高山本線の普通列車を飛騨古川で下車。古川の町を散策します。まず「飛騨古川まつり会館」で古川祭について情報収集してから、町を散策するのがおすすめです。風情のある街並みや白壁土蔵街など、見どころがコンパクトにまとまっています。
雪景色の飛騨古川駅からスタート!
早速、散策に出かけます。飛騨古川駅は、ご覧のような小さな駅舎の駅ですが、高山より北側では唯一の有人駅です。
まずは駅から徒歩5分ほどのところにある「飛騨古川まつり会館」に向かいます。
飛騨古川まつり会館前の交差点です。右側の建物が飛騨古川まつり会館です。何でもない交差点ですが、信号機に雲の彫刻が施されているのがわかるでしょうか。古川では軒下の肘木にこのような雲の形を彫るのだそうですが、信号機もそれに倣っているのですね。
古川祭について詳しく勉強できる「飛騨古川まつり会館」
早速、入場料500円を支払って「飛騨古川まつり会館」に入ります。
飛騨古川まつり会館では、古川のお祭り「古川祭」について、4Kシアターでの映像と、実物の祭屋台の展示で勉強することができます。古川の町を散策するなら、まず「飛騨古川まつり会館」で、古川祭について情報収集することをおすすめします。
まずは、4Kシアターで古川祭について見てみます。高精細の迫力のある映像で古川祭を体感することができます。
古川祭は、気多若宮神社の例祭として、毎年4月19日・20日に開催される伝統行事です。2016年12月にユネスコ無形文化遺産にも登録されたそうです。
古川祭は、気多若宮神社の本殿で神事や神輿行列、勇猛な「起し太鼓」、9台の豪華な屋台が町を巡る「屋台行列」から構成されています。全国的にも有名なお祭りです。
4Kシアターで古川祭の様子を鑑賞
4Kシアターでは、二日間に渡って執り行われる「古川祭」の最初から最後までを、時系列順に解説してくれます。
中でも、19日の夜に行われる「起し太鼓」では、大太鼓の櫓をめがけて、「付け太鼓」と呼ばれる小太鼓を棒に括り付けたものを担いだ男衆が突っ込んでいき、激しい先陣争いが見られるそうです。古川祭の「動」の見どころの一つですね。
一方、「静」の見どころは、豪華な9台の屋台が街中をめぐる「屋台行列」でしょうか。これについては、あとで展示されている実物を見てみます。
実物が見られる祭屋台の展示
4Kシアターのあとは、祭屋台などが展示されている展示室へ。ここでは、古川祭で曳かれる9台の祭屋台のうち、3台の実物が展示されています。定期的に入れ替えているそうです。


左側が「龍笛台」で、古川祭では一番大きな屋台だそうです。1886年に完成したものだそうで、右側に昇り龍、左側に(枠の陰で隠れてしまっていますが)降り龍の彫刻があります。
右側は「麒麟台」です。現在の麒麟台は3代目で、1933年に完成しました。この写真ではわかりませんが、からくり人形が仕込まれています。


いくつかの祭屋台には、からくり人形が仕込まれています。この展示室には、自動で動くからくり人形が展示されていて、実際に動いているところを見ることができました。
このからくり人形は、祭屋台の出し物の一つだそうで、他には、屋台の上の舞台で子供たちが歌舞伎を演ずる「子供歌舞伎」があるそうです。
「起し太鼓」に使われる大太鼓も展示されていました。直径80センチもある大きな太鼓が櫓の上の載っています。この太鼓の上に人がまたがり、太鼓を打つそうです。
木で作られたかわいらしい模型も展示されていました。これが「起し太鼓」ですね。
ということで、一時間ほど「飛騨古川まつり会館」を見学しました。古川祭の歴史や祭りの様子が詳しくわかりますので、最初に訪問することをお勧めします。
飛騨古川らしいスポット「瀬戸川と白壁土蔵街」を散策
飛騨古川まつり会館を出てすぐのところに、瀬戸川という小さな川沿いに、白壁の土蔵が並ぶエリアがあります。古川の街並みを象徴するスポットです。
古川は、豊臣秀吉の命を受けて建てられた増島城の城下町。その城下町の面影を最もよく残しているのが、この白壁土蔵街ですね。
春~秋には、この瀬戸川には1000匹もの鯉が泳いでいるのだそうですが、冬季は越冬のために近くの池に移されているのだそうです。たしかに、この気候では凍ってしまいかねないですしね。
鯉が見られないのは残念ですが、雪景色の白壁土蔵街もなかなかのもの。この時期は観光客も少なく、通りを歩く人もまばら。雪に閉ざされたモノトーンの世界に浸ることができました。
瀬戸川の右側には「円光寺」というお寺があります。この古い本堂が圧巻です。現在の本堂は1667年に再建されたものだそうです。瀬戸川のすぐ横にあり、低い石垣で隔てられているだけなので、古川の古い町並みに溶け込んでいるような、そんなお寺です。
少し先に行くと、道幅が広くなります。白壁の蔵がずらっと並ぶ様子が印象的です。左側の民家には、普通に人が住んでいます。観光地化するのではなく、日常生活の中でこの古い町並みを保存してきたわけですね。
ランチは「蕎麦正 なかや」の飛騨そばを堪能
もう14時近いのでランチにします。ランチは、飛騨そばがいただける「蕎麦正 なかや」にしました。
店内は15人も入れば満席になるくらいの広さですが、先客は一組だけでした。正月明けで観光客も少ないのでしょうね。


