2019年度末までに全線で運転再開が予定されている常磐線ですが、JR東日本が、東京都区内~仙台間を直通で結ぶ特急列車を運転することを発表しました。E657系で運転されます。福島の復興を強力に後押しする直通特急、今から運転開始が楽しみです。
常磐線全線再開後に東京都区内~仙台の直通特急列車を運転へ!
JR東日本は、常磐線全線運転再開時に、東京都区内~仙台間を直通する特急列車を運転すると発表しました。
JR東日本の発表によると、
- 運転区間は「東京都区内~仙台」
- E657系(特急「ひたち」「ときわ」の車両)を増備して利用
- 運転開始時期は、常磐線全線運転再開時(2019年末までを予定)
とのことです。
常磐線は、東日本大震災の津波や原発事故による被害のため、多くの区間で運休していましたが、徐々に復旧し、現在の不通区間は、富岡~浪江間のみとなっています。この区間も、2019年末(2020年3月)までの運転再開に向けて、急ピッチで復旧作業が進められています。
全線運転再開後のダイヤがどのようになるか注目されていましたが、まさかの直通特急復活となりました。
いわきで系統分割の計画は震災で白紙、9年ぶりの直通特急運転へ!
東日本大震災の前までは、上野~仙台間で特急「スーパーひたち」が運転されていました。
当時は、常磐線に新型車両E657系を投入する際に、特急列車の運転系統をいわきで分割し、上野~いわき間にE657系を投入、いわき~仙台間には現行のE653系を用いて新たな特急列車を運転する計画でした。いわき~仙台間の特急列車の愛称も募集されていたかと思います。
その後、東日本大震災が発生。常磐線は、いわき以北で壊滅的なダメージを受けてしまい、いわき~仙台間の特急列車の話はなくなってしまいました。この区間で利用する予定だったE653系電車は、現在、羽越本線の特急「いなほ」等に使われています。
そして、東日本大震災から9年後の2020年3月までに、直通特急列車が復活することとなりました。
E657系は現在「ひたち」「ときわ」で利用されている車両です。車内の様子などは、以下の乗車記をご覧ください。コンセントやWiFi装備の快適な車両です。
E657系で運転、運転本数・ダイヤ等は未発表
今回発表されたのは、車両がE657系であること、運転区間が東京都区内~仙台間であることだけで、運転本数やダイヤ、停車駅などは、現時点で未発表です。
ということで、勝手に予想してみましょう。
運転区間は品川~仙台が有力
現在の常磐線特急は、品川~いわき間の「ひたち」と、品川~土浦・勝田などの「ときわ」の2種類があります。このうち、長距離を走る「ひたち」は、ほとんどの列車が品川発着です。
仙台への直通特急は、「ひたち」を仙台まで延伸する形になると思われますので、おそらく品川発着になるのではないかと思います。
かつて、上野~仙台間に「スーパーひたち」が運転されていたときは、上野東京ライン(上野~東京間)が開通していなかったため、常磐線の特急列車はすべて上野止まりでした。今回は、上野東京ラインを経由して、東京・品川発着になると思われます。
運転本数・停車駅・ダイヤは?
震災前の上野~仙台間の「スーパーひたち」は、1日4往復くらいだったと記憶しています。おそらく、この運転本数がベースになるのではと思います。
ただ、車両がE657系ということは、10両編成で運転される可能性があります。「スーパーひたち」は4両編成(いわき以北)でしたし、復興の途上にある常磐線北部の需要は、震災前よりもだいぶ落ちていると考えられます。そのため、1日4往復よりも少ない可能性もあります。
停車駅は、以前の「スーパーひたち」の停車駅がベースになるでしょう。
- いわき - 四ツ倉 - 広野 - 富岡 - 大野 - 双葉 - 浪江 - 小高 - 原ノ町 - 相馬 - 亘理 - 岩沼 - 仙台
※太字は全列車が停車、それ以外は一部列車が停車
直通特急列車の趣旨からすると、富岡駅、浪江駅には停車する可能性が高そうです。
車両はE657系とだけ発表されています。現在の「ひたち」「ときわ」に利用されているE657系は、すべて10両編成です。いわき以北で10両編成は明らかに供給過剰ですが、既存の車両は10両の固定編成で分割できませんので、おそらく、増備される車両も10両編成なのではないかと予想します。
東京~仙台直通特急は利益度外視? 復興を後押しするJR東日本の英断に拍手!
