K'z Lifelog ~青春18きっぷと乗り鉄のブログ~

青春18きっぷの話題をはじめ、汽車旅のノウハウや鉄道関連のニュースなどを思うままに綴っていく乗り鉄ブログです。

JR北海道の「単独で維持困難な線区」5線区は支援しない方針へ! 2031年度に経営自立の目標は達成できるか?

おすすめ記事Pick Up! 青春18きっぷ関連の記事はこちらから!

JR北海道の「単独で維持困難な線区」をめぐり、JR北海道、国土交通省、北海道、市長会、町村会、JR貨物の6者協議が開催され、5線区では財政支援をしない方針が固まったとのことです。JR北海道は、残りの8線区での財政支援や、コスト削減等で経営を立て直し、北海道新幹線札幌延伸が予定されている2030年以降の経営自立を目指すとのことです。

2030年度といってもあと12年ほどしかありません。北海道新幹線が札幌まで開業したとして、現状、全路線で赤字のJR北海道の経営立て直しは可能なのでしょうか?

5線区では財政支援しない方針!

報道によりますと、6月17日に開催された6者協議では、輸送密度が200人未満の5線区について、JR北海道は財政支援を求めず、国や北海道も剤線支援をしない方針を固めたとのことです。

財政支援をしない方針と報道された5線区は以下のとおりです。

線区 協議の状況
石勝線夕張支線
(新夕張~夕張)
2019年3月末で廃止が決定
留萌本線
(深川~留萌)
根室本線
(富良野~新得)
2016年の台風被害で一部運休中
日高本線
(鵡川~様似)
2015年の高波や台風被害で運休中
札沼線
(北海道医療大学
~新十津川)
沿線4町が廃止受け入れの方針


既に夕張市とJR北海道の間で廃止が合意されていた夕張支線を除くと、2018年2月に北海道が公表した

  • 「北海道の将来を見据えた鉄道網(維持困難線区)のあり方について」(1)(2)

で、「他の交通機関との代替も含め、地域における検討・協議を進めていくことが適当」とされていました。

今回の6者協議の内容が本当だとすれば、国も北海道の方針を支持したことになります。つまり、夕張支線以外の4線区についても、沿線自治体がよほど大きな支援をしない限りは廃止となる可能性が高い ということになります。

f:id:kzlife:20180626235514j:plain

札沼線については、沿線の4町が廃止受け入れの方針と伝えられており、廃止はほぼ決定でしょう。

根室本線(富良野~新得)、日高本線(鵡川~様似)の2線区は、被災した鉄路を復旧するのに数十億円単位の費用が必要であり、かなり厳しい状況です。今回の6者協議の結果を受けて、沿線自治体が廃止受け入れへ方針転換するでしょうか。

留萌本線については、

「(路線)存続の可能性を探るという基本認識は共有している」(深川市・山下貴史市長)

(出典)廃線に反発 JR留萌線沿線自治体が検討会議 深川市長「存続の可能性探る基本認識は共有」(HBCニュース) - Yahoo!ニュース

と報道されています。

留萌本線の留萌~増毛間は2016年12月に廃止されたばかりであり、沿線自治体としては、残りの区間の廃止を受け入れられないという事情もありそうです。

また、財政支援を求めるとした8線区については、誰がどのような形で支援をするのかが、今後の協議のポイントになりそうです。単なる赤字補填ではなく、JR北海道や沿線自治体の利用促進のモチベーションが働くような支援方法を検討してもらいたいものです。

2030年度の北海道新幹線札幌開業を機にJR北海道は経営自立へ

今回の6社協議の報道で、もう一点気になるのが、

JR北は2031年度の経営自立に向け、国による財政支援を30年度まで要望した。

(出典) JR北、国支援に5線区盛らず 6者協議で表明 :日本経済新聞

とあるように、2031年度の経営自立という期限が切られていることです。

2030年度に北海道新幹線の札幌開業が予定されていますが、これを「収支改善の転換期とする」とあります。

本当にあと10年余りでJR北海道の収益は改善するのでしょうか?

「単独で維持困難な線区」残りの8線区の支援内容が重要!

JR北海道が公開している平成28年度の線区別収支を見てみます。

(出典)平成28年度 線区別収支【PDF/1,264KB】

これによると、「単独で維持困難な線区」全線区の合計で約160億円の赤字となっています。そのうち、今回、財政支援をしない方針となった5線区の赤字額の合計は約30億円です。

つまり、5線区を廃止したところで、「単独で維持困難な線区」の赤字は5分の1しか減らない というわけです。

こうなると、残りの8線区の支援がどのくらいの規模になるのか、残りの130億円の赤字をどのくらい減らせるのか、そちらのほうがJR北海道の経営にとってはインパクトが大きい のです。

f:id:kzlife:20180626235641j:plain

平成29年度のJR北海道の決算によると、JR北海道グループ連結での経常利益は106億円の赤字です。

単純計算では、

  • 5線区の廃止で30億円の赤字削減
  • 残り8線区の赤字を130億円→60億円に削減(70億円分の支援を受ける)

が実現できれば100億円の赤字削減となり、経常赤字は解決します。

北海道は人口減少が顕著ですので、実際には赤字額は年々増加していくので、さらに多くの支援(あるいはコスト削減)が必要でしょう。

北海道新幹線でどこまで収益を伸ばせるかがポイント!

f:id:kzlife:20180626235731j:plain

JR北海道の鉄道事業で、今後、大きく運輸収入を増やせる可能性があるのは、北海道新幹線の札幌開業しかありません。

ところが、平成29年度の決算では、その北海道新幹線が足を引っ張ってしまっています。

www.kzlifelog.com

東京~函館では北海道新幹線の本領を発揮できないので仕方がありませんが、そうなると札幌延伸開業に期待がかかります。

東京~札幌の所要時間は5時間強が予定されていますが、青函トンネル内での高速化などで、JR北海道は4時間半を目指すとしています。

4時間半~5時間という所要時間は、東海道・山陽新幹線「のぞみ」では、おおむね東京~小倉・博多くらいに相当します。JR西日本が公表している資料(ファクトシート(2017年版))によると、新幹線のシェア(2015年)は以下のようになっています。

区間 新幹線のシェア 所要時間
東京~広島 62.7% 4時間弱
東京~新山口 28.9% 4時間15分~4時間30分
東京~博多 7.5% 5時間前後

(出典)ファクトシート(2017年版):JR西日本 の「8.山陽新幹線・航空機との競合」

「4時間の壁」と言われるとおり、4時間を超えると新幹線のシェアが急に下がり、東京~博多(福岡)に至っては7.5%のシェアしかありません。

福岡空港は市街地からのアクセスが極めて良いとか、便数が多く早割などの安いチケットも取りやすいといった事情もありそうです。

その点、新千歳空港から札幌の市街地までは快速電車で40分ほどかかるため、福岡空港よりは条件は悪い(新幹線に有利)です。ただし、便数が多いうえに、LCCも多数就航しているため、運賃面では新幹線は不利になりそうです。

もっとも、新幹線は線で結ぶ乗り物です。東京からの乗客が期待できなくても、羽田空港や成田空港から遠い埼玉・栃木などの北関東からの集客が見込めれば、状況は改善するかもしれません。

いずれにしても、JR北海道の行く末は、北海道新幹線札幌開業の成否にかかっていると言えそうです。


以上、JR北海道の「単独で維持困難な線区」のうち5線区は支援を求めず廃止の方向というニュースでした。2031年度でも経営自立に向けて、JR北海道の正念場はこれからです。