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JR北海道が「単独では維持困難な線区」の相談状況を公表、まもなく公表から1年ですが交渉は進捗していないようです

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JR北海道が「当社単独では維持困難な線区」についての自治体との相談状況を公表しました。単独で維持困難な線区を公表してからすでに1年近くが経とうとしていますが、沿線自治体との協議は遅々として進んでいないようです。

JR北海道が「当社単独で維持困難な線区」についての相談状況を公表

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JR北海道は、10月12日に、「当社単独で維持困難な線区」についての相談状況を公表しました。

当社単独では維持困難な線区の経営情報等の説明状況について(JR北海道プレスリリース 2017年10月12日, PDFファイル)

これを見ると、既に協議を開始しているのは、石勝線(新夕張~夕張間)、日高本線(鵡川~様似間)の2線区のみで、他の線区については、JR北海道からの「ご説明」のみ、または、「ご相談」を開始したというステータスになっています。

しかも、既に協議を開始している2線区は、昨年11月にJR北海道が「当社単独で維持困難な線区」を公表する前から、協議を始めていました。石勝線(新夕張~夕張間)はバス転換が決まっていましたし、日高本線については高波や台風の被害で長らく運休していました。

つまり、「当社単独で維持困難な線区」として新たに公表した路線については、協議に入っているところは一つもないということになります。

本丸の上下分離方式の協議には入れず

今回公表された相談状況を見てみると、

  • 設備の見直しやスリム化、駅の廃止や列車の見直しによる経費削減
  • 運賃の値上げ
  • 利用促進策
  • 上下分離方式

の4点について意見交換をしているとのことですが、主に利用促進策が中心で、一部の線区で経費削減についての相談に入っているところがあるくらいです。

協議の入口としては、この2つが入りやすいのかもしれませんが、正直なところ、「当社単独で維持困難な線区」にリストアップされているような線区では、利用促進策や経費削減によって劇的に状況が改善されることは望めません。もちろん、JR北海道にとっては赤字が圧縮されるので、やらないよりはマシですが、これくらいで済む話であれば、「当社単独で維持困難な線区」という言い方はしなかったはずです。

おそらく、多くの線区で「上下分離方式」を取り入れないと、JR北海道の経営を抜本的に立て直すことは難しいのではないかと思います。

予想以上に協議が遅れている印象、国や道の関与がいまいち見えません

このブログでも、「当社単独で維持困難な線区」が発表されてからの動きについては、たまに取り上げてきました。なかなか協議が進んでいないな、という印象はありましたが、今回発表された相談状況を見ると、予想以上に協議が遅れている印象です。というか、1年も経つのに協議入りできていないというのは予想外でした。

この1年間での大きな動きと言えば、北海道の作業部会が「将来を見据えた北海道の鉄道網のあり方について」を取りまとめたことくらいでしょうか。

www.kzlifelog.com

将来を見据えた北海道の鉄道網のあり方について(要約版), 平成29年2月7日, PDFファイル

これで方向性が示されたため、協議が進展するのかと思いきや、なかなかそうはなっていないようです。

その理由の一つは、道の関与があまり見られないことではないでしょうか。今回公表されたプレスリリースでも、沿線自治体でつくる協議会との相談が中心で、現時点で道が議論を引っ張っている様子は見られません。

財力がない沿線自治体ができる協議としては、利用促進策や経費削減くらいなのでしょう。上下分離方式は、設備の保有・維持管理を自治体が実施する方式なので、自治体が負担する費用が極めて多くなり、JR北海道と沿線自治体だけの協議では取り上げることが難しいということだと思います。

「当社単独で維持困難な線区」の対象線区は、JR北海道の路線網(総延長距離)の56%にもなります。大赤字の路線ということは、利用客が少ない、つまり、沿線人口が極めて少ない地域を走る路線ということですので、沿線自治体の財政も厳しいはずです。

さらに、広い北海道ですので、自治体の面積が大きい(=その自治体に属する鉄路も長い)わけですが、線路などの設備の維持管理費はその距離に比例してかかります。つまり、一つの自治体が負担しなければならない費用がかなり大きくなってしまいます。北海道ならではの事情が、上下分離方式の協議を困難にしているとも言えそうです。

今回のJR北海道の発表は国・道へのメッセージ?

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今回のJR北海道のプレスリリースは、「当社単独で維持困難な線区」を公表してから1年という区切りや、各線区で一通り相談を開始したことのアピールの意味合いもあるとは思いますが、国や北海道に対してのメッセージの色が濃いのではないかと思いました。

プレスリリースの文面を見る限り、協議が進んでいないという書き方はしていませんが、1年を経ても「相談」を始めたばかりという状況では、誰が見ても協議が進んでいないという印象を持つと思います。時間に余裕があるのならまだしも、JR北海道は、現在のままでは2019年には経営が経ちいかなくなる可能性があるとしています。

ということからすると、JR北海道としては、

  • 沿線自治体と話を始めているが協議は進んでいない
  • このままでは時間切れで「当社単独で維持困難な線区」を廃止せざるを得なくなる
  • そうならないようにするために、国や北海道が協議に関与してほしい

ということを暗に言いたいのではないかと…。

少し深読みしすぎかもしれませんが、沿線自治体とJR北海道との協議だけでは進展しない状況には変わりないでしょうから、今後、国や北海道がどのように関与してくるのかを注目したいですね。