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釧網本線を世界遺産に!? 観光路線としては間違いなく一流! 観光振興に役立てて廃線を回避してほしい路線です!

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2年ほど前から釧網本線(東釧路~網走)を世界遺産にしようという活動が行われています。世界遺産にすべきかの是非はともかく、釧路湿原や網走の流氷、屈斜路湖・摩周湖など、観光路線としては間違いなく一流です。JR北海道の「単独で維持困難な線区」に指定されている釧網本線。観光路線として復活させる方法はないのでしょうか?

釧網本線を世界遺産に!

2年ほど前の2016年2月、釧網本線を世界遺産に登録することを目的とした「釧網本線世界遺産登録推進会議」が設立されました。

この「釧網本線世界遺産登録推進会議」では、釧路湿原や流氷、屈斜路カルデラなどの自然景観に加えて、川湯硫黄山での硫黄採鉱や、そのために建設された釧網本線の歴史的な価値も含めて、複合遺産としての世界遺産への登録を目指しているとのことです。

その一方で、同じ2016年11月、JR北海道は、同社が「単独では維持困難な線区」を公表しましたが、釧網本線の全線がその中に含まれています。つまり、現状の釧網本線は、JR北海道の経営にとってはお荷物になっているということです。

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正直なところ、釧網本線自体に世界遺産レベルの価値があるのかどうかはわかりません。沿線に手付かずの自然環境が残っていることは事実ですし、世界的に見ても、これだけ低緯度で流氷が眺められるのも極めて珍しいです。

ただ、このような事実と、釧網本線自体は、根本的には関係がありません。世界遺産に推すには、世界遺産レベルの自然景観と釧網本線の関係を、もっとアピールする必要があるように思います。

沿線の観光資源は日本随一!

だからといって、釧網本線に価値がないというわけではありません。

沿線には、2005年に世界自然遺産に登録された知床を始めとして、日本でもNo.1といってよいほどの観光資源があります。

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釧路湿原駅から徒歩でアクセスできる細岡展望台からの絶景

釧路の市街地のすぐ北側に広がる、28,000ha以上にも及ぶ日本最大の湿原です。釧路の市街地から太平洋に注いでいる釧路川が、釧路湿原の中を蛇行する景観は、まさに壮大です。釧路湿原国立公園に指定されています。

釧路湿原は広大なだけでなく、ほとんど人間の手が入っていないため、多様な生態系が残っています。国の特別天然記念物のタンチョウヅルを始めとして、エゾシカやキタキツネ、希少種のオジロワシなども生息しています。タンチョウヅルが列車の中から見られるのも、釧網本線の魅力の一つです。

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屈斜路湖を眺めるなら美幌峠がおすすめ! ただし釧網本線からは少し離れています

釧網本線の摩周駅の周辺には「阿寒摩周国立公園」が広がります。摩周湖、屈斜路湖、阿寒湖という3つのカルデラ湖とその周辺に火山が存在します。

上の写真は美幌峠から眺めた屈斜路湖。日本最大のカルデラ湖です。「砂湯」という温泉が湧く湖岸や、不気味に湯気を上げて硫黄の臭いを漂わせる硫黄山といった名所があります。

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摩周駅から路線バスでアクセスできる摩周第一展望台からの眺め

屈斜路湖とは釧網本線を挟んで反対側にある摩周湖もカルデラ湖です。世界でも屈指の透明度を誇る湖で、出入りする川がないことが特徴です。「霧の摩周湖」と呼ばれるくらい、夏季には霧が発生しやすい地形ですが、晴れれば素晴らしい景色を眺めることができます。

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オホーツク海を埋め尽くす流氷

釧網本線の網走~知床斜里間は、オホーツク海に面しています。2月になると流氷で埋め尽くされることでも有名です。列車の中から流氷を眺めることができる区間です。

北海道のような低緯度で流氷を眺めることができる場所は、世界でも稀だそうです。それが、鉄道の中から眺められるというのですから、すごいことです。

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知床五湖から眺める知床連山

さらに、釧網本線の沿線からは少し距離がありますが、世界自然遺産に登録された「知床」へは、知床斜里駅が玄関口になります。

このように、どれ一つをとっても、単純にそれを見ることだけを目的とした旅行が成り立ってしまうほどの観光資源です。

観光振興に活かす鉄道に!

