青春18きっぷで旅をするときには、できるだけ空いている列車で、快適に汽車旅をしたいものですよね。それに、単調な車窓よりも、川や山、海などの絶景が楽しめる路線を選んで乗りたいものです。この記事では、首都圏から名古屋、大阪方面へ向かう際に、時間はかかるけれども、快適に旅ができる青春18きっぷのおすすめ乗り継ぎルート をご紹介します。
※2018.03.21更新(大幅加筆+個別記事として投稿)
時間重視なら東海道本線経由だが…
東京から名古屋や大阪に向かう場合、青春18きっぷでの最短・最速ルートは東海道本線経由 です。列車の本数は多いですし、普通列車しかない区間でも駅間距離がそれなりに長いので、所要時間は短くて済みます。
ところが、青春18きっぷユーザにとっては「難所」「鬼門」でもあるのです。
東海道本線はいつも混んでいる
その理由の一つは、日中時間帯でも混雑していることが多く、座席の確保が保証されないことです。
東京から熱海までは、JR東日本の10両や15両の長編成の電車が走っていますが、熱海から先のJR東海エリアに入ると、3~6両程度と、一気に編成が短くなってしまいます。そのため、混雑が発生しやすいのです。
さらに、静岡県内では、三島、沼津、静岡、浜松など、中規模の都市が続き、地元客の利用も多いため、列車の編成が短いわりに混雑するのですね。
区間運転の列車が多く乗り換え回数が多い
静岡県内を中心に、区間運転の列車が多く、乗り換え回数が多くなりがちです。前述のとおり、日中でも比較的混雑していますので、乗り換えのたびに座席を確保できるかを心配する必要があります。
また、乗客の入れ替わりも激しいため、少々せわしなく、汽車旅を楽しむといった感じではありません。
それでも、時間重視で東海道本線に乗る場合には、こちらの記事もご覧ください。
旅情・車窓重視なら中央本線経由がおすすめ!
時間的に余裕があるのであれば、東海道本線よりも旅情があり、車窓も楽しめる中央本線経由をおすすめ します。
東京・新宿周辺や名古屋周辺での、いわゆる通勤電車としての中央線しか利用したことがないと想像できないのですが、
- 中央本線の東側(塩尻より東側のJR東日本区間:中央東線)は日本屈指の山岳路線
- 中央本線の西側(塩尻より西側のJR東海区間:中央西線)は渓谷美が美しい川の路線
なのです。
都市と住宅街が続く東海道本線と比べると、旅情があることも間違いありません。東京や新宿、名古屋から1~2時間も乗車すれば、非日常の車窓が広がります。
中央東線(東京・新宿~塩尻)の車窓の見どころ
中央東線の車窓の見どころをいくつかご紹介します。
東京・新宿から甲府方面行きの列車に乗車すると、高尾から先はトンネルが多い山岳区間に入ります。大月あたりで多少視界が開けるものの、それ以外はほとんどが山の中を走ります。視界が効かない車窓が続くのですが、勝沼に近づくと、突然、ぱっとあたりが開けてきます。このあたりが甲府盆地です。この甲府盆地を俯瞰する車窓が、見どころの一つです。
大月あたりで標高600メートル以上まで登ったあとは、甲府盆地へ向けて下りますが、甲府から先は再び上り勾配になります。その上り勾配は小淵沢まで続きます。小淵沢駅の標高は、なんと886メートル。中央東線の起点となる東京駅の海抜はほぼゼロですから、中央東線がいかに山岳路線かがわかると思います。
小淵沢近辺での車窓の見どころは、車窓右側(北側)に広がる八ヶ岳でしょう。裾野がなだらかに広がり、いくつもの頂を持つ八ヶ岳の山容はとても美しく、車窓を彩ってくれます。小淵沢より少し手前(甲府寄り)が最も見やすいと思います。
中央西線(名古屋~塩尻)の車窓の見どころ
中央西線は、塩尻寄りは信濃川水系の奈良井川に、名古屋寄りは木曽川に沿って走る川の路線です。奈良井川は日本海へ、木曽川は太平洋(伊勢湾)に注ぐため、途中で分水嶺を越えることになります。
木曽川の河原には、白っぽい大きな石(というより岩)がゴロゴロしています。このときは雨だったのですが、霧に煙る木曽川の風景もよいものです。
一番の景勝地は、「寝覚めの床」と呼ばれる渓谷で、木曽川の流れが花崗岩を削ってできた地形です。中央西線の車窓からも見ることができます。
また、中央西線の中ほど、木曽福島周辺は「木曽路」とも呼ばれ、旧中山道の宿場町が点在しています。中央西線の駅からはバスでの連絡となりますが、途中下車して宿場町を散策してみるのもおすすめです。
乗り継ぎとおすすめ列車は?
