ひさの乗り鉄ブログ

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新型コロナウイルスが鉄道事業者を直撃! 乗客数・収入半減で地方鉄道には死活問題!

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新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動に影響が出ていますが、鉄道事業にも大きな影響を与えています。東海道新幹線の乗客数が56%減、JR西日本の収益が45%減、JR東日本の2月の運輸収入が110億円減などなど。そして、最も深刻なのがJR北海道と地方の鉄道です。

新型コロナウイルス感染症が鉄道会社を直撃!

新型コロナウイルス感染症がさまざまな経済活動に影響を及ぼし始めています。

当ブログのテーマである鉄道への影響も日に日に大きくなっています。新型コロナウイルスの感染防止のため、不要不急の外出を控えたり、各地でイベントや行事が中止になったりしたことで、人の移動が少なくなり、鉄道を利用しなくなっているのです。

これまで(3月11日時点)に出てきている情報をまとめてみます。

JR西日本は、2月と3月(7日まで)の収入と利用状況を3月9日に発表しています。

www.westjr.co.jp

これによると、2月の運輸取扱収入は前年同月比で92.6%、3月1日~7日の7日間に関しては前年同日比で55.1%となっています。

新型コロナウイルスの感染が広がり始め、各地でイベント等の自粛の動きが出始めたのが2月下旬ですから、2月の月間収益への影響はそこまで大きくないですが、3月1~7日の55%(45%減)という数字は衝撃的です。

JR東海は、月ごとに輸送量(乗客数)の推移を発表しています。

これによると、2020年2月の東海道新幹線の輸送量は前年比92%、在来線特急は87%、名古屋近郊の在来線は98%でした。ところが、3月1日~9日の9日間では、東海道新幹線は44%、在来線特急は47%、名古屋近郊は71%と、これもまた衝撃的な数値になっています。

特に、JR東海の収入の9割以上を占める東海道新幹線の乗客数が、例年の半分以下(56%減)というのは非常事態です。

短期間で済めばよいですが、長期間続くことになると、業績への影響も甚大なものになりそうです。

一方、JR東日本は、2月の運輸収入が110億円減少したとしています。

www3.nhk.or.jp

報道によると、3月に入ってからは、1日当たり15億円の減収となっている模様で、JR他社と同様、3月の運輸収入への影響が大きくなりそうです。

JR各社で最も深刻なのは経営難のJR北海道

JR各社の中で、もっとも深刻な影響がありそうなのがJR北海道です。

少子高齢化、人口減少、高速道路網の整備などで、国や自治体の補助なしでは成り立たない経営状況であるうえ、新型コロナウイルスの感染者が最も多いのが北海道であるためです。北海道知事が週末の外出自粛要請をしたことも大きく影響しています。

JR北海道は、新型コロナウイルスの乗客数や収益への影響を発表しています。

これによると、JR北海道の週毎の輸送実績(前年同曜日比)は、以下のグラフのようになっています。(JR北海道のニュースリリースの数値より筆者作成、横軸の日付の日から1週間の輸送実績を表示、「2/17」は2/17-23の1週間の輸送実績)

JR北海道の週毎の輸送実績(前年同曜日比)
JR北海道の週毎の輸送実績(前年同曜日比)

この間の出来事は以下の通りです。

  • 1/27: 中国政府が団体旅行中止命令
  • 2/28: 北海道が緊急事態宣言
  • 3/ 2: 全国で一斉休校
  • 3/ 9: 中国・韓国からの入国制限

中国政府が団体旅行中止命令を出したのが1月27日。2月初旬には「さっぽろ雪まつり」がありましたが、中国からの観光客が激減した影響を受けているようで、2月上旬~中旬にかけて、前年同期比で70~80%程度まで落ち込んでいます。

