JR東日本は、デジタルフリーパス「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」を2020年12月下旬~3月末まで発売します。フリーエリアは「ぐんまワンデー世界遺産パス」より狭いものの、2日間有効で、路線バスや私鉄に乗れるオプション券も豊富に用意されていますので、群馬への1泊旅行にピッタリのフリーきっぷです。
※2020.12.02更新
デジタルフリーパス「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」を発売!
JR東日本は、観光型MaaSの実証実験の一環として、スマートフォンで利用するデジタルフリーパス「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」を発売します。
「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」の概要は以下の通りです。フリーエリアが異なる以外は、利用期間、有効期間、おねだんなどは共通です。
- 利用期間: 2020年12月21日(月)~2021年3月31日(水)
- 発売期間: 2020年12月21日(月)~2021年3月30日(火)
- 有効期間: 連続する2日間
- 発売箇所: Webサービスで発売(アプリ不要)
- クレジットカード、または、モバイルSuicaで決済可能
- きっぷの効用
- 下図のフリーエリア内の鉄道(JR東日本、東武鉄道)の普通列車・快速列車の普通車自由席に2日間乗り降り自由
- 「ググっとぐん MaaS WEST」は、JRバス関東の長野原草津口~草津温泉、横川~軽井沢間が乗り降り自由
- 「ググっとぐん MaaS EAST」は、JRバス関東の佐野市内の4路線に乗り降り自由
- 別に特急券等を購入すると、在来線特急列車に乗車可能(新幹線は乗車不可)
- おねだん
- おとな 2,500円
- こども 1,250円
フリーエリアは以下のようになっています。
(出典)【プレス】「ググっとぐんMaaS」第二期を実施します! (JR東日本高崎支社 ニュースリリース 2020年12月2日 PDF)
デジタルフリーパス「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」の詳細については、JR東日本高崎支社のニュースリリースをご確認下さい。
「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」と組み合わせて使えるオプション券
「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」の特徴の一つが、豊富なオプション券を組み合わせて利用できることです。
温泉地や観光地への路線バスや鉄道路線など、オプション券を組み合わせることで利用できるようになります。
なお、オプション券は、「EAST」「WEST」のどちらかとしか組み合わせられないものもあります。また、オプション券は複数購入することも可能です。
オプション券の概要について、以下のまとめます。詳細については、前述のJR東日本のニュースリリースもご確認ください。
バスオプション券
バスオプション券を組み合わせると、「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」の駅を中心とした路線バスを利用できるようになります。
以下のバスオプション券が用意されています。
- 伊香保・渋川オプション 「EAST」「WEST」
- 設定区間: 関越交通(バス)の「伊香保線」全線
- 渋川駅~渋川スカイランドパーク~グリーン牧場前~水沢入口ビジターセンター前~伊香保温泉~伊香保榛名口)
- 一部区間で並行する「群馬バス」は利用不可
- 発売額: おとな1,160円 こども580円
- 有効期間: 連続する2日間
- 設定区間: 関越交通(バス)の「伊香保線」全線
- 水沢・榛名湖オプション 「EAST」「WEST」
- 設定区間: 群馬バスの以下の路線
- 高崎駅-榛名湖線全線(高崎駅~室田~榛名神社~榛名湖)
- 高崎駅-水沢線(高崎駅~箕郷~水沢~伊香保案内所)
- 伊香保~榛名湖温泉(伊香保バスターミナル~伊香保案内所~榛名山ロープウェイ~榛名湖)
- 一部区間で並行する関越交通バスは利用不可
- 発売額: おとな2,300円 こども1,150円
- 有効期間: 連続する2日間
