JR東日本盛岡支社は、2015年12月の大雨被害により不通となっているJR山田線の上米内~川内間の運転再開日を、2017年11月5日(日)にすると発表しました。これで盛岡~宮古間がつながることになり、盛岡から三陸方面への鉄道での移動ができるようになります。
大雨被害で不通の上米内~川内間の運転を11月5日に再開!
JR東日本盛岡支社の発表によると、大雨による土砂流入により運転見合わせとなっているJR山田線の上米内~川内間の運転再開日を、11月5日(日)にすると発表しました。
山田線(盛岡~宮古間)運転再開について(JR東日本盛岡支社プレスリリース, 2017年9月22日)
上記プレスリリースによりますと、運転再開までのスケジュールは以下のようになっています。
- 10月中旬:斜面安定工事終了
- 10月下旬:軌道、信号、通信設備工事終了
- ~11月4日:試運転
プレスリリースには、土砂流入のあった現場の施工状況の写真が掲載されていますが、かなりの規模の復旧工事になっているようです。
盛岡と三陸がつながる! ダイヤは被災前とほぼ同じ模様
今回の運転再開により、山田線の盛岡~宮古がつながることになり、県庁所在地の盛岡から三陸海岸への鉄路が復活することになります。
この区間、2015年の土砂流入に加えて、2016年の台風10号の被害による運休もあったりと、ここ数年は災害に悩まされてきました。台風による被害を受けた区間(川内~茂市間)は、2016年12月に復旧しています。
プレスリリースには運転再開後のダイヤも掲載されていますが、2015年の被災前とほぼ同じダイヤのようです。運転本数は変わらず、運転時刻が数分変わっているくらいです。被災箇所の徐行運転の影響かもしれませんが、所要時間も被災前とほとんど変わっていないようです。
JR東日本の路線でも屈指の閑散区間
JR山田線の盛岡~宮古は、もともと「超」がつくほどのローカル線です。岩手県内に閉じているにもかかわらず、内陸の盛岡と、三陸海岸沿いの宮古の間には北上山地があり、かなり地形の険しいところを通っています。そのせいもあってか、大雨による災害が発生しやすい路線になっているのでしょう。何度か乗車したことがありますが、スピードが出ず、並行する国道106号線のクルマにどんどん抜かれていきました。
そんなローカル線ですから、運転本数も非常に少なく、盛岡~宮古間を走る列車は1日に4往復のみ。盛岡側、宮古側の区間列車を含めても、上り・下り10本程度しかありません。しかも、盛岡から宮古へ行く始発列車は、11時08分(11月5日以降のダイヤでは11時02分)発の快速リアスです。宮古までは2時間ほどなのですが、盛岡から午前中に到着する列車がないのですね。
それでも復旧させたのは三陸鉄道のため?
このようなローカル線が、短期間のうちに2度に渡って被災してしまったのですから、そのまま廃止という話が出てもおかしくないと思うのですが、今回はそのようは話はなかったようです。
理由の一つとしては、県庁所在地でもあり、新幹線の主要ターミナルでもある盛岡につながる路線であることから、岩手県内の都市間移動の機能を維持したかったということが挙げられると思います。
また、もう一つは、東日本大震災の津波被害で運休中の区間(山田線 宮古~釜石)を、JR東日本で復旧後、三陸鉄道に譲渡することが決まっているからではないかと思います。三陸鉄道としては、盛岡と三陸鉄道(北リアス線)をつなぐ鉄道がなくなってしまうことで、観光客の流動が分断されてしまうことを懸念したのではないかと思います。以前から、山田線~三陸鉄道を直通する観光列車が運転されていましたが、盛岡~宮古が廃止されてしまえば、盛岡との直通列車が運転できなくなってしまいます。
もっとも、山田線の宮古~釜石を三陸鉄道に譲渡することが決まったのは2014年のことで、今回の災害が発生する前でしたので、どこまで復旧の判断に影響したのかはわかりませんが…
2018年度内には新生三陸鉄道が誕生! 復旧した山田線からの直通列車の運転も期待!
津波被害で運休中の宮古~釜石間の復旧工事は現在も進められていて、2018年度内には完了する予定になっています。おそらく、2019年の早い時期には、三陸鉄道への譲渡も完了し、新生三陸鉄道が誕生するものと思います。
三陸鉄道は、現在、
- 北リアス線: 久慈~宮古
- 南リアス線: 釜石~盛
の2路線を運行していますが、宮古~釜石間をJR東日本から譲渡されることで、久慈から盛まで、一つの路線でつながることになります。
山田線からの直通列車に加えて、三陸鉄道線内でも比較的長距離を走る列車が誕生すると思います。
今回の盛岡~宮古の運転再開は、盛岡と三陸への鉄路が復旧することに加えて、2018年度内の全線運転再開に向けての一つの重要なマイルストーンになりそうですね。