その後、北海道が緊急事態宣言を出し、外出自粛要請をした2月末から3月にかけては、一気に影響が大きくなっていることが見て取れます。

3月2日週(3/2-8)は、北海道新幹線が25%、特急列車が30%、快速エアポートが47%という状況で、半減どころか、7割減まで乗客が減ってしまっています。

また、JR北海道は、減収の実績と3月の想定を示しています。

  • 2月実績: 9.07億円の減収
  • 3月予想: 32.56億円の減収

JR北海道の営業収益は、2018年度実績が435億円、2019年度予想が455億円でした。これに対して、3月だけで32億円もの減収になってしまうわけです。

2018年の北海道胆振東部地震の影響は、17億円の減収、22億円の利益減少(JR北海道単体)となっています。3月のたったひと月の減収額が、北海道胆振東部地震の減収全体の約2倍にも達することになります。

一方で、乗客が少ないからといって、列車を減便しても、コストはそれほど減りません。鉄道事業は固定費がとても大きいため、一時的な列車の減便では、コストはほとんど減らないはずです。コスト削減になるとしても、列車運行のための燃料費や乗務員の手当てくらいでしょう。つまり、減収額は、そのまま利益の減少額になってしまう可能性があります。

2018年度のJR北海道の最終利益は、過去最大の179億円の純損失となっていますが、新型コロナウイルスの影響が長引けば、2019年度や2020年度はそれ以上の赤字になる可能性があります。

JR北海道は、国や自治体の補助を受けながら、2030年度に予定されている北海道新幹線の札幌延伸開業までに、経営再建を済ませる計画を進めています。数十億円単位で減収が続くような状況が続けば、経営再建計画への影響も出てきそうです。

全国一斉休校が地方鉄道を直撃

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さらに影響が大きそうなのが、地方でローカル線を運営している地方鉄道です。

地方のローカル線の最大の顧客は高校生。朝の通学時間帯と、夕方の帰宅時間帯は、1~2両の列車が高校生で満員になる風景をよく見かけます。

そんな地方鉄道ですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の一斉休校要請で、沿線の高校がほとんど休校になっているはずです。鉄道各社は通学定期券の払い戻しに応じていますが、おそらく3月の1か月分については、ほとんど払い戻されてしまうでしょう。

通学定期券は割引率が高い、つまり、安いわけですが、それでも地方鉄道にとっては主要な収入源。それが1か月分とはいえ払い戻しになってしまうと、もともと厳しい経営状態の多い地方鉄道にとっては、かなりのダメージになりそうです。

万が一、休校要請が4月以降も続くとなると、地方鉄道にとっては非常に厳しい状況にならざるを得ません。

国は財政基盤の弱い鉄道会社に支援を!

新型コロナウイルスの影響は、あらゆる産業に及んでいます。厳しいのは鉄道会社だけではありません。

それでも、地方私鉄をはじめ、JR北海道など、財政基盤の弱い鉄道会社に対して、国は補助金等の何らかの支援策を打ち出すべきであると考えます。

万が一、新型コロナウイルスの影響で廃止されるような路線が出てきてしまえば、感染拡大が落ち着いたあと、地方経済再建の足かせになってしまいます。

人の移動が止まることが、どれだけ経済的にインパクトのあることか、ここ1か月でよくわかってきました。地方の鉄道が消えてしまえば、新型コロナウイルスの感染が終息しても、人の移動が止まってしまう恐れがあるのです。

長期的な視点で見た時に、鉄道を残すべきか、バス転換など他の交通手段に変えていくべきかの議論はあるでしょう。ただ、鉄道を廃止するにしても、それはきちんと準備を整えて実施すべきです。

大規模イベントの自粛や一斉休校が3月末までに終了するのであればいいですが、それ以降も続くようなら、鉄道を含む財政基盤の脆弱な公共交通機関への支援を考えていく必要があるでしょう。


以上、『新型コロナウイルスが鉄道事業者を直撃! 乗客数・収入半減で地方鉄道には死活問題!』でした。人の移動が止まると、経済的な影響は極めて大きくなると痛感させられます。前代未聞の事態はいつまで続くのでしょうか。