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山形新幹線が全車指定席化へ、その目的とJR東日本の狙いを考える

汽車旅

JR東日本は、2022年春に、山形新幹線「つばさ」の全列車を全車指定席として運転すると発表しました。また、秋田新幹線も含めて、料金体系の改定も実施されます。この記事では、繁忙期の混雑が常態化している「つばさ」の自由席廃止のメリット、デメリットについて考えてみます。

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2022年春、山形新幹線「つばさ」を全車指定席化へ

JR東日本は、2022年春に、山形新幹線「つばさ」の自由席を廃止し、全列車、全車指定席として運転すると発表しました。また、あわせて、山形新幹線、秋田新幹線の特急料金の料金体系を改定することも発表しました。

主な内容は以下のとおりです。

  • 山形新幹線「つばさ」の自由席を廃止し、全列車、全車指定席として運転
  • 山形新幹線・秋田新幹線の特急料金の料金体系を見直し
    • 新幹線と在来線にまたがる区間に乗車した場合と、在来線区間のみに乗車した場合の特急料金の料金体系が異なっていたが、これを新特急料金として統一する
    • 新幹線と在来線にまたがる区間に乗車した場合、それぞれで指定席料金がかかっていたが、新幹線のみの指定席料金に改める

詳しくは、以下のJR東日本のニュースリリースをご確認ください。

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山形新幹線「つばさ」自由席廃止、全車指定席化の目的は?

今回発表された山形新幹線「つばさ」の全車指定席化の目的は、いったい何なのでしょうか? そして、なぜ、このタイミングで全車指定席化なのでしょうか?

全車指定席化の目的は混雑緩和? 不公平感解消?

今回のJR東日本のニュースリリースには、山形新幹線「つばさ」の全車指定席化について、以下のような記述があります。

山形新幹線「つばさ」の自由席車両は最繁忙期を中心に混雑が著しく、「自由席に座るた
めに長時間並ぶ不便さ」「始発駅に近い方が座れるという不公平感」「当日まで席の確保が
不確実」などが課題となっていました。

(出典)山形新幹線の全車指定席化と山形・秋田新幹線の特急料金の改定について(JR東日本ニュースリリース 2021年11月16日 PDF)

『山形新幹線「つばさ」の自由席車両は最繁忙期を中心に混雑が著しく』という点については、以前から常態化していました。特に、年末年始やお盆休みには、通路までぎっしりということもよくあります。これを何とか解消したいという問題意識は、JR東日本にもあったと思われます。

一方、「自由席に座るために長時間並ぶ不便さ」「始発駅に近い方が座れるという不公平感」「当日まで席の確保が不確実」というのは、自由席とはそういうものですので、やむを得ないでしょう。これは山形新幹線に特有のことではありませんので、他の自由席のある新幹線や在来線特急列車でも同じです。

ただ、山形新幹線の繁忙期の混雑が常態化していることから、これらの課題が、他の新幹線や特急列車よりも目立っているということは言えると思います。

全車指定席化で「山形新幹線」(在来線区間)への直通客の着席を優先するのが目的か?

山形新幹線は、東京~福島間では、仙台発着の東北新幹線「やまびこ」と併結して、「やまびこ・つばさ」として運転されています。

  • 東京~福島: やまびこ(E2系10両)+つばさ(E3系7両) 併結して運転
  • 福島~仙台: やまびこ(E2系10両) のみで運転
  • 福島~山形・新庄: つばさ(E3系7両) のみで運転

「やまびこ・つばさ」は、山形へ/からの速達性を確保するため、停車駅の少ないタイプの列車になっています。具体的には、大宮を出ると、宇都宮、郡山、福島にしか停車しません。そのため、「つばさ」の自由席は、東京・上野・大宮~宇都宮・郡山・福島の東北新幹線区間のみを利用をする乗客にも使われています。

下り(山形・新庄行き)の「つばさ」の場合、東京駅から東北新幹線内で下車する乗客が自由席に座ってしまうと、福島から先の山形新幹線(在来線区間)へ直通利用する乗客が座れなくなってしまいます。

「つばさ」を全車指定席化することで、東北新幹線区間のみを利用する乗客を「やまびこ」側に誘導して、「つばさ」の座席は、東北新幹線~山形新幹線(在来線区間)を直通する乗客に使ってもらおうという狙いがあると思います。

