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JR北海道が平成29年の線区別収支を発表! 全路線赤字の状況は変わらず、北海道新幹線は99億円の赤字!

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JR北海道が平成29年度(2017年度)の線区別収支を発表しました。全路線赤字であることは前年度と変わらず、北海道新幹線の赤字は、54億円から99億円へと倍増! 抜本的な経営改善には、ローカル線の廃止よりも、赤字の絶対額が大きい北海道新幹線や在来線の幹線の収益改善が必要です。

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JR北海道が平成29年度(2017年度)の線区別収支を発表

JR北海道は、平成30年度第2四半期の決算発表に合わせて、平成29年度(2017年度)の線区別収支とご利用状況を発表しました。

前年度に比べて、札幌圏の収支が大幅に改善したものの、依然として営業係数106(100円稼ぐのに106円の支出が必要)で赤字。さらに、北海道新幹線の収支が大幅に悪化して、100億円近い赤字となってしまいました。

輸送密度の減少が目立つ

輸送密度を見てみると、前年度と比べて減少している路線が目立ちます。というより、輸送密度が上がっているのは、根室線(滝川~富良野)、富良野線、石勝・根室線(南千歳~帯広)、札幌圏、函館線(函館~長万部)だけで、これ以外の線区では輸送密度が減っています。

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前年度(平成28年度)は、台風が北海道を相次いで襲い、各路線で長期間の運休が発生しました。石勝線の南千歳~帯広の輸送密度が増加しているのは、前年度の長期運休の反動でしょう。

平成29年度は、それほど大きな災害はなかったはずですが、それでも輸送密度が減少しているのは、純粋に利用客が減っていることを示しているのでしょう。今後、さらに人口減少が進んでいきますので、この傾向は今後も続くでしょう。JR北海道が抜本的に経営を立て直すためには、人口減少時代に、どのように鉄道利用客を増やしていくかを考える必要があるでしょう。

ローカル線廃止よりも幹線の収支改善が急務

JR北海道は、経営立て直しのため、2016年11月に「単独で維持困難な線区」を発表しました。その後、国や自治体からの支援も決まりましたが、輸送密度200人/日以下の5線区は対象外となり、沿線自治体とバス転換に向けた協議に入っています。

その5線区の営業損益を見てみると、以下のようになります。

路線 線区 営業損益
(百万円)
札沼線 北海道医療大学-新十津川 △314
根室線 富良野-新得 △705
留萌線 深川-留萌 △732
石勝線 新夕張-夕張 △207
日高線 鵡川-様似 △760
合計 - △2,718


約27億円の赤字。少ない額ではありませんが、JR北海道の鉄道事業全体の営業損失551億円と比べると、たった5%でしかありません。

一方、上記以外の「単独で維持困難な線区」や、JR北海道が今後も単独で維持できるとしている主要幹線の線区別営業損益は以下のとおりです。

路線・線区 営業損益
(百万円)
単独で維持困難な線区
支援対象の9線区合計
△13,510
北海道新幹線
新青森~新函館北斗
△9,877
石勝線・根室線
(南千歳-帯広)
△3,310
根室線(帯広-釧路) △4,242
函館線(函館-長万部) △6,217
函館線(長万部-小樽) △2,420
函館線(岩見沢-旭川) △3,547


函館本線や根室本線といった、特急が頻繁に走る主要幹線の営業損失のほうが、はるかに大きいのですね。さらに、北海道新幹線の赤字は、支援対象から外れた5線区の赤字の4倍近くの約99億円です。

これらの線区の輸送密度は小さくありません。岩見沢-旭川は8,660人/日、函館-長万部は3,712人/日です。ただ、路線の距離も長いため、赤字の絶対額で見ると、かなり大きくなってしまうのですね。

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現在、前述の輸送密度200人/日以下の5線区で廃止・バス転換の協議が進んでいて、石勝線夕張支線は2019年3月で廃止、札沼線(北海道医療大学-新十津川)についても、沿線の4町が廃止受け入れを表明しています。

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交通インフラとして最適なものを選択していくという観点から、輸送密度の小さな路線から廃止・バス転換を進めていくのは間違いではありません。しかし、JR北海道の経営を抜本的に立て直すためには、「単独で維持困難な線区」に入っていない主要幹線の収支をどのように改善していくかが、実は重要であることがわかります。

北海道新幹線 札幌延伸後の並行在来線は維持できるのか?

主要幹線の赤字が大きいという点で心配なのが、北海道新幹線が札幌まで延伸されたあとの並行在来線の扱いです。

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整備新幹線では、新幹線が開業すると、同じ区間の在来線を「並行在来線」としてJRの経営から切り離し、第三セクター化されることになっています。つまり、北海道や沿線の自治体が負担して、第三セクターを運営していくことになるのです。

北海道新幹線の札幌延伸で並行在来線として経営分離される区間の、平成29年度の営業損益と輸送人員は以下のとおりです。

路線 線区 営業損益
(百万円)
輸送密度
(人/日)
函館線 長万部-小樽 △2,420 652
函館線 函館-長万部 △6,217 3,712


函館~長万部の輸送密度がかなり高いのは、北海道新幹線から乗り換えた乗客が函館や大沼公園などへ向かうために利用されているからでしょう。

一方で、営業損益が合計で86億円もの赤字になっている点が気になります。第三セクター化したら、この赤字を沿線の自治体が負担することになるわけですが、規模の大きな函館市はともかく、それ以外の自治体がこの負担に耐えられるでしょうか。札幌~函館間は、「スーパー北斗」などの特急列車が多く走る大動脈ですが、この需要は全て北海道新幹線へ移ってしまうでしょう。そうなると、需要が減り、さらに赤字が拡大することも考えられます。

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函館~長万部は、貨物列車の大動脈でもあるので、在来線が廃止されることはないでしょう。一方で、沿線自治体は、貨物輸送から直接的な恩恵を受けているわけではありません。負担に耐えきれず、廃止・バス転換を容認(希望)する自治体が出てきてもおかしくはないでしょう。

長万部~小樽間は、貨物列車が運転されていない区間ですので、路線を維持しようとすると、状況はさらに厳しくなります。

都市間輸送や貨物輸送を担う路線の収益をどのように改善していくのか、北海道新幹線の札幌延伸までの10年余りの間に、答えを出すことができるでしょうか。


以上、JR北海道が平成29年の線区別収支を発表、という話題でした。経営を自立させるためには、全路線赤字の状態から脱却して、収益の柱になる路線がほしいところ。需要増が見込めない中では、極めて難しい課題です。国や北海道・自治体などの負担も含めて、議論を深めていく必要がありそうです。