- 設定区間: 群馬バスの以下の路線
- 四万温泉オプション 「WEST」のみ
- 設定区間: 関越交通(バス)の「四万温泉線全線」
- 中之条駅~四万湖~四万甌穴前~四万温泉
- 発売額: おとな1,400円 こども700円
- 有効期間: 連続する2日間
- 設定区間: 関越交通(バス)の「四万温泉線全線」
- 赤城山オプション 「EAST」「WEST」
- 設定区間: 関越交通(バス)の「赤城線全線」
- 赤城山直通バス全線
- 前橋駅~富士見温泉線
- 富士見温泉~赤城山ビジターセンター線
- 発売額: おとな2,250円 こども1,130円
- 有効期間: 連続する2日間
- 設定区間: 関越交通(バス)の「赤城線全線」
- みなかみオプション 「WEST」のみ
- 設定区間: 関越交通(バス)の以下の路線
- 水上線全線
- 上毛高原駅~上牧駅前~水上温泉~水上駅~大穴~湯檜曽駅前~土合駅前~谷川岳ロープウェイ駅
- 大穴~藤原ダム南側~宝川入口~湯の小屋
- 猿ヶ京線
- 沼田駅~後閑駅前~上毛高原駅~湯宿温泉~たくみの里~猿ヶ京間
- 発売額: おとな1,800円 こども900円
- 有効期間: 連続する2日間
- 水上線全線
- 設定区間: 関越交通(バス)の以下の路線
鉄道オプション券
鉄道オプション券を組み合わせると、フリーパスで乗車できる鉄道路線(JR線、東武線)以外の鉄道にも乗車できるようになります。
以下の3つのオプション券が発売されます。いずれも、「EAST」「WEST」どちらのフリーパスとも組み合わせができます。
バスオプション券は2日間有効ですが、鉄道オプション券は有効期間が1日のみですので注意しましょう。
- 秩父路遊々フリーきっぷ 「EAST」「WEST」
- 設定区間: 秩父鉄道全線
- オプション券の効力
- 普通列車普通車自由席が乗り降り自由
- 別に料金券等を購入することで急行列車・SLパレオエクスプレスが利用可能
- ※筆者注:2020年中は「SLパレオエクスプレス」の運転はありません
- 発売額: おとな1,000円 こども500円
- 有効期間: 1日
- 富岡製糸場アクセスフリーパス 「EAST」「WEST」
- 設定区間: 上信電鉄線 高崎駅~上州富岡駅間
- オプション券の効力
- 普通列車普通車自由席が乗り降り自由
- 発売額: おとな1,200円 こども600円
- 有効期間: 1日
- 上毛電気鉄道フリーパス 「EAST」「WEST」
- 設定区間: 上毛電気鉄道全線
- オプション券の効力
- 普通列車普通車自由席が乗り降り自由
- 発売額: おとな1,200円 こども600円
- 有効期間: 1日
「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」は温泉地・観光地への1泊旅行にピッタリ!
「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」は連続する2日間有効ということで、群馬への1泊旅行におすすめです。
バスオプション券と組み合わせれば、鉄道で最寄駅までアクセスし、路線バスに乗って観光地を巡ったり、温泉地へ行ったりすることができます。
例えば、以下のような観光にはぴったりです。
- 四万温泉への1泊旅行
- 「ググっとぐん MaaS WEST」+「四万温泉オプション」(合計3,900円)
- 上越線・吾妻線で中之条駅へ、関越交通バスで四万温泉へ
フリーきっぷですので、いちいちきっぷを購入する手間が省けるだけでもうれしいのですが、交通費もかなりお得になります。
新宿駅から高崎線経由で四万温泉へ往復する場合、ふつうにきっぷを購入すると以下のようになります。
- 新宿~中之条: 5,280円(JR線乗車券・往復)
- 中之条駅~四万温泉: 1,900円(関越交通バス・往復)
合計で7,180円となります。
一方、新宿~熊谷間の乗車券を別途購入し、熊谷~中之条~四万温泉で「ググっとぐん MaaS WEST」+「四万オプション」を利用すると、
- 新宿~熊谷: 2,340円(JR線乗車券・往復)
- 「ググっとぐん MaaS WEST」+「四万オプション」(合計3,900円)
で合計6,240円。ふつうにきっぷを買うよりも940円安くなります。
「ググっとぐん MaaS WEST」はフリーきっぷですから、往路または復路で途中下車したり、別の観光地に立ち寄ったりすれば、さらにお得度は高まります。
おなじみのフリーきっぷ「ぐんまワンデー世界遺産パス」の代替としても利用しよう!
