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JR北海道の冬の観光列車「SL冬の湿原号」「流氷物語号」の利用が好調! 釧網本線を観光路線化できるか!?

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JR北海道が、2018年冬期の観光列車「SL冬の湿原号」「流氷物語号」の利用状況を発表しました。いずれも昨年より利用客がかなり伸びています。これらの観光列車は、「単独で維持困難な線区」の一つ、釧網本線で運転されています。この好調を維持・拡大し、釧網本線を観光路線化することができるでしょうか?

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釧網本線の観光列車は好調を維持!

JR北海道が発表した「SL冬の湿原号」「流氷物語号」の利用状況は以下のとおりです。

【SL冬の湿原号】
運転区間: 釧路~標茶間

2018年 2017年
運行日数 21日 20日
合計乗客数 9,500人 7,900人
一日平均乗客数 452人 395人

【流氷物語号】
運転区間:網走~知床斜里

2018年 2017年
運行日数 26日 30日
合計乗客数 8,880人 7,120人
一日平均乗客数 341人 222人


流氷物語号は、昨年より運転日数が4日間少ないにもかかわらず、合計乗客数はかなり増えています。1日あたりの乗客数が1.5倍に増えているのが目を引きます。

詳しくは、以下のニュースリリースをご覧ください。

「SL冬の湿原号」「流氷物語号」は乗客数をかなり押し上げている

釧網本線を走る「SL冬の湿原号」「流氷物語号」は、当該区間の乗客数をかなり押し上げています。

JR北海道が公開している線区別のデータがあります。

そのデータの一つに「駅間通過人員」があり、各駅間の1日あたりの平均乗客数が公開されています。

釧網本線の平成28年度の駅間通過人員と、今回公表された「SL冬の湿原号」「流氷物語号」の平均乗客数を比べてみます。

区間 平均通過人員
(2016年度)
観光列車の平均乗客数
(2018年冬季)
東釧路~標茶 519~741人/日 452人/日
(SL冬の湿原号)
網走~知床斜里 388~566人/日 341人/日
(流氷物語号)


ご覧の通り、「SL冬の湿原号」「流氷物語号」の乗客数は、平均通過人員と比べるとばかにならない数値です。

観光列車の乗客は観光客がメインであると考えると、これらの観光列車が運転される日は、同区間の乗客数を1.5倍~2倍に押し上げています。

実は、この傾向がもっと顕著なのが、夏季に運転される「くしろ湿原ノロッコ号」です。

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運転日数が100日以上と多いため、釧網本線の収益にかなり貢献していると思います。

釧網本線を観光路線化できるか?

釧網本線は、JR北海道が「単独で維持困難な線区」としてあげている路線です。

北海道の鉄道ワーキングチームが公表した「鉄道網のあり方」では、

観光客の利用だけで鉄道を維持していくことは難しいことから、関係機関が一体となって、観光路線としての特性をさらに発揮するよう取組を行うとともに、地域における負担等も含めた検討・協議を進めながら、路線の維持に最大限努めていくことが必要と考える。

※出典:「北海道の将来を見据えた鉄道網(維持困難線区)のあり方について」(PDFファイル)

とされています。

詳しくは、以下の記事もご覧ください。

www.kzlifelog.com

そんな釧網本線ですが、観光列車の好調ぶりを見るにつけ、「鉄道網のあり方」でも触れられているように、「観光路線としての特性をさらに発揮するよう取組を行う」ことが重要となるでしょう。

課題は鉄道による周遊ルートの構築

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釧網本線を観光路線化して存続させるには、札幌(新千歳空港)からの鉄道による周遊ルート をいかに構築するかが重要です。

いくら観光客が乗ったとしても、それだけで路線を維持できるレベルの収益が上がることがありえません。せいぜい、少し赤字が減るくらいのもので、焼け石に水でしょう。

ところが、札幌から特急を利用する周遊ルート、例えば、

  • 新千歳空港(南千歳) → 釧路(特急スーパーおおぞら)
  • 釧路 → 網走(釧網本線)
  • 網走 → 札幌(特急オホーツク)

というルートで観光客が釧網本線に来てくれれば、JR北海道としては、往復の運賃や特急料金が大きな収入になります。

周遊ルートのお手本は五能線

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以前もこのブログで書いたような気がしますが、このお手本となるのが、JR東日本の五能線です。

青森県の日本海側を走る五能線は、いつ廃止になってもおかしくない大赤字の路線でしたが、海沿いの車窓を売りにした観光列車を走らせることで、観光路線化することに成功しました。今では、観光列車「リゾートしらかみ」が1日に3往復も走り、その車両も、お古の改造車ではなく新製されるようにまでなっています。

五能線の収益がこれで改善したかといえば、そうでもありません。JR東日本が公開している路線別の平均通過人員を見てみましょう。

年度 平均通過人員(人/日)
1987 1,402
2012 608
2013 612
2014 629
2015 659
2016 678

※五能線(東能代~川部)の平均通過人員
出典: 路線別ご利用状況:JR東日本

JR発足時の1987年から見ると半分以下に減っていますが、ここ数年は横ばいもしくは微増傾向にあります。地方のローカル線で、乗客が減っていないというだけで、観光路線化の効果はあると思いますが、これくらいの微増では、赤字を解消するには程遠いでしょう。

では、なぜJR東日本が車両を新製してまで「リゾートしらかみ」に力を入れているかといえば、五能線へのアクセスに新幹線を使ってもらえる からでしょう。

  • 首都圏 → 新青森(東北新幹線)
  • 青森 → 秋田(五能線・リゾートしらかみ)
  • 秋田 → 首都圏(秋田新幹線)

首都圏発では、こんな周遊ルートが組めます。

JR東日本は、五能線自体を魅力のある観光の対象としてテコ入れし、アクセスに自社の新幹線を使ってもらう仕組みを作り上げたわけですね。

釧網本線の狙いは外国人観光客?

周遊ルートを考えたとき、釧網本線は、札幌からの時間距離が遠いのが難点です。特急を利用しても、札幌から釧路や網走まで、4~5時間もかかってしまいます。それに、釧路空港や女満別空港があり、いずれも羽田から直接アクセスできます。

そう考えると、釧網本線の周遊ルートを使ってもらえそうなのは、外国人観光客になりそうです。

北海道自体がアジアを中心とした外国人観光客に人気です。それに、「SL冬の湿原号」「流氷物語号」が好調な理由の一つが、アジア圏からの観光客の増加です。

前述の「流氷物語号」のご利用状況の資料にも、

また、アジア圏からのお客様にも多くご利用いただき、昨年の乗車実績を大幅に上回る結果となりました。

(出典)流氷物語号のご利用状況について(JR北海道 ニュースリリース 2018年3月27日)

との記述があります。

外国人観光客は、国際空港である新千歳空港から北海道に入ることが多いと思われます。そのため、直接、釧路空港や女満別空港に入れる国内(首都圏)からの観光客よりも、鉄道による周遊ルートを利用してくれるのではないでしょうか。

「SL冬の湿原号」「流氷物語号」といった観光列車単体でのアピールではなく、札幌や新千歳空港からの周遊ルートを利用してもらえるような施策、例えば、周遊ルートに乗車できるフリーきっぷの発売や、ツアーの販売などを、もっと積極的に実施してくべきでしょう。


以上、釧網本線の観光列車「SL冬の湿原号」「流氷物語号」の利用が好調という話題でした。日本でも随一の観光資源を持つ北海道ですから、うまく周遊ルートを作って、トータルで収益が上がる仕組みを作ってほしいですね。