もちろん、指定席を確保すれば、「つばさ」を東北新幹線区間のみで利用することもできますが、「えきねっと」では、東北新幹線区間のみの座席数に制限をかけるのではないかと思います。あるいは、東北新幹線区間のみの利用の場合には、「やまびこ」の指定席が満席でない限りは、「つばさ」側の座席を指定できないようにするかもしれません。

全車指定席化で繁忙期の輸送力は減少へ

前述のように、「つばさ」の全車指定席化で、東北新幹線~山形新幹線を直通利用する乗客の着席チャンスは増えるものと想定されます。

一方で、全車指定席となることにより、これまでは自由席車両で立っていたような乗客は、乗車することができなくなります。つまり、指定席が満席、自由席に立ち客多数のような状態になる繁忙期に関して言えば、「つばさ」の輸送力は減ることになります。

輸送力減少を、臨時列車の増発で補うことができればよいのですが、現状では、福島駅の新幹線~在来線を結ぶアプローチ線が1本しかないことがネックとなって、これ以上の増発は難しい状況のようです。

これに関して、現状、コロナ禍で需要自体が大きく落ち込んでいる状況です。JR東日本としては、この状況がしばらく続くと見て、このタイミングで山形新幹線の全車指定席化を実施しようということなのかもしれません。

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将来のE8系投入・福島アプローチ線増設を見据えた全車指定席化

今後に目を向けると、2024年には山形新幹線の新型車両「E8系」が運転を開始します。また、2026年度には福島駅のアプローチ線を増設し、現状のダイヤのボトルネックを解消します。これらを見据えた「全車指定席化」という見方もできそうです。

山形新幹線に新型車両「E8系」を投入

JR東日本は、山形新幹線に新型車両「E8系」を投入することを、2020年3月に発表しています。

山形新幹線に最高速度300km/hの新型車両「E8系」を投入! 福島駅のアプローチ線新設で「つばさ」増発にも期待!
JR東日本は、山形新幹線に新型車両「E8系」を投入すると発表しました。最高速度は300km/hとなり、所要時間の短縮も期待できそうです。また、福島駅の新幹線と在来線を結ぶアプローチ線の新設も決まり、繁忙期にはかなり混雑する山形新幹線「つばさ...

E8系は、E3系と同じく7両編成。最高速度は、E3系の275km/hから300km/hに向上します。併結する東北新幹線の車両も、現在のE2系からE5系へと変わります。これにより、宇都宮~福島間を300km/hで走行できるようになり、所要時間の短縮が図られる予定です。

E8系の投入により、首都圏と山形を結ぶ速達型の列車として「つばさ」を位置づけると考えられます。もしかしたら、現在のはやぶさ料金のような特別料金が導入されるかもしれません。

E8系の投入に向けて、全車指定席化を先行して実施したということも考えられそうです。

福島アプローチ線の増設で増発も可能に

一方で、E8系の定員は普通車・グリーン車をあわせて355名で、E3系の394名から39名も減ってしまいます。全車指定席化により、自由席に詰め込むことができなくなると、繁忙期の輸送力低下の悪影響が出かねません。

これに対しては、福島駅のアプローチ線の増設により、「つばさ」の増発をしやすくすることで解決を図るつもりでしょう。

ただし、福島駅のアプローチ線が完成するのは、2026年度末(2027年春)の予定です。

  • 2022年春: 山形新幹線 全車指定席化
  • 2024年春: E8系投入
  • 2027年春(2026年度末): 福島駅のアプローチ線使用開始

2022年春の全車指定席化から福島駅のアプローチ線が完成するまでには5年、E8系投入からでも3年あります。コロナ後に繁忙期の需要がどこまで戻るのか、現状では予測が難しいですが、仮にコロナ前にまで戻るとすると、繁忙期の輸送力の低下に対して、何らかの対策が必要になりそうです。


以上、「山形新幹線が全車指定席化へ、その目的とJR東日本の狙いを考える」でした。全車指定席化に加えて、E8系投入、福島アプローチ線新設と、これから数年で山形新幹線の旅が大きく変わりそうです。

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