群馬県内のフリーきっぷといえば、JR東日本が発売する「ぐんまワンデー世界遺産パス」が定番です。
詳細は↑の記事をご覧いただきたいのですが、JR線、東武線だけでなく、上信電鉄、上毛電気鉄道、わたらせ渓谷鐵道(一部のみ)にも乗車できるなど、フリーエリアがとても広いきっぷです。
「ぐんまワンデー世界遺産パス」は、例年春~秋の半年間に発売されていますので、今回の「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」の設定期間となる12月下旬~3月には利用できません。
そこで、「ぐんまワンデー世界遺産パス」の代替として、「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」を活用することも検討してみましょう。
EAST | WEST | ぐんまワンデー 世界遺産パス | |
---|---|---|---|
主要な フリーエリア | 群馬中部+ 東部 | 群馬中部+ 北部 | 群馬全体 |
価格 | 2,500円 | 2,500円 | 2,240円 |
有効期間 | 2日間 | 2日間 | 1日間 |
JR以外の 鉄道路線 | 東武線 | - | 東武線 上信電鉄 上毛電気鉄道 わたらせ渓谷鐵道 |
オプション券 | あり | あり | なし |
フリーエリアは「ぐんまワンデー世界遺産パス」が圧倒的に広くなっています。JR線のフリーエリアだけ見ても、「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」をあわせたフリーエリアになっていますし、上信電鉄、上毛電気鉄道、わたらせ渓谷鐵道にも乗車できます。
一方で、「ぐんまワンデー世界遺産パス」の有効期間は1日のみ。群馬県内での1泊旅行には使いづらい面もあります。
「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」はオプション券が充実していますので、鉄道だけでなく、路線バスで観光地や温泉地へアクセスするのには有利です。
フリーきっぷの「デジタルフリーパス」化にも期待!
「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」は、観光型MaaS(Mobility as a Service)の実証実験という側面もあります。
その最大の特徴が、スマートフォンで購入する「デジタルフリーパス」のみで発売されるという点です。紙のきっぷは発売されません。
JR各社は、新幹線や特急列車から、紙のきっぷを受け取らない、いわゆる「チケットレス」を促進しています。JR東日本も、2020年3月から、Suica等の交通系ICカードを利用して新幹線にチケットレスで乗車できる「新幹線eチケットサービス」を開始したばかりです。
そして、首都圏で発売される一部のフリーきっぷも、紙のきっぷだけでなく、Suicaバージョンも発売しています。
このような流れの中で、今回の実証実験ですから、フリーきっぷをデジタル化する流れの一つと見てよいでしょう。現時点では、Suicaを利用できない路線もありますので、「スマートフォンの画面を見せる」という、ちょっとアナログな方式になっている面もありますが……。
さらに、路線バスを含めた「オプション券」をつけられるのも良いですね。観光地で路線バスに乗るたびに料金を払ったり、きっぷを買ったりするのは意外に面倒なものです。主要な観光スポットをまわることができる路線バスのフリーパスを簡単に付けることができれば、旅慣れていない方や、外国からの観光客にとっては、旅のハードルがかなり下がるはずです。
もちろん、「MaaS」=きっぷのデジタル化、ではないので、ここで終わってしまってはいけません。泊まるホテルや温泉宿、行ってみたい観光スポットを選んだら、最適な行程を作成、きっぷもすべて自動手配で、当日はスマートフォンをもって改札にタッチすれば列車に乗れる。これくらいはやってほしいところです。
とはいえ、まずは最初の一歩としての実証実験としては面白い試みだと思います。
以上、『群馬のJR線に2日間乗り放題の「ググっとぐん MaaS EAST」「ググっとぐん MaaS WEST」発売! オプション券で路線バスや私鉄にも乗れるデジタルフリーパス!』でした。1泊旅行に便利なフリーきっぷとして活用しつつ、「観光型MaaS」を少しでも味わうことができればいいですね。
関連記事
JR東日本のフリーきっぷ・割引きっぷのまとめ記事です。
当ブログで紹介しているフリーきっぷ・割引きっぷの目次ページです。
コメント
すごく分かりやすかったです。
ぐぐっとぐんMaaSは宿泊してもらって一人当たりの単価を上げ地元にお金を落としてもらうのが狙いですね。
路線バスや上信電鉄は運賃が高いのでオプション券があり助かりますね。
秩父鉄道などフリーパスがあるところもあるが、それより安く抑えられてますね
toburailwayKunさん、ありがとうございます。
ググっとぐん MaaS、実証実験の一環なので試験的な取り組みなのでしょうけれど、路線バスや私鉄路線のオプション券があって、観光地や温泉地が多い群馬にピッタリの仕組みだと思います。
群馬DCの時期だけでなく、継続して発売してほしいですよね。