常磐線全線運転再開時に、全線を直通する特急列車が復活するといいな、とは思っていましたが、現実的に厳しいかなとも感じていました。
上野~仙台間の「スーパーひたち」に何度か乗ったことがありますが、いわき以北はガラガラだったことが多いですし、震災後は需要そのものが減ってしまっているでしょうから、あるとしても、もともとの予定通り、いわき~仙台で短編成の特急が走るくらいかなと想像していました。
そんな中、今回の直通特急列車の発表があり、嬉しいとともに、少し驚いています。
10両編成のまま走らせるとしたら、運転本数にもよりますが、いわき以北は明らかに赤字でしょう。
それでも、東京からの直通特急を設定するのは、福島の復興を後押しするためでしょう。おそらく利益度外視なのではないかと想像します。
震災からの復興に鉄道が果たす役割は、経済的にはもちろんのこと、心理的な面でも、とても大きいことは、震災後の三陸鉄道が証明してくれています。特に、東京から乗り換えなし、特急列車1本で行けるとなれば、ビジネスや観光において、印象はかなり変わってきます。
JR東日本のこの経営判断、まさに英断です。そして、常磐線の復旧作業に尽力されている方々に感謝です!
651系の「スーパーひたち」、臨時列車での復活に期待!
乗り鉄的には、651系の「スーパーひたち」の復活を期待したいですね。
現在、いわき~富岡の普通列車で利用されている4両編成の651系がありますし、勝田には臨時列車などで利用されている7両編成の651系が残っています。これらを利用して、臨時の「スーパーひたち」をやってくれないかな、と期待します。
全線での運転再開後、早い時期に実施してくれれば、注目も集まると思います。
以上、「常磐線で東京~仙台の直通特急が復活へ! 2019年度末の全線運転再開時にE657系で運転開始!」でした。まさかの仙台直通特急の復活! 直通特急の運転で、震災から復興中の沿線が活気を取り戻してくれることを期待したいですね。
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2019年1月に常磐線全線に乗車したときの乗車記です。代行バスにも乗車しています。
青春18きっぷ(普通列車)での常磐線の乗り継ぎダイヤです。全線運転再開前に現在の常磐線を見ておくのもよいと思います。
コメント
こんばんは。
良い話題ですよね!
久々、長距離在来特急が登場^.^/
キハ58さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
原発事故で暗い話題が多かった福島ですが、久々によいニュースですね。
全線乗ると4時間ですから、最近ではあまりないくらいの長距離特急ですね。
運転開始が楽しみです。
2010年の発表のときには「もう仙台行とか見れなくなるんだな」と思っていたんですが、震災を経てまた仙台まで直通されるとは思いもしませんでした。
子供の頃、流山市というところに住んでたので柏駅をよく利用したのですが、「ひたち」や「みちのく」が通る際に行き先表示の「平」「原ノ町」「青森」を見てワクワクしたものです(仙台行は何故か見かけなかった)。
もっとも仙台直通がかなっても「平」「青森」の行き先は見れませんけどねw
くろふねさん、コメントありがとうございます。
以前は、常磐線経由で東北へいく特急や急行がたくさんありましたよね。
遠い行先の列車をみると、ワクワクする気持ち、よくわかります。
いわきで分割される計画になっていたのに、震災から復興がきっかけで、仙台までの直通が復活するとは、ビックリでした。
線路さえつながっていれば、臨時列車で仙台より先まで行く列車も走るかもしれませんね。
上場している株式会社なので利益度外視は無いかと思ったり。
電気代が4両と10両でどのくらい変わるか、把握はしておりませんが。
ただ仙台・東北方面にひたちの指定席・未指定席システムを普及させ、将来的には新幹線から自由席を無くすのかな、と。
びんぼっちゃまさん、コメントありがとうございます。
利益度外視は言い過ぎかもしれませんが、復興支援、CSRアピールなどの狙いはあるかもしれません。
在来線特急の指定席・未指定席のシステム、今のところ新幹線に広がる気配はないですが、今後どうなるんでしょうね。
常磐線、中央線ときて、次は踊り子かな?