注文したのは「飛騨ざるそば中」と「ねぎ味噌天ぷら」。お店の方に聞いたら、まだ新そばと言ってもよい時期なので、ざるがおすすめということでした。ちなみに、サイズは、並・中・大とありました。
そばが出てきた時に、「最初はつゆを付けずに、アンデス岩塩をまぶして食べてみてください」と言われたので、アンデス岩塩をひとさじまぶして食べてみました。とても瑞々しいおそばで、そば自体に甘みがあるので、岩塩をかけることでその甘みがさらに引き立ちます。これはアリですね。
ざるそばだけでは物足りないかなと思って注文した「ねぎ味噌天ぷら」。250円とリーズナブルなのに、かなりのボリュームがあります。味噌のうま味が出ていて、味も濃いめなので、ざるそばと合わせるとちょうどよかったですね。今回はランチだったのお酒は飲みませんでしたが、つまみにもちょうどよいかも。
ということで、このお店はあたりでした。古川に行かれるのであればおすすめします。
古い町並みを散策
ランチの後は、再び散策へ。瀬戸川沿いの道から一本奥に入った壱之町通りを歩いてみます。
ろうそく店や造り酒屋が並ぶ、これまた雰囲気のある通りです。お正月明けで閉まっている店が多かったのは残念ですが、この雰囲気を味わうだけでも十分に楽しめますね。


飛騨古川駅から見ると、古川の町の一番奥のほうに流れているのが「荒城川(あらきがわ)」です。右側の写真のように、古川の町中で、先ほど高山本線の中から見られた宮川に合流しています。小さな川なのですが、石垣の感じや、雪をかぶった家々が絵になります。
「匠の里」飛騨の歴史がわかる「飛騨の匠文化館」へ
最後に、「飛騨の匠文化館」を訪れました。場所的には最初に訪問した「飛騨古川まつり会館」のすぐ近くなので、散策前に見学してもよいでしょう。
「飛騨の匠文化館」は、「匠の里」として、古くから建築業で栄えた飛騨の歴史を伝える施設です。この「飛騨の匠文化館」自体が、地元の大工たちによって建てられたものだそうで、釘を一本も使っていない(!)のだそうです。
入場料300円を支払って入ると、すぐに「組木」の原理が体験できるスペースがあります。写真にあるような組木のおもちゃもあり、自由にいじって遊べるようになっていました。訪れた時には、たまたま私しかいなかったので、詳しく説明を聞くことができました。
こちらは、前述の信号機のところにもあった「雲」の彫刻です。飛騨の大工によって建てられた家の軒下には、この雲の彫刻があるそうです。一人ひとりの大工によって、それぞれ模様が異なり、軒下の雲の彫刻を見れば、誰がこの家を建てたのかがわかるとのことです。
おまけ 「君の名は」舞台探訪
飛騨古川は、映画「君の名は」の舞台の一つ「糸守町」のイメージに使われたスポットがいくつかあります。一時期は聖地巡礼で賑わったそうですが、さすがに落ち着いたのでしょうか。全部見て回ったわけではないのですが、今回訪問したところをまとめてご紹介します。
飛騨古川駅前のロータリーです。瀧が三葉を探して、特急「ワイドビューひだ」(をモデルにした特急?)に乗って降り立った駅前のシーンに使われています。
跨線橋から飛騨古川駅のホームを見おろしてみます。この光景は、上のロータリーの写真の奥のほうに写っている跨線橋から見ることができます。映画では、2番線(3本ある線路の真ん中)に特急が停車しているシーンがありますが、現在のダイヤでは、2番線に停車するのは普通列車のみで、それも1日に1回だけだそうです。
映画では、瀧が糸守町について調べていた図書館のモデルになった「飛騨市図書館」です。飛騨古川まつり会館の近くです。さすがに中へは入りませんでしたが、受付で許可を得れば撮影してもよいそうです。(休館日には注意!)
今回は時間がなくて訪問できませんでしたが、古川祭でも有名な「気多若宮神社」も聖地のひとつですね。ここだけは、他の観光スポットとは線路を隔てて反対側で、少し離れているので、訪問したい場合は長めに時間をとっておいたほうがよいでしょう。
以上、若干駆け足でしたが、飛騨古川を観光してみました。ランチの時間込みで3時間半くらいでしょうか。まだ書ききれていないところもありますが、半日あれば、主だったところは観光できると思います。
高山に観光に行かれるのであれば、少し足を延ばして、古川も観光することをおすすめします。大勢の観光客で賑わう高山とは異なり、城下町の落ち着いた街並みをゆったりと散策できると思います。
青春18きっぷの旅はまだまだ続きます(つづく)。
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