これだけの自然景観が手付かずで残っているのは、東京・大阪といった日本を代表する大都市から(距離的にも時間的にも)遠いのに加えて、北海道の道都、札幌からもかなり離れていて、開発から取り残されてしまったためでもあります。そのために、沿線は人口が極めて少なく、釧路・網走近郊以外では、1両の気動車でも空席ばかり、という状態になっています。現状の釧網本線は、JR北海道にとっては、大赤字のローカル線の一つでしかありません。

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釧路湿原を走るトロッコ列車「くしろ湿原ノロッコ号」

一方、2018年2月に北海道がまとめた「鉄道網(維持困難線区)のあり方」でも、釧網本線は観光路線として大きな可能性があること、観光路線としての特性をさらに発揮するよう取り組むことなどが言及されています。

ところが、一般的には、観光客を増やす努力をしても(それは重要だとしても)、それだけで赤字を劇的に減らす効果はありません。観光客の需要は、天候などにも左右されてしまうため、鉄道にとっては安定した収入源にはなりにくいのです。

ここは、釧網本線単独での収支を考えるのではなく、地域としての経済効果を考えるべきでしょうね。「単独で維持困難な線区」に指定されている以上、鉄道を存続させるためには、沿線自治体は何らかの負担を迫られるはずです。そのときに、「赤字を補填する」という考え方ではなく、釧網本線があることによって観光による経済効果がどのくらいあるのか、そのためにはどの程度まで負担できるのか、という考え方で協議を進めることが重要です。

地図に載る鉄道路線は観光に強い!

需要が少ないならば、鉄道ではなくバスでも良いのでは? という意見もあるでしょう。地域住民の足としての役割しかないのであれば、本数が増えたり、町の主要な施設まで柔軟に運行できるという点で、小回りの利くバスのほうが利便性が高いこともあり得ます。

ただし、観光客向け、特に外国からの観光客が多い北海道では、事情が異なります。

路線バスは外国人観光客にはハードルが高い

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阿寒摩周国立公園の玄関口、摩周駅

普段乗りなれていないバスに乗るのは、どこでも同じように乗れるJRの列車に比べると、ハードルが高いのですよね。バス路線はあるのか、バス停やバスターミナルはどこにあるのか、料金はどのように払うのか、目的の観光地に行くにはどこで降りればよいのかなど、観光客にとっては行ってみないとわからないことも多いのが事実です。

この状況は、外国からの観光客には特に顕著です。そもそも路線バスは地図に乗っていないので、路線バスがあるのかを調べること自体がかなり大変です。この点では、どんなローカル線でも必ず地図に乗っていて、時刻表を買えば運行している区間や時刻が明確にわかる鉄道が有利です。

もっとも、鉄道だけで観光地へ行けるわけではありません。それでも、空港から路線バスをいくつも乗り継いで行くよりも、鉄道で最寄りの駅まで行き、そこから路線バスへ観光地へ、というほうがわかりやすいでしょう。

「JAPAN RAIL PASS」が使えないところは行きにくい

青春18きっぷで地方のローカル線に乗車していると、驚くほど外国からの観光客に遭遇します。先日も、冬の大糸線の普通列車に乗車していたときに、白馬からスキー帰りと思われる外国人観光客のグループが乗車してきました。特急列車や新幹線ならともかく、ローカル線の普通列車にです。

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大勢の外国からの観光客に遭遇した大糸線の普通列車

外国からの観光客だけが利用できるJR全線乗り放題の「JAPAN RAIL PASS」(JR各社の RAIL PASS 含む)の存在が大きいのでしょう。JR全線の新幹線・特急列車の普通車指定席に乗り放題で29,110円(7日間用、他に14日間用、21日間用、グリーン車用もあり)という破格の値付けがされています。

外国からの観光客にとっては、バスよりも鉄道のほうが乗車に対する心理的なハードルが低いうえに、「JAPAN RAIL PASS」のこの値付けですから、そもそも鉄道がないところは観光の候補にすらならない可能性があります。


一度廃止にしたら、二度と元には戻せません。観光路線としての存続を訴えていくのであれば、北海道や沿線自治体は、このような観点で協議を進めてほしいと思います。それに、JR北海道も、財政的な負担は難しくても、観光列車を増やす、札幌からのアクセスを改善するなど、できることは多いはずです。これだけ観光資源に恵まれた釧網本線、世界遺産化はともかく、観光路線として維持できることを願っています。