JR東日本は、10月14日にダイヤ改正を実施すると発表しました。ダイヤ改正の目玉は、常磐線の品川への直通列車の増発ですが、青春18きっぷ愛好者や乗り鉄にとっては、黒磯~新白河の在来線の輸送体系が大きく変更されることのほうが影響が大きいかもしれません。 乗り鉄にとっては、ある意味「悲報」かもしれません。
10月14日にダイヤ改正を実施
JR東日本が発表した10月14日のダイヤ改正の概要は以下の通りです。
- 上野東京ライン(常磐線直通列車)の増発
- 早朝・朝通勤時間帯の上野止まりの普通列車4本、快速列車2本、特急列車1本を品川行きに変更
- 夕方・夜時間帯の品川発の下り列車を、4本/時(快速3本、特急1本)から6本/時(快速2本、普通2本、特急2本)に変更
- 常磐線特急「ひたち」「ときわ」のダイヤ見直し
- 品川発着の特急列車を44本から60本(土休日は62本)に増加
- 一部特急列車の運転取りやめ、停車駅変更
- 東海道線・高崎線の早朝の各1本を10両編成から15両編成に変更
- 東北線(黒磯~郡山方面)の輸送体系の変更
詳しくは、JR東日本のプレスリリースをご覧ください。
2017年10月ダイヤ改正について(JR東日本プレスリリース 2017年7月7日/PDFファイル)
今回のダイヤ改正の目玉は、常磐線の上野発着列車を品川発着に変更(延伸)することでしょう。かなりの本数が品川発着に変更になるようですので、常磐線沿線の利用者は利便性が向上するものと思います。
常磐線の特急列車も、大幅に品川発着列車が増えます。ただし、上野~土浦でみると74本→71本と3本減となっています。品川発着の特急列車を増やすことで利便性を向上させつつ、需要に応じて利用の少ない列車を廃止したということでしょう。
乗り鉄にとっての注目は黒磯~新白河の輸送体系の変更!
JR東日本本社のプレスリリースでは、「4. その他」のところに数行記載されているだけですが、青春18きっぷ愛好者や乗り鉄にとって影響が大きいのは、東北本線の黒磯~新白河の輸送体系の変更です。
JR東日本仙台支社のプレスリリースに詳しく掲載されていますので、概要をまとめてみます。
- 黒磯~新白河間の普通列車に使用する車両を変更し、同区間で折り返し運転を実施
- 黒磯~新白河間の普通列車をE531系(一部キハ110系)で運転
- 黒磯~新白河間の運転本数の見直し
2017年10月ダイヤ改正について(JR東日本仙台支社プレスリリース 2017年7月7日/PDFファイル)
黒磯駅の直流化工事完了による変更
今回の普通列車の車両変更は、黒磯駅の直流化工事が完了することによるものです。
これまで、黒磯駅は、在来線では唯一、交流と直流を切り替えて利用できる駅でした。今回の黒磯駅構内の直流化工事が完了することで、
- 黒磯駅の在来線ホームをすべて直流で統一
- 黒磯駅と、一つ北側の高久(たかく)駅の間に、直流と交流の切り替え区間(デッドセクション)を設置
ということになりました。
黒磯以南が直流、以北が交流であることに変わりはありません。それなのに、なぜ輸送体系が大幅に変わるかというと、郡山方面からの黒磯行きの列車に交流専用車両が使えなくなった からです。
これまで、黒磯より北側の区間では、東北地方でよく見られる701系、719系、E721系といった交流専用電車が使われていました。(JR東日本では「7」で始まる型式は交流専用電車ですね)
ところが、今回の黒磯駅の直流化工事により、交流専用電車では黒磯駅に入れなくなってしまいました。そのため、黒磯~新白河の区間で、交流区間と直流区間の両方を走ることができる(「交直流電車」といいます)E531系(5両編成)が投入されることになりました。一部列車は、キハ110系という気動車(ディーゼルカー)で運転されるそうです。E531系の本数が足りないのか、日中時間帯は5両ではオーバースペックなので短編成の気動車にしたのか、どちらかの理由だと思います。
乗り換え増で青春18きっぷでの東北本線の旅はさらに大変に!?
今回の輸送体系の変更では、
黒磯~新白河間の普通列車に使用する車両を変更し、同区間で折り返し運転を実施
とのことなので、東北本線で関東地方から東北を目指すと、必ず新白河での乗り換えが必要になります。現在のダイヤでは、黒磯発の東北本線北行きの列車は、大半が郡山行き、一部は福島または仙台行きとなっています。
従って、首都圏から東北本線を乗り継ぐ場合、
- これまで: 首都圏~宇都宮~黒磯~郡山~福島~仙台
- ダイヤ改正後: 首都圏~宇都宮~黒磯~新白河~郡山~福島~仙台
となり、ただでさえ多い乗り継ぎが、さらに1回増えることになってしまいそうです。
黒磯~新白河は普通列車でわずか22~23分。東北本線の普通列車乗り継ぎの旅は、かなりせわしないものになってしまいそうです。
将来のダイヤ改正に期待!
今回のダイヤ改正は、交直流電車が必要な区間をできるだけ短くするために、黒磯~新白河折り返しにしたのではないかと推測します。これが今後も続くのかはわかりませんが、個人的な希望としては、乗り換えが少なくなるようにダイヤを工夫してほしいな、と思います。
例えば、先日発表された電気式気動車の導入で余剰になったキハ110系などを集めてきて、乗客の少ない日中時間帯だけでも黒磯~郡山での運転ができないかと思います。
あるいは、せっかく交直流電車を走らせるのであれば、黒磯での乗り換えを省略して、宇都宮~新白河をE531系で直通運転してくれないかと思います。
黒磯~新白河間には栃木・福島県境があって、旅客の流動は多くはありません。さらに、JR東日本としては、都市間移動は東北新幹線を使ってね、ということだと思いますので、どこまで現実的かはわかりません。それでも、もともと電車しか走っていなかった区間に気動車を導入するなど、急ごしらえのダイヤであることは否めませんので、来年以降のダイヤ改正で改善されることを期待したいと思います。