する線区
  • 21~22: 北海道新幹線札幌延伸開業時の並行在来線となる線区

札幌圏で55億円、JR北海道の主要線区で181億円の営業損失

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どの線区で営業損失が拡大しているのかを見てみましょう。

JR北海道が分類している線区単位で見てみると、札幌圏(No.17)が、2019年はほぼトントンだったところから、2020年は55億円もの営業損失になっています。

4月~6月といえば、新型コロナウイルスの感染が拡大し、全国に緊急事態宣言が出ていた時期ですから、通勤通学需要が激減していることが一因でしょう。

さらに、札幌圏を構成する4線区を個別に見てみると、営業損益、輸送密度ともに減少幅が飛びぬけて大きいのが、千歳・室蘭線(白石~苫小牧)です。この区間は、新千歳空港~札幌を結ぶ快速「エアポート」が頻繁に走っていますが、インバウンド、国内の移動ともに激減していることから、乗客数の減少幅が大きかったのでしょう。

JR北海道は、2020年3月のダイヤ改正で、快速「エアポート」を32本も増発しています。毎時4本だったところを、毎時5本、平均12分間隔での運転を開始したばかりでしたが、空港アクセスという列車の性格上、新型コロナウイルスの影響をもろに受けてしまったようです。

www.kzlifelog.com

次に、もう少しマクロに、JR北海道の路線全体を見ていきましょう。

線区No. 2019年
営業損益
2020年
営業損益
増減
No.1-3 △461
(3.9%)
△455
(2.1%)
6
No.4-12 △2,917
(25.1%)
△3,305
(15.0%)
△388
No.13-20 △6,254
(53.9%)
△15,627
(71.3%)
△9,373
No.21-22 △1,913
(16.4%)
△2,513
(11.5%)
△600

※単位:百万円、カッコ内は全線区の営業損益に占める割合

JR北海道にとって、どのような線区が「重荷」になっているかが見えてきます。

注目は、No.13~20の「単独で維持困難な線区」以外の線区です。前述の札幌圏を含むこの8線区だけで、営業損失が約62億円から156億円へと、100億円近く拡大しています。

前述の札幌圏の影響に加えて、北海道新幹線(△34.7億円)、石勝・根室線(南千歳~帯広 △16.7億円)、函館線(岩見沢~旭川 △14.8億円)などの影響が大きいことがわかります。これらの線区は、札幌~旭川・帯広・釧路など、都市間を結ぶ特急列車が頻繁に走る線区です。観光需要に加えて、出張需要の減少もあったのではないかと推測されます。

一方で、「単独で維持困難な線区」(No.1~12)は、12線区合計で37.6億円の営業損失(2019年からの損失拡大幅は3.8億円)と、それほど影響は大きくありません。もともと輸送密度が低く、営業収益が少ない路線なので、前述の主要路線と比べると、損失の拡大幅は小さくなっています。

もともと、特急列車が走るような主要路線(No.13-20)の営業損失の割合が大きかったのですが、コロナ禍で札幌圏の営業損益が大幅に悪化し、主要路線の営業損失の割合が7割以上にまで膨らんでしまったということです。

コロナ後の収益回復は期待できるのか?

2020年第1四半期だけで200億円以上の営業損失という、JR北海道にとっては非常に厳しい決算になっています。

2019年度の決算では、JR北海道の鉄道事業の営業損益は426億円の赤字でした。2020年は第1四半期だけで、その半分以上になる219億円の赤字です。これだけで、非常事態であることは容易に想像がつきます。

これを乗り切るためには、国や道からの短期的な支援が必要になる可能性が高いと思われます。

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それでは、コロナの影響が落ち着いたあとは、JR北海道の収益は回復するのでしょうか?

旅行・観光需要はおそらく回復するでしょう。ただ、北海道はインバウンドの割合が高いので、コロナ前と同等の水準に回復するまでには時間がかかると思います。

一方、通勤や出張の需要は、完全には回復しないだろうという見方が大勢を占めています。JR東日本やJR西日本は、時間帯別運賃や通勤定期券の値上げを検討していると報じられています。

JR北海道にとっては、稼ぎ頭の札幌圏の需要が回復しないとなると、今後の経営再建に向けた戦略の見直しを迫られそうです。現在のJR北海道の路線・線区では、黒字化の可能性があるのは、札幌圏だけです。

さらに、JR北海道は、2030年度に予定されている北海道新幹線の札幌延伸開業に期待を寄せています。東京~札幌は航空会社のドル箱路線、日本で最も需要の多い路線ですので、そのうちの何割かでもシェアを奪うことができれば、JR北海道の収益に貢献することは間違いありません。

ところが、東京~札幌には、出張利用が多く含まれているはずです。テレワークやWeb会議の普及で、出張需要自体が減ってしまうと、北海道新幹線の乗客数にも影響を及ぼしかねません。

コロナ後の出張需要減は「単独で維持困難な線区」にも影響?

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JR北海道は、2030年度の北海道新幹線札幌延伸開業までに、国や自治体の支援なしで経営が成り立つよう、国交省に求められています。現在の国からの支援は、2030年度までの経営再建が条件となっているのです。北海道新幹線の需要が減ってしまうと、この経営再建計画に影響が出てきます。

想定よりも収益が少なくなりそうということであれば、コストを削減するしかありません。端的にいえば、赤字ローカル線の廃止です。

現在、JR北海道は「単独で維持困難な線区」について、北海道や沿線自治体との議論を開始しています。今のところ、すでに廃止になった石勝線夕張支線(新夕張~夕張)、札沼線(北海道医療大学~新十津川)に加え、留萌本線(深川~留萌)、根室本線(富良野~新得)、日高本線(鵡川~様似)の3線区で、鉄道の廃止とバス転換の協議を進めています。

残りの9線区(上の表でNo.4~12の線区)は、鉄道として維持する方向で検討されています。ただ、コロナ後の需要減が見込まれれば、これらの9線区についても、鉄道としての存続が再度問われることになるかもしれません。


以上、「JR北海道が2020年第1四半期の収支を発表! 新型コロナによる利用減で営業損失は昨年比倍の200億円超へ!」でした。ただでさえ経営の苦しいJR北海道に襲ったコロナ禍。長期的にも経営再建に影響を及ぼす恐れがあり、今後のJR北海道の行く末が心配です。