2011年7月の豪雨被害により7年近くに渡って不通となっている只見線の会津川口~只見間。このたび、2018年6月より復旧工事に着手するとの発表がありました。2021年度に予定されている運転再開時には、復旧する区間を上下分離方式とすることが決まっています。ようやく復旧工事が始まる只見線。運転再開が待ち遠しいです。
2018年6月から復旧工事を開始!
JR東日本仙台支社は、不通となっている只見線の会津川口~只見間の27.6kmについて、2018年6月より復旧工事を開始することを発表しました。
復旧工事の内容としては、以下の4つがあげられています。
- 橋りょう: 橋りょう復旧・修繕
- 土工設備: 盛土復旧、のり面工新設、排水設備浚渫等
- 軌道: レール復旧・交換、マクラギ復旧・交換、道床交換等
- 信号通信: 信号通信ケーブル復旧、信号設備取替、踏切保安機器取替等
豪雨により流された橋りょうの復旧や、流出してしまった盛土の復旧など、土木関連の工事が最初に実施されるものと思われます。
その後、レール等の軌道関係の工事が実施され、最後に信号関係の復旧がなされることになるでしょう。
2021年度に上下分離方式で復旧
只見線の復旧を巡っては、長い間、JR東日本と、福島県を始めとする沿線自治体の協議が続いてきました。
その結果、2017年6月に、以下の内容でJR東日本と福島県が基本合意しました。
- 只見線の運休区間(会津川口~只見)を鉄道で復旧
- JR東日本が復旧工事を実施し、復旧工事の費用は、福島県が3分の2、JR東日本が3分の1を負担
- 復旧後、営業運転再開までに福島県に無償で譲渡のうえ上下分離方式を採用、福島県が鉄道設備を保有、JR東日本が保有する車両を用いて運行
- 被災前の運転本数(1日3往復)を維持
かなりJR東日本に有利な内容になっており、福島県と沿線自治体が鉄道としての復旧を強く望んでいることがわかります。交渉の過程では、JR東日本は廃止・バス転換を提案していましたが、福島県が大きな負担を受け入れることで、鉄道での復旧が決まったという経緯があります。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
風光明媚な区間ゆえに大きな被害を受けてしまった只見線
不通となっている会津川口~只見間は、只見川を何度も渡る、とても車窓のよい区間です。そのために、もっとも豪雨の被害が大きかった区間でもあります。
会津川口駅は只見川のすぐそばにあります。会津川口から小出方面へ進み、最初にある橋が「第5只見橋梁」です。
豪雨の被害で、橋桁が流されてしまいました。上の写真は2017年8月に只見線と代行バスの全線に乗車したときに、代行バスから撮影したものです。右側のほうは橋桁がありません。
被害はこれだけではありません。不通区間には第5只見橋梁~第8只見橋梁の4つの橋がありますが、そのうち、第5、第6、第7橋梁では橋桁が流出。特に、第6只見橋梁では115メートル、第7只見橋梁でも100メートルにも渡って、橋桁が流されてしまいました。
さらに、第8只見橋梁では、橋桁は流されてはいないものの、盛土崩壊・地すべり、土砂流入などの被害がありました。
まずは、これらの橋梁の復旧工事が始まるものと思います。
2017年8月に只見線に乗車したときのレポートは、以下の記事をご覧ください。
このときは天気が悪く、あいにくの雨模様でした。
上越新幹線と接続する観光列車に期待!
福島県や沿線自治体は、観光振興への期待を込めて、只見線の鉄道での復旧を強く要望していました。そんな只見線の沿線に観光客を呼びこむには、観光列車の運転が期待されます。
現在では、あちこちの路線で観光列車を走らせているJR東日本ですが、只見線には、定期的に運転される観光列車はありません。
2018年の夏の臨時列車では、7月28日・29日の二日間限定ですが、長岡~只見間に「風っこ只見夏休み満喫号」が運転されます。
注目したいのは、「風っこ只見夏休み満喫号」が、上越新幹線の接続駅である長岡から運転されることです。長岡~小出間を上越線、小出から只見線に入るというルートです。
観光列車の乗車率を高めるには、新幹線との接続は欠かせません。そういう意味で、この「風っこ只見夏休み満喫号」の運転には期待したいです。
2021年度に只見線が全線復旧するときには、ぜひとも只見線で定期的に運行する観光列車を導入してほしいと思います。もともと沿線の車窓はとても魅力的な路線ですので、魅力的な観光列車が導入されれば、観光路線としてアピールすることができそうです。
只見線の復旧工事がようやく開始されるという話題でした。全線復旧はまだ3年ほど先になりますが、橋梁の掛け直しなど、目に見える工事が始まると、復旧への期待が高まりますね。