中央本線経由で、東京~名古屋を旅するときの乗り継ぎとおすすめ列車についてご紹介します。
中央東線は長距離普通列車がおすすめ!
中央東線は、比較的長距離を走る普通列車が多くあります。
高尾発長野行き(441M)をはじめとして、高尾~松本を結ぶ列車が1日に数本運転されていますので、これらの長距離普通列車を狙うのがおすすめです。
以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
これらの列車を利用すれば、東京や新宿から、中央西線との乗り換え駅の塩尻まで、1回の乗り換えで到着します。
また、土休日限定となりますが、新宿~小淵沢を走る「ホリデー快速ビューやまなし」もおすすめです。在来線では珍しい全車2階建ての215系という車両を利用した臨時快速列車で、週末や休日にコンスタントに運転されています。
- 新宿 09:02発 → 小淵沢 11:59着
- 小淵沢 16:17発 → 新宿 18:55着
※途中停車駅は、三鷹、立川、八王子、高尾、相模湖、大月、勝沼ぶどう郷、塩山、山梨市、石和温泉、甲府、韮崎
快速列車ですので青春18きっぷのみでも利用できます。ボックスシートですが、指定席もありますので、確実に座席を確保したい場合は指定席券(520円)を購入しておきましょう。
中央西線は塩尻~中津川の運転本数に注意! 乗り歩きには特急の併用も!
中央西線は、中央東線に比べると全体的に本数が少ないです。特に、塩尻~中津川間の運転本数が少なく、青春18きっぷでの乗り継ぎのネックとなります。
一方、中津川~名古屋間は30分に1本の頻度で列車があります。
ということで、塩尻~中津川で乗車する列車を決めて、その列車を軸に、中央東線側の行程を決める のがよいでしょう。
中央西線で途中下車して宿場町の観光をする際には、特急「ワイドビューしなの」の短距離利用も検討しましょう。
ワイドビューしなのは、長野~松本~名古屋(一部は大阪)を走るJR東海の特急列車です。青春18きっぷでは乗車でいませんが、木曽福島や南木曽といった宿場町の最寄駅に停車します。東京方面へは塩尻まで、名古屋方面へは中津川まで乗車すれば、普通列車の本数が多い区間へ出られますので、時間の短縮になります。
ロングシートの車両が増えてきたことに注意!
そんな中央本線ですが、中央東線(高尾~塩尻)では最近になってロングシートの車両が増えてきています。長時間乗車する場合、特に車窓を楽しみたい場合は、ロングシートだと楽しみも半減ですね。
2017年現在、ロングシートの車両とボックスシートの車両が共通的に運用されているようで、乗ってみなければどちらかわからないという状況のようです。
どうしてもロングシートを避けたい場合には、土休日であれば前述の「ホリデー快速ビューやまなし」や、新宿~河口湖を結ぶ「ホリデー快速富士山」「快速富士山」などを利用するとよいでしょう。いずれも臨時列車ですので、運転日を事前に確認しましょう。
一方、中央西線のほうは、JR東海のクロスシートの車両が多いようです。木曽川の景色を眺めたい場合は、名古屋方面に向かって右側の窓際の座席がおすすめですね。
以上、東京~名古屋・大阪を中央本線経由で結ぶルートをご紹介しました。所要時間は乗り継ぎにもよりますが、東海道本線経由がおおむね6時間半に対して、中央本線経由が8時間半程度と2時間ほど余計にかかります。それでも、鉄道の旅を楽しみたいのであれば、山と川の車窓が楽しめる中央本線ルートをおすすめします。
関連記事
青春18きっぷ関連の記事の目次です。
時間重視で東海道本線経由で移動したい場合には、こちらの記事をどうぞ。